軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

宇宙エレベーター学会(JpSEC)開催

2016-05-29 21:33:34 | ニュース
 宇宙エレベーター協会(JSEA)主催の「宇宙エレベーター学会(JpSEC)講演会」が28日、千代田区で開かれた。
 JSEAが毎年開いている学会と年次総会を兼ねたもので、午前中の総会で年度事業の承認や役員の選任などが行われた後、午後には各分野の研究者が軌道エレベーターに関して講演。『宇宙エレベーターの物理学』著者で、星新一賞でグランプリを受賞した東海大学の佐藤実講師による開会あいさつに続き、大野修一・JSEA会長が軌道エレベーターの研究の現状やJSEAの取り組みなどを伝えた。
 
 「国連宇宙条約と米国2015年宇宙法」と題した、日本大学の甲斐素直教授の講演では、米国の宇宙関連法規の特徴や問題点などを解説。宇宙の資源について、米国が優先的な所有権を有するかのようにも受け取れる内容になっており、独占を禁じた国際法に抵触する問題点などを挙げ、「意図的に、宇宙条約の規制を免れられることを意図しており、違法である」と指摘した。

 2012年に「宇宙エレベーター構想」を打ち出したした大林組の石川洋二氏は、軌道エレベーターのピラーを構成するケーブルの挙動の研究を中心に、同社の取り組みの現状を紹介。静止軌道から上下両方向にカーボンナノチューブ製ケーブルを伸ばした場合のケーブルの振る舞いを解析した結果、ケーブルは最初コリオリで東西方向に運動し、一定以上伸びると重力や遠心力の大きさが勝って反対側に寄っていくとした。またクライマーの昇降運動によるコリオリの影響については、降下時の方が振幅が大きく、昇りと同時に行われた方が安定するなどと説明した。

 このほか、クライマーの性能や、地上基部のデザインなどに関する発表が行われた。(軌道エレベーター派 2016/5/28)


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近況報告

2016-05-18 14:16:01 | その他の雑記
 柄にもなく働いていたもので、しばらく更新できませんでした、すみません。久々に間ができて、今回はただの近況報告です。

 いい天気ですね。きょうは午前中所要を済ませた後、都心をウロついてます。六本木で浮世絵展を観て、神保町で書店巡りしてました。久々に書泉グランデに入ったら『ガールズ&パンツァー』関連本だらけ! 少なくとも半分以上の階に『ガルパン』本が置いてある。ファンに媚びたか? と思いきや、ここは元々ディープな趣味本が多く、マニアックな戦車の本も多かったので、相乗効果なんでしょう。CDまで置いてあったよ。そんなにガルパンがいいのか! いいよなガルパンは確かに。
 三省堂2階で新刊小説を眺めてたら、藤井太洋氏の『オービタル・クラウド』が文庫化されてました。宇宙機が磁気圏との相互作用で軌道修正や発電をする、エレクトロダイナミック・テザー・マニューバをメインガジェットにしたSFで、以前電子版で読みましたが掛け値なしに面白いです。何よりも、この仕組みは軌道エレベーターの親戚ともいえるロータベータや極超音速スカイフックなどに通じるものがあり、こちらの琴線に触れてくる内容です。細かいネタバレは避けておきますが作中でも少し関係してきますし、「オービタル」という響きもいい!
電子版で読んだ時は、まるで永遠に軌道上を回っていられるかのような描写に疑問を感じた部分もありましたが(電力を取り出すなどすれば、それが抵抗となり高度低下につながるのでは?)、文庫版でどうなってるか今度確かめてみよう。

 書店行脚の後は歩いて秋葉原へ。今その途中です。以前はこのコースが定番だったのですが、随分久しぶりです。で、靖国通りをアキバへ向かう途中で東京スカイツリーが見え、距離があるので少し霞んでます。この景色を見るたびに思うのですが、軌道エレベーターが実現したら、地上基部もこのように見えるんじゃないでしょうか。ちょうど同志たちと宇宙エレベーター協会を設立した頃、頻繁にこのコースを通っていて、やがてスカイツリーが視界に加わるようになって、「いつかこんな風に軌道エレベーターが出現するといいな」などと思ったものです。ああ道険し。
 ただの街歩きブログになってしまいましたが、散策にはもってこいの日であります。また更新増やすよう心がけますので、軌道エレベーター派をよろしくお願いいたします。

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地震予知を宇宙から

2016-05-01 11:44:33 | その他の雑記
 熊本地震から半月過ぎましたが、地震が1000回を超えても収まらず、心配な状況が続いています。マグニチュード7.3は阪神大震災と同規模だそうで、阪神、東日本、熊本と、大震災クラスの大地震が生きているうちに3度も起きるとは。首都直下地震も南海トラフ地震も近い将来発生が懸念されているわけで、これは人の一生の間の経験として多いのか少ないのか? とにかくも、余震が収まって被災地が平穏になることを祈るばかりです。

 そんな地震の話題に乗っかるようで恐縮ですが、減災の願いも込めて一筆。21世紀においても、地震予知はまだまだ困難です。現状はP波とS波の伝わり方の差から数秒~数十秒程度前に予測するのが一般的ですが、発生の何日か前に宇宙から地震予知ができるケースがあることをご存知でしょうか?
 
 私たちの頭上、高度約80~500kmには、大気中の原子が宇宙線の影響などで電離状態にある「電離層」が4層に分かれて存在します。この電離層に、大規模地震の数日前に前兆があらわれることがあります。プレート活動などで地殻の境目などに大きな力がかかると生じる、地上からの電磁波の放射により、地磁気とともに上空の電離層に擾乱が生じると考えられているのですが、これを大地震の予兆として人工衛星による観測でとらえようという試みは、実は結構前から行われています。
 近年の一例としては、フランスが打ち上げた電離圏観測衛星DEMETERが有名です。運用は終了していますが、これはまさに地震予知のために打ち上げられた衛星で、電離層の擾乱による超長波の電波の伝わり方を観測することで、6年前のチリ地震の前などに、予兆として認識できるほどの有意の変化をとらえたそうです。また以前目にした論文で、数百kmの導電性テザーを電離層中に展開し、極超長波と重力傾斜の変化の差などを観測して予測するという構想がありました。こうした技術を発達させるために、地震国日本が予算と技術を集中し、地震学や防災学と直結させて研究すれば、この分野はもっと発達して被害を小さくする成果につながるのではないでしょうか。

 現在の地震予知を軽視するつもりはありません。地上、宇宙両面の観測はもちろん、以前触れた宏観異常現象だって参考にすればいいし、とにかく多角的にできることを色々やって、結果的に被害の縮小につながればと思います。被災地で様々な活動する人たちに敬服するばかりですが、一日も早く、元通りの生活が送れるようになることを祈ります。

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