この軌道エレベーター派、浮世絵も好きという記事を、当サイトにて何度か書いたことがありまして(ていうか浮世絵の記事が閲覧トップという状況)、軌道エレベーターに関係ない話題で恐縮ですがこの話題で一筆。
大河ドラマ「べらぼう 蔦重栄華乃夢噺」が今月からスタートしましたね、広重や歌麿などの絵師をはじめ、様々な分野の才人を世に送り出し、レンタルショップ「TSUTAYA」の元にもなった蔦屋重三郎のお話です。
浮世絵好きなんで初回から観ていて、けっこう面白くなってきたじゃん、と思って今後を楽しみにしていますが、今後、「どういう風に描くのかなあ?」と少し気になっているのが謎の浮世絵師として有名な、東洲斎写楽です。
美人画や役者絵など人物の浮世絵にはあまり興味がないので、個人的には、写楽の作品自体はファンでもないのですが、それでも10年くらい前に美術展で実物を見た時は、雲母刷りなどが美しく、「やっぱり本物は違うなあ」と感動してナナメ下とか色んな角度からじっくり観察したことを覚えています。もっともこれは刷り師の技量のたまものでしょうが。

この写楽、謎の浮世絵師と書きましたが、一応素性は定説があるんですよね。江戸時代の著述家、斎藤月岑は写楽を「阿波徳島藩主お抱えの能役者、斎藤十郎兵衛」と書き残しています。
浮世絵の流派の分類を行った式亭三馬によると「写楽は江戸八丁堀に住す」とあり、斎藤月岑も写楽の所在地について同じ記述をしています。
近年、斎藤十郎兵衛の実在を裏付ける資料も発見されるなどして、不明な点は多いものの、学術的には現時点でのファイナルアンサーとされているようです。
広重だとか北斎だとか、絵師のグループだとか異説もたくさんあり、弘兼憲史氏のコミック「ハロー張りネズミ」では写楽が外国人だったなんてエピソードもありました。写楽=シャーロックですと。「三つ目がとおる」の逆やね。
しかし歴史考証は証拠に基づいてなされるべきものなので、これ以上の証拠が出てこない限り、写楽=斎藤十郎兵衛で、現時点の一応の決着はついているとのこと。
「べらぼう」の話に戻りますが、そんなわけで写楽が誰か、ということをドラマの中で暴くことは期待してません。新説なんか出してきたらむしろ興ざめで、それより「なんで突然出てきて短期間で消えたのか?」という謎にどういうストーリーを付けるのか、が気になりますね。
写楽の活動期間は寛政年間の1974年5月~75年2月で、突然現れて140点余りの作品を残し、これまた突然消えました。
ドラマのネタバレになるかもしれませんが史実だからいいよね。現在寺田心君が演じている松平定信が後に断行する寛政の改革で、蔦屋は発禁処分と財産の半分没収という懲罰を科されます。さらにこの時、看板絵師だった歌麿がヘッドハンティングされてほかの版元に移籍してしましました。
蔦屋にとっては超涙目状態だったのですが、この時期に現れたのが写楽でした。この辺をどう描くのかに興味が引かれます。蔦屋が見いだしたのか、写楽が売り込んだのか、お金ないのに雲母刷りなんて豪華ブロマイド出版して大丈夫なのか? なんてあたりですね。
ちなみに、エミー賞受賞で今をときめく真田広之さん主演の映画「写楽」(1995年)では、十郎兵衛は足をけがして舞台に立てなくなった(血がダラダラ流れてすごく痛そうだった)のがきっかけで、写楽という絵師になったと描いてました。
で、なんであっという間に消えたのか。消えた理由に関しては、大田南畝が「浮世絵類考」の中で「歌舞伎役者の似顔を写せしが あまりに真を画かんとて あらぬさまに書なせしかば 長く世に行われず 一両年にして止む」と書いていて、「アイドルである歌舞伎役者をリアルに描こうとしたら、美醜関係なく誇張して描きすぎちゃって受けなかった」らしいです。ようは空気読めよと。
漫画家と同じで、そりゃ受けなきゃ消えますわな。当たり前の話なのかもしれませんが、最後どういう気持ちや表情で写楽がフェイドアウトしていくのかが気になるところです。
そもそも写楽1人にそこまで時間を割けるかは疑問ですが、1、2話は惰性で観ていたものの、3話で新しい吉原ウォーカーを作るあたりから、なんか面白くなってきた気がします。
写楽以外の絵師らを誰が演じるのかも興味深いですが、浮世絵界の一大ミステリーをどう描くか、ドラマを楽しみながら注目したいと思います。
1/25夜 追記:第4話を観たら、主人公の弟分みたいな唐丸という男の子が、天才的な模写の腕を発揮して、蔦屋重三郎が「俺が当代一の絵師にしてやる」と言っていたのですが、番組公式サイトの人物相関図の説明は「謎の少年」。この子が後の写楽なのかも? 次回、主人公とお別れするっぽいですが、旅立つ先が阿波国だったりすれば決定的じゃないでしょうか。
大河ドラマ「べらぼう 蔦重栄華乃夢噺」が今月からスタートしましたね、広重や歌麿などの絵師をはじめ、様々な分野の才人を世に送り出し、レンタルショップ「TSUTAYA」の元にもなった蔦屋重三郎のお話です。
浮世絵好きなんで初回から観ていて、けっこう面白くなってきたじゃん、と思って今後を楽しみにしていますが、今後、「どういう風に描くのかなあ?」と少し気になっているのが謎の浮世絵師として有名な、東洲斎写楽です。
美人画や役者絵など人物の浮世絵にはあまり興味がないので、個人的には、写楽の作品自体はファンでもないのですが、それでも10年くらい前に美術展で実物を見た時は、雲母刷りなどが美しく、「やっぱり本物は違うなあ」と感動してナナメ下とか色んな角度からじっくり観察したことを覚えています。もっともこれは刷り師の技量のたまものでしょうが。

この写楽、謎の浮世絵師と書きましたが、一応素性は定説があるんですよね。江戸時代の著述家、斎藤月岑は写楽を「阿波徳島藩主お抱えの能役者、斎藤十郎兵衛」と書き残しています。
浮世絵の流派の分類を行った式亭三馬によると「写楽は江戸八丁堀に住す」とあり、斎藤月岑も写楽の所在地について同じ記述をしています。
近年、斎藤十郎兵衛の実在を裏付ける資料も発見されるなどして、不明な点は多いものの、学術的には現時点でのファイナルアンサーとされているようです。
広重だとか北斎だとか、絵師のグループだとか異説もたくさんあり、弘兼憲史氏のコミック「ハロー張りネズミ」では写楽が外国人だったなんてエピソードもありました。写楽=シャーロックですと。「三つ目がとおる」の逆やね。
しかし歴史考証は証拠に基づいてなされるべきものなので、これ以上の証拠が出てこない限り、写楽=斎藤十郎兵衛で、現時点の一応の決着はついているとのこと。
「べらぼう」の話に戻りますが、そんなわけで写楽が誰か、ということをドラマの中で暴くことは期待してません。新説なんか出してきたらむしろ興ざめで、それより「なんで突然出てきて短期間で消えたのか?」という謎にどういうストーリーを付けるのか、が気になりますね。
写楽の活動期間は寛政年間の1974年5月~75年2月で、突然現れて140点余りの作品を残し、これまた突然消えました。
ドラマのネタバレになるかもしれませんが史実だからいいよね。現在寺田心君が演じている松平定信が後に断行する寛政の改革で、蔦屋は発禁処分と財産の半分没収という懲罰を科されます。さらにこの時、看板絵師だった歌麿がヘッドハンティングされてほかの版元に移籍してしましました。
蔦屋にとっては超涙目状態だったのですが、この時期に現れたのが写楽でした。この辺をどう描くのかに興味が引かれます。蔦屋が見いだしたのか、写楽が売り込んだのか、お金ないのに雲母刷りなんて豪華ブロマイド出版して大丈夫なのか? なんてあたりですね。
ちなみに、エミー賞受賞で今をときめく真田広之さん主演の映画「写楽」(1995年)では、十郎兵衛は足をけがして舞台に立てなくなった(血がダラダラ流れてすごく痛そうだった)のがきっかけで、写楽という絵師になったと描いてました。
で、なんであっという間に消えたのか。消えた理由に関しては、大田南畝が「浮世絵類考」の中で「歌舞伎役者の似顔を写せしが あまりに真を画かんとて あらぬさまに書なせしかば 長く世に行われず 一両年にして止む」と書いていて、「アイドルである歌舞伎役者をリアルに描こうとしたら、美醜関係なく誇張して描きすぎちゃって受けなかった」らしいです。ようは空気読めよと。
漫画家と同じで、そりゃ受けなきゃ消えますわな。当たり前の話なのかもしれませんが、最後どういう気持ちや表情で写楽がフェイドアウトしていくのかが気になるところです。
そもそも写楽1人にそこまで時間を割けるかは疑問ですが、1、2話は惰性で観ていたものの、3話で新しい吉原ウォーカーを作るあたりから、なんか面白くなってきた気がします。
写楽以外の絵師らを誰が演じるのかも興味深いですが、浮世絵界の一大ミステリーをどう描くか、ドラマを楽しみながら注目したいと思います。
1/25夜 追記:第4話を観たら、主人公の弟分みたいな唐丸という男の子が、天才的な模写の腕を発揮して、蔦屋重三郎が「俺が当代一の絵師にしてやる」と言っていたのですが、番組公式サイトの人物相関図の説明は「謎の少年」。この子が後の写楽なのかも? 次回、主人公とお別れするっぽいですが、旅立つ先が阿波国だったりすれば決定的じゃないでしょうか。