軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

書泉グランデにあり

2010-02-24 23:36:55 | その他の雑記
 先日紹介した、軌道エレベーター専門書の新刊「宇宙エレベーター -宇宙旅行を可能にする新技術-」(オーム社、石川憲二著)が、書店に並びました。
 地域によって時間差があると思いますし、専門性が高いので一般の新刊コーナーにはあまり置かれないかも知れませんが、本日の神田神保町書店街を回った者の情報によると、三○堂さんにはない(店員の言うには「入荷予定がない」とか)のですが、書泉グランデさん5階の宇宙や天文学の専門書コーナーで発見。
 書泉グランデさんは、今回の新刊の巻末の参考資料一覧に加えていただいている「宇宙エレベーターポケットブック」も置いてくださっています。こちらは同じ階の階段のところにある、パンフなどの配布コーナーで無料で配ってますので、オーム社の新刊をお買いの際には、ご一緒にぜひどうぞ!

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宇宙エレベーター -宇宙旅行を可能にする新技術- 発売

2010-02-21 22:21:54 | その他の雑記
 今回は。。。というより、ようやく紹介できる時期がきたお勧めの本です。
 昨年大晦日の雑記で、「春頃までにちょっとした報告もできるかも知れません。お楽しみに」と述べたのをご記憶の方はおいででしょうか?

 オーム社から、軌道エレベーター専門書の新刊「宇宙エレベーター -宇宙旅行を可能にする新技術-」(石川憲二著)が発売されます。
 タイトルは涙をのんで「宇宙エレベーター」に譲りましたが(嘘)、刊行にあたり、宇宙エレベーター協会(JSEA)とわが軌道エレベーター派、ほんのささやかですがお手伝いさせていただきました。お陰様で、巻末の参考一覧に、JSEAやここのURLのほか、「宇宙エレベーターポケットブック」などを掲載してくださっています。オーム社さん、著者の石川さん、本っっっ当にありがとうございました。

 オーム社といえば理工学専門書などで有名ですし、著者の石川氏も宇宙開発やナノ技術などの取材経験が豊富で、「軌道エレベーター派」として信のおける1冊です。詳しいことは専門書・論文レビューで改めて書きたいと思っていますが、石原藤夫・金子隆一両氏の「軌道エレベーター」が私たちに紹介した基礎を最新情報に更新した、後継の種本となる1冊がやっと登場した、そんな印象を抱いています。
 
 まあ私のゴタクはともかく、参考になる数値的情報もほどよく入っているうえ、わかりやすく、とにかく読んで純粋に面白い1冊です。随所にある著者独特のツッコミも小気味いい。
 今回は「宇宙」にその名を譲っても、わが軌道エレベーター派推奨の1冊です。買うべし!

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萩原ではなく荻原です

2010-02-17 22:02:55 | その他の雑記
 たった今、日本テレビで「曲げられない女」というドラマをやっている最中なのですが、同時期にフジテレビが「まっすぐな男」をやってるのは何かの示し合わせでしょうか? 「女」の方が内面設定がしっかりしているように見え、「男」よりこっちの方が面白いです。

 それはそれとして、「女」の方の荻原(オギワラ)という主人公(菅野美穂)が、何かにつけて萩原(ハギワラ)と間違えられ、その度にムキになって言い返します。今回も郵便物の宛名がハギワラになってて、いちいち紙に書いてまでこだわってました。
 ここで「荻」と「萩」の簡単な見分け方をご紹介しましょう。

 荻にはけものへんがついていて、これがカタカナの「オ」に似ているので、
 「オはオギのオ」と私は頭に入れています。わかりやすいでしょ?

 ちなみに今回彼女は医者にかかり、注射を嫌がっているところでオープニング。
 わかるぞその恐怖 (((( ;゜Д゜))) 実は私も注射が大の苦手というか、いやホント、マジでダメ! 採血とかされている間、足とか腹とか、体の別の場所をつねって痛みを誤魔化しても、卒倒しそうになるんだよう。
 もうすぐ健康診断の季節なんですが、医療器具メーカーの皆さん、頼むから注射に代わるものを発明してださい。大ヒット商品になると思うんですけどねえ。。。マジでなんとかならんのかあれは。まあドラマの方は、病気などではなさそうですが。。。

(観終わって付記)主人公は司法試験に落ち続けていて、「どうして自分はできないのか」と悩んでます。でも世の中には「できる人」と「できない人」がいるのではない。きっとそれは「できるまでやる人」と「できる前にやめちゃう人」の違いではないのか。私はそう考えています。

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脱・懐疑主義者

2010-02-15 23:40:01 | その他の雑記
 軌道エレベーター以外にも、宇宙をはじめ科学全般の話題が好きで、このホームページでもそういう話題を取り上げていきたい私なのですが、超常現象とかオカルトとかUFO(この場合はUFO=異星人の乗り物説)、超能力、UMA(未確認生物)、都市伝説などなど、そういう(表向き)未解明の謎という話題も好き。。。だと思っていました、つい最近まで。

 その手の信者にとっては「科学で解明できないことがある」と叫びたがる問題や謎の数々に対して、私はいわゆる「懐疑主義者」として、冷静かつ中立的な立場で臨むべきと考え、そう心がけようとしてきました。
 でもやっぱ無理みたいです。

 ひとつには、「懐疑主義」という用語が、一部の業界(?)ではポピュラーになってきて、懐疑主義者を気取るのが、どうも虚勢じみたファッションのように思えてきて、少々嫌悪感を感じるようになったせいもあります。
 もちろん懐疑主義を堂々と標榜し、真剣に検証を行う個人やグループなどが存在して、そうした人々の、証拠の積み重ねにもとづいた慎重な考察などには頭が下がります。その研究成果を見るのは大好きだし、活動や姿勢をけなすつもりは毛頭ありません。検証に値する話題は確かに存在し、私もそんなテーマには懐疑主義で臨みたいと思います。

 しかし、いつもそんな紳士的ではいられない。だって人間だもの。なんでもかんでも慇懃無礼に臨むのは、かえって馬鹿にしているような気もするし、自己の見解が覆された時のための保険なのではないかとさえ思えてくるものです。
 まあとにかく、懐疑主義で臨むのに値しない、アホでズレた話が多すぎる。

 「2012年に人類が滅びる」(1999年にも何もなかっただろが)
 「オーラや守護霊が見える」(見える人同士でサミットでもやったらどうだ)
 「万里の長城は宇宙から見える唯一の建造物」(少し考えればありえないってわかるだろ) 
 自称超能力者とか気功師とか、つのだ☆ひろみたいな人とかはマジックで再現できないことをやってみせてくれ。自称予言者は「後言」ではなくちゃんと予言を言え。ゲストに向かって「あなたの前世は坂本竜馬…の暗殺犯です」とかいう番組はないのか? 異星人の方々は地球人を連れ去るのも結構だけど、相手が名もない市民だのどこぞのファーストレディだのと。。。頼むからもっとマシなの選んでくれ。アセンションがどうのと言ってる連中、ついこの前は別のことをのたもうていた人たちばっかりではないか。そもそも何者なんだよ。

 。。。こんなくだらん話、真剣に検証できるか。万事において懐疑主義者の態度を保つのは無理というか、やっぱり自分らしくない。つまるところ、私という人間は結局、超常話が好きというより、それをコキおろす方のが好きなのだと気づいてしまった。

 深読みすれば、子どもの頃、無批判にトンデモ話を真に受けていた自分に対する、気恥ずかしさの反動か裏返しに過ぎないのかも知れません。人は、自分の中の認めたくない部分を他人に見出し、否定することで心のバランスをとろうとする生き物だそうですから。
 しかし、くだらないものはくだらない。論ずるに足りぬ話は、遠慮せず馬鹿馬鹿しいと言おう。その方が誠実だと思うようになりました。いや、最初から心の隅でわかってたな。

 疑う精神が非常に重要だと考えることは何ら変わっていません。でも少なくとも、世に言われているような懐疑主義者を装うのはやめようと。今の私は条件付き懐疑主義者といったところで、ただいまいい名称を探しているところです。

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OEV豆知識(23) 課題・問題その3 摂動

2010-02-08 20:36:36 | 軌道エレベーター豆知識
 私たちの国はなぜ四季が豊かなのか? 極地に白夜が訪れたり、月が太陽を時折隠したりするのはどうしてなのか? これらはいずれも、地軸や軌道の傾きのゆえに生じます。豆知識23回目の今回は、こうした傾きがあるために、様々な天体が軌道エレベーターの位置や運動のバランスを崩そうとする働き、すなわち「摂動」について説明します。

1. 太陽と月、その他の影響
 天文学における摂動は、主星と従星(太陽と地球など)の関係以外の天体の重力により、軌道が影響を受けることを指し、必ずしも地軸や軌道の傾きが関係するとは限らないのですが、こと軌道エレベーター(OEV)に関しては、この傾きゆえに構造体が多大な影響を受けるので、ここでは一緒に説明し、語句も「摂動」にひとくくりします。はじめに述べておくと、天体(特に太陽と月)の重力によって、OEVが前後左右に振り回されてしまうということです。

 皆さんご存じだと思いますが、地軸=地球の自転軸は23.4度傾いています。では、本来上下左右の区別がない宇宙空間で、何に対して傾いているのか? それは黄道面=地球の公転面(軌道面)に対しての傾きです。地上から見ると、天空における太陽の通り道であり、地球が太陽の周囲を公転する軌道が描く楕円の面。太陽系においては、この黄道面が、ほかの惑星についても軌道の傾斜角を示す基準面として扱われるのが一般的です。ただし、地球の周囲を回る人工衛星の基準面は、地球の赤道面が用いられることが多いようです。


 これまで述べてきたように、OEVは超巨大な静止衛星ですから、基本的に赤道上に建造されます。何の影響もなければ、地球の自転と同期しつつ、赤道面に沿って地球の周りを公転します。
 B.C.エドワーズ氏のプランのように、中緯度にも(単体で)で造れるという主張もありますが、私はあまり意味をあまり感じない上、後述するように面倒が増えると思われるので、まずは赤道上に建造されたOEVを扱います。

 さて、赤道面に沿って周るので、OEVも黄道面に対して傾いて周るということです。およそ24時間で1周しているわけですから、1日に2回、黄道面と交差する瞬間だけ傾斜がゼロになりますが、問題はその時に太陽の方に向いているかどうかです。春分や秋分の日はOEVがほぼ太陽に直線で向くことになりますが、夏至や冬至の日には逆にその乖離が最大になります。

 ですから季節によって異なりますが、1年のうち多くは、OEVが昼間の時間に真っすぐ太陽の方を向くことはありません。それゆえに、このズレが、OEVの先っぽが太陽の引力に引かれ、全体として屈曲を生じさせる力を加えることになります。
 仮に全長約5万kmの小さめのOEVの末端が太陽に引っ張られ、本来の位置から10度くらい黄道面寄りに傾いたとすれば、およそ24時間で一周するのですから、末端部は一日に2万km近くも揺れ動くことになります。

 これだけならまだしも、もっと厄介なのが月です。月の軌道=白道は、これまた地球の赤道面、黄道面どちらからも傾いており、この傾きが微妙に変化します。しかも月は地球からの平均距離が約38万kmと近く、地球に潮の満ち引きを生じさせたり、最近の説では地殻変動にも影響を及ぼすとか。白道面の傾斜に加え、月の公転軌道上の位置次第で、OEVがあらぬ方向へ引っ張られることになる。

 とりわけ、OEVの一般的なモデルには、末端に巨大な重さを持つカウンター質量がくっついていますから、月や太陽から見れば、引っ張るためのツマミがついているような感じといいますか。。。ともあれこうした影響によって、OEVの公転運動は決して規則正しい面を描かず、毎日のように変化することでしょう。

2. 複雑な軌道エレベーターの摂動
 通常、OEVの基本原理について述べる時は、(1)地球の重力 (2)OEVの公転で生じる遠心力──という、もっとも重要な二つの力のみに触れ、ほかの要素は無視しています。これは説明の便宜上、仕方のないことです。前回述べたコリオリでさえ、OEVの東西方向に力を加えるのみで、基本的には一つの面=二次元の系に収束する問題でした。
 しかし実際には、このように様々な天体の影響によって摂動が生じ、地上の向きでいえば東西南北というか、あるいは上下左右にOEVは引っ張られ、複雑に屈曲することが予想されるのです。上記の太陽と月の説明もまだ単純な方で、この両者は説明した以外の方向にも力を加えるし、ほんのわずかですが、火星や木星など、ほかの惑星がもたらす重力も影響します。

 私が上述のエドワーズプランを好まない理由の一つがこれです。ただでさえ面に収束しないOEVの運動なのに、氏のいう「アースポート」なるものを中緯度地域に設定すると、基部が赤道方向に引きずられる力が加わるわ、ケーブルは長くなって重くなるわ、昇降機の上下運動のコリオリが増して南北方向の力が加わるわ、ややこしくなる一方ではないか、と思えてなりません。たとえ低軌道のデブリベルトを回避しやすいとしても、単純に赤道直下に建造するのに比べて余計な運動をもたらすことは確かでしょう(それでも緯度35度にこだわるのは、米国領内に持ってきたいだけではないのか? 南北格差を表しているようで、どうしても好きになれん)。
 ただし、氏も当然摂動は考慮していて、その影響は大したことはないと受け止めているようです。しかし、軌道エレベーターは毎日ぐるぐる回っていて、月や太陽との位置関係が常に変化しているのですから、コリオリなどよりはるかに深刻で、無視してよい問題には私には思えません。

3. 対策
 話がそれましたが、ではこの摂動の影響に対し、どうすれば良いのか? 結論からいえば、「ある程度までは逆らわず、ヤバいほど傾いたら補正する」といったところではないかと。
 屈曲を補正する構造を持たせること自体は理論上可能なはずです。これはずいぶん前に、宇宙エレベーター協会のホームページで書いたことですが、3点や4点でOEVの構造を支持してやることなどがあります。皆さんのお宅の屋根に乗っているテレビのアンテナ、三方か四方にワイヤーが張ってありますよね? これは風などでどの方向に力が加わっても倒れないようにするためです。これと同じような構造を持たせれば、姿勢の保持のほかに倒壊防止にも役立つ。あと、これまた手前味噌で恐縮ですが、このような方法も。
 さらに、これにオービタルリングも足せば、かなり安定するのではないかと私は考えています。地上に複数のOEVを建造し、それはピラミッドのように支えられている。なおかつ、上空ではオービタルリングですべてがつながっており、安定を図る。この「軌道エレベーター派」。。。というか私にとっての軌道エレベーターの完成形というのはそのようなものをイメージしています。それは今度紹介したいと考えています。

 推進剤による姿勢制御も用いる必要はあるでしょうが、どうしても「点」になってしまうので、構造体の運動に複雑さをもたらすような気もします。全体として、引っ張り合う筋肉のような構造を持たせるのが一番良いと思うのです。
 ただし、このような構造でガチガチに造るのではなく、地震の振動をビル自体が揺れていなすように、ある程度の遊びを設けておく必要はあると思います。そうでないと余計な構造に負荷がかかり過ぎるので。前回言ってるブレとは別の問題ですので、念のため。

 構造上問題が出ない曲率の範囲までは、そのまま屈曲させ、深刻な問題をもたらす(構造体の強度に影響するとか、何かに衝突するとか、ゆるんだ部分が落下するとか)ような範囲で補正するのが良いのではないか。私はそう考えています。

 こうしたことを考えても、やはり軌道エレベーターは単体ではいけないという気がします。

今回のまとめ
(1) 主要な力関係以外の天体の重力による作用を摂動という
(2) 太陽や月などの天体が、軌道エレベーターの運動に摂動を引き起こす
(3) 摂動の大きさが一定範囲を超えるようなら補正する必要がある

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