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気球考

2023-02-10 18:38:32 | 気になる記事
中国の偵察気球 米軍が撃墜
 米国のオースティン国防長官は4日、米軍の戦闘機が同日午後、米サウスカロライナ州沖の領海上空で、中国の偵察用気球を撃墜したと発表した。
(後略。2023/2/5 BIGLOBEニュースより抜粋)


 先頃米国で、中国のものと思しき気球が撃墜されましたね。日本に現れたものとすごく似ていて、同タイプのものと指摘されていますね。今回の件で、少し思うところあったので2回に分けて筆を。

 撃墜のニュースが流れた時に、旧日本軍の風船爆弾を思い出しました。今回の気球、仮に中国本土で打ち上げられたのだとすれば、地球をおよそ半周したのですから、相当丈夫に造られていたのでしょう。しかし気球を他国に送り込むというのは珍しい話ではなく、第2次大戦中の日本も気球を使った戦略兵器を開発していたそうです。

 当時は「ふ号作戦」などと呼ばれ、和紙とコンニャク糊を主な材料に直径10m程度の気球を造ったそうです。諸説ありますが9300個くらい造られ、水素ガスを浮力に初期は焼夷弾などを搭載して千葉、茨城、福島の3県から飛ばしたそうです。
 東に向かって吹くジェット気流に乗せて3日程度で北米大陸に到達、本土攻撃を図る。ジェット気流というと高度1万m前後で、直射日光で気球が膨張したり、夜は気温が低下してしぼんだりするから高度が安定しない。このため高度に応じて弁が開いてガス抜きしたり、オモリを落としたりして調整するというスグレモノで、戦争は忌むべき悲劇ですが、日本人ってこういう発想や細工にすごい能力を発揮するもんだと驚きます。



 結局、米国本土に到達したのは数百個程度で、わずかながら死者を含む被害も出したとのことですが、米軍も情報を秘匿したから日本は成果の情報を得られなかったし、どのみち戦局を左右するような結果にならなかったのは歴史の示す通りです。
 しかし戦争末期には、これに生物兵器を搭載して飛ばすつもりだったんだそうです。使用されずに終わったものの、もし実施されていたらどうなっていたのかと気になります。

 今回の米国の気球騒ぎで私が思い出したのはこのことで、もしこの気球が何らかの兵器であったら、とか米軍が想像しないわけがない。それでも撃墜したのは、色々調査して無害だと確証を得ていたんでしょうか?
 宮城県上空などに現れた時に日本が手を出さなかったのは、そういう危険も視野に入れていていたからでしょう。この辺の決断力が、国防に威信をかける米国と日本の違いなのかも知れません。

。。。なんてことをニュースをきっかけに考えたのですが、気球に関してはもう一つ、思い出したことがあるので、それは次回に。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。