■黒きベールに包まれている高等専門学校校長選考の実態について、当会では国立高等専門学校機構宛に質問状を送り、その把握を試みてきていました。2月14日に送付した最初の質問状に対しては2月26日に回答が行われましたが、特に文科省キャリアからの校長の扱いについて、なお不明瞭な点が多々残っていたため、3月6日に追加で5項目のみの追加質問状を提出しました。しかし機構はそれに対して連絡すら行わず放置対応を取ったため、4月20日に回答督促を行いました。
そして、追加質問状提出から50日以上が経過したさる4月27日に、ようやく高専機構事務局人事課から回答が届きました。
↑ようやく到来した高専機構からのFAX回答。↑
なお、この件に関するこれまでの流れは以下のブログをご覧ください。
○2018年2月26日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…国立高専校長の選考・任命に関して国立高専機構から回答書↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2573.html
○2018年3月8日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…国立高専校長の選考・任命に関して国立高専機構に追加質問↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2580.html
○2018年4月21日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…追加質問書放置の高専機構へ回答を督促↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2615.html
■では、さっそく回答書の内容を見てみましょう。
*****機構からの回答書*****PDF ⇒ 20180427_tuikasitumon_heno_kikou_karano_kaitousho.pdf
発信元:ドク)コクリツコウセンキコウジンジカ 電話番号:0426623198 2018 4.27 P..1
平成30年4月27日
市民オンブズマン群馬 御中
独立行政法人国立高等専門学校機構
平成30年3月6日付け質問書について、次のとおり回答します。
〇 平成30年2月26日付で回答しましたとおり、文部科学省に対しても候補者の推薦を依頼しており、推薦のあった文部科学省職員について、高専、大学から推薦のあったものと同様に、書類審査・面接審査を行っています。
〇 校長に採用するに際し、大学及び文部科学省から推薦のあった者について、各推薦機関からの出向とするかどうかについては、推薦機関の意向を踏まえその取扱いを調整しています。
大学から推薦のあった者についても、出向とすることは可能ですが、これまでは、推薦大学から出向を希望する旨の意向があった例はありません。
まだ、出向の取扱いとなっている者の異動については、推薦機関の意向を考慮しつつ、公認候補者の選考状況などを踏まえ判断しています。
〇 一般に、校長の辞職については、教職員就業規則にて、次のとおり定めています。
(自己都合による退職手続)
第21条 教職員は、自己の都合により退職しようとするときは、退職を予定する日の30日前までに、理事長に文書をもって届け出なければならない。ただし、やむを得ない事由により30日前までに届け出ることができない場合は、14日前までに届け出なければならない。
担当 国立高等専門学校機構
事務局人事課(阿部)
Tel.042-662-6153
**********
これでは当会の追加質問に対して機構がどのように回答しているのかがよく分からないため、我々の追加質問項目と対比させてみました。
**********
●質問(15)
推薦機関には文科省が含まれていますが、文科省からの推薦を受けた者というのは、主に文科省のキャリア官僚から出向で校長になっている者を指すと解してよろしいでしょうか?
●質問(16)
文科省の推薦を他の推薦と同列に扱うということは、キャリア官僚出身の文科省からの出向者も他と同様に書類・面接審査を受けているということでしょうか?
〇回答
平成30年2月26日付で回答しましたとおり、文部科学省に対しても候補者の推薦を依頼しており、推薦のあった文部科学省職員について、高専、大学から推薦のあったものと同様に、書類審査・面接審査を行っています。
●質問(17)
群馬高専の担当者からは、「出向」扱いであると聞いています。機構本部のいう「推薦を受けて就職」と「出向」ではニュアンスが大分異なると思われます。例えば大学から推薦を受けて校長に就任した者は、別にその大学から出向している訳ではありませんから、校長職が終わると自動的に元の大学に戻れる訳ではありません。文科省からの場合は文科省に戻ることができます。これを並列に扱うのは不適切ではないでしょうか?
●質問(18)
群馬高専の担当者からは「群馬高専の西尾前校長は出向元である文科省の人事の都合によって戻った」と説明を受けました。これは文科省が機構の人事に介入できるということなのでしょうか? つまり、推薦した文科省その他機関の要請で、校長職にある者を外すことができるのでしょうか?
〇回答
校長に採用するに際し、大学及び文部科学省から推薦のあった者について、各推薦機関からの出向とするかどうかについては、推薦機関の意向を踏まえその取扱いを調整しています。
大学から推薦のあった者についても、出向とすることは可能ですが、これまでは、推薦大学から出向を希望する旨の意向があった例はありません。
まだ、出向の取扱いとなっている者の異動については、推薦機関の意向を考慮しつつ、公認候補者の選考状況などを踏まえ判断しています。
●質問(19)
一般に、校長職にある者が初めて辞意を示す場合、いつまでに、どこに、どのような方法で伝えることになるのでしょうか?
〇回答
一般に、校長の辞職については、教職員就業規則にて、次のとおり定めています。
(自己都合による退職手続)
第21条 教職員は、自己の都合により退職しようとするときは、退職を予定する日の30日前までに、理事長に文書をもって届け出なければならない。ただし、やむを得ない事由により30日前までに届け出ることができない場合は、14日前までに届け出なければならない。
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■さて、今回判明した事実は、文部科学省からの出向、つまり天下り校長についても、少なくとも形式的には、大学・高専から推薦を受けた叩き上げ校長と同様に、書類・面接審査を課しているということです。
もちろん、高専機構が文科省からの「推薦」者を無下に扱うことなどあってはなりませんから、文科省からの校長候補に関しての審査は完全に形式上のもので、事実上のフリーパスであることが強く推察されます。しかし、少なくとも書類の上では、叩き上げのプロパー校長と同一のものが存在することになります。
さらに、校長を出元機関からの出向扱いとするかどうかは、「出元機関の意向を踏まえて」、機構の裁量で決定している、という体裁になっているようです。さらに、回答書にあるとおり、「大学等から推薦のあった者についても、出向とすることは可能だが、前例はない」ということで、「出向」扱いは事実上文部科学省からの天下りキャリア官僚にのみ適用されている実態がわかります。
■以上を踏まえると、高専機構のタテマエとしては、「文部科学省はあくまで校長候補者を推薦する一機関に過ぎず、文科省にもそこからの候補者にも、他大学や高専と全く並列な扱いを行っている」ということのようです。
もちろん、運用の実態は、「平等」などというところからは極めてかけ離れていることは言うまでもありません。文部科学省「推薦」者に関しての選考が形式的なものでしかないことが強く推察されるうえ、その採用年齢に関しても、文科省からの天下り校長は大学・高専からのプロパー校長よりも一回りかあるいはそれ以上に若いからです。
プロパー校長が定年退職寸前か定年後の再就職、つまり概ね50代後半~60代で校長職に就くのに対して、文科省からの天下り校長は概ね50代前半~50代半ばで校長職に就き、そのまま定年まで居座ります。そして、文科省天下り校長は60歳の定年を迎えるやいなや、文科省の勤め始めから貯めに貯めた退職金をとっとと満額かっさらい、高専のことなどすっかり忘れてどこかに消えていきます。
大学の学長は基本的に教官らの中から教官ら自身の手によって選ばれるものです。これに対して、高等教育機関を標榜するにも関わらず、教育の経験も研究の経験もなければ博士号も有さない単なる役人を、どこの馬の骨ともわからぬ「選考委員」と、これまた密室会議でその職に据えられている機構理事長が密室で、幾多の人間の人生を左右する学校長という重職に据えてしまう高等専門学校のシステム自体がそもそも極めて不合理なわけです。
■また、そもそも「出向扱い」などというものがあるのも考えてみれば変な話です。組織のトップというのは、骨をうずめる覚悟とともに人生を賭してなるものです。校長職を、不都合があればいつでも出元に逃げられ、在籍期間が退職金にも算入される役人の「腰掛け」として扱えるということ自体が、あまりにも時代感覚を喪失しすぎているとしか評せません。
たとえば、他機関からの「出向」で小学校・中学校・高校の校長や大学の学長になるなど、ついぞ聞いたこともありません。あるいは、他社からの「出向」で会社の社長になるのも、これまた聞いたことがありません。完全に、これまで徹底的に時代の審判を逃れてきたガラパゴス・システムでしかないわけです。
文部科学省からの「推薦」を受け入れること自体は、「幅広い裾野から多様な経験と熱意をもった優秀な人材を集める」という建前に即しているのかもしれません。しかし、であればなおのこと、「出向」など認めずキチンと文部科学省を中途完全退職させて、校長として骨を埋めさせるべきであって、高専校長を辞めて文部科学省に戻る場合にも、自己都合での中途退職とするのがスジというものでしょう。その程度もできないような「熱意」の無い人間は、そもそも採用するに値しないはずなのですから。
■いずれにせよ、校長選考のシステムと建前自体はおおまかに把握できましたから、いよいよ西尾前校長の就任と退職、および山崎現校長への交代劇について、情報開示請求を行ってさらなる深掘りを試みる所存です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
そして、追加質問状提出から50日以上が経過したさる4月27日に、ようやく高専機構事務局人事課から回答が届きました。
↑ようやく到来した高専機構からのFAX回答。↑
なお、この件に関するこれまでの流れは以下のブログをご覧ください。
○2018年2月26日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…国立高専校長の選考・任命に関して国立高専機構から回答書↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2573.html
○2018年3月8日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…国立高専校長の選考・任命に関して国立高専機構に追加質問↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2580.html
○2018年4月21日:群馬高専アカハラ・寮生連続死問題を追う…追加質問書放置の高専機構へ回答を督促↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2615.html
■では、さっそく回答書の内容を見てみましょう。
*****機構からの回答書*****PDF ⇒ 20180427_tuikasitumon_heno_kikou_karano_kaitousho.pdf
発信元:ドク)コクリツコウセンキコウジンジカ 電話番号:0426623198 2018 4.27 P..1
平成30年4月27日
市民オンブズマン群馬 御中
独立行政法人国立高等専門学校機構
平成30年3月6日付け質問書について、次のとおり回答します。
〇 平成30年2月26日付で回答しましたとおり、文部科学省に対しても候補者の推薦を依頼しており、推薦のあった文部科学省職員について、高専、大学から推薦のあったものと同様に、書類審査・面接審査を行っています。
〇 校長に採用するに際し、大学及び文部科学省から推薦のあった者について、各推薦機関からの出向とするかどうかについては、推薦機関の意向を踏まえその取扱いを調整しています。
大学から推薦のあった者についても、出向とすることは可能ですが、これまでは、推薦大学から出向を希望する旨の意向があった例はありません。
まだ、出向の取扱いとなっている者の異動については、推薦機関の意向を考慮しつつ、公認候補者の選考状況などを踏まえ判断しています。
〇 一般に、校長の辞職については、教職員就業規則にて、次のとおり定めています。
(自己都合による退職手続)
第21条 教職員は、自己の都合により退職しようとするときは、退職を予定する日の30日前までに、理事長に文書をもって届け出なければならない。ただし、やむを得ない事由により30日前までに届け出ることができない場合は、14日前までに届け出なければならない。
担当 国立高等専門学校機構
事務局人事課(阿部)
Tel.042-662-6153
**********
これでは当会の追加質問に対して機構がどのように回答しているのかがよく分からないため、我々の追加質問項目と対比させてみました。
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●質問(15)
推薦機関には文科省が含まれていますが、文科省からの推薦を受けた者というのは、主に文科省のキャリア官僚から出向で校長になっている者を指すと解してよろしいでしょうか?
●質問(16)
文科省の推薦を他の推薦と同列に扱うということは、キャリア官僚出身の文科省からの出向者も他と同様に書類・面接審査を受けているということでしょうか?
〇回答
平成30年2月26日付で回答しましたとおり、文部科学省に対しても候補者の推薦を依頼しており、推薦のあった文部科学省職員について、高専、大学から推薦のあったものと同様に、書類審査・面接審査を行っています。
●質問(17)
群馬高専の担当者からは、「出向」扱いであると聞いています。機構本部のいう「推薦を受けて就職」と「出向」ではニュアンスが大分異なると思われます。例えば大学から推薦を受けて校長に就任した者は、別にその大学から出向している訳ではありませんから、校長職が終わると自動的に元の大学に戻れる訳ではありません。文科省からの場合は文科省に戻ることができます。これを並列に扱うのは不適切ではないでしょうか?
●質問(18)
群馬高専の担当者からは「群馬高専の西尾前校長は出向元である文科省の人事の都合によって戻った」と説明を受けました。これは文科省が機構の人事に介入できるということなのでしょうか? つまり、推薦した文科省その他機関の要請で、校長職にある者を外すことができるのでしょうか?
〇回答
校長に採用するに際し、大学及び文部科学省から推薦のあった者について、各推薦機関からの出向とするかどうかについては、推薦機関の意向を踏まえその取扱いを調整しています。
大学から推薦のあった者についても、出向とすることは可能ですが、これまでは、推薦大学から出向を希望する旨の意向があった例はありません。
まだ、出向の取扱いとなっている者の異動については、推薦機関の意向を考慮しつつ、公認候補者の選考状況などを踏まえ判断しています。
●質問(19)
一般に、校長職にある者が初めて辞意を示す場合、いつまでに、どこに、どのような方法で伝えることになるのでしょうか?
〇回答
一般に、校長の辞職については、教職員就業規則にて、次のとおり定めています。
(自己都合による退職手続)
第21条 教職員は、自己の都合により退職しようとするときは、退職を予定する日の30日前までに、理事長に文書をもって届け出なければならない。ただし、やむを得ない事由により30日前までに届け出ることができない場合は、14日前までに届け出なければならない。
**********
■さて、今回判明した事実は、文部科学省からの出向、つまり天下り校長についても、少なくとも形式的には、大学・高専から推薦を受けた叩き上げ校長と同様に、書類・面接審査を課しているということです。
もちろん、高専機構が文科省からの「推薦」者を無下に扱うことなどあってはなりませんから、文科省からの校長候補に関しての審査は完全に形式上のもので、事実上のフリーパスであることが強く推察されます。しかし、少なくとも書類の上では、叩き上げのプロパー校長と同一のものが存在することになります。
さらに、校長を出元機関からの出向扱いとするかどうかは、「出元機関の意向を踏まえて」、機構の裁量で決定している、という体裁になっているようです。さらに、回答書にあるとおり、「大学等から推薦のあった者についても、出向とすることは可能だが、前例はない」ということで、「出向」扱いは事実上文部科学省からの天下りキャリア官僚にのみ適用されている実態がわかります。
■以上を踏まえると、高専機構のタテマエとしては、「文部科学省はあくまで校長候補者を推薦する一機関に過ぎず、文科省にもそこからの候補者にも、他大学や高専と全く並列な扱いを行っている」ということのようです。
もちろん、運用の実態は、「平等」などというところからは極めてかけ離れていることは言うまでもありません。文部科学省「推薦」者に関しての選考が形式的なものでしかないことが強く推察されるうえ、その採用年齢に関しても、文科省からの天下り校長は大学・高専からのプロパー校長よりも一回りかあるいはそれ以上に若いからです。
プロパー校長が定年退職寸前か定年後の再就職、つまり概ね50代後半~60代で校長職に就くのに対して、文科省からの天下り校長は概ね50代前半~50代半ばで校長職に就き、そのまま定年まで居座ります。そして、文科省天下り校長は60歳の定年を迎えるやいなや、文科省の勤め始めから貯めに貯めた退職金をとっとと満額かっさらい、高専のことなどすっかり忘れてどこかに消えていきます。
大学の学長は基本的に教官らの中から教官ら自身の手によって選ばれるものです。これに対して、高等教育機関を標榜するにも関わらず、教育の経験も研究の経験もなければ博士号も有さない単なる役人を、どこの馬の骨ともわからぬ「選考委員」と、これまた密室会議でその職に据えられている機構理事長が密室で、幾多の人間の人生を左右する学校長という重職に据えてしまう高等専門学校のシステム自体がそもそも極めて不合理なわけです。
■また、そもそも「出向扱い」などというものがあるのも考えてみれば変な話です。組織のトップというのは、骨をうずめる覚悟とともに人生を賭してなるものです。校長職を、不都合があればいつでも出元に逃げられ、在籍期間が退職金にも算入される役人の「腰掛け」として扱えるということ自体が、あまりにも時代感覚を喪失しすぎているとしか評せません。
たとえば、他機関からの「出向」で小学校・中学校・高校の校長や大学の学長になるなど、ついぞ聞いたこともありません。あるいは、他社からの「出向」で会社の社長になるのも、これまた聞いたことがありません。完全に、これまで徹底的に時代の審判を逃れてきたガラパゴス・システムでしかないわけです。
文部科学省からの「推薦」を受け入れること自体は、「幅広い裾野から多様な経験と熱意をもった優秀な人材を集める」という建前に即しているのかもしれません。しかし、であればなおのこと、「出向」など認めずキチンと文部科学省を中途完全退職させて、校長として骨を埋めさせるべきであって、高専校長を辞めて文部科学省に戻る場合にも、自己都合での中途退職とするのがスジというものでしょう。その程度もできないような「熱意」の無い人間は、そもそも採用するに値しないはずなのですから。
■いずれにせよ、校長選考のシステムと建前自体はおおまかに把握できましたから、いよいよ西尾前校長の就任と退職、および山崎現校長への交代劇について、情報開示請求を行ってさらなる深掘りを試みる所存です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】