軌道エレベーター派

伝統ある「軌道エレベーター」の名の復権を目指すサイト(記事、画像の転載は出典を明記してください)

軌道エレベーター 高まる関心

2012-07-29 22:03:12 | ニュース
 エレベーターに乗って誰もが宇宙へ――こんな空想が現実になるかも知れない。あらゆる宇宙開発計画が依存してきたロケットを使用しない、新たな宇宙へのアクセスの手段「軌道エレベーター」(または宇宙エレベーター)への関心が高まっている。約40年後の実現を想定した構想を大手ゼネコンが発表したほか、来月1日から「宇宙エレベーター協会」が昇降機械の実験を実施する。かつての夢物語が、日本の技術によって実現に手が届こうとしている。

 赤道付近に浮かぶ人工島から、空の果てへ伸びたケーブルカーのような乗り物に乗り、宇宙へ向かう。15分で地球の丸みが一望でき、次第に体が軽くなってゆく。途中のステーションには様々な研究施設が設けられ、高度約3万6000kmの「静止軌道」では、完全な無重力を体験できる。東京スカイツリー(R)を手がけた大手建設会社大林組(東京都港区)は、このような「宇宙エレベーター建設構想」を、2050年に実現可能として同社のPR誌に掲載した。

 軌道エレベーターは、地球の自転と同じ速さで周回する静止衛星からケーブルなどを吊り下げ、地上と宇宙をつないで昇降機を付けたもの。訓練を受けた宇宙飛行士でなくとも宇宙へ行けるほか、ロケットのように大気汚染や爆発の危険がなく、輸送コストはロケットの200分の1程度になるという試算もある。
 発想は19世紀にまでさかのぼるが、1991年に発見されたカーボンナノチューブが、実現に必要な強度を持つ素材として注目を浴び、長い間空想に過ぎなかった構想に現実味が増した。米航空宇宙局(NASA)では、軌道エレベーターを今世紀中に実現する建造物と位置づけて具体的な建造プランを提案。欧米で国際会議が毎年開催され、多くの研究者が「もうSFの話ではない」と唱える。昨年米国のスペースシャトルが退役して宇宙開発に空白感が漂う中、にわかに脚光を浴びてきた。

 こうした中、日本では2008年に「日本宇宙エレベーター協会」(翌年、一般社団法人宇宙エレベーター協会に移行)が発足。同年日本で最初の学会を開いた。学会と並び同協会が力を入れるのが、関連技術の蓄積を視野に入れたレース形式の競技会。「宇宙エレベーター技術競技会」(JSETEC)と名付けられた大会では、風船から吊るされたひもを宇宙へ届くエレベーターに見立て、取り付けた機械の昇降性能を競う。昨年は静岡県富士宮市で、高度600mで実施し、大学の研究室や個人が自作の機械でしのぎを削り合った。
 大会では、参加者たちがそれぞれ自作の機械をベルトに装着。操作を始めると機械音を上げて上昇し、参加者たちは、あっという間に点のようになったクライマーを見上げ、宇宙への夢を託して歓声を上げた。昨年の大会は個人出場の女性が優勝、「思った以上の性能を見せてくれた」と笑顔を見せた。

 競技は年々高度を上げ、8月1~5日に開く予定の今年の大会では1200mに拡大する。「年々高度を倍にしていくことに挑戦していて、いつかは宇宙に届くものを目指す」と語るのは、同協会の大野修一会長。競技と同時に、上空からの観測や通信の実験も行い、災害時の通信網確立など、応用技術の拡がりも期待されている。
 同協会元副会長で日本大学理工学部の青木義男教授は「毎年貴重な実証データが得られている。技術以外にも様々な課題があるが、多くの技術や知識を集めて将来の実現に貢献したい」と話し、競技会を通じて技術向上と認知を高めようと意気込んでいる。(軌道エレベーター派 2012/7/29)


(軌道エレベーター派よりお知らせ) 間もなく始まる今年のJSETECのルポ原稿の執筆、無料で承ります。(1)まとめ記事の場合は、競技会終了後から出稿までに4~5日くらい必要(12字×50行程度までのストレートニュース記事の場合は即日出稿も可) (2)記事のどこかに執筆者の名を明記──であれば、当方売り出し中なので原稿料不要。撮影した写真とともに原稿を提供します。取材経験豊富です。お問い合わせは画面左のアドレスへお寄せください。ご連絡いただければ、過去の記事実績などもお送りします。

今月31日は軌道エレベーターの日

2012-07-29 21:53:29 | その他の雑記
 今月31日は、ユーリ・アルツターノフが静止軌道エレベーターの構想を発表した「軌道エレベーターの日」です。
 わが軌道エレベーターは、この日を勝手に記念日に制定しています。「宇宙」じゃありません「軌道」! ポケットブック記載の年表にもすでにそう記してありまして、先にやっちゃったもん勝ちです。(o゜▽゜)アシカラズ 。。。で、数ヶ月前にプレゼントはやったので、今回は見送りますが、先日予告したとおり、初めての方向けに軌道エレベーターのおさらいと、最近の動きをまとめた記事を「ニュース」のコーナーに掲載します。原稿執筆のPRもしてます。どうぞよろしくお願いします。

やっと飾れた

2012-07-24 20:51:00 | その他の雑記
 集中的に作業していた、宇宙エレベーター協会の会報の作業がきょうやっと終わり、すっかり抜け殻状態です。今月末は軌道エレベーターの日なので、ひと休みしたら記念にまとめ記事を1回書くつもりですが、とにかくきょうは消耗し尽して思考停止状態なので、穴埋めの駄文を。

 随分前、「『大人の超合金 スペースシャトルエンデバー号』を大人買いしたのだけど、ネコがいるので飾れない」ということを書いたのですが、2か月ほど前にふと思いついて、ディスプレイ用のクリアケースを購入しました。1年半近く箱に入れっぱなしだったのですが、やっと飾ることができました。それにしても、やっぱでかいわ。40cm以上あるのでほんの数mmケースより大きく、実は蓋がほんの少し浮いています。でもまあ、やっと完成状態をじっくりと眺められるようになったので、しばらくはこうしておきます。退役後のシャトルの機体が1基も日本に来なかった代わりに、これで満足しましょう。

 さて、写真でシャトルの手前にある小さな影は何か? そうです、『宇宙の戦士』のパワードスーツ(スタジオぬえ版)を座らせてあるんです。特撮リボルテックから発売になり、思わず買ってしまいました。ケースと同じくらいの時期に届いたので一緒に陳列。左手にハンドフレーマー(携帯火炎放射器)、右手におなじみの卵を持っています。
 エンデバーに対して小っちゃいのなんの。電磁式奮進弾発射筒(核バズーカ)を立ててもiPhone程度の大きさしかないんですよ。しかし、小さい割にディテールは非常に良くできていて、作中イラスト(あくまで日本語版ですが)のイメージ通りというか、本から飛び出してきたような感じがするくらいです。特にキャノピーの色づかいがいいね。さすがは連邦のモビルスーツ、特にガンキャノンの基になっただけあります。やっぱシブくてカッコええわ。。。
 ちゃんとハッチが開いてパイロットが見えるようになっています。ただ、関節にクセがあって動かしづらいのが難点ですかねえ。エンデバーみたいなでっかい超合金も出してくれたらいいのになあ。ちなみにパイロットの立像も付属しているのですが、これまたリアルで、かえって気持ち悪いので飾ってません。パッケージに『宇宙の戦士』も「パワードスーツ」の文字も見当たらないのですが、版権の関係ですかね。
 ちょうど今、フルCGの『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』が上映中らしいですが(ジョニー総司令官になったのね)、一度くらい、このぬえ版パワードスーツが動くところを見せてくれよう(大昔に『宇宙の戦士』のアニメ版で一応ぬえデザインのパワードスーツが登場したが、原型をとどめてないほどデザインが違ってて観る気が失せた)。これがなければ、現在何百体もいそうな"ガンダム"は存在しえなかったわけで、いまだに根強いファンがいるのも頷けます。ぜひとも最新の作画技術で命を吹き込んで欲しいものです。

ヴァン・アレン帯に反物質

2012-07-16 23:15:37 | 気になる記事
地球を取り巻く反物質の層が発見される

 反陽子の粒子でできた反物質の薄い層が、地球を覆っていることが初めて発見された。Astrophysical Journal Lettersによると、地球の磁気圏が反物質を捕捉することは理論上予測されていた。研究チームは「通常」物質のヴァン・アレン帯の層の間に、微少の反陽子が広がっているとしている。(略)太陽及び太陽系外から来る高エネルギー粒子の宇宙線研究のため、2006年に打ち上げられた衛星Pamelaによって、反物質が特定された。(後略。BBC NEWS SCIENCE&ENVIOLONMENT 摂訳)


 気管支炎がなかなか完全に治りません。加えて、2年ぶりとなる宇宙エレベーター協会の年鑑の編集が大詰めで、更新滞って申し訳ありません。ちなみに今月末は「軌道エレベーターの日」なのですが、プレゼントは10万人達成の時にやったので、今回は見送ります。

 さて、表記の記事ですが、ちょっと古いものです。当時ネット版で見て、軌道エレベーターにとって由々しき事態だと感じつつもあまり話題にならず、そのうち扱おうと思っていたのですが、日本でも報じられていたようです。知らんかった。
 言うまでもなく、反物質は私たちの世界を構成する物質と接すると対消滅を起こします。反物質自体は、粒子1個だけとかいうレベルであれば、粒子加速器の実験などで瞬間的に生じたりすることもあるのですが、これが地球を覆う層になっているというのですから、ヴァン・アレン帯を貫いて地上から宇宙に伸びる軌道エレベーターにとっては、機雷が漂っているようなものですね。
 この反物質の層が何らかの運動をするとか、時期によって膨張したり衰退したりとか、もっと詳細がわからないと何とも言えないので、今後の観測結果待ちですね。しかし軌道エレベーター実現の大きな障害になる恐れもあり、対策が必要になってくるかも知れないし、完全に建造不可能になる可能性すらありますね。
 ただ、これは憶測なのですが、メテオロイドとか宇宙からのエネルギー流などの類と連続的な反応を起こしている様子が観測されない(そもそもこの観測衛星にも支障を与えてない)ということは、この反物質の層、実態としては極めて希薄で、粒子間の密度もスカスカだと考えられます。そうでなきゃすぐに消滅しちゃうでしょうし。だったら軌道エレベーターも耐えるか、電磁気的に回避する(層に穴を開ける)か、いっそのこと片っ端から正物質と反応させて層自体を全部消滅させてしまえばどうか? なんてのも考えました。

 しかし、ピラーの構造を安全に保持さえできるなら、むしろエネルギー源として利用できないだろうか? 日常、私たちが利用しているエネルギーというのは実に効率が悪く、化学燃料は質量→エネルギーの換算比(ε)が1億分の1程度、原子力でも50分の1程度しか取り出せていないのだそうです。
 対消滅というのは、いわば還元率100%ですので、大雑把に言えば質量が完全にエネルギーとして解放され、燃えカスも残らず完全に消えてなくなる(たしかガンマ線が出るけど)。このうち熱に変換される分の一部でも回収すれば、太陽光発電などよりも有用なエネルギー源になるかも知れません。軌道エレベーターの取り入れ口から磁場などで封じ込めつつ吸い込んで炉に誘導し、対消滅させるとか。。。ちなみに記事中でも反物質ロケットへの応用可能性について触れていますが、反物質ロケットなんて効率の良さそうなものが出来たら、軌道エレベーターいらないかも(´・ω・`)。。。とはいえ、私たちは反物質を安全に扱う技術が未発達なので、月のヘリウム3の活用と同様、今後の技術の発展に期待です。
 何にせよ、私たちは深宇宙はおろか地球近傍のことも、まだまだわかっていないのですよね。軌道エレベーター実現への道のりは、きっとまだ多くの未知の壁が待ち構えているのでしょう。

やっぱりそうだった

2012-07-04 23:27:56 | その他の雑記
 まだ完全に病気が治ったわけではないのですが、ソロソロと活動しています。さて突然ですが、6月24日放送の『宇宙兄弟』、ご覧になりましたか?
 宇宙開発を否定する評論家を説得するロジックを考えよ、という出題について、宇宙飛行士候補らが頭をひねる場面で、主人公の六太が「そのうち宇宙が近い時代が来て、誰も文句言わなくなるよ」と語ります。このシーンの背景で、宇宙ステーションみたいなドーナツの中心を柱が貫いていて、光がツー、と昇っていく絵が映っていました。
 原作3巻172頁にも同様のコマがあり、以前、「これは軌道エレベーターに違いない」と書いたのですが、やっぱりそうだったんだ! しかも3本も塔が立ってました。いやいや小山宙哉先生もアニメ制作スタッフもお目が高い。今の宇宙開発の先には、軌道エレベーターがあると考えておられるということでよろしいですな、あ? (まるしー青田@スラムダンク)少ーしずつ、軌道エレベーターが世間に浸透してきているのを感じます。
 
 ちなみに、オービタっていると、このお話のように否定から入る人に出くわすのは少なくありません。以前、軌道エレベーターのことを話した相手が、「万里の長城を造るのに何年かかったと思うの?」と言ってやはり否定しました。「それ迷信ですよ」と言ったら、余計意固地になって否定。
 見てわからん人には口で言ってもわからんと痛感し、「話した自分が馬鹿だった」とアホらしくなったのですが、この手の人は保証済みの価値に引きずられているので、権威のある人が同じことを言うと態度を豹変させるんですよね。実際、軌道エレベーターが知れるようになってくると、態度を変えて擦り寄ってくる人のなんと多いことか。
 そう考えるにつけ、あまり他人の言うことを相手にしても仕方がない。六太の言うように「みんなの意識の中に宇宙が下りてきて、もっと宇宙が近く」なれば、自然と解決するのでしょう。しかしそれができるのは、限られた人間だけを宇宙に送れるロケットではなく、軌道エレベーターでしょう。