軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

お台場のユニコーンガンダムをみにいってきました

2017-09-30 21:59:56 | その他の雑記
 今月24日に東京・お台場にお目見えしたRX-0ユニコーンガンダムを見に行って参りました。今年3月まであったRX-78初代ガンダムもそうでしたが、いやでかいね。ダイバーシティ東京プラザに台場駅の方から入ってきたらしい客は、建物から出てきて立像に気づくと誰もが「おわ、すげえ」と声を挙げます。



 今回の特徴は、やっぱり一本角のユニコーンモードからガンダム顔のデストロイモードへ変型(変身)し、サイコフレームが発光することでしょう。実は全体の8割くらいはデストロイモードに変型済みの姿なのですが、赤く光ってないと充分ユニコーンモードに見えるものですね。ある意味新鮮です。



 上に変型パターンを撮った連続写真を1枚にまとめてみました。定刻になるとOVA1話の変型シーンのBGMが会場にかかり、「バナージ・リンクス、ユニコーンガンダム、行きます!」と声が響いて、肩、腰、膝の装甲が展開。サイコフレームが下から発光していき、最後に顔が変型します。ユニコーンモードののっぺり顔は回転するのではなく、シャッターが下りるように胴体に収納され、奥からガンダム顔がせり出してくるという仕組み。変型タイムは意外とあっさり終わります。




 今回のユニコーンは電飾が売りなので、マスコミも夜に撮影した写真を紹介する例が多いみたいです。もちろん綺麗なのですが、実際に見た感想としては、真っ暗だと電飾が目立ち過ぎて、ハレーションと影の濃さでディテールが曖昧になってしまい良し悪しです。頭部のアンテナも背景に溶け込んでしまって見えづらいし。個人的には、上の写真を撮った夕暮れ時くらいが一番Ver.Kaって感じに撮れるのでお勧めですね。ちなみに下の写真は暗くなってからのもの。



 少々気になるのが全高(身長)で、発表によると、この立像は19.7mとのこと。設定では、これはユニコーンモードの大きさですね。デストロイモードは腰や脚が伸びるためか2m大きい。立像はすでに脚などが伸びた状態で、しかもアンテナが展開すると少し低くなるはずですから、「実物大」でいいのかな? 疑問です。それでも充分大きいんですが。



 あと今回、ちょっと自分の認識を改めた話を。今回は単なる見物ではなく取材で来たので、撮影した写真を何枚か出しました。その際のやり取り。

 「赤く光ってるデストロイモードっていう方がメインの写真ですので」
 「え? ゆにこーんもーどってやつの方じゃないんですか?」

 「いや赤い方」
 「だって、ユニコーンみたいな形になるのがこのガンダムの特徴じゃないんですか?
 角で突き刺したり(゚∀゚)」


ですと。ガンダムUCを知る人は、ユニコーンモードからデストロイモード変型するというのが普通の認識ですよね。本編でも通常は一本角で、NT-Dが発動するとガンダムになる。でも予備知識のない人にとっては「ユニコーンガンダム」がガンダムの姿してるのは当たり前の話であって、「今度のガンダムはユニコーンみたいなのに変型するんだね」という認識を持つものなんですね。ガンダムの常識は世間の常識にあらず。なんというか、自分が "こっち側" にいるのだなあと実感いたしました。



 とにかくも、巨大さだけでも一見の価値ありです。話題作りに訪れてみてはいかがでしょうか。

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俺の妹が減圧なしで宇宙服を着られるわけがない

2017-09-18 12:04:06 | 気になる記事
宇宙服、足りNASA過ぎ 40年使い老朽化
 国際宇宙ステーション(ISS)の船外活動で飛行士が着用する宇宙服が老朽化し、近い将来足りなくなる恐れがあるとの報告書を米航空宇宙局(NASA)の監察官室がまとめた。新型宇宙服の技術開発が滞っているのが理由。NASAの宇宙服は、約40年前に作られた18着のうち11着が使い続けられている。残った11着も設計寿命の15年を大幅に超え、老朽化が激しい。船外活動中にヘルメット内部に水がたまり、飛行士が窒息の危険を感じて急きょISSに戻る例も相次いだ。(後略。毎日新聞6月10日付夕刊)


 結構前の記事なのですが、ずーっと思うところがあったので一筆。現在の有人宇宙開発における船外活動(EVA)で用いられている宇宙服といえば、NASAのEMU(Extravehicular Mobility Unit)とロシアのオーラン(海鷲という意味だって)が双璧です。で、ニュース記事で言及されているのはEMUの方です。新規に採用するのであれば、これを機に大幅改良すべき点がたくさんありますが、特に実現してほしいのが、内部気圧をもっと高めできたらいい、ということです。というのも、宇宙服というのは着るのにものすごい手間と時間がかかるんですね。

 NASAのEMUは中の気圧がおよそ0.3気圧で、EVAをする宇宙飛行士さんは、その前に7~12時間くらい(資料によって差あり)、減圧室で徐々に気圧を下げ、登山家の高度順応と同じことをしなくてはいけません。これ以上内圧を上げるとマシュマロマンみたいに膨らんで操作性が著しく落ちる上、耐久性にもかかわってくるとのこと。あとEMUは分解式で1人では着れない。
 一方ロシアのオーランは0.4気圧で、しかも一体型なので1人で着られるスグレモノですが、それでも30分~1時間くらいの減圧は必要で、水を循環させて体温を維持するインナースーツも着なきゃいけません。あと中国の「飛天」については、帰還時に切り離した軌道船ごと再突入時に燃やしてしまって以来新しい情報もなく、あまり詳細なデータが得られなかったんですが、中国はロシアからオーランや与圧服「ソコール」を購入して参考にしているらしいので、減圧の問題が大幅に改善されたとは思えません。とにかく、サッと着替えて宇宙に出るなんてのは不可能でしょう。
 だから、宇宙船とかステーションの外でEVAやってる人が何かトラブルになったとしても、中にいる人が「今助けに行くぞ!」なんてのは無理なんです。現代では。
 
 宇宙活動をリアルに描いたSF作品は多いけれども、この減圧を描写しているのはほとんどありません。宇宙船とかステーションの中からそそくさと宇宙服来てすぐ外に出ちゃう。もう9割9分「未来だから減圧の必要性が解消されている」という設定みたいで、あの『宇宙兄弟』でさえ然り。弟の日々人がオーランについて言及するシーンがあるんですが、現在月面で活動中の兄の六太が、基地内から減圧せずに宇宙服(バックパック部が開く構造が似てるからオーランの進化系かも)を着ていたし、やはり減圧の必要はないほど宇宙服の技術が発達しているのでしょう。ロシアはオーランをバージョンアップし続けているので、日々人が使うのは今より改良されたオーランに違いない。
(この「宇宙兄弟」への認識は、誤りがありました。作中の設定は不明ですが、月面の居住施設内の気圧がすでに低い数値であれば、減圧調整は不要になるので、指摘は必ずしも当てはまらないことになります。お詫びいたします。詳しくは「その2」をご覧ください)

 これがけしからんというのではありません。物語というのはもとより空想であり嘘なのですから、面白ければそれでいい。だいたい、映画『アルマゲドン』とかで、穴掘り職人たちが小惑星に降り立っていざ本番、って時に減圧してたらテンション下がっちゃうもんね。まあアルマゲドンにリアリティ求める方が間違ってますが、やはり減圧を「省略」ではなく「不要」という設定にしている作品が大半のようです。仕方ないよね。
 
 私の知る限り、EVA前の減圧をきちんと描いているのは、太田垣康男氏の『MOONLIGHT MILE』くらいでしょうか。主人公は登山経験があって、ほかの宇宙飛行士より減圧時間を短縮できていますが、そうではない宇宙飛行士が急な減圧のために意識異常や嘔吐しそうになるシーンもあったりして、この点について逃げずに丁寧に描写していのがすごくいい。太田垣先生、『サンダーボルト』もいいけど、連載中断して随分経つので早く続き描いてください。
 このほかに、別の発想で減圧をクリアしているのが野尻抱介氏の『ロケットガール』。スキンタイトスーツという、実際に研究中の宇宙服を取り入れ、宇宙飛行士1人ひとりにフィットした専用のウェットスーツみたいなものを着ることで体に圧力を与えています。タイトスーツが実現したとして、本当に減圧がまったく不要かどうかはまだわかりませんが、単純に現在の宇宙服が頑丈になって減圧の必要がなくなったという設定よりも、減圧問題を挑戦的に解消していてすごく好きです。ロケットガールはマジで面白いぞ! 早川書房に版権が移って今でも読めるようになったが、ライトノベル版を復活させても売れるのでは? ただしむっちりむうにいさんのイラストのやつね。

 現実の宇宙開発ではタイトスーツ以外にも、潜水作業などに使うのと同じように、外骨格で気圧を維持する外殻宇宙服など、多様に研究は進んではいますが、今、NASAが新規購入してEVAの準備環境が大幅に改善されるようなものはないようです。ちなみに先月、スペースX社が、ガンダムのノーマルスーツみたいなカッコいい「宇宙服」を発表しましたが、これ、ただの与圧服(船内宇宙服)ね。ニュースの書き手も、船外宇宙服と与圧服の区別がついてない人が多いみたいです。
 宇宙遊泳にこだわらず、純粋に作業を目的としたEVAの効率に重点を置くなら、宇宙服の改良よりも、EVA用の遠隔操作ロボットを発達させる方が現実的でしょう。ちなみに『MOONLIGHT MILE』にはそういうのも登場します。軍事技術を応用したジオングみたいな脚のないロボットで、VR用ゴーグルを付けて操作するというもので、これも先取り感バッチリでお見事。宇宙遊泳したければごつい外殻型宇宙服とか、小さいカプセルみたいなもので済ませて、棲み分けするべきかも知れません。

 軌道エレベーターが実現した時に、手軽に宇宙遊泳もできるように、すぐ着られてすぐ宇宙に出られる、それこそSFのような宇宙服の開発が待ち遠しいものです。何、『俺妹』に全然関係ねーじゃねーかって? タイトル詐欺です。すまんな (`・ω・´)


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SF大会に行ってきました

2017-09-02 17:40:42 | その他の雑記
 さる8月26、27日の2日間、静岡市で開かれた「第56回日本SF大会 ドンブラコンLL」に、宇宙エレベーター協会(JESA)の展示スタッフとして参加してきました。JESAの業務の方は、今回の準備を担当されたS條先生が協会ホームページにアップしてますので、そちらにお任せします。ここではあくまで軌道エレベーター派としての報告を。

 

 まず会場を訪れますと、宇宙戦艦ヤマトや『宇宙の戦士』のパワードスーツなどのイラストの垂れ幕がそこかしこに飾られてました。ヤマトとアンドロメダが並んだものや、1/1のパワードスーツの絵ですと! デザインされた加藤直之先生が、例年大会のために大きなイラストを描いておられ、過去のものを飾っているのだとか。そして今回も、ファンタジックで巨大なイラストを描いて、それ自体が一つのイベントとして衆目を浴びていました。

 

 そして今回特筆したいのは、会場に来られた方のほとんどが、

 軌道エレベーターじゃないの?」
 「以前は軌道エレベーターって言ってたけどねえ」

──などなど、圧倒的に「軌道エレベーター」と呼ぶ方が多かったことであります! マジで9割超えてたんじゃなかいね。「サブカル分野での『軌道エレベーター』と『宇宙エレベーター』の勢力図」の結果でもわかる通り、SF業界というか、特に創作の世界では、いまだに「軌道エレベーター」の方がマジョリティであり「常識」なんですよ。この2日間ばかりは勢力逆転。軌道派は圧倒的多数、単独与党でありました。久々に言っちゃいましょう、全宇宙のSFファンの皆様、

 軌道派ということでよろしいですな、あ?
 (C)青田龍彦

 そしてもう一つ大きな収穫が。上述の加藤直之先生にサインをお願いしたら、『銀河英雄伝説』(OVA版)に出てくる、惑星フェザーンの軌道エレベーターを背景に、帝国軍総旗艦ブリュンヒルト、同盟軍ヤン艦隊旗艦(物語前半)ヒューベリオンを描いたラフ画をいただきました。ちなみに加藤先生も「軌道エレベーター」と呼んでおられました。加藤先生、誠にありがとうございました。どうだファンの諸君、うらやましかろう!
 
 展示のスタッフというよりも、いちSFファンとして堪能し、『装甲騎兵ボトムズ』の高橋良輔監督直筆ラベルの日本酒「最低野郎」などをお土産に買って帰りました。今回は米国での学会と日程が重なり、SF大会の方を選んだのですが、いやあ行って良かった。来年は群馬県みなかみ町で予定されているとのことで、また行ければも思います。

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