お台場の「ガンダムフロント東京」に行ってきました。過去に1度行ったことがありますが、今回のお目当ては「ガンダムサイエンス展」という企画展。
「ガンダムシリーズの中に登場する『スペースコロニー』や『モビルスーツ』など
様々なキーワードを基に、現代の科学技術や宇宙開発を対比しながら
未来世界の可能性を解説します」
──というふれこみだったので、そう、『機動戦士ガンダム00』に登場した軌道エレベーターについて、色々詳しく紹介してくれちゃってんじゃないかと! 。。。しかし落胆しました。言っちゃ悪いが手抜きとしか思えん。
「『機動戦士ガンダム00』にも登場した『軌道エレベーター(宇宙エレベーター)』。
そんな夢のような発想が、近年の技術発展により実現する可能性が極めて高くなっている。
『00』への言及はこれだけで、あとは大林組の「宇宙エレベーター構想」におんぶにだっこで、客の動線から外れてるっぽい一隅に、同社構想の資料を何点か展示してるのみ。これで全てでした。動画まで大林組提供。『00』の軌道エレベーターがどんなものかを概説し、現在の研究がどこまで迫っているか示さないと、企画意図に沿わないでしょう。しかも『∀(ターンエー)ガンダム』に一切触れてないとはなんとお粗末な。
初作『機動戦士ガンダム』については、設定画とかスタッフインタビューとか、最新の研究紹介とか実に企画豊富で、特にコロニーの模型は見ごたえありました(考えてみれば立体でコロニー見たことなかった)。それはそれで結構だし、1st重視は仕方ない。初作信者の中には『00』を認めず、眼中にない人も多いでしょう。しかし、軌道エレベーター(せめてマスドライバー)無しで億単位の宇宙移民なんざできるわけなかろう(エレベーターがあっても並大抵の労力と消費では済まない)。『ガンダム』を冠する作品は数あれど、この矛盾にきちんと回答できるのは『00』と(ストーリーはともかく)『∀』くらいではないか。
特に『00』の軌道エレベーター(を含むORS)について、企画側はどれほど見事か理解していない。地球から3方向に伸びたエレベーターを二重のオービタルリングで結合させる構造で、高軌道(静止軌道)リング上に無数の太陽光発電衛星を配置。低軌道リングには磁性流体を循環させて高度を維持し、内部に粒子加速器を備えているんだとか。以下は「2008 Japan Space Elevator Almanac(宇宙エレベーター協会年鑑)」の特集記事に掲載された『00』の軌道エレベーターの図(JSEA会員の新海さんが作成してくれたものです)。
三つの国家群が、駆け引きの末に1基ずつ建造するというプロセスも説得力があり、大規模太陽光発電を巡って石油輸出国などとの間で格差や紛争が起きるというのも面白い(軌道エレベーターが登場する諸作品は、やたら"国連"が出てきて、国連が管轄するのがリアルな帰結だと思っている人も多いが、これは国連を、大国を服従させられる超国家的存在だと勘違いした思考であり、想像力欠如に過ぎない。国連のシステムを学べば、いかに現実味がないネタかわかるはず)。
まあ低軌道リング上の兵器「メメントモリ」と、それによるエレベーター倒壊の仕組みはトンデモなかったですけれども、基礎設定は非常に良くできており、何よりもその完成美を色んな角度から見た構図が色々映って、『00』の画はすごく魅力的でした。本当に美しかった。『00』の軌道エレベーターは、れっきとした学術理論や数あるSF作品で培われてきた発想の集大成であり、関連サブカル史上における最高傑作の一つである。これは軌道エレベーター派の公式見解です。
思わず熱くなってしまいましたが、それだけに、今回の展示には期待していたのです。放映当時公開された設定資料には「この部分どうなってるんだ?」といった知りたい点が色々あったし、裏設定など見られれば、軌道派として貴重な情報収集になると思ってました。そりゃあ展示の向かいに1/144スケールのドデカいホワイトベースがあったらみんなそっち向くわな。大林組の資料は持ってるから、さっと見たら私もホワイトベースの写真とっちゃいましたわ。ガンダムフロントの企画担当さん、いつか『00』の軌道エレベーター特集、お願いいたします。お手伝いできることがあれば、軌道エレベーター派は喜んで協力します。上記年鑑の特記事の折、サンライズに取材申し込みをスルーされたことなんて根に持っていませんとも。ええ、ええ、これぽっちもね。( ̄▽ ̄)
余談ですが、例の3号機、アルヴァロンにしか見えません。
「ガンダムシリーズの中に登場する『スペースコロニー』や『モビルスーツ』など
様々なキーワードを基に、現代の科学技術や宇宙開発を対比しながら
未来世界の可能性を解説します」
──というふれこみだったので、そう、『機動戦士ガンダム00』に登場した軌道エレベーターについて、色々詳しく紹介してくれちゃってんじゃないかと! 。。。しかし落胆しました。言っちゃ悪いが手抜きとしか思えん。
「『機動戦士ガンダム00』にも登場した『軌道エレベーター(宇宙エレベーター)』。
そんな夢のような発想が、近年の技術発展により実現する可能性が極めて高くなっている。
『00』への言及はこれだけで、あとは大林組の「宇宙エレベーター構想」におんぶにだっこで、客の動線から外れてるっぽい一隅に、同社構想の資料を何点か展示してるのみ。これで全てでした。動画まで大林組提供。『00』の軌道エレベーターがどんなものかを概説し、現在の研究がどこまで迫っているか示さないと、企画意図に沿わないでしょう。しかも『∀(ターンエー)ガンダム』に一切触れてないとはなんとお粗末な。
初作『機動戦士ガンダム』については、設定画とかスタッフインタビューとか、最新の研究紹介とか実に企画豊富で、特にコロニーの模型は見ごたえありました(考えてみれば立体でコロニー見たことなかった)。それはそれで結構だし、1st重視は仕方ない。初作信者の中には『00』を認めず、眼中にない人も多いでしょう。しかし、軌道エレベーター(せめてマスドライバー)無しで億単位の宇宙移民なんざできるわけなかろう(エレベーターがあっても並大抵の労力と消費では済まない)。『ガンダム』を冠する作品は数あれど、この矛盾にきちんと回答できるのは『00』と(ストーリーはともかく)『∀』くらいではないか。
特に『00』の軌道エレベーター(を含むORS)について、企画側はどれほど見事か理解していない。地球から3方向に伸びたエレベーターを二重のオービタルリングで結合させる構造で、高軌道(静止軌道)リング上に無数の太陽光発電衛星を配置。低軌道リングには磁性流体を循環させて高度を維持し、内部に粒子加速器を備えているんだとか。以下は「2008 Japan Space Elevator Almanac(宇宙エレベーター協会年鑑)」の特集記事に掲載された『00』の軌道エレベーターの図(JSEA会員の新海さんが作成してくれたものです)。
三つの国家群が、駆け引きの末に1基ずつ建造するというプロセスも説得力があり、大規模太陽光発電を巡って石油輸出国などとの間で格差や紛争が起きるというのも面白い(軌道エレベーターが登場する諸作品は、やたら"国連"が出てきて、国連が管轄するのがリアルな帰結だと思っている人も多いが、これは国連を、大国を服従させられる超国家的存在だと勘違いした思考であり、想像力欠如に過ぎない。国連のシステムを学べば、いかに現実味がないネタかわかるはず)。
まあ低軌道リング上の兵器「メメントモリ」と、それによるエレベーター倒壊の仕組みはトンデモなかったですけれども、基礎設定は非常に良くできており、何よりもその完成美を色んな角度から見た構図が色々映って、『00』の画はすごく魅力的でした。本当に美しかった。『00』の軌道エレベーターは、れっきとした学術理論や数あるSF作品で培われてきた発想の集大成であり、関連サブカル史上における最高傑作の一つである。これは軌道エレベーター派の公式見解です。
思わず熱くなってしまいましたが、それだけに、今回の展示には期待していたのです。放映当時公開された設定資料には「この部分どうなってるんだ?」といった知りたい点が色々あったし、裏設定など見られれば、軌道派として貴重な情報収集になると思ってました。そりゃあ展示の向かいに1/144スケールのドデカいホワイトベースがあったらみんなそっち向くわな。大林組の資料は持ってるから、さっと見たら私もホワイトベースの写真とっちゃいましたわ。ガンダムフロントの企画担当さん、いつか『00』の軌道エレベーター特集、お願いいたします。お手伝いできることがあれば、軌道エレベーター派は喜んで協力します。上記年鑑の特記事の折、サンライズに取材申し込みをスルーされたことなんて根に持っていませんとも。ええ、ええ、これぽっちもね。( ̄▽ ̄)
余談ですが、例の3号機、アルヴァロンにしか見えません。