ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

ありがとう@イオンシネマ久御山

2006-12-05 23:29:43 | 映画感想
ありがとう。好きな言葉の1つです。

阪神淡路大震災から11年。あの災害を題材にした映画、ようやく映画にする事が出来るくらい時間が経ったといっても良いのでしょうか? ワールドトレードセンターがもう映画化されるくらいだから、早くはないのかも知れません。

当然、その場にいた人達にとって忘れられるような出来事ではないけれど、当事者でない自分を含めた多くの人にとって、記憶の風化なんて、あっという間です。でも絶対に忘れちゃいけないし、そこからいくつもの事を学ぶことが大切だって事を、この映画は思い出させてくれます。

映画としては、阪神淡路大震災、というのは1つのきっかけとして描かれていて、主人公の古市さんが諦めずに(プロテストに受かるという)思いを成し遂げる、というとてもわかりやすい(?)お話。

いくつか思うところはあるけど、やっぱり特筆すべきは震災の様子の映像化。火災の映像と、家族や親しい人が今まさに死んでいく、その生々しさ、そしてがれきと化した町。テレビのドキュメンタリーでは決して立ち入る事の出来ないあまりの迫力にいたたなまれなくなる人もいるかも知れません。でも、それがフィクションなんかでない、現実にあった事だと認識する事が大切。きっと本当の神戸は映画以上に大変であった事は間違いないのだし。

赤井英和は決して演技が美味いとかは思わないけど、奔放な空気を醸し出す役者さん。今回の主人公役にはぴったりだったんだろうなと思います。あのキャラ、あのバイタリティ、人間くささとポジティブな考え方、それから生真面目さ。そんな主人公から映画の中の登場人物だけじゃなくて、儂らまで元気をもらえる。素直にそう感じる映画でしたね。

「三つの顔や」、というセリフの中には人間のどうしようもない性やエゴが出ている。でも、どれもしゃーないねん、どれも当然やねん、それが人間なんやもん。全部みとめて、そんなかでじゃぁ自分はどうすんのか。清濁合わせ飲んで、その中からでも前向きに力強く生きていける、そんなポジティブさは格好いいと思います。
プロテストで、若い子を励ますシーン、年の功とも言えるけど、あんな風にいえるおっちゃんを目指したい。

エンディングには河島英五。これはちょっとずるい。ジョゼと虎と魚たちの最後にくるりがかかった時以来、ずるいと感じた。彼も神戸に縁のあるアーティスト、亡くなってもう5年になるのか。

レイトショーで儂以外はお年嵩のカップル1組だけでちょっとさみしかったけど、気持ちよく映画館を後に出来る映画でした。

生かしてくれている全てにありがとう、がテーマ。

ありがとう@イオンシネマ久御山の画像