市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

八ッ場ダム建設工事に係る土地収用法に基づく6.26公聴会の模様(その7)

2015-11-03 00:48:00 | 八ッ場ダム問題
■引続いて2日目の公聴会が続きます。

【議長】 次は、高橋比呂志さんから公述をしていただきます。
 高橋さんは壇上に上がり、公述人席に着いてください。
 また、公述人からは、起業者への質問の希望がありますので、国土交通省関東地方整備局の方も、壇上に上がり、起業者席に着いてください。
          (公述人・起業者登壇)
【議長】 準備はよろしいでしょうか。準備、よろしいですか。
【公述人(高橋)】 はい。
【議長】 現在の時刻は2時36分です。ただいまから公述を開始し、30分間で終了するようお願いします。また、終了の10分前、5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに、表示によりお知らせしますので、目安にしてください。
 なお、終了時間までに終了しない場合には、公述の中止を命ずることとなります。
 プロジェクターを使用しますので、少し照明を落とします。
 それでは、公述を開始してください。
【公述人(高橋)】 栃木県から来ました高橋と申します。
 まず、起業者への質問です。
 1番目、2013年11月の基本計画第4回変更によって、ダム地点の計画高水流量が3,900トンから3,000トンに変更されました。その理由は何でしょうか。
【議長】 ご回答願います。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。利根川の基本高水の検証の際に作成した新たな流出計算モデルを用いて推計したためです。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 ダム地点の計画高水流量が減少したことによって、基本高水流量も減少することにならないのでしょうか。ならないとすれば、その理由は何か。
【議長】 回答願います。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。八ッ場ダム地点の基本、すいません、八ッ場ダム地点の計画高水流量は、八ッ場ダム検証において、降雨量等のデータを点検し、利根川の基本高水の検証の際に作成した新たな流出計算モデルを用いて推計しています。ダム地点以外からの流出もあるため、ダム地点の計画高水流量が減少したからといって、八斗島の基本高水のピーク流量が減少するとは限らない、限りません。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 八ッ場ダムによる水位低減効果は、八斗島地点及び江戸川では何センチメートルか。
【議長】 ご回答ください。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。過去にある洪水、実績の洪水において、流出モデルを用いて算出したモデルによる水位低下量、八斗島で約30センチです。それから、あと、江戸川についてご質問がありましたが、江戸川については治水計画を検討する上で必要性は高くないことから、算定しておりません。以上です。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 八ッ場ダムは八斗島地点より上流に建設する最後のダムになるのでしょうか。最後でないとすれば、ほかにどのようなダムを計画されているのか。
【議長】 回答願います。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。八斗島上流の洪水調節施設については烏川の河道内貯水池、そういったものとかや、ダムのダム容量の再編やかさ上げ、容量振りかえ等を検討し、これでも不足する治水容量は新規の洪水調節施設で確保することとしております。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 そうすると、新規の洪水調節施設というのはどういうものなんですか。
【議長】 回答願います。
【起業者(小宮)】 新規の洪水施設は新規の洪水施設でございますが。
【議長】 いろんなものがありますけれども、その選択肢は、例えばダムも含めて可能性があるということなのかということだと思いますけれども。
【起業者(小宮)】 では、お答えいたします。新規の洪水施設ということでございますけれども、その前提となる不足とする治水容量、そういったものもまだ未検討でございますので、具体的にはお答えはできません。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 いや、不足している量ははっきりしているんじゃないんですか。まあ、いいです。
 じゃあ、河川整備基本方針で、ダムに配分された5,500トンは計画目標は達成する見込みがあるんですか。あるとそれば、その理由。
【議長】 ご回答願います。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。利根川水系の河川整備基本方針に定めた目標流量を達成するため、具体的な整備内容につきましては、今後、河川整備計画において検討してまいります。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 決まってないということじゃないですか。貯留関数法や総合確率法で求めたカスリーン台風時の最大流量2万2,000トン程度と、実績、推定実績流量1万7,000トンの差5,000トンはなぜ生じるんでしょうか。
【議長】 回答願いします。
【起業者(小宮)】 まず、昭和22年9月のあのカスリーン台風において、八斗島上流の3地点において、ピーク流量付近の流量観測が行われており、この流量観測の流下時間の時間差を考慮して重ね合わせた、八斗島における最大流量の推定値、これが一千……、すいません、1万7,000トンと、毎秒1万7,000トンでございます。それになお氾濫により相当量の浸水が生じていたというときの状態の量です。利根川の基本高水の検証において、新たに構築した流出計算モデルを用いて、データの点検後の実績雨量から、全て河道を流下すると仮定し、八斗島地点におけるピーク流量を求めると、約2万1,100トン、毎秒2万1,100トンということでございます。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 全然答えてないですよね。5,000トンがなぜ生じるのかと、もう一回お願いします。
【議長】 ちょっと質問追加。5,000トンの差があるということについての……。
【公述人(高橋)】 4,000トンかもしれないですけども、四、五千トンですね。なぜ生じるのか、答えてないですよね。
【起業者(小宮)】 では、もう一度お答えいたしましょうか。いいですか。
【議長】 回答してください。
【起業者(小宮)】 いいですか。まず、利根川の最大流量2万2,000トンについては、観測流量の流下、八斗島上流の3地点において、観測流量を行われており、その観測 ……。
【公述人(高橋)】 ちょっと同じことを繰り返すつもりですか。同じことを繰り返すつもりですか、さっきと、さっきの答えと。
【起業者(小宮)】 内容につきましては、質問に対しては同様の答えになりますけれども。
【公述人(高橋)】 答えということですか。
【議長】 最大流量と実質流量というものがそもそも違うということでいいんですよね。
【起業者(小宮)】 簡単に言われれば、八斗島上流の3地点の流量観測のそれから推定して、重ね合わせたものの推定値と、あと、利根川の基本高水の検証において、流出モデルを用いて計算した、データ点検後のその違いでございます。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 だから、それ、なぜ違うのかを聞いているんですよ。全く時間を潰す気ですね。
 7番、新たな洪水調節方法による場合、八ッ場ダムに3,900トンの流量が流入した場合、洪水調節は可能か、可能だとすれば調節量はどのぐらいか。
【議長】 回答願います。
【起業者(小宮)】 まず、毎秒3,900トンが流入した場合の洪水調節というのは、計画した洪水調節どおりの操作を行えば、洪水調節は可能です。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 調節量も聞いていますが。
【議長】 調節量の話は。
【起業者(小宮)】 調節量の質問についてお答えいたしますが、この調節量については、洪水パターンがそれによるというか異なるため、不明でございます。
【公述人(高橋)】 不明?
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 3,500トン超えても、調節できるんですか。計算してないんですか、それとも。
【議長】 回答願います。
【起業者(小宮)】 よろしいですか。計画した洪水操作どおりの操作を行えば、洪水調節が可能でございます。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 いや、だって、200トンを超えたときから調節始め、ため込んじゃうわけでしょう。それで3,500トンまでもつんですか、ほんとに。計算したんですよね。
【議長】 回答願います。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。洪水量については、各洪水パターン、それが異なるため、不明ということでございます。
【議長】 再度質問を、もし必要であれば、再度質問してください。
【公述人(高橋)】 ちょっと意味がわからないんだけども、時間を潰されるんで、次に行きます。
 4,600億円で完成すると断言できるんでしょうか。
【議長】 回答願います。
【起業者(土屋)】 八ッ場ダムについては早期完成に向けて取り組むとの方針のもとで、 事業全体のコスト縮減により対応することを基本として、総事業費以内での完成を目指して、最大限の努力をしてまいります。
【議長】 いいですか。公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 努力するだけね。
 9番。時間がなくなっちゃうな。産業の開発または発展及び都市人口の増加に伴い用水 を必要とする地域は利根川流域でどこにあるでしょうか。
【議長】 回答願います。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。利根川水系の、利根川水系の水資源の開発の基本計画でもございますけれども、それにおいては、東京都をはじめ、千葉県、埼玉、群馬、 栃木、茨城などをその対象区域としております。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 あれ、じゃあ、具体的に聞きますけども、2020年度以降も、20年以降も人口の増加が見込まれる都市はどこなんですか。
【議長】 回答願います。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。いろいろ資料がありますけれども、東京都による、東京都が東京特別区の都心部の人口増、こういったものが見込まれるというようなことも書いてございます。
【議長】 都市はどこですかというお話だったので。
【起業者(小宮)】 例えばほかには千葉県柏市、成田市等については、国立社会保障・人口問題研究所等の推考によれば、人口増加が認められるという推計になってございます。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 ほんとうですか。柏、成田? でも、東京都は、東京都の人口は国立社会保障・人口問題研究所は2015年まで、東京都は2020年までというのが推計ですよね。
 ちょっと、じゃあ、ちょっと時間なので、言いたいことが言えなくなっちゃうんで、質問は飛ばします。
 まず、八ッ場ダムは治水面で公益性がないということを話します。
 八ッ場ダムはカスリーン台風洪水に対応ができないという問題があります。カスリーン台風、この申請書では、カスリーン台風被害が八ッ場ダム建設の大義名分として強調されております。それもそのはずで、利根川水系河川整備基本方針では、計画規模の根拠の既往最大流量とはカスリーン台風洪水であるからであります。さかのぼって、改修改訂計画もカスリーン台風洪水を受けての治水計画です。つまり、カスリーン台風洪水は利根川治水計画の原点であります。したがって、申請者がカスリーン台風洪水による被害を強調するのがある意味当然ということは言えます。
 では、カスリーン台風洪水による被害とはどんなものか。これは栃木県と、群馬県と栃木県が主な被災地であるということがわかります。これは関東1都5県の死者数をあらわしたものなんですが、合計で1,100人とされており、そのうちの944人、86%は群馬県と栃木県での死者であります。つまり、カスリーン台風洪水の再来に備えるなら、群馬県と栃木県の死者数を減らせる対策でなければならないはずです。
 では、群馬県と栃木県の被害とは何だったのか。1つには赤城山の土石流被害です。敷島村と大胡町で多大な犠牲者が出ております。また、渡良瀬川扇状地右岸での洪水被害で最大の人的被害という見出しが、『ぼうさい』という国が出している雑誌にも出ております。つまり、桐生市、足利市を流れる渡良瀬川流域で709人の犠牲者が出たということになっています。
 つまり、カスリーン台風による大規模な被害の原因は赤城山周辺の土石流と渡良瀬川の氾濫だったんですね。しかし、これらの災害が八ッ場ダムによって防ぐことはできないということは明らかであります。国も八ッ場ダムがカスリーン台風洪水に効果がないことを認めております。読み上げは省略しますが、国会答弁とか質問主意書への答弁ですね。したがって、カスリーン台風の再来に対応ができない八ッ場ダムは、利根川の治水計画の目的に沿った趣旨とは言えず、公益性がないということであります。ちなみに、じゃあ、八ッ場ダムはカスリーン台風以外の洪水なら効果があるのかといえば、嶋津さんの計算によれば、最も効果が発揮される場合であっても、八斗島で13センチしか、さっき30センチという話がありましたけども、下がらないという計算があります。
 結局、八ッ場ダムは、カスリーン台風にも洪水にも、それ以外の洪水にも効果がない。 よって、当事業には公益性がないということです。
 次に、八ッ場ダムは内水氾濫を防げないという話です。申請者は、八ッ場ダムは次のよ うな水害に対応できると言っております。これは申請書の20ページに、3つの災害は、 台風、洪水を上げております。これらの水害による、水害で、東京都は多大な被害を受け まして、東京都のホームページから次のような表を作成してみました。
 細かくて見えないと思いますが、原因を見てみますと、ほとんどが内水氾濫であります。98年の台風5号、これについても内水氾濫がほとんどです。2007年の台風9号でも内水氾濫と急傾斜地崩壊、これはいずれも原因のほとんどが内水氾濫でありまして、溢水もありますが、支川の溢水でありますから、いずれにせよ、八ッ場ダムで被害を軽減することはできないということになります。
 この八ッ場ダムで対処すべき洪水被害として、内水氾濫による被害しか申請者が上げらないことこそが、八ッ場ダムが治水上不要であり、公益性がないことの証拠であると考えます。
 次に、利根川の治水計画規模に関する記述が誤っています。申請書の9ページには、河川整備基本方針では計画する確率規模を200分の1としてという記述があります。しかしながら、飛ばしますね、工事実施基本計画、工事実施基本計画でしたか、違ったかな、1980年ですね。これ、決定方針では、200分の1の確率規模の流量は2万1,200トンですね。それで、観測史上最大流量が2万2,000トン。どっちが多いかを比べて、史上観測のほうが多いから、基本高水流量は2万2,000トンとしたというのが工実の考え方です。現在の河川整備基本方針は、その工実の考え方を踏襲しまして、それを点検した結果、工実の考え方が妥当であると判断したという考え方であります。
 したがって、利根川の計画規模であり、かつ、基本高水流量である2万2,000トンというのは、史上、観測史上最大流量であって、200分の1確率流量ではないということです。したがって「河川整備基本方針では計画する確率規模を200分の1とし」とするのは誤りであるというふうに思うんですが、ちょっとどっちなんですか。この辺、誤りだということは認められるんでしょうか。
【議長】 ご質問ということですね。
【公述人(高橋)】 はい。
【議長】 回答願います。
【起業者(小宮)】 ちょっと事前の公述のものになかったですが。
【議長】 整備計画の内容ですので。
【起業者(小宮)】 公述になかったかと思いますけれども、こういったものについては整備、利根川の水系の整備方針、そういったものには誤りという、整備計画、これには誤りはないというふうに認識しております。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 誤りでないというんだったら、計画規模が200分の1であるということがどこに書いてあるのか、これは今は無理だとしても、時間食っちゃうから、いつでもお答えいただけるということですね。いや、後で。
【議長】 質問の要旨にもともと出されてましたよね。出されてませんでしたっけ。200分の1か最大流量かのどちらをとったのかというようなご質問ですか。
【公述人(高橋)】 ええ。ええ。
【議長】 では、それを答えてください。
【公述人(高橋)】 いや、それは質問、出してなかったと思います。
【議長】 すいません。では、公述を続けてください。
【公述人(高橋)】 じゃあ、次に行きます。利根川の……。すいません、あと何分。
【議長】 あと12分です。
【公述人(高橋)】 12分。利根川の基本高水流量2万2,000トンは机上の空論であるという話です。理論値と実績値の差の説明がなされていません、ないということです。実際、今の説明でもなされていなかったですよね。
 つまり、2万2,000トンと1万7,000トンが5,000トンもずれる理由の説明ができなければ、2万2,000トンは破綻するということです。説明できないんですから、もう破綻しているんですね。ですから、基本方針には重大な欠陥があって、それに基づく八ッ場ダム計画も公益性がないということになります。
 5,000トンの差が説明されてないことの根拠はいろいろあるんですが、一番致命的なのは、馬淵澄夫国土交通大臣が2010年の記者会見において、2万2,000トンありきの検討を行ったと、資料もありませんということを認めたということが大きいと思います。5,000トンの差が乖離が説明されてないんですから、2万2,000トンは理論的に成り立たないということであります。
 学術会議の問題はちょっと飛ばします。
 費用対効果の計算に合理性がないという話です。2011年に関東地方整備局は八ッ場ダムの費用便益比算定というのを行いました。これ、治水についてのみですが、それは費用便益比が6.3になるというものです。ただし、計画高水流量を下回る流量についても被害が出るというのはおかしい計算じゃないかということを言われたせいか、その場合のも計算しまして、その場合は2.2にしかならないという非常に危ういことになっています。
 問題点はいろいろあるんですが、ここでは被害、想定被害額がおかしいという話で、こ の表はその資料から抜き出したもので、流量規模ごとの被害想定、想定被害額というもの をこのように掲げております。これに基づいて、年平均被害額を求めると、下表のとおり になります。言えることは、八ッ場ダムがない場合は、50分の1洪水までの年平均被害 額は4,820億円となるということです。
 ところが、2011年までの過去50年間の水害被害は累計で8,758億円、これ、5 0で割りますと、年平均で175億円になります。ということで、175億円と4,820 -146- 億円ですから、28倍もの開きがあり、国の被害は、被害想定は虚構であります。したが って、このような費用便益計算に支えられた八ッ場ダム事業に公益性はありませ。
 これ、群馬県のホームページからなんですが、既存6ダムでの治水効果は毎秒1,000トンだと、八ッ場ダムができれば600トン加えて、1,600トンのカットしかできないということがわかります。河川整備計画でも同様でありまして、1万7,000トンを目標流量として、そのうち3,000トンをダムで確保するという話ですが、それは無理です。
 それから、洪水調節効果の定義を変えるのはご都合主義じゃないかという話。国は2013年11月に計画変更をいたしました。その内容の一つが、計画、洪水調節効果の見直しなんですが、その内容は計画高水を3,900から3,000に落とし、逆に、洪水調節量を2,400から2,800に上げたということであります。
 変更前の洪水調節量の考え方なんですが、計画高水流量から計画最大流量を引いたものが洪水調節量だとしていました。ところが、変更後の洪水調節量の考え方は、計画高水流量から、計画高水量がピーク時の流量で、つまり、前のあれでは変更前は時間がずれているんですけども、これは同じ時期で判断しようという考え方を変えたんですね。それはそれで一つの考え方なのかもしれませんけども、何か急に変えたのは結局ご都合主義じゃないか、この八ッ場ダムの効果を高めるためのご都合主義じゃないかという疑いが拭えません。
 これはダムがパンクするんじゃないかという話ですね。3,500トン以上になったら、洪水調節量はゼロになるという計算もあります。
 次に、栃木県の受益者負担金の賦課は詐欺であるという話です。利根川の八ッ場ダムの治水負担金を栃木県は10億4,000万円払うことになっているんですが、利根川は栃木県を流れていません。そして、板倉町史によりますと、渡良瀬、カスリーン台風時には渡良瀬川が決壊して逆に利根川のほうに向かって流れたという記述があるんですね。それぐらいなんです。10億4,000万円の根拠がこの1枚の、たった1枚の図面なんですよね。これで足利市を中心に、栃木県の区域が24平方キロメートル、水につかるという図面なんです。これは地盤で決めたということなんですね。この図面1枚しかないから、八ッ場ダムができたら、じゃあ、どれだけ被害か軽減するのかというのはわかんない図面なんですね。
 国は、先ほど示したんですが、この2011年の費用便益比計算でもって、一応シミュ レによりますと、ここにカスリーン台風が来て、それで、利根川の左岸で決壊した場合に、栃木県に来るという想定をしているんですね。渡良瀬遊水地の西側が浸水するという図面ですね。これ、ダムなしの場合です。これがダムありの場合です。これ、戻しますと、これがダムなし、ダムありでわかんないですよね、何が違うかね。拡大して見たんですが、拡大しても同じなんですね、拡大しても。
 こんなのは、こんなので、それで、ほかのブロック、Aブロックですね、一番効果のある98年洪水で見ても、やっぱり、これはいくらか差はあるんですが、もうほんとにちょぼちょぼですね。こんなもので10億4,000万の利益を得られるはずがない。詐欺事業に公益性はないということであります。
 次に、バランスの確保ということを、申請書、事業認定申請書は言っているんですね。どういうことかというと、ほかの支流にダムがあるのに、吾妻川だけダムがないのはおかしいじゃないかという、そういうバランス論ですね。しかし、台風の多くは左巻きに渦巻きながら太平洋を北上して、雨雲は赤城山と榛名山でぶつかって豪雨になることが多くて、その山を乗り越えて吾妻渓谷に行くということは少ないんですから、別にダムがなくたっていいという理屈はあるんで、バランス論に合理性はないと思います。
 5分、あと5分ですか。八ッ場ダム、八ッ場ダムは水資源開発法があるからやるんだということを正統性の根拠にしている部分があるんですが、これは先ほども述べましたように、人口が増える地域も産業の開発が発展が見込まれる地域もありませんから、これ、立法事実が消失していまして、こんな法律にしがみついて進めること自体が誤りであります。
 次に、特定多目的ダム法があるから正しいんだということも書かれているんですが、これも国土総合開発法に起源を持つ河川総合開発とセットになって決められた法律なんですが、もうこの国土総合開発法も今ありません。名前が開発がとれちゃっていますね。これも時代錯誤ですから、こんなものの法律に根拠にすることもまた公益性がありません。
 ちょっと時間が迫っていますんで、これ、あと、東京都の水予測も過大であります。これはもう典型的な針ネズミ状態で、何度やっても過大な水需要予測しか東京都はいたしません。これ、八ッ場ダムができるまで続けるつもりだと思いますね。これもカットしますと。
 国が被害として掲げるもの、国が渇水被害の例として掲げるものなんですが、プールの利用停止とか、お風呂が使えないとか、農業用水では番水とか反復利用の強化ということなんですけれども、水が出ないときには我慢が必要であって、水の、雨が少ないときにも雨が多いときと同じだけ水を使わせてくれと言う国民がいるんでしょうかということですよね。そんなのは、いつもと同じ、渇水のときにもいつもと同じとおりに水が使いたいから、ダムをつくってくれと言う国民はいないんじゃないかと思います。
 あと、渇水の影響は昔より小さいはずだということですね。2012年度の1都6県の水需要は94年の値よりも15%も小さい。東京都にあっては20%も小さくなっているわけですから、94年渇水が再来しても、それによって需要者が受ける影響は当時よりずっと小さいはずであります。これが証拠のグラフですね。
 それと、じゃあ、ちょっと、あと、環境影響評価の問題。これはクマタカについて書いた部分が23ページ、申請書の23ページにあるんですが、本事業実施区域とその周辺での営巣が確認され、主な生息環境の一部が直接改変により消失または縮小するが、周辺には同様の環境が広く残存するため、ダム供用後は本種の生息は維持されるという予測結果を得ているということですが、これは同様の環境に見えても、生物にとって同様かどうかは容易に判断できるものではないと思いますし、また、ダムで消失または縮小する区域の周辺に、オオタカ、クマタカ等の生息に適した環境が広く存在するんであれば、そこの地域にも別の個体がその環境を縄張りとして生息しているはずであります。
 したがって、ダムで水没している地域からそこに移ろうとすれば、縄張り争いということになって、そこで勝った個体しか生き延びることはできないんで、このダムで消失または縮小する区域に生息した生物は、周辺に似た環境があればそこで生息できる、だから個体が減らないという考え方はもう基本的に誤っています。このような生物多様性を阻害する事業に公益性はありません。
 ダムで景観が改善されるという話もインチキで、ダムをつくれば水をせきとめるんですから、景観がよくなるはずはないんですね。
 じゃあ、まとめに行きます、まとめ、もう一つありますが、第4回計画変更については、 これはもう事業費が増額しないという前提で関係知事の同意を取りつけたもので、これは 特ダム法を守っているとは言えないということ、そういう瑕疵があると思います。
 まとめですが、カスリーン台風の再来に備えるという大義名分は虚構であります。近年の内水氾濫を軽減することもできない。水位低減効果は最大でも13センチに過ぎない。それから、基本高水を200分の1と誤解して、これは基本的に誤りです。計画基本高水を2万2,000トンは机上の空論であります。学術会議も第三者性がない。それから、栃木、利根川からの被害はない。栃木県への負担金は明らかに違法であります。
 水余りの時代に、水資源開発促進法、特定多目的ダム法、水資源開発基本計画に存在意義はなく、それらの適用すること自体が違法であります。
 それから、維持流量自体は東電の義務放流で解決している問題です。
 渇水被害の実態は、プールの利用とか、さっき、きのうあったんですが、高台の、何だ、取水不良とか、その程度で被害と言えるようなものではないです。暫定水利権は実態は安定水利権であり、虚構であります。
 発電も虚構、逆に発電量が減少します。
 環境影響は常識無視の誤りを犯しています。
 第4回変更計画はコスト増がないと偽って同意を得ており、重大な瑕疵があります。持続可能な水資源政策という国の方針に反しています。これはヒ素とか堆砂問題の先送りをしているという問題ですね。
 以上によりまして、国は八ッ場ダムの公益性を説明しておりません。したがって、強制収用は不可能であります。
 以上です。
【議長】 ありがとうございました。
 降壇してください。
          (公述人・起業者降壇)
【議長】 次は、備藤實さんから公述していただきます。
 備藤さんは、壇上に上がり、公述人席に着いてください。
 また、公述人からは起業者への質問の希望がありますので、国土交通省関東地方整備局の方も、壇上に上がり、起業者席に着いてください。
          (公述人・起業者登壇)
【議長】 よろしいですか。
【公述人(備藤)】 はい。
【議長】 現在の時刻は3時9分です。ただいまから公述を開始し、30分間で終了するよう、お願いいたします。また、終了の10分前、5分前、1分前に呼び鈴で合図をするとともに、表示によりお知らせしますので、目安にしてください。 なお、終了時間までに終了しない場合には、公述の中止を命ずることとなります。 それでは、公述を開始してください。
【公述人(備藤)】 最初に、議長さんはどういう立場の方なんでしょうかね。国交省の方なんですか。
【議長】 本日は議長に対し質問する場ではありませんけれども、私は事業認定、土地収用法の事業認定の所管をしている部局の者です。
【公述人(備藤)】 そうですか。なかなかいい采配を振るっているなと感心しているところです。
 それから、起業者側の方、私は備藤と申しますけれども、発言するときにお名前がわからないんで、1回だけでも結構ですから、発言者は名前を教えていただけませんか。
【議長】 公述人、時間の関係もありましたので、答弁の際に名前を言わないようにというちょっとお願いをしていましたけれども、では、答弁するときにお名前を言うということでよろしいですか。
【公述人(備藤)】 ええ。1回だけで結構ですから、メモしておきますから。じゃあ、お願いいたします。
 きのうから今日にかけて、いろんな人のお話を聞いておりますが、何かまやかしというんかな、説明をしなくていいことを、もういいですと言われても、同じような説明を繰り返して、もうちょっと時間が、私たちの時間、時は金なりという言葉がありますよね。私たちの時間が奪われているような気がするんですけど、もっと簡潔にイエスかノーを答えていただきたいと思います。余分な解説は必要ないです。
 ところで、私は一人の庶民程度の知識しかありません。おかしいことはおかしいなと思うことで、今まで学者の皆さんや知識人の方がグラフを使ったり何かして説明できても、私にはそこまでの能力はありません。普通の一般の国民の目線でお答えいただきたいと思います。
 じゃあ、これから質問します。とりあえず私が質問したい中で、4つほどあるんですけれども、その理由と意見がある程度終わった段階、1個1個ぐらいでご回答いただければありがたいと思います。
 まず、1つは、今からでも遅くはありません、ただちに工事を中止してくださいと。その理由は以下のとおりです。これらの危険性や対応について、八ッ場ダムは無駄、無理で効果がないように思いますが、国交省の考え方をお伺いします。
 質問2。私が見た埼玉県秩父のダムや、私が歩いた利根川の堤防を歩いてみたことがありますかと。
 質問の3番。ダムより堤防を強化したほうが安く対応できると思いますが、どう考えますかと。
 質問の4。住民の意見をくみ取り、強制収用などしないで、どのような対応をするのですか、お伺いします。
それで、理由と意見となると思うんですが、私はかつて長野原に5年間住んだことがあります。八ッ場ダムは私にとって今や第一のふるさとが壊されるという思いです。退職後、数年前から八ッ場ダムについて、県内、県外で学習し、テレビやビデオを見たり、新聞を読み、本を読み、現地見学や説明会や、秩父の同様な地すべりがあるダムを見学したり、バス・アンド・ハイクで利根川の堤防を歩いて、洪水を起こした場所の見学もしました。
 国交省関東地方整備局、省略して、八斗島の近くでも、実際に浮きを垂らして、どのくらいの流量があるのかというようなことも目で見ております。釣りするときに、浮きを垂らして、今これくらいだから、どれぐらいの、八ッ場ダムができたら、流量が増えるのかということを聞いてみたとき、十数センチも、八ッ場ダムがないと流量が増えるんですよというふうな答えを聞いたことがあります。それ、その時点で、利根川の堤防は数メートル余りの、今回こういうところでお聞きしますと、13センチとか、4メートルとかという発言がありましたが、大体私もそのくらいじゃないかなと思っております。
 そうすると、13センチぐらいでしたら、八ッ場ダムは1つで間に合うんですかねと聞きましたところ、あと11基というんですか、ダムの数え方はよくわかりませんけれども、10基か、10基くらい必要だと。じゃあ、一体どこに造ればいいんだろうと。群馬県にそういう土地はもうないと思います。また、予算の措置はどうするんですかと思いますが、これは後ほどお答えいただきたいと思います。
 カスリーン台風で洪水を発生させたところは、その下流の、八斗島からずっと栗橋のほうまで、バス・アンド・ハイクで見て回ったんですけれども、その洪水を起こさせたところの下流のほうに、日光東武線の橋脚に流木やごみが詰まって、それが洪水を起こした大きな原因だというふうなことを聞きました。
 また、その地点よりもちょっと上流では、堤防の下を、漏水というんですかね、利根川 の水がくぐり抜けて、埼玉県下に伏流して水が溜まっていると。先ほども映像で見ました -152- が、私が見たときにはもう少しその、何ていうんですか、水溜まりが小さくなっていまし たけれども。また、それがために、そういうことのないように工事を始めているのかなと いう感じも受けました。現在はどうなっているんでしょうか。お答えいただければありが たいと思いますが。
 それから、きのうも発言されておりましたが、赤城山の白川が氾濫して、前橋市内にまで到達したと。中央前橋駅のところでも床上浸水があったと。これはその当時住んでいた、今現在も住んでおります商店の人に聞いたんですけれども、それと八ッ場ダムと直結する話じゃないと思うんですよね。
 なぜかというと、赤城山も戦争のときに、松の根っこを抜根してガソリンに変えるということで山が荒れてしまった。それだけじゃなくて、当時、戦争ということでもって若い人が大分徴兵されていったということはご存じだろうと思います。その結果、山の手入れがあまり行き届かなくなったんじゃないかと。だから、山が荒れて木はなくなっちゃってると、あるいは、減っちゃっていると、それが主な原因で、赤城山の麓、私が現在住んでいるところから3キロか4キロもないところに洪水が起こったと。
 現在でも、前橋近辺の方ならおわかりだと思うんですけど、富士見中学校の近辺ですね。あの辺では大きな岩が、こんな大きな岩が何個もごろごろしているんです。まだ残っております。畑の中にあります。中学校をつくるに当たっては、大分その当時の人々が協力し合って整地をして、堤防もかさ上げしたんでしょうかね。その当時、私は群馬県に住んでおりませんでした。埼玉県におりましたもんですから、その間の事情はよくわかりません。ですけれども、八ッ場ダム1つ造っても、赤城山から出てきた水が、即、八ッ場ダムに影響するということは到底考えられません。
 それから、カスリーン台風の対価ということですが、先ほどもご説明があったかと思うんですけれども、八ッ場の地形から見て、台風や大雨が降る確率は非常に少ないということは先ほども映像でご承知かと思いますが、そういうことで、つくっても意味のないダムであると私は考えます。
 足尾銅山の閉山後も、あの醜い姿が今では緑豊かな山に変わってきています。あれは植林してボランティアの人たちが大勢参加して緑の山にしたんですね。私も手伝いに行きたかったんですけども、腰痛がちょっと激しくなったときだったもので、今でもそうなんですけれども、行けないのが、環境を守るということを口で言いながら、実際には体が動かせないと。ちょっと残念で仕方がありませんが、赤城山に限らず、その後、八ッ場ダムの周辺、あるいは、日本中で荒廃した山に植林して、洪水が起こらないように、あるいは、少なくなるように、私たちの先輩たち国民が、庶民が努力した結果が、洪水を起こす数を減らすとか、危険を低減させていると思います。
 カスリーン台風が来たころ、私は5歳か10歳ぐらい、あるいは、カスリーン台風の後にもたびたび来ましたが、私が住んでいた埼玉県の見沼田んぼでも、稲や野菜が冠水して被害がありました。それもこれも一応やっぱり戦時中の徴兵された若い人たちが少なくなっちゃって、農家の人も大変な苦労をしてということがまず第一番の原因だと思います。それで、その結果、山が荒れて、東武日光線の橋脚に流木やごみが溜まっちゃったというのが第2の原因で、結果と原因が全然違うんですよね。
 ですから、原因をちゃんと突きとめないで、現場に八ッ場ダムをつくればなくなると、洪水はなくなるということは到底考えられない。こんな状況なんですけれども。
 それから、東京では地下水を捨てていると、水余り現象ですよね。何度もここでもってほかの人が説明されておりますけれども、その地下水を捨てていると。上野駅では地下水が上昇してきているもんですから、駅そのものが浮き上がっちゃって、それをアンカーボルトでとめているという新聞記事とかテレビニュースなんかで見ております。そんな水余り現象の中で、さらに八ッ場ダムをつくるというのは到底理解しがたいというのが庶民の心です。こんな無駄なことは止めてほしいと思います。
 つまり、ここにも書いてありますが、都市の洪水対策のダムを造る理由が無くなったんです。その結果、重要な遺跡も埋没してしまいます。ダムを造った下久保ダムの下流のような状態、水量が減って、それで、雑木、雑草が生い茂り、三波石なんかが見えにくくなっちゃっていると、無残な姿。あるいは、草木ダムではアオコが発生して、それを飲用としている下流の人、渡良瀬川の下流の人たちは水道水として利用しておりますと。これはちょっと八ッ場とは関係ない話かもしれませんけど。
 以上、ここまででお答えしていただきたいと思います。
【議長】 ちょっと整理させていただきますと、まず最初のご質問が、十数センチの効果だとすると、八ッ場ダムみたいなものが11基ぐらい要るんじゃないかという……。
【公述人(備藤)】 10基ぐらいで。
【議長】 10基ぐらい要るんじゃないかというご質問についての、というご質問ということでいいですか。
【公述人(備藤)】 どこへ造るんですか、できるんですか、そういう場所があるんですかと。
【議長】 どこにつくる。はい。もともとのご質問からいくと、直ちに工事を中止してくださいというものに関連してのご質問かと思いますけれども、それについてお答えしていただけますでしょうか。
【起業者(小宮)】 八ッ場ダム工事事務所の……。
【公述人(備藤)】 ヤマダさんですか。
【起業者(小宮)】 いや、八ッ場ダム工事事務所の小宮と申します。
【公述人(備藤)】 コミヤマさんですか。
【起業者(小宮)】 小宮と申します。小宮と申します。
【公述人(備藤)】 小宮さんですか。
【起業者(小宮)】 はい。よろしくお願いします。
【公述人(備藤)】 失礼しました。小宮さんですね。
【起業者(小宮)】 はい。よろしくお願いします。
【公述人(備藤)】 どうしても耳がちょっと複雑になっちゃって、聞き取れなくてごめんなさい。失礼しました。はい。お願いします。
【起業者(小宮)】 まず、ちょっと今、まず、その10基でしたっけ、11基でしたっけ。
【公述人(備藤)】 10基と私は聞いております。
【起業者(小宮)】 ちょっと事前の図、ご質問ということでは、その具体的なものはなかったと思うのでございますけれども、利根川の基本方針、整備計画等ありますけれども、それに従いまして、今後、必要が、ちょっとお待ちくださいね。新規の洪水調節、ちょっと専門的になって申しわけありませんけれども、八斗島上流の洪水施設というふうになりますけれども、烏川とか、あと、そういったもののダムの再編で容量を再編し、これらでも不足する場合には、新規の洪水施設で確保するというようなことになりますけれども、具体的な方針につきましてはまだ検討中というようなことで、具体的にお答えすることはできません。
【公述人(備藤)】 でも、簡単なことだと思うんですよ。十数センチということはきのうから言われていますよね、流量が増えるの。しかし、ゆとり分が4メートル分もあると。そういう状況の中で、あと10基というのは、普通の人が庶民が考えたって、あなたが答えられない内容のことをあなたに提起しているわけじゃないんですよね。普通の感覚なら-155- ば、あるとかないとか、造れるとか造れないということは簡単に答えられるんじゃないで すか。
【議長】 ご質問ということで。
【公述人(備藤)】 ええ。
【議長】 長期計画、基本方針と整備計画という関係もあるのかもしれませんので、今のなかなか質問で、あるか、ないかという答えはなかなかしにくいのかもしれませんけども、そこのあたり、もう少し長期的な計画と河川整備計画との関係ということをお答えいただくのかなと思いますけれども。
【起業者(土屋)】 土屋と申します。
【公述人(備藤)】 土屋さんですか。
【起業者(土屋)】 はい、そうです。先ほど、10基ぐらいというふうなお話がありましたけれども、10基について、この当時、誰がどのような根拠で申したかというのが… …。
【公述人(備藤)】 よく聞き取れなくてごめんなさい。
【起業者(土屋)】 10基ということについて、この当時、誰がどのような根拠で言ったかというのは、ちょっと私ども、不明ですので、この10基ということについてはわからないというところでございます。ただし、利根川につきましては、利根川整備方針と利根川整備計画がございますので、その計画に沿って安全に、国民の生命財産を守れるように適切に対応していきたいというところで、この10基ということについてはちょっとここではわからないということでございます。
【公述人(備藤)】 そうですか。
【起業者(土屋)】 はい。
【公述人(備藤)】 それでは、前橋の洪水ですね。赤城山から来た氾濫ということは、利根川に直結しないと、八ッ場ダムを造れば、それでとめられるものじゃないということは理解できますか。イエスかノーで答えてください。
【議長】 もともとのご質問の要旨にない点ではありますけれども、質問の趣旨はわかりました?
【起業者(小宮)】 ちょっと申しわけない。ちょっとよくわからなかったんで、申しわけありません。失礼なんですが。
【議長】 前橋の。すいません、もう一度。
【公述人(備藤)】 赤城山の白川が氾濫して、前橋のほうまで洪水が起きたと。いろんな人が、もう前橋市民なら、旧市民ならほとんどの人が知っていることですよね。その場所、赤城山ですよね。八ッ場ダムというのは吾妻郡ですよね。ですから、それが利根川とどういうふうに、八ッ場ダムをつくることによって、赤城の氾濫が抑えられるかどうかということです。
【議長】 ご趣旨は、吾妻のほうと赤城山のほうは場所が違うので、赤城山の前あったような洪水については、八ッ場ダムができても防げないのではないかというご趣旨だと思います。ご回答願います。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。八ッ場ダムにつきましては吾妻川から下流の、それと、あと、利根川の下流域の洪水を防御をする施設でございますので、その赤城山というのは別の流域かと思いますけれども、そういったところの洪水を防御するという施設ではございません。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(備藤)】 理解できないですね。赤城山から出た洪水と八ッ場ダムでそれをとめることができるというふうに、きのうの……。
【議長】 今、できませんというお答えだった。
【公述人(備藤)】 できませんと答えたと。
【議長】 はい。
【公述人(備藤)】 答えができないという意味ですか。
【議長】 はい。できないというお答えだったと思います。
【公述人(備藤)】 そうですか。それ、できないということは、できるようになったら、教えてください。そのときで結構ですから。
 あとは、私は次の世代が背負う負担をよく考えてもらいたいと。私が国交省に提出したときは1,000兆円は、その後の新聞の記事によりますと、国の借金が1,232兆円、今日ではおそらくもう何兆円も増えていることかと思うんですけれども、これだけの借金は誰が負担し、どういうふうに払ったらいいんですかね。
 八ッ場ダムのことを止めれば、何千億円か、1兆円ぐらいは浮いてくるかと思うんですけれどもね。そういうものを、教育とか福祉とか、あるいは、水道料金に転嫁させるものを少なくできると思うんです。その点、お答えいただきたいと思います。
【議長】 国の財政全般のことにお答えしてくださいというのもなかなか難しいかもし-157- れませんけれども、予算を通じて、つくる、八ッ場ダムをつくる意味があるのかというご 質問としてお答えいただければと思います。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。ちょっと今、議長から申されましたように、ちょっと国の全体予算についてお答えする立場ではございませんが、八ッ場ダムについて、そういったかかる予算については適切に執行していくという所存でございます。
【議長】 そういう必要がある事業ということですか。
【起業者(小宮)】 そうです。はい。
【議長】 では、すみません、公述を続けてください。
【公述人(備藤)】 ちょっと納得しがたいんですけどね。財務省の方じゃないから、直接は、その1,000兆円、1,232兆円ということについてはお答えしにくいのかもしれませんけれども、これ以上借金は重ねないように、国交省のほうでもいろんなことで努力してほしいという願いからです。
 じゃあ、その次に行きます。国交省では、奇想天外な前提を提出していると。八ッ場ダムで、当初は治水のためということで八ッ場ダムは計画されたと思うんですけども、その点はいかがですか。
【議長】 これも要旨にはありませんけれども、もともと八ッ場ダムは治水目的で計画されたダムですかというご質問。
【起業者(小宮)】 おっしゃるとおり、八ッ場ダムにつきましては、利根川の治水の施設として、治水の必要な施設としてつくって、計画、建設していく事業でございます。
【公述人(備藤)】 簡単に答えてください。時間がもったいないですよ。私の時間が、時は金なりです。よくかみしめていただきたいと思います。
 それから、造成地や、八ッ場ダム、できてほしくないんですけどね。残された人たちのためには、しっかりした安心して暮らせるような対応は国交省としてもとってほしいと思うんです。この点についてお伺いします。
【議長】 これも要旨にはございませんけれども、多分、安心して暮らせるような対策ということだと思いますけれども、起業者側から。
【起業者(土屋)】 八ッ場ダムの建設に伴いまして、地すべりの発生とかそういうものがないように安全な措置を講じていきますし、ダム建設に伴って環境に影響を与える場合は、それなり、それぞれの措置をとってまいります。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(備藤)】 解りました。それでは、最初のころに質問していました秩父のダムとかで、これ、地すべりで大変ですよ。大きな井戸を掘って集水して、それを地すべりしないようにダムのほうに水を流しております。それから、私が歩いて、私たちが歩いてきた利根川の堤防なんかは、歩いてその現場を見たことがありますか。
【議長】 ご質問の、歩かれたところがどこかというのがちょっとよくわからない部分があるんですけれども。秩父のダムとか、利根川の堤防の状況を見たことがあるのかというご質問かと思います。
【起業者(土屋)】 お答えします。秩父のダムというのはちょっとどこかわからないんですけれども、秩父市内にある二瀬ダムにつきましては関東地方整備局が管理しております。
【公述人(備藤)】 今も地すべりが続いているようですね。たしかダムの名前が滝沢ダムと二瀬ダムだったでしょうかね、私たちが見てきたのは。そこでは大きな工事をして、維持費も大変かかっているそうです。そのようなことが八ッ場にも起こるんじゃないかということでお尋ねしているんですけれども。
【議長】 これも要旨にありませんけれども、秩父の2ダムと同じような地すべりが、秩父の2ダムが地すべりが起こったかどうか、了知していないんですけれども、それと同じような地すべりが八ッ場ダムでも起こる危険性はないのかというご質問だと思います。
【起業者(土屋)】 地すべり対策につきましては、試験湛水前に必要な対策を講じるという予定でございます。
【議長】 続けてください。
【公述人(備藤)】 実際、工事の途中で早い段階で、旧の川原湯温泉駅前に地崩れしましたよね、地すべり。国交省の事務所も腰ぐらいまで土砂が来て、国道やJRの旧の温泉駅もとまっちゃいましたよね、止まっちゃった、列車が止まっちゃってた。トラックも通行できなくなっちゃった。そういうような工事があったわけですよね。今後ともそういうふうな崖崩れが起きないとは限らない。ほかにもそういう箇所がありますよね。時間がないので、その点は省略しますけれども、十分な対策をとってほしいと思います。お答えください。
【議長】 ちょっと重ねてのご質問ですが、今のご質問、突き詰めると、ちゃんとしたほんとに地盤対策をとってくれるのかということかと思いますけれども、お答えいただけますか。
【起業者(土屋)】 地すべり、それから、土石流対策等につきまして、ダムに影響を与えないように、地域住民の方に迷惑をかけないように、対策を講じてまいります。
【公述人(備藤)】 そうですか。
【議長】 公述を続けてください。
【公述人(備藤)】 それでは、やはりこういうことを考えると、安心して暮らせるためには、ダムは即刻中止することです。これ以上もう金かけないでくれとの思いです。お答えされなくても結構です。
 それから、2月8日幾つかの新聞の見出しだけ紹介しておきます。東京新聞は、ダム想定、これですが、全国の4分の1、「八ッ場は本体着工、大丈夫。」それから、「近隣ダム85%埋まった。国の堆砂見込み、疑問」と。「上流に火山があり、土地が流入しやすいと、土砂が流入しやすい」と。同日の朝日新聞では、「移転代替地などの工事現場で環境を超える有害物質が検出された問題が判明した」と。同日、上毛新聞には「道路下の変質原因、安全性に問題なし」と。「八ッ場ダム、バイパス段差や亀裂については県は道路下の変質が原因した」と。鉄鋼スラグのせいじゃないと言わんばかりの見出しだったと思います。道路や構築物には鉄鋼スラグは使用されています。鉄鋼スラグには有毒なヒ素や六価クロムが含まれていると。
 この件について、東京だったでしょうね、六価クロムだったと思いますけども、鼻中隔穿孔で問題になったことがありますよね。あなた方は生まれてなかったかな。そのくらい前ですけどね。大きい記事として新聞に載りましたよ。このごろやってないけども。ですけど、そういった工場跡地とか何かであちこちでもってそういう問題が起きていますよね。
 こういうことについてはもうほかの方が質問し、答えられているから、お答えはいいと思いますけれども、そういう問題があるということをしっかり把握してください。お願いします。
 そして、上毛新聞の後か、地すべり対策について、従来の3カ所に加え、新たに8カ所ですかね。それから、沼田市民や、はい、同新聞社の読者の声として「風光明媚な八ッ場ダムを残して、幻のダム計画に怒り。15歳のY君は、沼田ダムのことについて沼田市民や群馬県の反対により計画が中止されたということを、この話を聞いたとき、怒りを覚えた」と。15歳の少年がですよ。そして、今までにもダムが中止になったのは県内でも倉渕ダム、増田川ダムもつい最近、中止になりましたよね。八ッ場ダムも今こそ即刻中止すべきだと思います。この点についてはどうですか。即刻中止できますか。
【議長】 回答願います。
【起業者(小宮)】 お答えいたします。八ッ場ダムは治水、利水に必要な事業と考えておりますので、継続していくことが妥当と認識しております。
【公述人(備藤)】 あなたは必要だと考えているんですね。国交省の考えで、私は無理で無駄で、ダムの基底というんですかね、あそこの地質が悪いと、地層も悪いと、脆弱な土地だということを考えたら、とてもじゃないけど、ああいうところにダムはつくれないと、造っても無駄だと。多くの学者や専門家、特に専門家というのはお雇い専門家みたいなので、政府の言いなりになるような人だけが集まっているような気がします。
【議長】 時間になりましたので、まとめていただければ。
【公述人(備藤)】 大体私が主張したいことは以上でございます。それを踏まえて、最初の質問なんかで、そうですね、住民の意見をくみ取りながら、強制収用などすぐ実行しないでほしいと。安心して暮らせるように、そのためにはやっぱり即刻中止するしかないと思うんですけどね。何かほかに方法ありますか。
【議長】 ご主張としてお伺いしましたので。では、公述をもう終えていただけますでしょうか。
【公述人(備藤)】 今の、お答えいただいてないんですけども。
【議長】 今のはもう、大分時間が過ぎておりますので、すいません、もう私からまとめてくださいと言った後での質問でしたので、ご遠慮願います。では……。
【公述人(備藤)】 それは残念ですね。
【議長】 すいません、ありがとうございました。 では、降壇願います。
【公述人(備藤)】 ありがとうございました。
          (公述人・起業者降壇)
【議長】 それでは、16時ちょうどまでの間、休憩といたします。
          ( 休 憩 )

【市民オンブズマン群馬・この項続く】

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