米シアトルの "Museaum of Flight" で21日から始まった "2015 Space Elevator Conference" (SEC'15) は、宇宙エレベーター協会(JSEA)による発表や、軌道エレベーターに関するサブカルチャーの紹介、細部検討を盛り込んだ総合的ロードマップについての話し合いなどが行われ、23日に幕を閉じた。
JSEAの大野修一会長は2日の終盤に急遽登壇。短時間だが活動内容の動画を上映したり、活動の展望を報告したりした。さらに3日目には "JSEA SPIDER Lightweight Climber Challenge" と題したプレゼンテーションで、JSEAの沿革を紹介した後、宇宙エレベーターのテザーを昇降するクライマーの開発や競技において、新たに設けた "SPPDER" について詳細を説明した。
SPPDERは、市販のブロックで作る500g級の "LASER"、300g級の「マウス」に次ぐ1.5kg級クライマーのカテゴリーで、毎年8月に開催している「宇宙エレベーターチャレンジ」(SPEC) で用いられる20kg級クライマーとの中間に位置付けられる。主に高校生を参加対象とし、ラジコンカーのキットなどを利用してクライマー製作を行い、クライマー開発の基礎や問題解決などを学ぶのが目的。
大野会長は、12チームが参加した神奈川県でのSPIDER競技イベントの様子や、自律性を高めたSPIDERなどの発展性を紹介しながら「SPIDERは購入しやすく安価な部品で作れる。我々は機体の仕様や見本を掲載した説明書をウェブ上で公開している。現在は日本語だけだが、誰でもSPIDERを作ることができる」と語り、参加者の裾野を広げていく意欲を示した。最後に28mのテザーを6m毎秒で37回昇降する最速モデルの動画を上映すると、会議参加者から驚きの声が上がった。
このほかの日本人勢では、軌道エレベーターのロードマップ作成チームのメンバーによる詳細検討の結果発表や、大林組の石川洋二氏の「宇宙エレベーター建設構想」と、日本人による発表が続いた。
また、主催団体の "International Space Elevator Consortium"(ISEC)は2日目に、将来の実現を目指して進める建造までのロードマップに関する発表や意見交換に多くの時間が割き、エレベーターの全体構造や宇宙と地上をつなぐテザーを昇降するシステム、基部となる海上プラットフォームなど、分野別検討の成果が報告された。
このテーマのうち海上の施設についてのワークショップでは、①テザーの終端施設 ②浮体式作業施設 ③システム全体のデモンストレーション──の3テーマで、参加者がグループに分かれて討論。各グループ代表は「拠点施設の建設は環境に大きなインパクトを持つことから熟慮が必要」などと話し、逆に構造に影響を与える自然現象の様々な要素を挙げるなど、議論を深めた。
このほか、"The Space Elevator/Launch Loop/Space Fountain in Science Fiction"と題した最初の発表では、旧約聖書のバベルの塔やヤコブの階段までさかのぼり、砲弾を打ち出す方法で人を月に送る『月世界旅行』(1865年~)のような古典作品をはじめ、宇宙エレベーターを特に有名にした『楽園の泉』(1979年)をはじめ、『星ぼしに架ける橋』(同)など宇宙エレベーター、あるいはマスドライバー(電磁気的な力などにより質量を加速・射出するカタパルト)などが登場した数多くのSF作品を紹介。ビジネス展開を目指すベンチャー企業によるプレゼンテーションもあり、参加者による様々な議題の討論などを経て、今年の会議を終えた。(軌道エレベーター派 2015/8/30)
JSEAの大野修一会長は2日の終盤に急遽登壇。短時間だが活動内容の動画を上映したり、活動の展望を報告したりした。さらに3日目には "JSEA SPIDER Lightweight Climber Challenge" と題したプレゼンテーションで、JSEAの沿革を紹介した後、宇宙エレベーターのテザーを昇降するクライマーの開発や競技において、新たに設けた "SPPDER" について詳細を説明した。
SPPDERは、市販のブロックで作る500g級の "LASER"、300g級の「マウス」に次ぐ1.5kg級クライマーのカテゴリーで、毎年8月に開催している「宇宙エレベーターチャレンジ」(SPEC) で用いられる20kg級クライマーとの中間に位置付けられる。主に高校生を参加対象とし、ラジコンカーのキットなどを利用してクライマー製作を行い、クライマー開発の基礎や問題解決などを学ぶのが目的。
大野会長は、12チームが参加した神奈川県でのSPIDER競技イベントの様子や、自律性を高めたSPIDERなどの発展性を紹介しながら「SPIDERは購入しやすく安価な部品で作れる。我々は機体の仕様や見本を掲載した説明書をウェブ上で公開している。現在は日本語だけだが、誰でもSPIDERを作ることができる」と語り、参加者の裾野を広げていく意欲を示した。最後に28mのテザーを6m毎秒で37回昇降する最速モデルの動画を上映すると、会議参加者から驚きの声が上がった。
このほかの日本人勢では、軌道エレベーターのロードマップ作成チームのメンバーによる詳細検討の結果発表や、大林組の石川洋二氏の「宇宙エレベーター建設構想」と、日本人による発表が続いた。
また、主催団体の "International Space Elevator Consortium"(ISEC)は2日目に、将来の実現を目指して進める建造までのロードマップに関する発表や意見交換に多くの時間が割き、エレベーターの全体構造や宇宙と地上をつなぐテザーを昇降するシステム、基部となる海上プラットフォームなど、分野別検討の成果が報告された。
このテーマのうち海上の施設についてのワークショップでは、①テザーの終端施設 ②浮体式作業施設 ③システム全体のデモンストレーション──の3テーマで、参加者がグループに分かれて討論。各グループ代表は「拠点施設の建設は環境に大きなインパクトを持つことから熟慮が必要」などと話し、逆に構造に影響を与える自然現象の様々な要素を挙げるなど、議論を深めた。
このほか、"The Space Elevator/Launch Loop/Space Fountain in Science Fiction"と題した最初の発表では、旧約聖書のバベルの塔やヤコブの階段までさかのぼり、砲弾を打ち出す方法で人を月に送る『月世界旅行』(1865年~)のような古典作品をはじめ、宇宙エレベーターを特に有名にした『楽園の泉』(1979年)をはじめ、『星ぼしに架ける橋』(同)など宇宙エレベーター、あるいはマスドライバー(電磁気的な力などにより質量を加速・射出するカタパルト)などが登場した数多くのSF作品を紹介。ビジネス展開を目指すベンチャー企業によるプレゼンテーションもあり、参加者による様々な議題の討論などを経て、今年の会議を終えた。(軌道エレベーター派 2015/8/30)