先日、今年の日本人のノーベル賞の有力候補3人、というのが発表されましたが、我が軌道エレベーター派も、ノーベル賞関連で毎年この時期になると少々気を揉みます。何度も候補に挙げられている、カーボンナノチューブ(CNT)を発見した飯島澄男氏が、今年こそ選ばれないだろうかということであります。
軌道エレベーターの最大の課題は素材。これは現在でも変わりません。静止軌道を超えて伸びるケーブルを敷設すれば、ケーブル自体の重みで破断してしまう。少なくとも60ギガパスカル(GPa)程度の引張強度が必要で、軌道エレベーターのアイデア誕生以来の命題であり、言い換えれば「材料がないからできない」という状況は現在も続いています。
軌道エレベーターの発想は19世紀にまで遡るうえに、その基本構造は古典的なニュートン力学で説明でき、新たな理論や発見など必要のない極めてシンプルなものです。素材については、テーパー(全体の強度を保つための、ケーブルの太さの傾斜)を設けたグラファイトなどでクリアできるというモデルなどが提唱されましたが、それでも決定打となる素材に欠けるがゆえに、SFの外では注目されず、学術的研究の発展が停滞する状況が、1990年代まで続いていました。
下火だった軌道エレベーターに、再び脚光を浴びせてくれたのが、91年に飯島博士が発見したCNT(たまに「発明」という表現をする記事があるが発見です)でした。理論値ですが、必要な強度をクリアする物質が登場したことのインパクトは強く、その後米航空宇宙局(NASA)などでも軌道エレベーターに関してグループワークで検討がなされたりもしました。
飯島博士ご自身は軌道エレベーター研究には携わってはおられませんが、著書でCNTの用途の一つとして紹介されるなどしており、軌道エレベーターの研究発展の立役者でもあるわけです。ちなみに10年くらい前に電話取材したことがあるんですが、ご本人は覚えていないでしょう。
そして言うまでもなく、軽量で頑丈なCNTは、軌道エレベーター以外にも幅広い用途があり、ほかの素材とのハイブリッドで航空機の機体や車に使われたり、仄聞ですが量子コンピュータの基盤の素材にもなりうるそうです。
このCNT発見の功績により、飯島博士はこれまで何度もノーベル賞の候補に挙がっています。もし受賞されれば、軌道エレベーターへの注目が高まることは言うまでもありません。てか話題として持って来いでしょう。「日本人受賞」のニュースの中で、「このカーボンナノチューブ、なんと宇宙に届くエレベーターの素材にもなりうるんです」なんて紹介されること間違いなし。
軌道エレベーターの件がなくとも、その功績にはもっと光が当たってほしいと望むばかりです。ただそれはそれとして、今受賞して軌道エレベーターが話題になっても、みんな「宇宙エレベーター」と呼ぶんしょうね。そうなると「軌道」エレベーターはもっとマイナーになってしまうかも…(*´Д`)=3ハァ
そんな感じで痛し痒しでもあるのですが、我が軌道派としても、毎年ノーベル賞に注目しています。今年も関心を持って結果を待ちたいと思います。
軌道エレベーターの最大の課題は素材。これは現在でも変わりません。静止軌道を超えて伸びるケーブルを敷設すれば、ケーブル自体の重みで破断してしまう。少なくとも60ギガパスカル(GPa)程度の引張強度が必要で、軌道エレベーターのアイデア誕生以来の命題であり、言い換えれば「材料がないからできない」という状況は現在も続いています。
軌道エレベーターの発想は19世紀にまで遡るうえに、その基本構造は古典的なニュートン力学で説明でき、新たな理論や発見など必要のない極めてシンプルなものです。素材については、テーパー(全体の強度を保つための、ケーブルの太さの傾斜)を設けたグラファイトなどでクリアできるというモデルなどが提唱されましたが、それでも決定打となる素材に欠けるがゆえに、SFの外では注目されず、学術的研究の発展が停滞する状況が、1990年代まで続いていました。
下火だった軌道エレベーターに、再び脚光を浴びせてくれたのが、91年に飯島博士が発見したCNT(たまに「発明」という表現をする記事があるが発見です)でした。理論値ですが、必要な強度をクリアする物質が登場したことのインパクトは強く、その後米航空宇宙局(NASA)などでも軌道エレベーターに関してグループワークで検討がなされたりもしました。
飯島博士ご自身は軌道エレベーター研究には携わってはおられませんが、著書でCNTの用途の一つとして紹介されるなどしており、軌道エレベーターの研究発展の立役者でもあるわけです。ちなみに10年くらい前に電話取材したことがあるんですが、ご本人は覚えていないでしょう。
そして言うまでもなく、軽量で頑丈なCNTは、軌道エレベーター以外にも幅広い用途があり、ほかの素材とのハイブリッドで航空機の機体や車に使われたり、仄聞ですが量子コンピュータの基盤の素材にもなりうるそうです。
このCNT発見の功績により、飯島博士はこれまで何度もノーベル賞の候補に挙がっています。もし受賞されれば、軌道エレベーターへの注目が高まることは言うまでもありません。てか話題として持って来いでしょう。「日本人受賞」のニュースの中で、「このカーボンナノチューブ、なんと宇宙に届くエレベーターの素材にもなりうるんです」なんて紹介されること間違いなし。
軌道エレベーターの件がなくとも、その功績にはもっと光が当たってほしいと望むばかりです。ただそれはそれとして、今受賞して軌道エレベーターが話題になっても、みんな「宇宙エレベーター」と呼ぶんしょうね。そうなると「軌道」エレベーターはもっとマイナーになってしまうかも…(*´Д`)=3ハァ
そんな感じで痛し痒しでもあるのですが、我が軌道派としても、毎年ノーベル賞に注目しています。今年も関心を持って結果を待ちたいと思います。