■赤城山は、関東地方の北部、群馬県のほぼ中央に位置する山であり、太平洋プレートがオホーツクプレートに沈み込んでできた島弧型火山です。また、赤城山は、カルデラ湖を伴うカルデラを持つ、関東地方で有数の複成火山で、榛名山、妙義山と並び、上毛三山の一つに数えられています。小学校の運動会では、「赤城団」「榛名団」「妙義団」のどれかに属して一生懸命走った経験が県民の誰しも持っているはずです。また、日本百名山、日本百景の一つにも選ばれています。中央のカルデラの周囲を、円頂を持つ1,200mから1,800mの峰々が取り囲み、その外側は標高にして約800mまでは広く緩やかな裾野の高原台地をなしていて、中央部のカルデラ内には、カルデラ湖の大沼や覚満淵、火口湖の小沼があります。
↑赤城山小沼周辺に咲き乱れるシロヤシオツツジの可憐な花々。↑
このように赤城山は群馬県立赤城公園に指定されており、群馬県民の象徴として、また郷土愛の対象としても、心のよりどころとなっています。ところが、東電福島第一原子力発電所事故により、群馬県でも放射性物質の降下が観測されました。各種機関の調査により、特に、北部、西部の山間部を中心に放射性セシウム汚染の広がりが判明し、また赤城大沼においては、ワカサギ、ウグイ、イワナなどの魚類に暫定基準値 以上の放射性セシウムの汚染が観測されたことは、事故後の報道でよくご存じのことと思います。
ところが、この群馬県民にとって「聖地」でもある赤城山の南麓に、あろうことか原発事故の原因者である東電グループの関電工が、東電のために放射能汚染間伐材や廃材等の大規模焼却施設を、バイオマス発電の名目で建設中です。しかも、排ガス量は毎時4万ノルマル立米を遥かに超えるにも関わらず、群馬県を篭絡し、環境アセスメントなしで今年10月頃の稼働開始をもくろんでいます。
しかも群馬県は、この県民の「聖地」を踏みにじったうえに、さらに放射能再汚染のリスクを伴うバイオマス発電計画で、燃料とされる間伐材等のチップ工場に4.8億円もの血税を補助金として交付することを決め、既に相当額が関電工を出資母体とする事業法人に対して支払われてしまいました。
■このため、当会では近隣住民団体とともに、補助金支払いを阻止するため、住民訴訟を提起しましたが、前橋地裁により、いろいろ訴訟要件において指摘事項が次々に出されており、足踏み状態が続いています。
現在、訴訟の根拠として、なぜ補助金の「取消」なのか、既に支払い済みの分のみ「返還」なのか、未払い分については「差止」なのか、裁判所からはっきりさせるように訴訟指揮を受けており、来る6月15日(木)午後4時から第2回目の弁論準備が前橋地裁3階のラウンドテーブル会議室で開催される予定です。
そのため、当会では、裁判所の指揮により6月9日付で、次の原告準備書面(2)を提出しました。
*****原告準備書面(2)*****
PDF ⇒ 20170609_genkoku_junbishomen_no2.pdf
事件番号 平成28年(行ウ)第27号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払取消請求事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成29年6月9日
前橋地方裁判所民事1部合議係 御中
原告準備書面(2)
原告 小 川 賢 ㊞
原告 羽 鳥 昌 行 ㊞
平成29年5月22日の弁論準備期日における裁判所の訴訟指揮に基づき、原告は次のとおり請求を変更する。
1 主位的請求として、今までの請求を維持する。
2 予備的請求として,裁判所の示唆するとおり,返還請求と差し止め請求とをあわせて請求する。
以 上
**********
■一方、前橋バイオマス発電施設の設置工事はどんどん進捗してしまっています。東電グループには法律順守、コンプライアンスという意識が希薄、あるいは皆無と思われます。このまま環境アセスメントをせずに、本当にあと4カ月後に稼働させるつもりなのでしょうか。
↑入口ゲート側からみた6月9日現在の施設設置工事の様子。間伐材や廃材等の放射能汚染木質チップを燃焼させて蒸気を発生させるためのボイラー施設の鉄骨構造が見えます。↑
↑一方、こちらは、2017年6月10日(土)10時~15時30分にかけて開催された電中研赤城試験センター研究所公開日の際に、同センター構内から撮影したバイオマス施設の遠景です。よく目を凝らすと、セシウムが噴き出る恐れが大きい煙突は既に完成しているように見えます。また、ボイラー施設の下部はかなり構成部品の組み立てや据え付け作業が進んでいることがうかがえます。↑
■日本百名山のひとつの赤城山では、放射能汚染は大沼のワカサギばかりが取りざたされますが、小沼も含め赤城山全体に福島原発事故による原子雲(プルーム)がかかり、放射能汚染をしてます。たしかに人の出入りするエリアの放射線レベルは下がっていますが、手つかずの山の中は依然として高濃度の汚染状態が続いています。
※「群馬県に降下した放射性セシウムの動態解析と将来予測」課題代表者名 角田欣一 (群馬大学理工学研究院分子科学部門分析化学研究室) 研究実施期間 平成24~25年度↓
https://www.env.go.jp/policy/kenkyu/suishin/kadai/syuryo_report/h25/pdf/5ZB-1201.pdf
今、赤城山の小沼周辺にはシロヤシオツツジ、ミツバツツジ、レンゲツツジが満開に咲き誇っています。
無垢な花々の美しさを見るにつけ、これ以上放射能の二次汚染のリスクを抱える火力発電所など作らずに、自然豊かな赤城山、そして環境都市前橋市のシンボルとして、東電、そしてそのグループ会社の関電工にはこの亡国事業を再考すべきだと、痛切に思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
↑赤城山小沼周辺に咲き乱れるシロヤシオツツジの可憐な花々。↑
このように赤城山は群馬県立赤城公園に指定されており、群馬県民の象徴として、また郷土愛の対象としても、心のよりどころとなっています。ところが、東電福島第一原子力発電所事故により、群馬県でも放射性物質の降下が観測されました。各種機関の調査により、特に、北部、西部の山間部を中心に放射性セシウム汚染の広がりが判明し、また赤城大沼においては、ワカサギ、ウグイ、イワナなどの魚類に暫定基準値 以上の放射性セシウムの汚染が観測されたことは、事故後の報道でよくご存じのことと思います。
ところが、この群馬県民にとって「聖地」でもある赤城山の南麓に、あろうことか原発事故の原因者である東電グループの関電工が、東電のために放射能汚染間伐材や廃材等の大規模焼却施設を、バイオマス発電の名目で建設中です。しかも、排ガス量は毎時4万ノルマル立米を遥かに超えるにも関わらず、群馬県を篭絡し、環境アセスメントなしで今年10月頃の稼働開始をもくろんでいます。
しかも群馬県は、この県民の「聖地」を踏みにじったうえに、さらに放射能再汚染のリスクを伴うバイオマス発電計画で、燃料とされる間伐材等のチップ工場に4.8億円もの血税を補助金として交付することを決め、既に相当額が関電工を出資母体とする事業法人に対して支払われてしまいました。
■このため、当会では近隣住民団体とともに、補助金支払いを阻止するため、住民訴訟を提起しましたが、前橋地裁により、いろいろ訴訟要件において指摘事項が次々に出されており、足踏み状態が続いています。
現在、訴訟の根拠として、なぜ補助金の「取消」なのか、既に支払い済みの分のみ「返還」なのか、未払い分については「差止」なのか、裁判所からはっきりさせるように訴訟指揮を受けており、来る6月15日(木)午後4時から第2回目の弁論準備が前橋地裁3階のラウンドテーブル会議室で開催される予定です。
そのため、当会では、裁判所の指揮により6月9日付で、次の原告準備書面(2)を提出しました。
*****原告準備書面(2)*****
PDF ⇒ 20170609_genkoku_junbishomen_no2.pdf
事件番号 平成28年(行ウ)第27号 住民訴訟によるバイオマス補助金支払取消請求事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成29年6月9日
前橋地方裁判所民事1部合議係 御中
原告準備書面(2)
原告 小 川 賢 ㊞
原告 羽 鳥 昌 行 ㊞
平成29年5月22日の弁論準備期日における裁判所の訴訟指揮に基づき、原告は次のとおり請求を変更する。
1 主位的請求として、今までの請求を維持する。
2 予備的請求として,裁判所の示唆するとおり,返還請求と差し止め請求とをあわせて請求する。
以 上
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■一方、前橋バイオマス発電施設の設置工事はどんどん進捗してしまっています。東電グループには法律順守、コンプライアンスという意識が希薄、あるいは皆無と思われます。このまま環境アセスメントをせずに、本当にあと4カ月後に稼働させるつもりなのでしょうか。
↑入口ゲート側からみた6月9日現在の施設設置工事の様子。間伐材や廃材等の放射能汚染木質チップを燃焼させて蒸気を発生させるためのボイラー施設の鉄骨構造が見えます。↑
↑一方、こちらは、2017年6月10日(土)10時~15時30分にかけて開催された電中研赤城試験センター研究所公開日の際に、同センター構内から撮影したバイオマス施設の遠景です。よく目を凝らすと、セシウムが噴き出る恐れが大きい煙突は既に完成しているように見えます。また、ボイラー施設の下部はかなり構成部品の組み立てや据え付け作業が進んでいることがうかがえます。↑
■日本百名山のひとつの赤城山では、放射能汚染は大沼のワカサギばかりが取りざたされますが、小沼も含め赤城山全体に福島原発事故による原子雲(プルーム)がかかり、放射能汚染をしてます。たしかに人の出入りするエリアの放射線レベルは下がっていますが、手つかずの山の中は依然として高濃度の汚染状態が続いています。
※「群馬県に降下した放射性セシウムの動態解析と将来予測」課題代表者名 角田欣一 (群馬大学理工学研究院分子科学部門分析化学研究室) 研究実施期間 平成24~25年度↓
https://www.env.go.jp/policy/kenkyu/suishin/kadai/syuryo_report/h25/pdf/5ZB-1201.pdf
今、赤城山の小沼周辺にはシロヤシオツツジ、ミツバツツジ、レンゲツツジが満開に咲き誇っています。
無垢な花々の美しさを見るにつけ、これ以上放射能の二次汚染のリスクを抱える火力発電所など作らずに、自然豊かな赤城山、そして環境都市前橋市のシンボルとして、東電、そしてそのグループ会社の関電工にはこの亡国事業を再考すべきだと、痛切に思います。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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