市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

安中市松井田町の分譲地の市道舗装工事に係る住民監査請求

2008-02-21 01:31:00 | 困ったちゃん岡田義弘・元市政
■安中市の岡田市長が、平成20年2月15日(金)午後7時から、岩野谷公民館で開催された地区市政懇談会で、当会事務局長に対して「住民監査請求なんか怖くねぇや」と語りましたが、この「住民監査請求」について、その内容を説明します。

当会の事務局長が代表を務める市民オンブズマン群馬の事務局に、平成19年2月16日、一通の告発メールが届きました。最近の世相を反映して、オンブズマンの事務局には平均毎週1件の告発や相談が寄せられていますが、このときの告発メールは安中市の事案のため、当会の事務局長が対応することになりました。

告発メールは次の内容です。
**********
Sent: Friday, February 16, 2007 11:18 PM
Subject: 税金の無駄!
はじめまして。 突然ですが、税金の無駄使いを至急やめさせて下さい。
安中市に40年住む者です。 その安中市から発注の公共工事で、とても無駄な工事が発注され、既に地元の建設会社が落札しています。

平成18年12月22日執行分
市道95447号線(川久保支線)道路維持工事 (株)飯沼組 3,030,000

上記の工事は、2路線分を一つの工事で発注してます。 その一つは家が無い梅林の中の幅3.0m弱の道路をアスファルト舗装をする工事です。 その先は深い水路があり非常に危険ですが今回の工事ではそこまで舗装はしないようです。 実に変です。
もう一つは、奥が行き止りで合併前の町長選挙で、合併反対派の選挙事務所でした。(選挙で当選)
その隣接する土地の所有者の一人は元町議会議員で、今分譲造成工事中です。 もう一人は不動産屋が所有していて分譲の計画があるらしいです。
いくら市道とはいえ、家が一軒もない道を舗装してどうするのか?家ができ住んでみて不便ならその時工事をすればいいと思いますが・・・納税者の一人として、どうしても納得いきませんのでメールしました。
もっと道が悪くて危険な道路は沢山あります。 お忙しい所誠に申し訳ありませんが、是非早急に対応願いたく思います。 ちなみに市の職員は、「オンブズマンが騒ぐから・・・」と事あるごとに口にします。
そんな税金泥棒を是非無くして下さい。 がんばって下さい。 応援します。

■かなり具体的な内容なので、まずは事実関係を確認するために、平成19年2月23日に、次の内容で安中市長宛に、行政文書開示請求を行いました。
************
開示請求に係る行政文書の内容又は件名:
平成18年12月22日執行分の市道95447号線(川久保支線)道路維持工事にかかる一切の関係行政文書一式(陳情書、庁内審議録、予算審議録、地元説明会議事録、地元区長同意書、入札調書、工事関係図面、などの情報文書を含む)

■この結果、工事に関係する書類のいくつかが開示され、告発の内容の裏付けがある程度できたので、平成19年9月25日に住民監査請求を行ないました。
**********
安中市職員措置請求書
安中市長に関する措置請求の要旨
1 請求の要旨
第1 対象行為
平成18年12月22日執行分の市道95447号線(川久保支線)道路維持工事
第2 不当・違法の理由
効果のない事業に対する公金支出(地方自治法2条13項違反)である。
対象行為は、2路線分を一つの工事で発注されている。その一つは家が無い梅林の中の幅3.0m弱の道路をアスファルト舗装する工事であり、もう一つは、奥が行き止りの場所である。現場の一角の土地は不動産屋が所有していて分譲中である。(事実証明書1)
いくら市道とはいえ、家が一軒もない道を公費で舗装工事等をすることは、明らかに市民にとっても不要な工事である。まさに分譲地造成のための工事であり、公私混同も甚だしい。
このような工事に公金を支出する事は、「地方公共団体は、その事務を処理するにあたって、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と規定した地方自治法2条14項に反し、不当・違法である。
第3 回復不可能な損害発生
すでに同工事に関する公金支出が計上されており、無駄な支出が確定している。
第4 監査委員に求める措置
安中市監査委員は、安中市長に対し、違法な工事に支出した303万円の全額返還を命じること。
2 請求人
  住所  安中市野殿980番地
  職業  会社員
  氏名  小川 賢 印(自署捺印)
地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。
 平成19年9月25日
 安中市監査委員あて
【事実証明書】
1市道95447号線(川久保支線)道路維持工事の現場写真
2対象行為に関する情報
①陳情書及び地元区長同意書(工事施工申請書)
②庁内審議録及び予算審議録(平成18年度当初予算箇所別内訳)
③工事関係図面
※このほか入札調書があると思うが、おそらく価格も揃っていて、落札率も高いことが推測されるため談合の形跡があるものと思われる)

■平成19年9月27日に住民監査請求は安中市監査委員に受理されました。同年10月31日に次の要旨で陳述を行ないました。
**********
平成19年10月31日 於:安中市監査委員室
住民監査請求に係る陳述メモ
今回の安中市職員措置請求にかかる不当・違法の理由
平成18年12月22日執行分市道95447号線(川久保支線)道路維持工事 (株)飯沼組 3,030,000
本件請求は、地元住民からの情報に基づき行なわれる。
本件工事は、効果のない事業に対する公金支出であり、地方自治法第2条第13項に違反。
上記の工事は、2路線分を一つの工事で発注。その一つは家が無い梅林の中の幅3.0m弱の道路をアスファルト舗装する工事。その先は深い水路があり非常に危険だが、今回の工事ではそこまで舗装はしない。もう一つは、奥が行き止りで、合併前の町長選挙では選挙事務所だったところ。その隣接する土地の所有者の一人は元町議会議員で、今年の春まで分譲造成工事中。もう一つは不動産屋が所有していて分譲の計画があるらしい。いくら市道とはいえ、家が一軒もない道を舗装してどうするのか。家ができ、住民が住んでみて不便ならその時工事をすればいいと思うが・・・納税者の一人として、どうしても納得がいかない。もっと道が悪くて危険な道路は沢山ある。最近の工事場所についての現地写真を参照。
地元住民として、分譲地造成工事の一環として施主の費用で舗装していたのかと思っていた。あの土地について聞いている範囲では、元町議会議長櫻井賢重氏の土地で、以前に、町の給食センター用に売りつけようとしたが、隣に衛生業者が出来ると言うことで失敗。西隣は元市議吉沢兆八氏が所有する土地で、宮下前松井田町長が選挙事務所に借用。吉沢氏、櫻井氏、森崎区長の熊谷氏は、何れも旧安中市との合併反対派であった。熊谷氏については、不正の片棒を担ぐような人物ではないが断り切れなかったものと推測される 。
現地を歩いてみると、石垣の下の道は思ったより広くて、軽トラが楽に通れる。石垣の奥の水路の手前まで数十mは舗装されている。通称「弁天坂」の沢側の手すりは、坂の取っ掛かりから上まで取りつけてあるようだ。人通りは少ないが、手すりについては安全上の効果から、ある程度の公益性があるかもしれない。
新たに判明したことは、分譲業者が豊岡住宅。ホームページでは、表向きは女社長のようだが、暴力団に関係しているとの噂がある会社。隣接地の承諾無しに、盛り土をしたり壁を造ったりしたトラブルを耳にする。梅林の不動産屋についての情報はわからない。
本件工事は、予算超過。この予算超過については、余分な舗装工事をやらされて、予算が超過した可能性がある。石垣を施工したのが、誰なのかも確認する必要がある。入札結果も不自然で、落札率も高いため、工事費の水増しと、業者による談合の可能性が高い。また、分譲地以外の奥の市道の両側の畑の地権者も、本件工事の受益者と思われるので調査が必要。この分譲土地については、地権者の櫻井氏が、農審除外をするのに苦労した場所らしい。合併前に申請したようだが、旧松井田町では農審は除外できなかったようだ。安中市になったら素直に書類が通過したらしい。
政治力をつかって、公金の公正な支出に対する判断を歪めるこうした事例は、遺憾ながら他にもいくつか見受けられる。請求人が知る範囲として、岡田市長自宅前の、交差点に面した三角形の駐車場。早川元市議自宅前の橋の架設など。

■きちんと調査の上、安易に請求棄却をしないよう、2名の監査委員にはきちっとクギを刺しておいたのですが、その時は殊勝に頷いていた監査委員でしたが、なんのことはなく、平成19年11月16日付けで監査結果通知が届き、あっさりと棄却されました。
**********
安監発 第15424号
平成19年11月16日
請求人 小 川   賢  様
安中市監査委員 猿 谷 祐 康(公印)
安中市監査委員 田 中 伸 一(公印)
安中市長に関する措置請求に係る監査の結果について(通知)
平成19年9月26日付けをもって提出された、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項の規定による請求について、同条第4項の規定により監査を行ったので、その結果を次のとおり通知します。

第1 請求の受理
本件請求は、所要の要件を具備しているものと認め、平成19年9月26日付けで受理した。
第2 請求の要旨(原文のとおり)
1 対象行為
平成18年12月22日執行分り市道95447号線(川久保支線)道路維持工事
2 不当・違法の理由
効果のない事業に対する公金支出(法第2条第14項違反)である。
対象行為は、2路線分を一つの工事で発注されている。その一つは家がない梅林の中の幅3.0m弱の道路をアスファルト舗装する工事であり、もう一つは、奥が行き止まりの場所である。現場の一角の土地は不動産屋が所有していて分譲中である。
(事実証明書1)
いくら市道とはいえ、家が一軒もない道を公費で舗装工事等をすることは、明らかに市民にとっても不要な工事である。まさに分譲地造成のための工事であり、公私混同も甚だしい。
このような工事に公金を支出する事は、「地方公共団体は、その事務を処理するにあたって、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と規定した法第2粂第14項に反し、不当・違法である。
3 回復不可能な損害発生
すでに同工事に関する公金支出が計上されており、無駄な支出が確定している。
4 監査委員に求める措置
安中市監査委員は、安中市長に対し、違法な工事に支出した303万円の全額返還を命じること。
第3 監査の実施
本件請求について法第242条第4項の規定により、次のとおり監査を実施した。
1 監査対象事項
請求書に記載されている事項、請求人が証拠として提出した事実証明書、請求人の陳述を勘案して、法第242条第1項に規定する財務会計上の行為に該当するか監査をした。
2 事情を聴取した職員
松井田支所 産業建設課長ほか1名
3 清求人の証拠の提出及び陳述
法第242条第6項の規定により平成19年10月31日請求人に対し、証拠の提出及び陳述の機会を設け陳述を受けた。
第4 監査の結果
本件請求については、合議により次のとおり決定した。
本件請求は、これを棄却する。

以下、事実関係の確認、関係職員の説明及び棄却の理由について述べる。
1 事実関係の確認
監査の結果、請求書に記載されている事項、請求人が証拠として提出した事実証明書、請求人の陳述に関して次の事項を確認した。
(1)平成18年12月22日執行の市道95447号線(川久保支線)道路維持工事について
(2)不当・違法の理由について
(3) 措置請求事項、第3、第4について
2 請求人の主張と松井田支所産業建設課長の説明
(1)平成18年12月22日執行分の市道95447号線(川久保支線)道路維持工事の実施について
産業建設課長は、この道路維持工事は、平成16年8月19日付けで八城東区長及び森崎区長からの陳情(工事施工申請書)を受け、平成18年度一般会計当初予算に200万円計上し、その後追加補正を行い工事を執行した。
平成18年11月30日起工伺(設計額336万円)をし、決裁後、入札を入札執行委員会に依頼した。
平成18年12月22日、5社による指名競争入札が執行され、最低価格業者㈱飯沼組が303万円で落札した。
落札率は90.18%である。
また、工事施工中、雨水処理に不具合が生じた為、27万円増額の設計変更(横断勾配の調整からコンクリートの雨水止)をし、平成19年3月20日に工事が完成した。
請負金額は合計で330万円であると説明している。
(2)不当・違法の理由について
①請求人は、不当・違法の理由を効果のない事業に対する公金支出(法第2条第14項違反)であると述べている。
対象行為は、2路線分を一つの工事で発注している。その一つは家が無い梅林の中の幅3.0m弱の道路をアスフアルト舗装する工事であり、もう一つは奥が行き止まりの場所である。現場の一角の土地は不動産業者が所有し、分譲中である。いくら市道とはいえ、家が一軒もない道を公費で舗装工事等する事は、明らかに不要であり、まさに分譲地造成の為の工事である。このような工事に公金を支出することは、法第2条第14項に反し、不当・違法である。また、陳述の際、この分譲土地ついては、地権者が農審除外をするのに苦労したらしいとも述べている。
これに対し、産業建設課長は、二路線(市道95447・95490号線)を一度に執行したほうが経費削減につながり、一般的である。市道95447号線は平成5年3月31日、市道95490号線は平成14年3月27日付けで市道認定され、市道台帳に登載されている。市道95447号線は、松井田駅を利用する学生や高齢者等が生活道路として利用している為、一部舗装し、転落防止柵を設置したものである。また、市道95490号線は、旧道路を整理交換し、市道のみ舗装したものである。なお、この地域は農業振興除外区域であると説明している。
②陳述の際、請求人は、本工事は、余分な舗装工事をやらせて、予算が超過した可能性が高い。石垣の施工者が誰なのかも確認する必要があると述べている。
これに対し、産業建設課長は、舗装工事については、当初の設計書どおりの施工である。分譲地に付随する石垣、舗装工事、側溝整備等は不動産業者が自費工事で施工したものであると説明している。
(3)回復不可能な損害発生・監査委員に求める措置について(工事費303万円と主張していること)について
請求人は、安中市監査委員に対し、安中市長が違法な工事に支出した、303万円の全額返還を命じるよう述べている。
これに対し、産業建設課長は、303万円は入札結果であり、その後工事変更し、請負金額は合計で330万円で消費税を含めると346万5千円であると説明している。
3 監査委員の判断
以上、事実関係の確認、産業建設課長の説明を総合して、以下判断について述べる。
(1)請求人は、監査委員が安中市長に対し、違法な工事に支出した303万円の全額返還を命じることを主張しているので、これについて判断する。
市道95447号線は、,松井田駅を利用する地域住民の生活道路であるので一部舗装し、転落防止柵を設置したものである。また、市道95490号線は、旧道路を整理交換し、市道のみ舗装したものであり、違法・不当な公金支出に該当しないと判断する。よって、安中市長が第2条第14項による調査、是正措置を怠ったことが起因して安中市に損害を与えたものとは言えない。
(2)請求人は、入札結果が不自然で落札率も高いため、工事費の水増しと業者による談合性が高いと主張しているのでこれについて判断する。
入札執行については、公正、透明な入札が執行されており、業者間での談合は考えられない。
また、工事は設計書どおり施工されており水増しはないと判断する。
以上のことから、本件請求について住民監査請求の対象となる安中市の財務会計上の行為に該当するものと認められず、損害賠償の措置勧告をすることは妥当でないと判断する。

■あっさりと棄却されたことから、この告発情報は相当核心を突いたものだと判断できます。地元松井田のひとたちは、一軒もまだ建物が建っていない宅地分譲地に接する道が突然舗装されたので、てっきり宅地開発業者が整備したと思っていました。ところが、実際には、安中市が、そこは認定市道だから舗装したというのです。しかし、古くから市道として使われている路地でも、舗装がぼろぼろな場所は市内に山ほどあります。なぜ、宅地開発業者の分譲地の脇の枝道や行き止まりの道を優先的に舗装してもらえたのか、極めて不可解な事件です。こういう事例は、きっと皆さんの身近なところにも、たくさん転がっているはずです。
安中市監査委員が棄却してくれたおかげで、今後住民訴訟の道も開かれたことになります。棄却通知日から半年間は住民訴訟が可能なので、平成20年5月16日まで対処方針はじっくり検討することにして、今後も、こうした内部告発があった場合、その内容が事実であれば、積極的な対応をしていきたいと思います。
従いまして、身近なところで、行政の税金の無駄遣いを見聞きしたら、市民オンブズマン群馬事務局、若しくは当会のブログトークにどしどし情報提供ください。もちろん、情報提供者の秘密はかたく厳守いたします。

【市政をひらく安中市民の会】

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