今週ずっと体調不良に悩まされてます。朝、もう治ったかと思ったら午後からぶり返すという繰り返しで、こんなのは初めてです。昨日も朝は「お、もう大丈夫かな」と思っていたら次第にダルくなり、午後に体温測ったら38.9度でした。きょう病院で診てもらったら、種類は不明だけど気管支炎とのこと。一時的に良くなった気がしたのは、ここんとこ毎日○○○○ン服用してるから、効果の間だけ復調してたみたいです。今は処方薬を呑んでます。そんなわけで体力落ちてまして、今回は薬を枕にした話題で書きなぐって更新を稼ぎます。
以前、「ガンを治す薬があるんだけど、大手製薬会社の利益を損なうから、つくった人は医学界から無視されてるんですって」という話を聞き、「そんなの信用しちゃ駄目だって」と言ったことがあります。投資話を持ちかけられたとは言ってなかったのですが、ものすごく心配になりました。
どうして、人はこんな話を信じる気になるのか。こういう話は十中八九(1)嘘 (2)本人の被害妄想(トンデモさんか、病気の可能性もあり)──のどちらかです。
上述の例で言うと、百歩ならぬ百万歩譲って、アカデミズムの本道にないアマチュアが、画期的なガンの新薬を本当に作ったとします。論文公開や治験などをすっとばしてる時点でもう話が変ですが、ひとまず置いといて、ガン治療薬でトップの企業がその事実を知ったら、やることは何か?
囲い込みに走る。自社の薬を脅かしかねないなら尚のこと、ライバル社に奪われないよう、契約やら特許やら独占して、世に出すにせよ伏せるにせよ、自分が決定できる「自分のモノ」にするでしょう。本格的に研究や商品化する間に、今ある薬の在庫を売り切っちゃうとかね。
資金繰りが立たず成果が出せない、という研究なら沢山あるかも知れません。しかし「ガンが治る」と断言できるほど結果が出てるなら、放っとくわけないでしょう。価値あるモノが、世界すべての研究者や経営者に無視されるなんてありえない。
ですので、それは確信的な嘘であるか、悪意はなくとも結局嘘かのどちらかしかない。ただし後者は、自分自身にも嘘をついているのかも知れません。物理学者のロバート・バークは、『わたしたちはなぜ科学にだまされるのか』(主婦の友社)の中で、こういう行為を「ブードゥー・サイエンス(邪悪な科学)」と呼んで、三つに分類しています。
「病的科学」・・・科学者が自分で自分をだます科学。
「ジャンク科学」・・・司法関係者の科学の知識が浅いことにつけこみ、集団訴訟で企業を食い物にする「集団訴訟科学」。
「ニセ科学」・・・詐欺でカネもうけをたくらむ「詐欺科学」。(ハードカバー版35頁)
努力が報われない不遇な学者が嘘を嘘で塗り固めてしまうとかいうなら、気の毒にも思えるのですが、遠からずバレる。追い込まれると、その想像力も働かないほど視野が狭くなるのでしょうか。しかし、フィールドリサーチ的な分野(たとえば遺跡の発掘とか、天体の発見とか)を別として、近代科学の世界で、基礎を積み上げずに新しい発見や突拍子もない発明なんかありえないですし、再現性が科学の鉄則なのですから、情報の共有なしに認められるわけありませんよね。
だいたい、「自分は学界からつまはじきにされている」なんて自分から言うことほど、胡散臭い話もそうはない。ようは「オレは本当は有能だ、こんな立場にいる人間じゃないんだ」って言ってるわけでしょう。仮に事実だとしても、真摯な研究者なら口に出して言いますかね、恨み言を言っている間に、世間も他人もどんどん前に進んでいくんですから、そんな暇あったら研究に身を捧げるんじゃないかなあ。
ロシアの数学者のグレゴリー・ペレルマンは、ポアンカレ予想を証明してネット上の論文ライブラリに登録し、フィールズ賞に選ばれました(でも辞退した)。今の時代、真の大発見や大発明なら、いくらでも世に問う方法はあるんじゃないでしょうか。第三者の検証に委ねないなら、そこには「表に出せない事情」が隠れていると見るべきでしょう。
ですから、薬にせよほかの分野にせよ「画期的な発明」「常識を覆す発見」にもかかわらず世間からスポイルされている、などという話は、まずは疑ってかかりましょう。投資の勧誘だったら絶対断れ! 仮にすべて本当だったとしても、別に失うものは何もないんですから、それでいいじゃん。代わりにきっと何らかの教訓を得るでしょう。
以前、「ガンを治す薬があるんだけど、大手製薬会社の利益を損なうから、つくった人は医学界から無視されてるんですって」という話を聞き、「そんなの信用しちゃ駄目だって」と言ったことがあります。投資話を持ちかけられたとは言ってなかったのですが、ものすごく心配になりました。
どうして、人はこんな話を信じる気になるのか。こういう話は十中八九(1)嘘 (2)本人の被害妄想(トンデモさんか、病気の可能性もあり)──のどちらかです。
上述の例で言うと、百歩ならぬ百万歩譲って、アカデミズムの本道にないアマチュアが、画期的なガンの新薬を本当に作ったとします。論文公開や治験などをすっとばしてる時点でもう話が変ですが、ひとまず置いといて、ガン治療薬でトップの企業がその事実を知ったら、やることは何か?
囲い込みに走る。自社の薬を脅かしかねないなら尚のこと、ライバル社に奪われないよう、契約やら特許やら独占して、世に出すにせよ伏せるにせよ、自分が決定できる「自分のモノ」にするでしょう。本格的に研究や商品化する間に、今ある薬の在庫を売り切っちゃうとかね。
資金繰りが立たず成果が出せない、という研究なら沢山あるかも知れません。しかし「ガンが治る」と断言できるほど結果が出てるなら、放っとくわけないでしょう。価値あるモノが、世界すべての研究者や経営者に無視されるなんてありえない。
ですので、それは確信的な嘘であるか、悪意はなくとも結局嘘かのどちらかしかない。ただし後者は、自分自身にも嘘をついているのかも知れません。物理学者のロバート・バークは、『わたしたちはなぜ科学にだまされるのか』(主婦の友社)の中で、こういう行為を「ブードゥー・サイエンス(邪悪な科学)」と呼んで、三つに分類しています。
「病的科学」・・・科学者が自分で自分をだます科学。
「ジャンク科学」・・・司法関係者の科学の知識が浅いことにつけこみ、集団訴訟で企業を食い物にする「集団訴訟科学」。
「ニセ科学」・・・詐欺でカネもうけをたくらむ「詐欺科学」。(ハードカバー版35頁)
努力が報われない不遇な学者が嘘を嘘で塗り固めてしまうとかいうなら、気の毒にも思えるのですが、遠からずバレる。追い込まれると、その想像力も働かないほど視野が狭くなるのでしょうか。しかし、フィールドリサーチ的な分野(たとえば遺跡の発掘とか、天体の発見とか)を別として、近代科学の世界で、基礎を積み上げずに新しい発見や突拍子もない発明なんかありえないですし、再現性が科学の鉄則なのですから、情報の共有なしに認められるわけありませんよね。
だいたい、「自分は学界からつまはじきにされている」なんて自分から言うことほど、胡散臭い話もそうはない。ようは「オレは本当は有能だ、こんな立場にいる人間じゃないんだ」って言ってるわけでしょう。仮に事実だとしても、真摯な研究者なら口に出して言いますかね、恨み言を言っている間に、世間も他人もどんどん前に進んでいくんですから、そんな暇あったら研究に身を捧げるんじゃないかなあ。
ロシアの数学者のグレゴリー・ペレルマンは、ポアンカレ予想を証明してネット上の論文ライブラリに登録し、フィールズ賞に選ばれました(でも辞退した)。今の時代、真の大発見や大発明なら、いくらでも世に問う方法はあるんじゃないでしょうか。第三者の検証に委ねないなら、そこには「表に出せない事情」が隠れていると見るべきでしょう。
ですから、薬にせよほかの分野にせよ「画期的な発明」「常識を覆す発見」にもかかわらず世間からスポイルされている、などという話は、まずは疑ってかかりましょう。投資の勧誘だったら絶対断れ! 仮にすべて本当だったとしても、別に失うものは何もないんですから、それでいいじゃん。代わりにきっと何らかの教訓を得るでしょう。