君は「ククルス・ドアンの島」をみたか

　映画「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」を観てきました。「機動戦士ガンダム」初作TVシリーズ15話の、いわばオリジン版リメイク作品ですね。画像は劇場でもらったシールです。



　「ククルス・ドアンの島」といえば、「時間よ止まれ」と共に、TVシリーズ中の二大サイドストーリー｡｡｡っていうか、伝説級の二大超絶作画崩壊エピソードとして知られていますね。
　アレをリメイクすると聞いた時は、「『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の本編をアニメ化する余裕がないから、１話完結のお話をリメイクして無難にコンテンツを稼ぐか、みたいな感じ？」と思っていたのですが、観た甲斐がありました。

　無人島だと思っていた島に、ジオン軍の脱走兵ククルス・ドアンが戦災孤児と共に住んでいて、追ってを撃退しながら生活していたところへ主人公アムロと出会う、というお話。
　TV版では、ドアンの島は日本の五島列島の一部でしたが、オリジンではアジア地域には行かないので、本作ではアフリカ西岸沖、現在のスペイン領カナリア諸島の一端が舞台になって
います。時系列ではジャブローに寄った少し後。
　で、本作は登場人物を増やして、ドアンがシャアに匹敵するエースパイロットであるという設定や、隊長を務めていた精鋭部隊との因縁、島に秘密が隠されていることなど、スケールを大きくして描いています。

　難を言えば、ドアンの背景・心理描写が足りない気もする。あとネタバレは避けますが、直接描写はないものの、エヴァンゲリオンのカヲル君殺害シーン並みにグロい場面があって、あれは対比としての戦争の残酷さをあえて入れたのかなあ？ 南極条約に抵触するんじゃないかと思うんだが｡｡｡
　
　しかし孤児たちを育てるドアンとアムロが心を通わせ、戦争を忌避しながらも争いから逃れられないドアンの呪縛をアムロが断ち切る、という軸に変わりはなく、一緒に行った相手はガンダムの内容をまったく知らなかったのですが、それでも「とても面白かった」と言っていました。
　おそらく本編を詳しく知らない多くの人が、そう感じるでしょう。これはある意味、新規ファン獲得にもつながるのではないか？ 最近のガンダム新作はツタヤとかでレンタルしなくなってきているし、劇場で一見の価値ありだと思います。

　ちなみに、今回のドアン専用(？)ザクが、幼稚園児のお絵かきみたいなTV版の作画崩壊を取り入れ、鼻か口みたいな頭部のダクトが細長いデザインになっていたり、TV版同様石を投げたりと、制作者側どんだけドアンザク愛してんだよ！ 主題歌が森口博子さんなのも思い入れを感じます。
　かくいう自分もだんだんドアンザクがカッコよく見えてしまい、普通のザクのデザインに物足りなさを感じるようになってきました。立体モノが欲しくなっちゃったよ。メタコン２万5850円って (;´Д`)
　
　このところ仕事で根詰め過ぎて心がささくれ立っていて、息抜きにレイトショーで観たのですが、心がほっとする出来でした。安彦良和氏は、本作が自身で監督する最後のガンダム作品になると仰っていたそうですが、観終わってみて、「最後の作品がこれで良かったのかも知れないな」と納得できる一作でありました。