軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

9番目の惑星の名前

2016-01-29 19:46:37 | 気になる記事
 米カリフォルニア工科大のマイク・ブラウン博士らの研究チームは20日、海王星の外側に新たな惑星が存在する可能性があると発表した。太陽系外縁部にある天体の軌道を分析した結果、分かったという。実際に観測によって見つかると、準惑星に「格下げ」となった冥王星に代わり太陽系の第9惑星になると期待される。
 チームは米メディアに対し「5年以内には望遠鏡で発見されるのではないか」と予測を示している。(後略。東京新聞1月21日夕刊)


 ふむ。。。「5年以内に発見」って大きく出たなあ。いわゆる「プラネット・ナイン」の話ですかね。既知の惑星の外側に、未発見の巨大な惑星があるのではという話は昔からありますし、ヘリオスフィアまでを太陽系とみなすなら、山ほどあってもよさそうな気もします。
 それに状況証拠とでもいうべき観測や計算の結果から存在が予想され、実際に惑星が発見された例があるので、不思議なことではないですよね。たとえば海王星は19世紀、諸惑星の軌道の計算から「影響を与える重力源があるはず」と存在が示唆され、その後発見されており、今回と同じような展開です。

 それにしても、今まで光学的(可視領域外も含む)に観測されてカタログに記載されてなかったんでしょうか? 天球上でほかの恒星などとは異なる動きをするわけだから、不思議な感じがしますね。天王星は天文学の歴史でも有名なウィリアム・ハーシェルが1781年に発見したのですが、当初は彗星の一つだと考えられていたそうです。同じように様々な観測活動のどこかに引っかかってて、別個の天体だと受け止められ、その後放置されていたとしても不思議じゃない気がします。

 しかしもっと気になるのは名前です。特に和名。皆さんご存知の通り、たとえば"Neptune"はお笑い芸人。。。じゃなくて海王星、"Uranus"が天王星と呼ばれています。ちなみに土星の "saturn" は「悪魔」のサタンとは関係ないです。ゴヤの猟奇的な絵で有名な、ギリシア神話のサトゥルヌスね。
 で、準惑星に格上げされる可能性を秘め、今回の9番目の惑星の影響を受けているらしい「セドナ」とか、空想レベルでは公転周期2600万年といわれる巨大惑星(もしくは太陽の伴星)「ネメシス」とか、外惑星天体に神話の名前が付けられることはよくあります。今回の天体が実際に発見され、9番目の惑星に認定されたとして、発見されれば神話にちんだ名前が付く可能性は大いにありそうです。しかしどういう名前にせよ、カタカナ表記のままではなく、我々の太陽系の惑星には「○王星」とか和風な名前が付いている方が、親しみやすい気がします。昭和生まれの古風な考え方でしょうかねえ?

 実在については今後の研究、観測を待つしかありませんが、準惑星に格下げされた冥王星にとって代わる以上、王様レベルでないとね。和名のセンスに期待しています。

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仮想アイドルは現実のアイドルを駆逐するか

2016-01-11 19:14:41 | その他の雑記
 宇宙の話題じゃないですが、年末年始の気分が抜けないうちにこの話題を。。。昨年大晦日の紅白歌合戦に、『ラブライブ!』のμ's(ミューズ)が出演したんだそうで。直接観ていないのですが、どうやって出演したのかと思っていたら、声優さんのユニットが歌ったんだそうですね(アニメの上映もした?)。二次元アイドル?やボーカロイドなどが、一般の歌謡界・芸能界に進出してきているのですね。前置きが長くなりましたが、今回はこういう仮想アイドルについて。

 AKB48などの現実のアイドルは当然のごとく人気を博していますが、いずれ仮想アイドル(以降、アニメキャラやボカロなどの仮想のタレントをひっくるめてこう呼びます)のファンと勢力が逆転するのではないか、と私は思っています。「どう頑張ったって所詮は映像。現実のアイドルに叶うわけがない」とお思いの方も多いでしょう。かくいう私自身が昔。。。もとい人妻となった今でも松浦亜弥さんのファンでありまして、昭和生まれのせいか、やっぱり現実のタレントの方がいい。アキバでラブライブの看板などを見たことはありますが、セーラームーンかプリキュア? みたいなもんだとマジで思ってました。いまだに『アイドルマスター』とどう違うのかよくわからないし。
 しかしこれは個人的嗜好の域を出ない、根拠に乏しい感情論でしかなく、普遍化して主張できないと認めざるを得ません。「商品」としてのアイドルのコストパフォーマンスにおいて、「生身」が「仮想」に勝る点がほとんど思いつかないからです。
 仮想アイドルのメリットを、ファンと興業の立場から挙げると、

●ファンにとってのメリット
 加齢で容姿が変化することもないし、異性とスキャンダルを起こしたり、喫煙や飲酒、クスリその他事件を起こして裏切ることもない。引退して結婚するとかもない。とにかく堕落してファンを幻滅させることがまずない。

●興業サイドのメリット
 重要なのはこちらだと思う。ギャラを払わなくていい(声優さんをあてる場合のお金は別として)。休暇なしでいくらコキ使っても疲労しないし不満を言わない。学校に通う時間を設けなくてもいい。容姿を修正することもできる。養成学校に入れて育てる必要もない。マネージャーつけてスケジュール管理し、風紀に目を光らせる必要もない。口出したり収入でモメたりするような家族もなく、しがらみがない。いくらでも増殖させられて、同時に何か所でも出演できる。不人気になったら捨てればいいし、新しいのを生産できる。はっきり言うとただのデータだから人権に配慮する必要がないということですね。

 これを上回る生身のアイドルのメリットは何でしょう? 握手などスキンシップができる? ライブコンサートなどで生の姿が見られる? いずれ不気味の谷を越えて義体の技術が発達すれば、それもできるようになりますって。現に初音ミクはコンサートやってますしね。握手や生出演じゃなくても、それに代わる「その場だけの演出や特典」さえあれば、イベントとして成立するでしょうし。
 不思議なもので、現時点では芸能事務所が本気で仮想アイドルなをデビューさせても、ものすごく「痛い」感じになりそうな風潮があって、いまのところ仮想アイドルの誕生の場は、アニメやゲームなどの業界にしかないようです。しかしテクノロジーは発達する方向にしか進みません。これに支えられて、生身→仮想のベクトルも変わらず、しばらくの間は仮想アイドルファンの増殖は止まらないでしょう。そしてファンの人口が増えて、上手にマネージメントさえできれば、本業の芸能事務所がかかわってくる時も来るのではないかと思います。

 リアルの女の子たちの年齢は、毎年、着実に上がってゆく。いずれは引退し、結婚する。スキャンダルを起こして消えていく者もいる。あるいは清純派から脱却してヌード写真を発表したり、ドラマで汚れ役やったり──(略)

 初音ミクのライヴが何度も開催され、大成功を収めた事実は、リアル・アイドルへの遠回しな死刑宣告だった。(略)老いてゆく肉体を持つアイドルが、真に不老不死で永遠に処女のバーチャル・アイドルに勝てる要素はいったい何だ?

 あるファンが熱烈に彼女を愛していても、結婚できる可能性は限りなくゼロに近い。いやゼロと断言していい。それどころか、アイドルの結婚はファンにとって「裏切り」と映る……。(略)決して裏切ることがなく、いつまでも応援を続けられるバーチャル・アイドルの方がいいのではないか──(後略)


 上記は山本弘氏の『プロジェクトぴあの』(PHP社)からの抜粋です。仮想アイドルが現実のアイドルを駆逐していく様子を鋭く描写しているので紹介させていただきました。なお余談ですが、本作は以前紹介したことのある『地球移動作戦』の前日譚にあたる傑作ハードSFです。

 こういう仮想アイドルに慣れた世代が増えていくベクトルが反転する要素はなさそうで、いずれ勢力逆転の時が来るのではないか。ついでに言うと、世間の目を気にして公にしないだけで、実は二次元嫁を愛するオタクのサイレント・マジョリティーが存在するだろうとも思います。
 そして人間は多数意見に身をゆだねていると安心する生き物で、アイドルの嗜好についても、生身→仮想への民族移動が一定の閾値を超えると、他人の意見や価値観に引きずられる主体性のない人がズルズルついてくるものです。

 シニカルな言い方ですが、ブームというのは、他人の意見に引きずられる人間がいかに多いかということの表れです。評価の定まった価値というものは、主体性に欠けた人間の逃げ場でもあります。流行りものを肯定してもたれかかってれば、集団から浮き立つことを回避して自分を守れるからです。

 仮想アイドルの本格的台頭は、

● このまま仮想アイドルのファンが増え続け、中学校や高校など若者の集団の一つの単位の中で多数派になる
● 技術の発達で不気味の谷を越える
● 同じく技術の発達で、サンプリング以外で声優さんが不要になるほどの歌やお喋りができるようになる
● 芸能界が直接資本投下をするようになる
● アダルト分野に普及して、AVとかが作られるようになる

 ──といったことがターニングポイントになるのではないでしょうか。特に最後のポイントは、仮想アイドルの発達を影から支える、相当大きな力になりうるのではないかと。現実のAV女優さんはNGなプレイをさせたりとかね。さらに下世話なことまで言うと、アンドロイドのような義体が発達すれば、(変な言い方だが)人気の仮想アイドルを模したダッチワイフみたいなものもできて、性的な欲求まで満たされるようになるかもしれませんし。まあ現在のエロ同人誌も似たようなもんでしょうが。これでシンギュラリティポイント(人工知能が人間を超えるとされる転換点)を過ぎれば無敵になるのでは?


 もし、仮想アイドルが台頭する時代が来たとしたら、「アイドル志望の人間」はどうすればいいのか? やはり芸能界で脚光を浴びたい人はいつの時代でも一定数いるでしょう。これは消えない。そんな人たちのデビュー市場がなくなるか、極端に狭くなるという問題が生じるかもしれません。これに関しては、「それでも生身のアイドルがいい、いやむしろ欠点があるからこそ生身の方がいい」という意見も、消えずに存続するのではないかと思ます(特に女性はそんな感じがする)。CDよりレコードを愛する人がいるように。こういう市場が、生アイドルを目指す人の活路になるのかも知れません。
 ただしそれでも、現在ですらアイドルの画像に修正を加えることが可能であるのですから、生身と仮想の見た目の区別がつかなくなるほど技術が発達する時代が来たら、もはや何が現実かさえ曖昧になってしまうのではないかと思えるのです。
 以上は私的な見解ですが、施設案内のコンパニオンを映像やロボットが務めたり、将棋やチェスでコンピュータが人間のプロを負かしたりというように、デジタル化の台頭は、アイドル業界も例外なく襲っている、皮肉ですがこれは仮想ではなく現実です。

 長くなりました。昭和世代としては生身アイドルがまったくゼロになったら少し寂しいですが、人様に迷惑をかけさえしなければ、個人が何を好もうと自由だと思うので、この先どう転んでも仕方ないと言うしかない。こうした仮想現実的な状況がさらに進むとどうなるか、色々思うところもあるのですが、それはまた機会を改めたいと思います。

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ロゴができました

2016-01-03 12:10:11 | その他の雑記
 取り急ぎ本年最初の報告ですが、我が軌道エレベーター派のロゴができました。お気づきの方が果たしてどれだけいるのかと、我ながら自信がないのですが、当サイト左バーの上の方に年明けから貼ってあります。



 軌道エレベーター派のイメージカラーであるグレー、もしくは銀を基調に、"Orbital" の "O" の文字が軌道エレベーターの静止軌道ステーションを模してあるんです。ちなみに横長の基本形以外に、以下のように黄金分割に近い縦横比のものと英語版をそれぞれ作ってあります(軌道エレベーター派には、開設当初から "Orbital Elevator Fan" という英語名があったのです)。



 制作は、これまでにもポケットブックの画像の仕上げなどをやってもらってる Labo-Fyuz さんです。本業は額縁屋さんなんですがMac使いでもあるので、昔からのお付き合いでCG制作も受けてもらっています。ちなみにすっかり普及したこの図も、私のラフを Labo-Fyuz さんが仕上げてくれたもの。
 実はこのロゴ、昨年の秋には完成してまして、昨年の「軌道エレベーターの日プレゼント」当選者の方々には、プロトタイプのロゴを印刷した便箋を送りました。本当はトップページのタイトルそのものに貼りたいのですが、この無料ブログではできないようです。

 とりあえずは、外向けの封筒や便箋などを主な用途に想定しています。このほかにはバッジかTシャツでも作って、今年の記念プレゼントに加えようかなどとも考えていますが、応募がこなかったら心が折れてしまう。。。というわけで、現在思案中です。
 何はともあれ、ロゴともども軌道エレベーター派をよろしくお願いいたします。

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年頭あいさつ:No 軌道 No Life

2016-01-01 14:58:17 | その他の雑記
 あまねく星々、その知的生命体。。。の中にいてほしい軌道エレベーター派の皆様、あけましておめでとうございます。
 お陰様で、軌道エレベーター派も7回目の正月を迎えました。依然として我が軌道派の立場は苦しいですが、一番大事なのは「それでも続ける」ことであります。宇宙エレベーター協会を含め、こういう活動を始めた時から、ひと様がどう言おうとずっとそうやってきたんですから。続けていれば、風がこちらへ吹く時が来るものです。軌道エレベーターなくして人類の宇宙進出なし、軌道エレベーターなくして我が人生なし。これは変わりません。

昨年の元日記事の続きです。セリフを一部改変してあります。著作権者からクレーム等あればすみやかに削除します。











↑こんな感じの年になるといいのですが(次回の目次は別作品に突入予定? どんどん変な方向に走ってます)。No軌道、No Life! 継続は力なり。軌道エレベーター派は今年も闘い続けます。皆様、本年もよろしくお願いいたします。
 以下は、毎年恒例のまとめ目次です。末尾のリンクから前回の目次、そこからさらに前の目次へとたどれるようになっています。

目次(2014年4~12月)
前回の目次からきょうまでに更新がなかったコーナーについては、一番最近の記事を載せています。

軌道エレベーター派宣言
 あいさつに代えて、このホームページのスローガンのご披露

軌道エレベーター早わかり
 はじめて「軌道エレベーター」という言葉を知った方のための、簡単な基礎知識の説明

(軌道派による軌道派のための)軌道エレベーター定義書
 当サイトにおける「軌道エレベーター」の構造や分類などについてまとめた定義一覧

軌道エレベーター豆知識
 軌道エレベーターに関する情報や知識をテーマ別に紹介
(30) 軌道エレベーターが無意味になるケースとは

軌道エレベーターが登場するお話
 小説や映画、アニメなど、軌道エレベーターに関係する創作のあらすじと、作中に登場する軌道エレベーターの特徴の解説
(14) ルパン三世 11章第7節のエレベーター編(上)
番外編(5) 宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟

専門書・論文レビュー
 軌道エレベーター関連書や論文の紹介
 (7) 大林組「宇宙エレベーター建設構想」

軌道派アイデアノート
 軌道エレベーターに関する管理人のオリジナルアイデアの紹介
 (4) デブリ根絶計画(上)
 (4) デブリ根絶計画(中)
 (4) デブリ根絶計画(下)

軌道エレベーター学会
 軌道エレベーターに関する研究発表
 軌道エレベーターによる放射性廃棄物の処分(改訂版)序文と目次
 I章 軌道エレベーターの可能性
 II章 放射性廃棄物処分の現状
 III章 軌道エレベーターによる放射性廃棄物の処分
 IV章 処分計画の改良・応用例
 脚注・参考文献

ニュース
 独自取材のストレートニュース
2.1「火星飛行、月面探査・・・宇宙開発に日本の学生や民間からのチャレンジ続々」
3.29「第7回宇宙エレベーター学会(JpSEC2014)」
5.12「大林組などが宇宙でのCNT素材の曝露実験を実施」
7.3「STARSプロジェクトシンポ 軌道エレベーターの実験について発表」
8.13「第7回『宇宙エレベーターチャレンジ』(SPEC015)開催中」
8.23「2015 Space Elevator Conference 始まる」
8.30「2015 Space Elevator Conference閉幕」
10.9「今年も宇科連で軌道エレベーター関連の発表多数」

気になる記事
 タイトル通り、報じられたニュースから気になるものを拾って二言三言。
2.15「同性愛が当たり前の未来」
3.15「水を持つ天体、続々発見」
6.11「SETI30周年と『コンタクト』」
8.19「カナダ企業が "Space Elevator" の米国のパテントを取得」
10.23「毎日新聞のジョーク記事」
11.26「帝国軍が新兵器を実戦投入」


その他の雑記
 テーマにこだわらない、日々の他愛のない感想や雑学メモなど
1月
1.1「年頭あいさつ:軌道エレベーター派はぶれない」(前回の目次も兼ねています)
1.5「最近の『軌道エレベーター業界』の傾向」
1.25「フネは宇宙船のフネ」

2月
2.26「近況報告」

3月
3.8「妖怪のせいなのね、そうなのね!」

4月
4.1「ツッコミの研究史」
4.4「6周年」
4.15「月まで軌道エレベーターを架けるには?」
4.29「『インターステラー』観ました」

5月
5.6「君は『はに丸ジャーナル』を観たか」

6月
6.6「君は『はに丸ジャーナル』を観たか その2」
6.28「うるう秒と軌道エレベーターの関係」

7月
7.10「サブカル分野での「軌道エレベーター」と「宇宙エレベーター」の勢力図」
7.17「今月31日は軌道エレベーターの日」
7.24「プレゼント品目を追加しました」
7.31「きょうは軌道エレベーターの日(プレゼント当選者発表)」

8月
8.8「NHK熱中症予防情報に変化が!」

9月
9.7「シアトル行ってきました」

10月
10.31「君は『新・映像の世紀』を観たか」

11月
11.18「初体験」

12月
12.2「はやぶさ2のスイングバイに思う」
12.13「H-IIA29号機打ち上げ成功に思う」
12.31「今年もありがとうございました」

 これより前の目次は、昨年1月1日の更新の雑記1.1「年頭あいさつ:軌道エレベーター派はぶれない」(前回の目次も兼ねています)をご覧ください。その目次からさらに前の目次の回へとたどれるようになっています。

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