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軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

はじめに

2009-04-21 01:01:01 | はじめに

はじめに


「軌道エレベーター派」を訪問してくださり、ありがとうございます。軌道エレベーター派は、軌道エレベーターの理解・普及に務めるとともに、失われつつある「”軌道”エレベーター」の名を守っていくことを目指したサイトです。軌道エレベーターに関する情報発信を中心に、宇宙や自然科学に関する話題のほか、雑記としてとりとめのない日常の話題も扱っています。
 なお軌道エレベーターの基礎知識について、簡潔にざっくり知りたい方は「軌道エレベーター早わかり」を、細かく知りたい方は「軌道エレベーターの基礎知識」をご覧ください。また、軌道エレベーターの細かい定義分類、この分野の専門用語について、「軌道エレベーター定義書」でまとめています。
 それではまず、当サイトの存在意義たる「宣言」を。

軌道エレベーター派宣言


 軌道エレベーターは、地上と宇宙をエレベーターでつなぐ、安全、低コストの新しい輸送システムです。その基本原理は極めてシンプルで、新たな発明や発見を要するものではなく、初歩の科学知識を持つ方なら誰でも理解できるものです。
 かつてはSFの中だけの夢物語でしたが、昨今、多方面での科学技術の発達によって実現可能性が高まり、注目を浴びつつあります。実現すれば私たちのような普通の市民が宇宙を訪れる機会を得られるかも知れません。宇宙は、訓練を受けた宇宙飛行士や裕福な資産家といった、限られた人々だけのものではなくなるでしょう。

 当サイトの管理人は、この軌道エレベーターを初めて知った時、その発想に感銘を受け、以来「軌道エレベーター」の動向を追い続けてきました。
 しかるに昨今、「宇宙エレベーター」という何ともオタク臭くてアカ抜けない名が世を席巻し、「軌道」の名を知らぬ者が増え続けている、嘆かわしい有様。「軌道エレベーター」は絶滅危惧種となりつつあります。
 「宇宙エレベーター」を否定するわけではありません。管理人は、「宇宙エレベーター協会」(JSEA)の設立に携わり理事も務めるなどしまして、ご覧いただく方々の中にも「宇宙エレベーター」という名で知った方も少なくないでしょう。

 しかし、大勢に媚びて「軌道エレベーター」という、この知的で甘美な響きを持つ名称を捨てることができましょうか? コミュニケーション上やむなく「宇宙エレベーター」という言葉を使う時の、あの屈辱と恥ずかしさ、軌道エレベーターを支持する方なら一度は味わったことがあるでしょう。
 とにかく「軌道エレベーター」の方が美しい、カッコいいのだ!

 そんなわけでこのサイトは、(たぶん)今も一部のファンを惹きつけてやまない、声に出して読みたい名語「軌道エレベーター」の保護と復権に取り組むとともに、その原理や知識、価値の普及を目指す場です。

 軌道エレベーター派は、人種や国籍、民族、宗教、思想、性別や年齢の如何を問わず、軌道エレベーターを愛し、守ろうとする志を持つすべての人の参加を歓迎します。いまだに私1人のままですが。。。
 軌道エレベーター派は、以下の宣言の内容を守らねばなりません。

軌道エレベーター派宣言


 一. 軌道エレベーター派(以下、軌道派と略す)は、「軌道エレベーター」の名を世に定着させることを目的に活動する。手段は問わない。
 一. 軌道派は、公私の場で極力「軌道エレベーター」の名称を使用する。
 一. みだりに「宇宙エレベーター」と発言した者は厳罰に処す。それが認められるのは、あえて軌道エレベーターと区別して述べる時など、やむをえない場合に限る。
 一. 自らが軌道派であることを公に表明することは認められるが、他人が軌道派であると知っていても明かしてはならない。
 一. 軌道派同士がその確認をする際は、握手の時に中指で相手の掌をくすぐることで伝える。
 一. 毎年7月31日を「軌道エレベーターの日」と定める。これは、1960年7月31日にユーリ・アルツターノフが静止軌道エレベーターの基本原理を公にしたことにちなみ、その功績を顕彰するものである。
 一.軌道派に対し「宇宙エレベーター」の名称を用いる勢力を「宇宙エレベーター党」「宇宙エレベーター勢力」「宇宙エレベーター側」...などと呼称する。


。。。以上の文言の大部分は冗談ですが、「軌道エレベーターの日」など一部は本気。当サイトは、管理人がこよなく愛する「軌道エレベーター」の名で、この軌道エレベーター、あるいは宇宙エレベーターの話題を提供し、多くの人に興味を持っていただくためのサイトです。
 このほかに宇宙や科学を中心に、日々の話題なども紹介していきます。
 なお、初期のコンテンツは、当サイト管理人がJSEAの過去のホームページに書いていたものと重複する部分があります。JSEAホームページの改編に伴い、管理者の執筆した分をこちらに移転し、書き足して継続しています。

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軌道エレベーター早わかり

2009-04-11 11:47:04 | はじめに
 まずは、軌道エレベーターとは何かについての簡単な説明です。この内容は日本宇宙エレベーター協会(JSEA)ホームページの「宇宙エレベーター早わかり」と重複します。ご了承ください。


1.軌道エレベーターを知っていますか?
「軌道エレベーター」または「宇宙エレベーター」をご存じでしょうか? 
それは地上と宇宙をエレベーターでつなぐ、これまでにない輸送機関です。地上から天へと伸びる塔のようなものを想像してください。
 かつては突飛な空想として受け止められていましたが、理論上は十分実現可能なものであり、近年の技術発展によって、手の届く域に到達しつつあるのです。

 現在の宇宙開発の主役であるロケットには墜落や爆発の危険が伴いますが、軌道エレベーターにはその危険はなく、大気汚染の心配もありません。実現すれば、ロケットに依存していた宇宙開発は大きく飛躍します。訓練を受けた宇宙飛行士でない私たちでも、おそらくは高齢者や体が不自由な人も、宇宙を訪れる機会が得られるかも知れません。

2.仕組み
 軌道エレベーターの仕組みは、簡単に説明すると次のようなものです。
地球を周る人工衛星は、地球の重力で下(内側)へ引っ張られている力と、遠心力で上(外側)に飛び出そうとする力が一致して釣り合っているため、高度を維持して周回し続けています。このうち赤道上の高度約3万6000㎞を周る人工衛星は、周期が地球の自転と同じで、地上に対して天の一点に静止しているように位置するため、「静止衛星」などと呼ばれます。
 この静止衛星から、地上へ向けてケーブルを垂らしたとしましょう。ケーブルを吊り下げた分、衛星の地球に向いている側、つまり下の方がやや重くなり、このままでは徐々に地球の重力に引かれて落下してしまいます。そこで、反対側にもケーブルを伸ばしてバランスをとれば、衛星は静止軌道の高度を維持して回り続けられますね。
 次に、下向きのケーブルをさらに伸ばす。また重さが偏るので再び反対側も伸ばす。これを繰り返していくと、下へ伸ばしたケーブルはやがて地上に到達し、地上と宇宙を結ぶ長大な1本の紐になります。このケーブルに昇降機を取り付け、人や物資を輸送できるようにしたものが軌道エレベーターであり、原理はとてもシンプルなのです。

3.どこまで研究が進んでいるか?

 軌道エレベーターは科学者やSFファンの間で古くから知られていましたが、技術上の課題、特に宇宙から地上へ吊り下ろせる強度を持つケーブル素材がないために、夢物語にとどまっていました。
 しかし1991年、この条件に応えられる素材「カーボンナノチューブ」が日本で発見されました。これを機に軌道エレベーターの議論が加速され、多様で具体的な建造計画が提案されています。米国では研究者が集まり国際会議が開催されたほか、軌道エレべーターの技術開発のための競技コンテストも毎年開催されています。

 軌道エレベーターは、人が地上と宇宙との間を往復したり、物資を輸送したりする上で理想的な手段です。実現する上で「解決不能な課題はない」と言われています。宇宙進出を進める人類にとって、将来不可欠の輸送手段です。

 わが軌道エレベーター派は、この多大な価値を持つ軌道エレベーターの、「軌道エレベーター」という名での実現を目指します。これからコンテンツを増やしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。


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軌道エレベーターの基礎知識

2009-04-10 11:29:25 | はじめに

軌道エレベーターの基礎知識


 軌道エレベーターの基本知識については以下をご覧ください。
 (宇宙エレベーター協会から発行していた「軌道エレベーターポケットブック」を改訂したものです)

 1.軌道エレベーターを知っていますか?
 2.軌道エレベーターの構造
 3.基本原理
 4.低コストの理由
 5.軌道エレベーターの歴史
 6.日本での動き
 7.建造プランの一例
 8.克服すべき課題
 9.軌道エレベーターの意義

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(軌道派による軌道派のための)軌道エレベーター定義書

2009-04-07 23:57:42 | はじめに
 当サイトにおける、軌道エレベーター及びその関連事項の用語や概念を用いるにあたり、前提とする定義です。閲覧のご参考になれば幸いです。

1.軌道エレベーターの定義
 任意の高度における衛星軌道上に、恒常的あるいは一時的に重心を有する人工衛星の一種であり、天体(主に惑星)の周囲を公転しながら、当該天体の表面もしくは上空と、より高度の宇宙空間との間で質量を輸送するシステムの総称。「宇宙エレベーター」とも呼ばれる。
 主たる輸送機関にロケットを使用せず、電気その他を動力源とした駆動または推進、もしくはそれ(軌道エレベーター)自体の角運動量を用いて質量を輸送する。ただし、ロケットその他の噴射式推進機構を補助的に使用することはあり得る。

2.基本分類
(1) 静止軌道エレベーター
  静止衛星軌道上(地球の場合は高度約3万5800km)に重心を持ち、主星となる天体の自転速度と同期して赤道上を周回するもの。もっとも一般的なモデルであり、本サイトにおいては、特に断りなく「軌道エレベーター」と呼ぶ場合はこれを指すものとする。なお、建造段階の一時期に重心が静止軌道上にあるが、完成時には別の位置に定まるものもこれに含む(*)

(2) 低/中軌道エレベーター、または(極超音速)スカイフック
  低-中軌道上に重心を持ち、主星となる天体の自転速度より速く周回するもの。当該天体の自転と同期せず、したがって天体表面に接触しない。

(3) 高軌道エレベーター
  高軌道に重心を持ち、主星となる天体の自転速度より遅く周回するもの。(2)と同じく当該天体の自転と同期せず、天体表面に接触しない。

(4) 傾斜軌道エレベーター
  (2)(3)のうち、主星となる天体の赤道面に対し傾斜角を有する軌道を周回するもの。高緯度上空の軌道や極軌道などを周回するものはこれに含まれる。

(5) その他
  マスドライバーやレールガンなどとのハイブリッド型も、形態や使用方法により「軌道エレベーター」に含む。

 これより下記では、特に断らない限り、地球上における静止軌道エレベーター=上記2の(1)=を指すものとする(ただし、ほかの型の軌道エレベーターと重複する部分もある)

3.発達度による分類
(1) 第1世代
  地上と宇宙をつなぐ基本的、または小規模なケーブル/テザーを輸送機械(以下、昇降機と称する)がグリップして上下するもの。静止軌道エレベーターの要件を最低限満たした、初期の基本的なモデル。

(2) 第2世代
  第1世代から輸送その他の能力を拡大し、付随的機能を備えたもの。例として、
* 任意の高度へのステーション設置
* リニアモーターなどの導入による、構造体内部を昇降機が上下する機能
* 静止軌道より低高度での落下、高高度での遠心力を用いた上昇などによるエネルギーの回収
* 質量を第2、第3宇宙速度で投射する機能
 ──など、こうした付随機能を複数備えたもの。

(3) 第3世代
  軌道エレベーターの構造を、鉛直構造のみであった第二世代から、立体的に広げてより機能を拡大したもの。オービタルリングによる軌道エレベーター間の連結や、地球上の高緯度地域との複合的連結などを行ったものなど。

(4) その他
 第2世代の付随機能を最低一つは備えながら、昇降システムは第1世代のケーブル状のものを使用し続けるものについては「1.5世代」、さらにこれに第3世代の特徴も備えたものは「2.5世代」とする。

4.その他関連用語
ピラー:地上(天体表面)もしくはその上空と、より高度の宇宙空間を結ぶ軌道エレベーターの本体を支える基本構造体を、素材や規模にかかわらず「ピラー」と呼ぶ。この呼称は第1から第3世代まで共通して用いる。

地上基部:軌道エレベーターのピラーと、天体表面において接続する場所に設けられた施設を指す。当サイトでは陸上、海上にかかかわらず「地球上の基部」という意味で「地上基部」と記す。

昇降機:業界用語では「昇降機」とはエレベーターシステム全体を指すが、本サイトにおいては、軌道エレベーターのピラーに沿って移動を行う乗り物や運送機械を「昇降機」と呼称する。

軌道対称(構造):軌道エレベーターの重心となる位置=地球周回軌道(主に静止軌道)を挟んで引っ張り合って支える構造。主にピラーに負荷をかけないために用いる。一例として、低軌道と高軌道のステーションが「2次ピラー」によって静止軌道を挟んで引っ張り合うことで、軌道エレベーター本体の1次ピラーに力学的に依存しないようにするもの(右図参照)。同一軌道上を周回する複数の衛星が同居しているとみなすこともできる。軌道エレベーター本体の基本構造も、この軌道対称構造の一例である。当サイトの独創にもとづく造語であり、当サイトでは、ピラーへの負担を軽減するために、この構造を多く用いる。応用として「軌道対称性を持つ」などという表現もありうる。

(以上の項目は、随時加筆・修正し改善を続けます)

(*)この記述で指すのは、完成後のピラーにかかる張力のうち、遠心力を強く設定して安定させる研究モデルを想定している。

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