市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【スクープ】長野高専石原祐志前校長就任・退任の裏事情…実はあの日本中激震の大事件と連動していた!?

2019-12-31 18:57:00 | 【出張!オンブズマン】長野高専の闇
■2016年4月に長野高専校長に着任してからの3年間、数々の問題行動で同校とその関係者らに著しい混乱とモラル崩壊をもたらした、文科省天下り前校長・石原祐志氏。群馬高専の諸事件に対する当会の追及劇に勇気付けられた長野高専関係者らからの告発を受けて、2018年度から当会が追及調査を始めていたところ、石原氏は今年(2019年)3月末に突如校長職を辞して、理研の名ばかり部長職に流れていきました。

日本中を騒がせた有名人からこんな「友情の校長プレゼント」がなされていたかもしれない?

 その後、ひとつ大きな謎が残されました。それは、「なぜ石原氏の校長退任が成ったか?」という疑問です。

 というのも、天下り高専校長は、出世競争を降り天下り渡り鳥生活を送る文科官僚にとってひとつの終着駅であり、定年まで居座るのが常です。そして定年前の退任というのは、裏で起こっていた並々ならぬイレギュラー事案の存在を匂わせます。類例として、群馬高専の西尾前校長も同様に定年前の本省窓際への更迭(事実上)になっていますが、西尾氏の場合はアカハラに、連続自殺に、隠蔽に、と大事件を起こし続けて大炎上のあげくメディア報道までされてしまったという、あからさまな「事情」があります。

 しかし石原氏の場合、2018年度から当会による追及が始められてはいたものの、報道沙汰まではとても至っていないレベルであり、明らかに事情が異なります。オンブズマンによる追及が致命傷になったと能天気に解釈するにはどうも不自然です。

 退任直前の石原氏の様子を知る内部関係者によれば、校長の椅子に相当未練タラタラだったようです。であれば強引に定年まで居座ればよかったものを、それが許されない相当な事情が裏にあったことが伺われますが、見当もつきません。

■当会がその「裏事情」の推理に詰まっていたところ、思いもよらない衝撃的な情報提供が飛び込んできました。

 なんと、石原氏の退任劇は、2018年の夏に日本中を揺るがしたあの一大スキャンダル……文科省幹部による東京医大裏口入学問題と連動していた、というのです。

 衝撃の真相の概略は次の通りです。
●受託収賄で逮捕された文科省幹部の佐野太が、実は石原の早稲田大学での同輩かつ入省同期の「お友達」であった。
●そもそも無能極まる石原が長野高専校長の椅子を貰えていたのは、文科省のトップ級幹部まで登り詰めていた佐野太の強権と後ろ盾によるものであった。
●2018年7月の佐野太の失脚により、自動的に石原も校長の座を追われた。

……というのが、どうやら事の顛末のようです。

■当会でも当時、文科官僚の腐敗の象徴として東京医大裏口入学事件を大きくブログで取り上げていましたが、まさか日本中を揺るがせたこの事件と、目下深刻なローカルマターとして取り組んでいる長野高専の問題という2つの件が連動していたとはよもや思いもよらず、真相を知った際は仰天してしまいました。

 なお、文科省の元科学技術・学術政策局長の佐野太による東京医大裏口入学事件の顛末と発覚・逮捕当時の報道記事については、以下のブログ記事にまとめておりますので、当該事件の事実関係を把握したい読者はこちらも合わせてお読みください。
○2018年7月5日:補助金と天下りで教育行政を歪める文科省の官僚とそれに順応して教育の本質を見失った学校組織のトップ
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2686.html

 しかも、この話が本当であれば、退任はもちろんのこと、事の発端である長野高専校長就任から、佐野太のせいであったということになります。佐野太のあまりにくだらない縁故主義のゴリ押しのせいで、長野高専関係者は味わわなくてもよかった地獄を味わわされたことになります。

■それでは、実際に事実関係を検証してみましょう。手始めに、両者の経歴を見比べてみます。年表示は便宜上すべて西暦で統一します。

*****【佐野太(さのふとし)】*****
1959年 山梨県甲州市(旧塩山市)生まれ 日川高校出身
【最終学歴】早稲田大学大学院理工学研究科修了(土木専攻)
★1985年4月 科学技術庁 入庁
1991年 科学技術庁 原子力局政策課長補佐
1993年 米国スタンフォード大学 留学(経済政策研究センター)
1996年 外務省 在連合王国(英国)日本大使館一等書記官
2000年 科学技術庁 科学技術政策局企画室長
     内閣府 科学技術政策担当大臣(笹川堯、尾身幸次)秘書官
2002年 文部科学省 大臣官房評価室長
2004年 早稲田大学 客員教授(非常勤)
     高等教育局主任大学改革官(教員養成担当)
2005年 高等教育局私学部参事官(私立学校法人担当)
2006年 研究振興局 研究環境・産業連携課長
2007年 山梨大学 学長特別補佐/教授
2008年4月 山梨大学副学長に昇進
2009年7月 研究開発局宇宙開発利用課長
2010年7月 科学技術・学術政策局政策課長
2012年8月1日 官房政策課長
2012年12月14日 官房総務課長
2013年7月8日 会計課長会計課長
★2014年1月17日 官房審議官(高等教育局担当)
★2016年1月1日 総括審議官

2016年6月21日 文部科学省官房長に就任
2017年7月12日 科学技術・学術政策局長
★2018年7月4日 受託収賄の疑いで逮捕(2018年2月の息子の大学合格と引き換えに、東京医科大学に対して、官房長時代の2017年5月に私立大学研究ブランディング事業に関する便宜を図った容疑)。同月24日起訴。
**********
【参考URL↓】
https://sangakukan.jst.go.jp/journal/center_contents/author_profile/sano-f.html
https://relocation-personnel.com/?s=%E4%BD%90%E9%87%8E%E5%A4%AA



*****【石原祐志(いしはらゆうじ)】*****
昭和35年(1960年)10月22日生 聖光学院高校出身
【最終学歴】早稲田大学大学院理工学研究科博士課程(前期)修了(電気工学専攻)
★1985年4月 科学技術庁入庁
1992年12月 同 科学技術政策局調査課補佐
1994年4月 同 研究技術政策局調査課補佐
1996年1月 理化学研究所大型放射光施設計画推進部付調査役
1997年7月 科技庁原子力局研究技術科補佐
1998年6月 航空宇宙技術研究所企画室総括研究企画官
2001年1月 日本原子力研究所国際協力室課長
2001年3月 JICA専門家(科学技術政策)としてインドネシア共和国へ派遣
2003年4月 科政局原子力安全課保安管理企画官
2003年4月 内閣官房内閣情報調査室主任開発官
2005年4月 神奈川県企画部参事
2007年4月 筑波大研究事業部長
2009年4月 同 研究推進部長
2010年7月 日本学術会議事務局参事官(審議第二担当)
2013年7月31日 (独)放射線医学総合研究所総務部長
★2016年4月 長野高専校長
★2019年4月 理化学研究所科技ハブ産連本部科学技術ハブ推進部長

**********
【参考URL↓】
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/img/1561083568.jpg
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/img/1577592505.jpg

 というわけで、両名とも、早稲田大学大学院理工学研究科を修士で出て、1985年度に科学技術庁に同時入庁している同門同期の仲であることがわかります。

 このような「経歴の丸被り」というのは、どれほどの確率で起きるのでしょう。文部科学省あるいは旧科学技術庁の出身大学別の採用者数内訳について、さすがに1985年度当時のデータは見つかりませんでしたが、試しに遡れる限り古い採用データを漁ってみると、例えば平成21(2009)年度では、国I(現国家総合職)からの入省者全35名(事務系17+技術系18)のうちで、早大院出身はたった1名しかいないことがわかります。早稲田大学全体でみてもたった3名で、あとは他の旧帝大や慶應の出身です。
参考:文部科学省・文化庁「採用昇任等基本方針に基づく任用の状況(平成21年度)」
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/12/__icsFiles/afieldfile/2010/12/10/1300011_1.pdf

 百歩譲ってこの四半世紀前は採用傾向も多少は違ったのかもしれませんが、それでも当時は文部省と統合され文部科学省となる前の科学技術庁であり、当然採用規模もこれより小さかったはずです。とすれば、同じ早大院理工学研究科の出で、まったく同期の入庁となると、ほとんど唯一無二の存在であったはずです。当然、お互いの間に面識や繋がりが無いなどということは、まず有り得ません。

■そして、石原祐志を水面下で2016年度就任分高専校長として捻じ込んでいたとみられる2015年後半~2016年2月頃の両名の動きを見比べてみましょう。長らく本省から外れて外部機関の中間管理職や参事を渡り歩き、2015年度時点でも独法放射線医学総合研でくすぶっていた石原祐志とは対照的に、佐野太はちょうど官房審議官(高等教育局担当)から総括審議官(16年1月から)へと文科省のトップエリートへの階段を登り詰めつつあったことがわかります。

 しかもおあつらえ向きに、14年1月~15年12月末の官房審議官時代には、ズバリ高等専門学校を所掌する高等教育局(ちなみに高専は同局の専門教育課・高等専門学校係担当)を担当し、同局そして高専機構・全高専を簡単に左右できる立場にあったことがわかります。さらに、文科省職員の人事を司る大臣官房人事課も、「官房」繋がりで突っつくことができます。

 そうなると、石原の押し込み先として高専が選ばれたのは、ただ単に、「ちょうどいいタイミング」でちょうど佐野の目の前に転がってしまっていたから、という以上の意味はないように推察されます。こんな心底くだらない自分勝手と気まぐれで、長野高専とその関係者らは長い苦しみの下に置かれ続け、そして今も後遺症にあえいでいるというわけです。

 というわけで、状況証拠としてはまさにバッチリというほかありません。

■当会では、本件に関する更なる検証と事実確認をおこないたいと考えました。そのため、セオリー通り、高専機構と文科省に情報開示請求をおこなうことにしました。

 まず、高専機構に関しては、2016年度就任分高専校長の推薦・選考過程についての内部情報を求めることにしました。文部科学省については、後述のとおり、考え得るすべての関連文書をとりあえず開示請求してみることにしました。よって、2019年11月1日、高専機構と文科省に次の内容の情報開示請求書を同時提出しました。

*****11/1高専機構宛開示請求*****ZIP ⇒ ljisuyj.zip
平成28年度就任分の国立高等専門学校長の選考業務(当然平成27年度に行われたもの)について、関連機関への募集開始通知から最終的な全校長候補者内定にまでにかかる関連文書の一切(電子メール含む)。
**********

*****11/1文科省宛開示請求*****ZIP ⇒ 20191101sjisuyj.zip
2015年、貴省がその(元)職員である石原祐志氏を2016年度就任分国立高等専門学校校長候補者として独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「高専機構」)に推薦したことについて、以下の文書(電子メール等も含む)。

(1)推薦理由書等の作成日・作成部署、及びその最終チェックを行った当該部署責任者名がわかる情報。
(2)貴省または石原氏が高専機構に推薦書類等を送達した日付が分かる情報。
(3)2016年3月の内示以前に、高専機構から貴省または石原氏に対して、同氏が選考に通過した旨の通知がなされていた場合、その情報。
(4)貴省職員の佐野太氏が、2015年度内に作成した文書、および作成ないし受信した電子メールのうち、「石原」「祐志」「高専」「機構」「校長」「推薦」等の単語を1つでも用いたものの一切。
(5)旧科学技術庁の1985年4月入庁分採用者の出身大学・大学院の内訳がわかる情報(名簿や採用情報などが想定される)。
**********

 というわけで、文科省宛の情報開示請求では、2015年度に文科省が石原氏を校長に「推薦」した事実関係と佐野太の関与に関する情報(1、2、3、4)、及び石原・佐野の入庁同期の学歴構成を調査することにしました。

■すると、まずは12月9日付で高専機構からの開示通知が届きました。



*****
12/9高専機構開示通知*****ZIP ⇒ 20191209jm.zip
                           高機総第132号
                           令和元年12月9日

             法人文書開示決定通知書

市民オンブズマン群馬
  代表者  小川  賢  様

                 独立行政法人国立高等専門学校機構

 令和元年11月1日付けで請求のありました法人文書の開示について、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律第9条第1項の規定に基づき、下記のとおり開示することとしましたので通知します。

1 開示する法人文書の名称
  別紙のとおり

2 不開示とした部分とその理由
  別紙のとおり

=====別紙1 開示する法人文書の名称=====
 平成28年度就任分の国立高等専門学校長の選考業務における、募集開始通知から内定までにかかる一切の情報。

 1-1 国立高等専門学校長登用候補者の推薦について(依頼)(各高専宛)
 1-2 国立高等専門学校長候補者のご推薦について(依頼)(他機関宛①)
 1-3 国立高等専門学校長候補者のご推薦について(依頼)(他機関宛②)
 2-1 国立高等専門学校長登用候補者の推薦書(高専回答文)
 2-2 国立高等専門学校候補者の推薦について(回答)(他機関回答①)
 2-3 国立高等専門学校候補者の推薦について(回答)(他機関回答②)
 3-1 平成27年度独立行政法人国立高等専門学校機構校長選考委員会(第1回)資料
 3-2 平成27年度独立行政法人国立高等専門学校機構校長選考委員会(第2回)資料
 3-3 平成27年度独立行政法人国立高等専門学校機構校長選考委員会(第3回)資料
 3-4 平成27年度独立行政法人国立高等専門学校機構校長選考委員会(第4回)資料
 4-1 国立高等専門学校長候補者の内々定について(高専宛)
 4-2 国立高等専門学校長候補者の内々定について(他機関宛)
 4-3 国立高等専門学校長候補者の内々定の取り消しについて
 5   人事異動(国立高等専門学校長 内示)

【別紙2 「不開示とした部分とその理由」は省略(併載ファイルで各自ご確認ください)】
**********

 というわけで、募集・推薦・選考のプロセスに関する文書がそれなりの量開示されることはわかりました。相も変わらず不開示のり弁部分がやたら多いことは開示通知から悟りましたが、特に該当文書で佐野太の関与を直接示唆しているとも思われないので、今回は文書日付から当時のプロセスの時系列的なことが知れれば十分と考え、あえて目をつぶることにしました。

■これに遅れること数日、今度は文科省から12月11日付の開示通知が届きました。しかし、当会の情報開示請求では(1)~(5)で5点も請求したにもかかわらず、たった2点しか開示文書がありません。


*****12/11文科省開示通知*****ZIP ⇒ 20191214jmsm.zip
                        元受文科人第186号
                        令和元年12月11日

             行政文書開示決定通知書

市民オンブズマン群馬
 代表  小川 賢 様

                    文部科学大臣臨時代理
                     国務大臣 竹本 直一

 令和元年11月1日付け(令和元年11月6日受付)で請求のありました行政文書の開示について,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)第9条第1項の規定に基づき,下記のとおり,開示することとしましたので通知します。

             記

1 開示する行政文書の名称
  国立高等専門学校校長候補者の推薦について(回答)、
  昭和59年度上級職職員採用内定者名簿

2 不開示とした部分とその理由
  請求する行政文書(3)及び(4)については、文書を保有していないため、不開示としました。
  昭和59年度上級職職員採用内定者名簿について、本省課長級以上の職位にない職員の試験区分、生年月日、学歴については、慣行として公にしていない個人に関する情報であり、また、職務の遂行に係る情報に当たらないことから、法第5条第1号に該当するため不開示としました。また、旧科学技術庁所管の航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所、無機材質研究所の採用職員については、当該機関の独立行政法人化により、既に国家公務員の身分を有しておらず、資料に記載の情報は個人に関する情報となることから、法第5条第1号に該当するため不開示としました。
**********

 開示通知の書き方があいまいで、当会の開示請求の各項目に開示文書がきっちり対応しているのか、これではよくわかりません。また、1985年当時の採用者で、のちに課長級以上に一度でも在職した人物は、学歴情報を開示されるようです。とはいえ当会としてはできれば採用者全員分の学歴を内訳表にしたものが欲しかったので、開示の実施方法等申出書に次の要請書をつけて文科省に提出しました。

*****12/16要請書*****ZIP ⇒ ov.zip
           文書開示に際しての要請
                    令和元年12月16日
文部科学省 大臣官房人事課任用班 御中
            〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10
              市民オンブズマン群馬  代表 小川 賢
              TEL: 027-224-8567(事務局・鈴木)/
                 090-5302-8312(代表・小川直通)
                 FAX: 027-224-6624

 開示請求人(市民オンブズマン群馬)がおこなった令和元年11月1日付(同6日受付)の開示請求(以下「本開示請求」)に対し、令和元年12月11日付・元受文科人第186号により文書開示通知(以下「開示通知」)がなされたことについて、大変失礼ながら、開示請求人の同請求意図と貴省の開示通知との間に大幅な齟齬が見られます。
したがってお手数ながら、文書の受け取りにあたって、以下要請2点へのご対応を行っていただくようよろしくお願い申し上げます。これは決定内容への異議申立ではなく、開示請求人の実際の請求意図と貴省の理解にずれが生じてしまい、決定内容及び通知に内容・説明不備が見られることから、その補填となる説明を文書受領までに用意しておいていただきたいという趣旨です。

【要請1】:以下質問への回答をご準備ください。
〇質問:貴省の認識として、開示対象文書のうち、「国立高等専門学校校長候補者の推薦について(回答)」が、本開示請求の(1)及び(2)の両方に該当する文書であり(すなわち両項にかかる情報の記載がある文書であり)、かつ、これ以外に両項への該当保有文書は存在しないという理解でよろしいでしょうか。

【要請2】:以下の補填情報のご準備をお願いします。
〇要請:本開示請求の(5)において、「採用者の出身大学・大学院の内訳がわかる情報」と書きましたが、これは採用者個々人の出自情報を求めたものではなく、採用者全体としての任用内訳数情報を求めたものです。しかるに、「昭和59年度上級職職員採用内定者名簿」の学歴情報すべてをたんに不開示とされてしまうと、開示請求人はこの情報を知ることができません。貴省は開示請求人の意図と希望に可能な限り添う義務があると考えます。よって、「『昭和59年度上級職職員採用内定者名簿』に記載のある者のうち、各大学・大学院からそれぞれ何名採用されているかの単純な内訳数情報」を、計上のうえ、最悪メモの形で構いませんので説明可能な状態にしておいていただくようよろしくお願いいたします。
     なお、貴省では(開示請求人が確認できる限りで)平成21年度分から「採用昇任等基本方針に基づく任用の状況」をHP上でも公表しており、任用者の全体人数、および出身別内訳数に関する情報が慣行として公表されていることが明らかなことから、当該情報は個人情報または貴省の円滑な人事の阻害にあたらないものであり、貴省がかかる情報を準備し開示請求人に伝えることを拒否する合理的理由はないものと思料します。


 開示方法等申出書に記載のとおり、開示請求人として12月27日17時ごろに貴省に開示文書の受領に参りますので、貴省におかれましては、それまでに以上要請1、2についてのご回答をご準備いただくようお願いいたします。ご回答については、回答文書を作成し開示文書とともに開示請求人に渡していただくほか、メモを開示文書に挟んでいただく、または開示担当者によって回答を口頭でお伝えいただくといった方法でも構いません。

 開示請求人からの本要請に関して伝達事項・調整事項等がございました場合は、上記連絡先までお伝えいただくようよろしくお願いいたします。
**********

 上記要請書をご覧いただけばわかるとおり、文科省に関しては12月27日の夕方に、窓口まで直接開示文書を受領しにいき、その際上記要請への回答も聴取することにしました。ついでに、業務をまとめたいので、高専機構からの開示文書の受領も同日行うことにしました。すなわち、12月27日の午前に八王子の高専機構本部で開示文書を受領し、返す刀で同日午後に霞が関の文科省で開示文書の受領と回答聴取を行うことにしました。高専機構本部、文科省共に、これが2019年内の見納めとなります。

■当日は朝6:50高崎発のあさま600号に乗車し、7:40に東京駅に到着し、7:48発の中央線快速で9:02高尾駅に到着し、9:13に京王線高尾駅から普通電車に乗車し、1つ目の狭間駅に09:15に到着しました。そして、ゆっくり歩いて3分で高専機構本部につきました。










敷地に入ってから1階ロビーに入るまで、実に3つも立入禁止の看板が訪問者を出迎える。


さらに1階ロビーの天井に、玄関に向けて監視カメラが出迎える。



 さっそく3階の総務課に向けて階段を上ろうとしたら、1階に受付の電話機があるのに気づきました。「あれっ、こんなもの、以前あったかな」と思い、電話機の脇に置いてある各部署の電話番号リストを見ましたが、字が小さいため、携帯電話で総務課総務係に電話をしたところ、担当の橋本職員が電話口に出ました。







 まもなく橋本職員が開示資料の入った封筒を抱えて降りてきました。1階ロビーのテーブルに封筒を置いて、中から取り出された開示文書をざっとめくってみると、ほとんど黒塗りでした。相変わらず情報秘匿体質なことが瞬時に分かりました。

 細かいところまで見ている時間がないため、さっそく手数料を支払うことにしました。真っ黒けな文書にカネを払う価値はありませんが、326枚分の3,260円を支払いました。

 橋本職員が経理係で領収書を準備してもらうまで、10分ほど時間がかかりました。領収書をもらったあと、ひとことアドバイスをしました。それは先日の東京地裁における情報不開示取消訴訟事件の第1回口頭弁論についてです。高専機構本部が起用した訴訟代理人が作成した答弁書について、裁判長がもう一度出しなおすように訴訟指揮をしたことを例示し、「人選を再考したほうがよいのではないか」とコメントしました。上層部に伝えるよう進言しました。橋本職員は「分かりました」と言いましたが、上層部が決断したかどうかは次回期日に判明します。



 09:50に高専本部を退出し、09:54に狭間駅に着きました。新宿方面に行くか、それとも高尾駅に戻りJRで新宿方面に行くか迷いましたが、結局もと来たルートをたどることにしました。







 その後、東京駅に向かい、師走の八重洲界隈を私用で午後4時半まで過ごした後、銀座線で虎ノ門に行きました。16:42に虎ノ門駅到着後、2007年に竣工した霞が関コモンゲート東館(通称「官庁棟」)の下層階(3階から18階)に入居している文部科学省を訪れました。



 受付で申請書に記入し提出してから、1階ロビーで3分ほど待っていると、2名の担当者がやってきました。いつもの情報開示室に案内され、2枚の開示資料を受け取りました。その際、申出書と一緒に送った質問票について、回答を促しました。

 質問票の要請1と2に対する文科省の回答は、 同省大臣官房人事課任用班の高橋職員の説明によれば次の通りです 。

【要請1】その理解の通りです。
【要請2】開示できるものは今回開示している。なお、 指摘の通り、平成21年3月に閣議決定事項として、 任用者の全体人数、 および出身別内訳数に関する情報が公開されることになったが、 それ以前については、そのような情報は公開されておらず、したがって、そのような情報も作成していない。

 今回文科省職員2名が対応したのですが、回答した官僚は、終始緊張したままでした。当会から冒頭に年末の挨拶を声掛けしたのですが、応答もないまま、資料2枚の開示を受けたあと、「先日お出しした質問についてはどのように答えていただけるのですか」と、こちらから持ち掛けて初めて口を開く始末でした。回答を準備していたのですから、その旨文書で寄こせばよいものを、口頭での説明に終わりました。

 ……それにしても、「資料が存在しないのなら、採用者などせいぜい十数名規模なのだから、そのような内訳資料を正の字のメモ書きでもよいので自分たちで計上して片手間で作ってください」と頼んでいるのに、「そのような情報は公開されていないし、作成していない」と官僚答弁を繰り返す様は、さすが何度不祥事を繰り返しても懲りない文科省クオリティといったところです。

■というわけで、開示された資料を以下に示します。

★高専機構開示資料 ZIP ⇒ 201912270to2.zip
201912273to5.zip
【高専機構からの2015年度校長選考過程に関する資料については、今回文字起こし割愛。確認は上記ファイルをダウンロードのうえ各自でお願いします】

★文科省開示資料 ZIP ⇒ 20191227ja42.zip
 文字起こしは以下のとおり。

*****国立高等専門学校校長候補者の推薦について(回答)*****
                       27受文科人第310号
                       平成28年1月15日

独立行政法人国立高等専門学校機構
  理事長   小 畑 秀 文  殿

              文部科学省大臣官房人事課長
                     藤 江  陽 子

           国立高等専門学校校長候補者の推薦について(回答)

 平成27年12月2日付27高機人第87号で依頼のありました標記の件につきまして、関連書類を添付して下記の者を推薦させていただきますので、お願い申し上げます。

              記

           新 保 幸 一
           石 原 祐 志
**********

*****昭和59年度 上級職職員採用内定者名簿*****
                        59.11.6
                        長官官房秘書課

採用内定部局 試験区分  氏  名  生年月日  学       歴

 内  局   法律   菱山 豊  35.10.17  東大・医・保健
  〃     ■■   ■■■■  ■■■■  ■■■■■■■
  〃     電気   石原祐志  35.10.22  早大(院)修士・理・電気工・高電圧・エネルギー
  〃     土木   佐伯浩治  38.3.22  東大・工・都市工・都市計画
  〃     〃    佐野 太  34.7.21   早大(院)修士・理工・土木工・都市計画
  〃     化学   深井 宏  37.6.8   京大・工・石油化・量子化
  〃     原子力  板倉周一郎 38.1.9   東大・工・原子力工学
  〃     〃    中川建朗  35.8.9   東大(院)修士・工・原子力工学
  〃     ■■   佐藤真輔  ■■■■  ■■■■■■■
  〃     ■■   石坂佐知子 ■■■■  ■■■■■■■

【当会注:昭和59年度科学技術庁内局上級職職員採用内定者・以上(他部局は全面黒塗りであり、また本件と関係が無いので割愛)】
**********

 文科省からの開示資料は以上のとおりです。

■まずは、科学技術庁の1985年当時の採用内定者名簿から検討してみましょう。

 当時、科学技術庁内局に採用された職員は全部で10名で、開示された資料ではうち3名が学歴黒塗り(更にこのうち一名が氏名も含め完全黒塗り)とされています。そこで、名前が判明していて学歴が不明の「佐藤真輔」氏と「石坂佐知子」氏についてウェブ検索をしてみると、あっけなく出身大学が判明しました。佐藤真輔氏については東京大学大学院理学系研究科修士課程生物化学専攻卒、石坂佐知子氏については東京大学理学部生物学科卒で、いずれも東大出身でした。
※参考URL
http://www.keibundo.co.jp/search/detail/0100000000000033473868
https://www3.chubu.ac.jp/international/news/24485/

 よって、氏名不明の1名を除くと、1985年科技庁内局採用者10名のうち、東大(院)出身が6名、京大出身が1名、そして早大院出身が2名(すなわち佐野、石原)となります。採用者の出身校がたった3大学で占められるという当時の恐ろしい学歴主義の強さがわかるとともに、官僚界における東大閥の圧倒的な強さが一目瞭然です。というわけで、佐野と石原がお互いを知らなかったなどということはまず有り得ませんし、東大閥の凄まじい圧迫感に対して唯一手を組んで力を合わせられる早大院出身の貴重な同窓として、下積み時代にはお互いに手を貸しあい、かけがえのない友人関係を築いたことでしょう。そうしなかった訳はありません。

 そして、共に支え合った下積み時代の大きな恩があったからこそ、早々に出世レースに敗れて外郭団体の中間管理職を渡り歩いていた石原に目をかけてやり、当時の高等教育局担当の官房審議官としての権力を最大限利用して、用意できる限りで最高の席である高専校長の椅子を用意してあげた、ということでしょう。

 これだけ聞けばたいへん美しい友情の物語ですが、こんな2人だけの世界の自己満足に振り回されて疲弊した長野高専関係者らにとってみれば、心底いい迷惑です。

■次に、平成28年度就任分の国立高専校長の過程を検討してみます。すでに、同年度就任分の校長のうち文科省天下りは新保幸一氏と石原祐志氏の2名のみであることが当会の別途調査により判明しています(参考⇒https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2676.html)。また、文科省が「推薦」を出した人物については100%がフリーパスで高専校長に就けることも判明しています。

 というわけで、時系列としては、2015年12月2日に高専機構が「国立高等専門学校校長候補者の推薦について」という推薦お願いを文科省に発出し、それに答えるかたちで、翌年1月15日に石原祐志を含む文科官僚が「推薦」されたということになります。

 そうなるとやはり、高専機構から推薦お願いが発出されてきた時点で佐野太は高等教育局担当の官房審議官の位にあり、ちょうどいいとばかりに所管の高専機構に圧力をかけ、官房繋がりで官房人事課に口利きをして推薦書等を書かせ、ついでに自分は16年1月1日付で統括審議官へと更に昇進したということになります。

■ところで、高専機構からの開示文書に「国立高等専門学校長候補者の内々定の取り消しについて」(機構開示資料4-3)が含まれていることがわかります。当会では当初その文書が持つ重い意味に気付かず読み飛ばしてしまっていたのですが、重要性について関係者からの指摘を受け改めて精査したところ、石原長野高専校長就任に関する更なる闇が見えてきました。

 同文書によれば、2015年12月24日に校長内々定の通知を貰っていたはずの大学ないし高専教員出身の校長候補者が、翌年1月20日に突如「内々定の取り消し」を高専機構から告げられてしまっていることがわかります。普通、内々定の通知を出す時点で内定者数と来年度に空く校長の椅子の数の擦り合わせは厳密になされるはずで、文科省と高専機構の人事間でも裏でそのあたりの調整はなされているはずです。あぶれるくらいなら最初から内々定を出さないはずです。

 そこで、この内々定取り消しの時系列に、12月2日に高専機構から文科省への「推薦」依頼が出され、それに対して1月15日に文科省から石原祐志含む2名の「推薦」が返された時系列を合わせて考えると、当時の呆れた経緯が浮き彫りになります。

 恐らく、もともと高専機構としては1人分の空き席を用意していたところ、佐野太が強権でむりやり石原を捻じ込んできたために2名を文科省から推薦することになってしまったのではないでしょうか。高専機構としては文科官僚(まして権勢を誇る佐野太の後ろ盾付き)を落とす訳にいかないので、1月15日に文科省からの「推薦」を受け取ってから、大慌てで同20日に既に内々定していた校長候補を1名落とし、帳尻を合わせたものと推察されます。

 しかしこれでは、ワリを食って幸せの絶頂から突如失意のどん底に叩き落されてしまった教員出身校長候補があまりにも悲惨すぎます。普通に考えれば、年末に内々定を貰ってから、家族や友人、所属機関に伝えて、赴任の準備をしつつ新年度からの夢見た校長生活に思いを馳せていたことでしょう。それを突然、文科官僚の身勝手な事情で「やっぱやめた」と理不尽に潰されなければならないのですから、心中は察するに余りあるものです。実にどこまでも迷惑で自分勝手な男たちです。

■更に、石原祐志の長野高専校長退任の経緯も検証してみましょう。

 佐野太が突然の逮捕と起訴により失脚したのは18年7月のことでした。そして、石原祐志が水面下で文科省人事課に呼び出されて「退任か?」と騒がれたのが同年11月のことでした。そうなると、時期的にピタリ一致することになります。

 実は、これに加えて、更に核心的なエピソードがあります。18年10月~11月頃に、文科省からの天下りで来ていた高専機構の高橋雅之執行調整役に対して、石原祐志氏が突如として異常なほど気を遣って……すなわち媚びへつらい始めていたというのです。明らかに、佐野太という超強力な後ろ盾を失って、保身のため新たな寄生先の確保に奔走していたようすが見て取れます。しかし、その高橋執行調整役も、無情にも今年4月に高専機構を去って内閣府に異動していってしまいました(参考 https://relocation-personnel.com/2019/4/1/%E3%80%90%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E3%80%91%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C2019%E5%B9%B44%E6%9C%881%E6%97%A5)。余談ですが、石原氏は、熊本大学プロパーである高専機構の現・谷口理事長のことを始終見下していたようです。

 虎の威を借る狐が、背後の虎を失えばどうなるか。あとは読者の皆様もご存知のとおり、高専校長の椅子をあっさり失い、異動先も伝えられぬまま高専機構と文科省から一方的に異動の辞令を出され、部下13人の左遷部署に飛ばされることになってしまいました。高専機構側としても、いくら文科省からのお客様とはいえ、海外出張と題して高専機構の金で旅行を繰り返すなど放漫に明け暮れる石原氏にいい思いをしておらず、文科省内での佐野派閥崩壊という壮絶な揺り戻しの影響もあって、容赦なく首をハネられたことになります。

■しかし、それでも勧善懲悪の「めでたしめでたし」で片付かない事情があります。石原が飛ばされたのはあくまで「お上」のパワーゲームの産物であり、文科省・高専機構の腐敗体質については何も改善されたわけではないこと、石原も未だに理研・産総研に寄生し、長野高専からは名誉教授をもぎ取ってしぶとく生き残り続けていること、そして石原が長野高専につけた傷が癒えるまでには相当な時間がかかりそうだからです。

 あわせて問題なのは、とっくの昔に「権威」が吹き飛んで落ちぶれ、もはや本省にすら愛想を尽かされている石原祐志という男の幻影になおも媚び続けている、長野高専の土居信数新校長や鈴木宏副校長です。

 なお、長野高専現幹部らにより水面下で石原祐志への名誉教授称号授与が強行された一部始終については、次の記事とその関連リンクもご覧下さい。
○2019年12月29日:【長野高専】天下り石原名誉教授問題…同校と産総研の開示文書で「授与」と「活用」の経緯を暴く!(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3099.html

 石原祐志に関しては、もはや本省も守る気がさらさらないのは明らかで、足蹴にしても問題がないはずです。本省に何のプレゼンスもない石原に媚びたところでなんのメリットもないはずです。少なくとも、以上のような経緯を知っていれば、名誉教授を送ろうなどという気は普通、跡形もなく消え失せるはずです。

 ところが、長野高専現幹部らは、長野高専教職員や学生らの声を完全無視して、頑固に石原への臣従を誓い続けて、もはや媚びることに何の意味もない石原の靴をペロペロと舐めてしまいました。すでに教育者としても研究者としても失格ですが、情勢に関する空気を読む能力が皆無な時点で「政治家」としての才能すらもゼロ、というよりマイナス無限大であると評さざるをえません。

■ところで、石原祐志の長野高専校長就任に深く関わり、そして18年7月4日に東京医大裏口入学問題で東京地検特捜部に電撃逮捕された佐野太についてですが、19年1月を境にパタリと報道が途絶え、その後の動向が一切不明となっています。各種報道から判明している逮捕後の流れは次の通りです。

●18/07/24 佐野太起訴(受託収賄罪)
https://www.asahi.com/articles/ASL7S4R5JL7SUTIL031.html
**********朝日新聞デジタル2018年7月24日14:46
文科省の前局長を収賄罪で起訴 東京医科大入学巡る汚職
 文部科学省の私学支援事業をめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は24日、前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(59)を受託収賄罪で起訴し、発表した。特捜部は、賄賂として前局長の息子を不正に合格させたとして任意での調べを続けていた東京医科大学の臼井正彦・前理事長(77)と鈴木衛・前学長(69)も贈賄罪で在宅起訴した。
 特捜部はまた、医療コンサル会社元役員の谷口浩司容疑者(47)も受託収賄幇助(ほうじょ)の罪で起訴した。
 特捜部の発表などでは、佐野前局長は2017年5月、都内の飲食店で臼井前理事長から、同大を文科省の「私立大学研究ブランディング事業」の対象校に選ぶよう頼まれ、その見返りと知りながら今年2月の入試で自分の息子の点数を加算してもらい、不正に合格させてもらったとされる。
**********

●18/12/21 佐野太保釈(保証金500万円)
https://www.asahi.com/articles/ASLDP5QKCLDPUTIL04G.html
**********朝日新聞デジタル2018年12月21日22:17
文科省前局長の保釈決定 保証金500万円、即日納付
 東京地裁は21日、文部科学省の私立大学支援事業をめぐって受託収賄罪で起訴された、同省前局長の佐野太被告(59)の保釈を認める決定を出した。検察側は不服として準抗告したが、これも棄却した。佐野前局長は保釈保証金500万円を即日納付し、近く保釈される見通し。
 佐野前局長は、東京医科大学前理事長の臼井正彦被告(77)=贈賄罪で在宅起訴=から便宜を依頼された見返りに、息子を不正に合格させてもらったとして起訴された。起訴内容を否認しており、7月に東京地検特捜部に逮捕されて以降、勾留が続いていた。
**********

 ところが、逮捕・起訴から1年数か月が経つ2019年の秋過ぎになっても、判決はおろか初公判が開かれたという報道がひとつも見当たりません。単に公私混同で便宜を図り息子を裏口入学させただけのわりあいシンプルな汚職なのに、東京地検特捜部をもってしてよほど捜査が難航しているのでしょうか。おかしな話です。

 そこで、本件に関する調査を開始していた9月24日、関係各所に佐野太の現況に関する質問をしてみることにしました。

■まず、佐野太の起訴先となっている東京地方裁判所の刑事部刑事訟廷事務室事件係(03-3581-3304)に電話をして聞き取りをおこないました。やり取りは以下の通りです。

当会:受託収賄罪で2018年7月24日に東京地検が起訴した佐野太氏について、初公判の日程を教えてもらいたい。既に開かれていればこれまでの公判の日付、未定であれば、その理由と、最低で向こう何か月間初公判まで間があるかお教え願いたい。

東京地裁:(おそらくPCで事件一覧を見ながら)当該事件のことはまだ初公判は未定だというふうにきいているが、この事件について詳しいことをお聞きになりたい場合は、刑事16部(電話03-3581-3214)に電話をしてみてほしい。

当会:ところで現在、新天皇即位に伴う恩赦が取りざたされていますが、本件のように、起訴された事案についても適用になるのでしょうか。

東京地裁:(なにやら法律書を取り出してパラパラめくりながら)審査会で審査対象となった事案について審議をして、恩赦かどうか決めるみたいですね。

当会:昨日の夜、NHKの番組(時論公論)を見ていたら、一律恩赦とする場合もあるようですが。

東京地裁:自分としてはよくわからないが、裁判所の扱いというより、判決が出た事案についての判断だと思います。

【担当先である東京地裁刑事第16部に電話を繋ぎなおす】

東京地裁:本事件はまだ、初公判の期日は未定となっています。理由は調整中としか申し上げられません。したがって、いつ頃初公判になるのかも分かりません。

■なんと、起訴から1年2か月が経った2019年9月下旬時点ですら「初公判未定」というのです。当会が12月末現在あらためてネット検索等でニュースを探してみても、初公判が開かれたというニュースはひとつも見当たりません。どうやら、国民が事件のことをすっかり忘れてしまっている裏で、恐ろしい後日談が駆動しつつあるようです。

【20/01/16追記】
本日2020年1月16日、追確認として東京地裁に問い合わせをおこなった読者の方から、情報提供が寄せられましたので、追記の形で報告します。

 同地裁の刑事16部の担当者曰く、「まだ現在争点整理中で、争点も多いので整理している段階です。そのため日程はまだ決まっていない状態です。もう少ししたら決まるかもしれません」とのことで、2020年になってもやはり未だに初公判の目途は立っていないようです。

 ただし情報提供者の主観的な感触としては、「どうもそろそろ決まりそうな空気にも取れた」とのことです。また、「傍聴の際にはくじ引きになるのか」と聞いたところ、「何とも言えないけれども、事件が大きいのでその可能性はあります」とのことのようです。
【追記終】

■更に同日、佐野太の現在の文科省における扱いについて調べるべく、文科省人事課計画調整班服務係に電話をしました。

当会:前年に汚職で逮捕・起訴された佐野太について、逮捕日の18年7月4日には学術政策局長を解任され大臣官房付となっていることが報道で確認できるが、結局文科省を辞したのかどうかにかかる報道が見当たらない。単刀直入に聞くが、佐野太は現在文科省にまだ所属しているのか、それとも退職済か。

文科省:現在、佐野太職員は文科省に所属しており、大臣官房付きで刑事休職扱いとなっています。時期は昨年8月の起訴の時点から、刑事休職扱いです。

当会:佐野は現在59歳だが、もし判決が出ないまま60歳を迎えた場合、定年退職扱いとなり退職金が出てしまうのか。

文科省:今後、裁判の進展具合にもよりますが、なんらかの処分を行ったりする可能性があります。また退職金について、ご指摘の通り判決がでないまま定年退職となる場合でも、ただちに退職金を支給することはなく、省内のしかるべき手続きで、結論を出したうえでの対応になるかと思います。

■というわけで、佐野太はまだ文科省に「刑事休職」扱いで籍を置いていることが判明しました。したがって、まだ、退職金が完全にパーになったわけでもなく、宙ぶらりんの状態にあるようです。

 また、起訴による「刑事休職」という扱いも気になりました。例えば、国家公務員一般職の場合、刑事休職は国家公務員法第79条2号に規定があり、起訴となった場合は国が強制的に休職とすることができます。しかし、一般職の給与に関する法律第23条第4項の定めによって、刑事休職期間中でも本来に対して最大6割の俸給を貰えることになっています。
※参考URL:「一般職の給与に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000095

 そうなると、今この瞬間にも、まったく働いてもいない佐野太に延々給与が支払われてしまっている可能性が極めて高いことになります。すでに文科省の最高級幹部の1人まで登り詰めた佐野太ですから、6割でも相当な額に達するはずです。

■というわけで、国民がすっかりこの事件を忘れてしまった裏で、起訴から1年半近くが経過しても未だに初公判すら開けず、佐野太は文科省に「刑事休職」でしがみついたまま延々と労働ゼロで給与が支払われており、退職金も保留状態という深刻な事態に陥っていることがわかります。

 東京地検特捜部と東京地裁はいったい何をしているのでしょう。一刻もはやく公判を開いて判決を言い渡さなければ、ただ泥棒に追い銭をあげるだけになってしまいます。この惨状をマスコミが一切報道していないことも、大問題です。

 どうも、佐野太の周りには相当なヤブヘビが潜んでおり、逮捕・起訴まではできたもののそれ以上を踏み出せないというキナ臭さを感じます。

 考えられる説を挙げていくと、東京医科大学の裏口入学ルートは、佐野の子息だけでなく、さる国会議員らも御用達のルートであったことから、実態を暴くことが困難である事情が考えられます。あるいは、殊更に佐野を責めると、何らかの形で政治的に都合の悪い事態が巻き起こってしまう可能性を危惧しているということも考えられます。例えば、トップ幹部級の文科官僚ですから、所謂「森友・加計マター」や前川喜平とも繋がりがあった可能性もありますし、既に一部でそれが指摘されています。

 前述の通り、お粗末な開示通知内容とあわせて、12月27日に当会が開示資料を受領しに行った際の文科省職員の対応のおかしさは尋常ではありませんでした。「重鎮・佐野太は既に失脚しているし、悪事も丸裸にされているのに何を亡霊におびえて忖度する必要があろうか」と訝しく思いましたが、それでもやはりこれ以上、手を出させる訳にはいかないという強い隠蔽の意向を職員の目から感じ取りました。

 いずれにせよ、2018年の夏にあれほど国民を焚きつけたメディアの方々は、この問題まみれの後日談にもキチンと目を向けるべきです。

■ところで一部報道では、佐野太の逮捕に結びついたのは「東京医科大学の理事長らの体制と運営手法に不満をもった部下によるリーク」とされています。そうなると皮肉にも、学校の独裁強権運営に対するクーデターが、バタフライ効果で、遠く長野の学校の独裁強権運営にも終止符を打ったことになります。

 当会では今後、今回判明した石原祐志と佐野太との黒い繋がりも踏まえて、自分で自分に授与した名誉教授称号を握り締めて理研に遁走していった石原への追撃態勢を強めるとともに、私欲のために長野高専を我が物扱いする土居信数校長以下の幹部らにも、お灸を据えていくことにしています。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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18 コメント

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Unknown (卒業生)
2020-01-01 01:28:33
群馬高専でも、年度途中に校長が交代するという不自然な出来事がありました。これにも不穏な裏があったのでしょうか。
返信する
Unknown (無題)
2020-01-01 12:18:04
石原氏が辞める前の引き継ぎで「名誉教授の件頼む」と引き継いだのかもしれない。これで縁切れとばかり鈴木氏ら副校長と土居氏が最後の献上品を用意したのも肯ける。石原氏も次の詳しい行き先を言わず、未練タラタラ異動したのも納得できる。
返信する
Unknown (卒業生)
2020-01-03 13:47:21
こんな奴が校長だったとは情けない。石原と同じ空気を吸ってたことがムカついて仕方ない。あいつがいなくなるときに卒業したけど、運動部をなくす話が出たりプールがなくなったりいいことなしだった。こんな学校に行ったことが情けないし後悔している。コネでお情けで校長になったんだから大人しくしてろ。石原の追撃に期待してます。石原にこれ以上甘い汁を吸わせてはいけない。
返信する
Unknown (卒業生2)
2020-01-03 14:53:15
虎の威を借りる何とかは石原祐志そのもの。在学時代にクラス代表が石原と直接話す場があって、天下りか聞いたら、石原祐志は何とか出向だから天下りじゃないと答えたらしい。普通の人から見れば、天下りにしか見えないし、世間の人もそう思うし詭弁です。佐野某が逮捕されて、末端の石原祐志の天下りに影響したなんて愉快です。学生の楽しみ部活を奪おうとした報いです。卒業式であんな腐った奴に祝いの話を聞かされたと思うと今でも腹が立つ。何であんな奴が名誉教授何だ。これもおかしいと思う。追撃を強めて、天下り役人石原祐志を佐野某と同じく葬り去って欲しい。
返信する
Unknown (無題2)
2020-01-05 12:38:44
左遷と言っても、群馬高専西尾は文部科学省本省に留まれて、長野高専石原はそれさえも許されず外部左遷で、驚いてました。そこに東京医科歯科大学事件が絡んでるなら、長野高専石原の徹底的な左遷にも納得できます。今、文部科学省は東京医科歯科大学事件の影を徹底的に消しにかかっている最中何でしょう。次から次に問題の起こる文部科学省、今後も注視する必要ありです。
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Unknown (通りがかり)
2020-01-05 15:22:22
西尾氏と石原氏の左遷待遇の差に納得できました。
返信する
Unknown (ひらく会情報部)
2020-01-08 17:17:46
>>「卒業生」さんへ
 ご指摘のとおり、群馬高専の第5代校長である吉澤晴行氏は、2004(H16)年の8月末に退職しており、群馬高専史で唯一の年度途中退職校長となっています。また当然のように吉澤氏も文科省天下りです。
 年度途中での退任となるとやはり相当な「異例」が裏にあったことは確かですが、とはいえ15年以上も前のことなので水面下で何が起こっていたのかまでは不明です。なお、吉澤氏は群馬高専を辞した後に社団法人日本教育工学振興会(JAPET)の専務理事として天下りしているようです。もし吉澤氏の退任が定年直前であれば、今は75歳前後ということになります。
https://www.roundtable.co.jp/~tomio/blog/i01coach/?p=62
 色々と調べてみましたが、残念ながら当会ではこれ以上のことはわかりませんでした。

>>「無題」さんへ
 「縁切れ」としても、佐野太の失脚により石原氏が長野高専を辞めた時点で「縁切れ」なのであって、わざわざ手切れ金を献上する必要など無かったはずです。なぜなら、長野高専を追われ理研の閑職に追いやられた石原には、長野高専をどうこうすることも、まして幹部ら個人にメリットをもたらすこともできないはずだからです。にも関わらず、本当に耳を傾けるべき教職員や学生たちを裏切って名誉教授授与を強行した鈴木宏や土居校長一派は、まさに「本物の愚か者」と評さざるを得ません。

  市民オンブズマン群馬事務局より
返信する
Unknown (ひらく会情報部)
2020-01-08 17:18:46
>>「卒業生」さん、「卒業生2」さんへ
 石原祐志に無念と屈辱を味わわされ続けた貴殿ら学生・OBの方々のためにも、しっかりと石原祐志の所業の総括と総決算をおこなっていきたいと思いますので、ご注目とご協力をお願いいたします。

>>「無題2」さん、「通りがかり」さんへ
 石原氏は左遷待遇といっても、まだ長野高専含めた関連組織から手厚く護られており、土居信数校長や鈴木宏に献上された名誉教授を手に握りしめ再起を図っている状態にあります。生命力の強さは一級品です。しかも、特に長野高専時代の所業が清算されたわけでもありません。したがって、石原が性懲りもなく長野高専から分捕った名誉教授を振りかざして次なる寄生先を見つけられないようしっかりと悪の芽を潰し、あわせて石原にズタボロにされた長野高専の復興をおこなっていく必要があります。
ただ当会は外部から働きかけを行っていくことしかできず、長野高専が健全な教育研究機関としての働きを取り戻せるかどうかは関係者ひとりひとりの理性と行動にかかっております。

>>「goodbyenitgc」さんへ
 情報提供感謝申し上げます。
 サレジオでの新年早々のアカハラ自殺の件は、大変に遺憾であり、それへの学校側の対応を見ても、高専全般の腐敗体質やシステムの限界を示すものと思います。
 ただ、サレジオは私立高専であり、独法国立高専機構の管轄ではありません。なので、文科天下り官僚やら行政文書といった切り口で語れないことから、国立高専とはやや異なったアプローチを用いていく必要があると思料します。

  市民オンブズマン群馬事務局より
返信する
Unknown (ひらく会情報部)
2020-01-09 00:26:14
 当会のスクープ記事に対して、各方面から旺盛なコメントを賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、佐野太の裏口入学に関わった「東京医科大学」を、「東京医科歯科大」と混同されている方が少なくないようですので、僭越ながらこの場を借りて訂正を加えさせていただきます。
 「東京医科歯科大学」(文京区)は、佐野太が不正をおこなった「東京医科大」(新宿区)とはまったく別の大学で、一切の関係はありません。
 東京医科歯科大は国立大(なお、首都圏トップクラスの受験難易度で知られる)で、東京医科大は首都圏にある私立医科大のひとつです。
 以上、読者各位には本事件のディテールについても正確な認識を持っていただきたく、喚起いたしました。
 引き続き、当会の記事をお楽しみください。

  市民オンブズマン群馬事務局より
返信する
Unknown (長野維新)
2020-01-12 14:45:29
そもそも、税金で賄われる組織でコネ人事がまかり通るなら世も末です。「無能極まる石原」が佐野容疑者のコネで天下り先を得るとは、佐野の逮捕容疑の東京医大事件と同じ構図に見えます。せめての救いは、「無能極まる石原」が首を切られて、部下13人の左遷部署に飛ばされたことです。「無能極まる石原」に名誉教授を与えた長野高専の恥知らず幹部は何を考えているのか。恥知らず幹部も石原と同罪と言うべき。土居も問題だけど、そもそも鈴木とか言う副校長が「無能極まる石原」を名誉教授にしようと言い出さなれければ良かっただけで、鈴木を断罪する必要がある。これ以上「無能極まる石原」の世間にのさばらしてはならない。
返信する

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