市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

甘利明大臣が口利き問題で1月28日会見説明した現金授受疑惑に関する全発言と告発者説明との食違い(その1)

2016-02-04 01:16:00 | 政治とカネ
■2016年1月21日発売の週刊文春でスクープされた甘利明・経済再生担当相の金銭授受疑惑ですが、一昨年の小渕優子・元経済産業相らの金銭不正使用事件に引き続き我々納税者の政治不信を掻き立てています。またもや一気に騒動が拡大した「政治とカネ」を巡る今回の問題では、甘利大臣本人はもとより政府自民党も必死で騒動の鎮静化を図ろうとし、告発者についてのネガティブキャンペーンを貼った矢先に、今度は1月28日発売の週刊文春で、告発者側が巷間で飛び交っている憶測を含む未確認情報について、一つ一つ丁寧に反論をしました。そのため、さすがの政府自民党も甘利大臣を支えきれなくなり、結局1月28日午後5時から内閣府で記者会見を余儀なくされました。


 1時間12分あまりに亘る甘利大臣の記者会見では、その日の朝、発売された週刊文春の記事を念頭に最終調整された原稿をもとに、甘利大臣が読み上げる形で報告が行われました。

 この中で甘利氏は、自身の疑惑について事実関係などについて説明し、渡された現金は寄付として秘書に適切に処理するよう指示したものの、業者から計100万円が渡ったことを認め、「秘書のせいと責任転嫁できない。閣僚の職を辞する」として、秘書に対する監督責任や国政の停滞などを理由に、閣僚を辞任すると表明しました。

■甘利大臣の記者会見で印象的だったのは、同席した記者らとの質疑応答で、「いい人とだけ付き合っているだけでは選挙落ちちゃう」などと、率直な思いを漏らしていたことです。どうやら、長時間にわたる“釈明”のあとで、肩の荷が下りたためか、いわゆる、ぶっちゃけトークにモードを切り替えた観があります。

 支援者からの接触については、「政治家の事務所は“いい人”とだけ付き合ってると(選挙に)落ちちゃう。制度が小選挙区だから、間口を広げていかないと当選しない」

 訪問客とツーショット写真を撮ることについては「問題ある人の写真がよく出ますが、絶対避けられない。パーティーで“写真撮っていいですか”と言われて“あなたとは撮りません”とは絶対言えませんから。よっぽど反社会勢力の代表のような人なら分かるだろうが、誰でも防ぎようがない」

 事務所の“隙”について「最初のスクリーニング(選別)が間違っていた。選挙区外の企業や組織と関わる時は、該当する選挙区へ問い合わせするなど調査を徹底するが、今回はその調査が甘かった」

■市民団体候補として首長選に4回出馬した筆者の経験では、確かに有権者の票を1票でも多く獲得したいという気持ちから、来るものは拒まず、といった気持になるのは事実です。

 しかし、自らの基本的な公約を貫くには、外部からの影響力を行使されないように、選挙中から十分配慮しておく必要が有ります。筆者の場合には、最初の選挙戦で、いわゆる陣中見舞いと称する金品を選対のほうで野放図に受け取っており、落選後、会計帳簿を調べるとどうも不透明な部分があることから、2回目以降は自ら会計担当者にもよく説明して選挙資金の支出は全てガラス張りとし、収入は、選挙公営以外すべて自費としました。

 ちなみに、筆者の4回目の首長選挙では、法定得票数に届かなかったため、100万円の供託金が没収され、選挙公営も受けられず、全て自費で賄いました。100万円の供託金が国庫に入った訳で、筆者の場合、1回目から3回目の選挙公営の費用分も、結果的には全て自費で賄ったということができます。これはこれで自分の選挙資金に公金を浪費しなかったということになり、オンブズマンとしての信条とも合致します。

 金品の受け取り拒否の姿勢を有権者に示すため、筆者は、選挙事務所の至る所に「当事務所では金品の類は一切辞退申し上げます」という貼り紙をベタベタと貼りました。

 多くの支援者の方々は弊員の考え方・方針に異を唱えませんでしたが、中には、「せっかく陣中見舞いで持ってきてやったのに、受け取らないとは失礼千万。このような候補者には絶対投票しないぞ!」と息巻いて帰えられたかたも、何人かいらっしゃいました。本当に辛かったことを今でも鮮明に記憶しています。

 現在、衆院選も一人区となり、首長選挙と同様、最大得票者しか当選できないため、組織選挙のできる自民党の大物代議士でさえも、選挙期間中は「いい人だけでなく、そうでない人も、来る者は拒まず」という気持ちが強くなるのかなあ、と、今回の甘利大臣の記者会見を聞いていて、思った次第です。

■もう一つ関心を呼ぶのは、「政治家による口利き」という悪しき習慣が、依然として通用している現状が垣間見えることです。

 現在当会が取り組んでいる危険スラグ問題でも、大同特殊鋼や佐藤建設工業は、危険スラグを堂々と「不法」投棄できるように、赤本の改訂に向けて「議員を使う」という、いわゆるロビー活動を選択肢として真剣に検討していました(実際には検討に留まらず、実際に口利きを依頼した可能性が濃厚であると推察されます)。群馬県は鹿児島県と並んで全国トップクラスの保守王国ですから、政官業の間には強固な結びつきがあり、群馬5区の小渕優子・元経産相の政治資金不正問題も、元を質せば口利きの土壌の蔓延を感じさせます。

 おそらく、同じく自民党の大物代議士である甘利大臣の場合も、URへの口利きに留まらず、膨大な口利きの案件が背後にあるに違いありません。

■前置きが長くなりました。甘利大臣の1月28日午後5時からの記者会見のやり取りを次ぎに見てみましょう。
【全編動画】金銭授受疑惑 甘利明氏が会見 「閣僚の職を辞する」
https://www.youtube.com/watch?v=GyhydCh_840

*****現時点での調査結果の概要*****
週刊文春1月28日号記載記事の件に深くおわび

金銭授受疑惑で甘利明経済再生担当相が会見(写真:山本宏樹/DELTA PHOTO)
司会:それではただ今から、甘利大臣の記者会見を始めます。大臣からご説明お願いいたします。
甘利:あんまり近くでフラッシュ多く、見えなくなっちゃうから。さっきもやられて眼が、ちょっとフラッシュの連続ショットをちょっと止めてください。字を読みますから。
 私を巡る今回の週刊誌報道、すなわち株式会社文藝春秋発行の、週刊文春1月28日号記載記事の件で、国民の皆さまにご心配おかけしていることにつきまして、深くお詫びを申し上げます。
 今回の週刊誌報道以降、私は自らの記憶をたどり事実関係の確認を行い、しかるべきときにしっかりと説明責任を果たしたいと申し上げてまいりました。具体的には自らの記憶をたどるとともに、本件記事を受けまして、事務所において客観的な立場から事実関係を確認してもらうため、当事務所とは今までまったく関係のない弁護士に調査を依頼しました。
 この弁護士は東京地検特捜部の経験を有する、元検事の経歴を持っておられる人物であります。なお公正な調査を担保するため、私は調査を担当した弁護士とは一切接触をしておりません。本日はまだ調査は途上でありますが、これまでに判明した事実関係について、ご説明を申し上げます。
 現時点での調査では、私の秘書らから、本件記事の内容に関する本人らの認識等を確認することに主眼を置きまして、可能な範囲でその裏付けの有無等を確認することとしているとの報告を受けているところです。この度の報道によれば、異例にも相手方が膨大な録音や写真を持っているとのこともありまして、報道と私の記憶とのギャップについて慎重に確認を重ねた結果、本日の報告までに時間を要してしまいました。誠に申し訳なく思います。
 最初にお断り申し上げたいのですが、このたび週刊誌から指摘された私自身の問題と、事務所秘書の問題の2つのうち、本日は私自身の問題、すなわち大臣室および大和事務所における現金授受の問題を中心にご報告をさせていただきたいと思います。大変重大な問題である事務所、秘書の問題につきましても本日できる限りのご報告をいたしますが、いまだ全容の解明には至っておりません。引き続き調査を進め、しかるべきタイミングで公表する機会を持たせていただくことについてご理解を賜ればと思っております。
現時点での調査結果の概要
 まず、本、件、記事の概要については、既に皆さんご案内のことかと思いますので、この場で説明することはいたしません。早速現時点での調査結果の概要をご説明申し上げます。
 まず、平成25年11月14日の50万円、および平成26年2月1日の50万円の授受についての私の認識について申し上げます。
 平成25年11月14日の大臣室における表敬訪問、および平成26年2月1日の大和事務所における面談については、日々多くの面談の日程があること、そして時間が経っていることなどから、個別な件についての詳細な記憶はありません。
 記憶の限りで説明をしますと、まず(平成25年11月14日に)大臣室で菓子折りの入った紙袋をいただいたと思います。社長らが退室されたのちに、秘書から紙袋の中に熨斗袋が入っていましたとの報告がありました。それで私から秘書に、政治資金としてきちんと処理をするようにと指示をしたと思います。
 次に(平成26年2月1日の)大和事務所での面談は、所長で、地元事務所所長であるA秘書から予め、総務担当者が大臣室訪問のお礼と、病気の快気祝いに来られると聞いておりました。お礼とお祝いの話のあと、総務担当者の私生活に関する雑談などをしたあと、総務担当者がS社の敷地から産廃が出て困っているとの相談がありました。私は、「地主が責任を持つんじゃない?」と話したように思います。ただ、資料を持参されていたので、「東京のE秘書に渡しておいてくれ」とA秘書に指示をし、話を終えました。そして帰り際に、総務担当者が菓子折りの入った紙袋と封筒を差し出しました。大臣室訪問の御礼と、病気を克服して頑張れという政治活動への趣旨だと思い、これを受け取り、A秘書がその総務担当者を送って部屋に戻ってきた際に、菓子折りと白い封筒をA秘書に渡し、適正に処理しておくようにと指示をいたしました。
 週刊文春は、大臣室にて私が、お土産の袋から現金の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットにしまったと、二度にわたって報道しました。実はこの部分が私の記憶と週刊文春が二度にわたって報道した内容の違いの1つです。しかも音声など、決定的な証拠が全てそろっているとの報道でありました。お客の前で紙袋から現金の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットに入れる、という行為が本当だとしたら、政治家以前に人間としての品格を疑われる行為であります。そんなことはするはずがありません。以上が本事案にかかる私、甘利明の認識であります。
 次に、本事案についてA秘書が弁護士に対して説明した内容について申し上げます。これから申し上げる調査結果は、元東京地検特捜部の検事である弁護士が、秘書や経理担当者などの関係者から直接聴取し、関連資料等を確認された結果、取りまとめられた報告書に基づいてそのまま申し上げます。
 平成25年11月14日の50万円の授受の状況等でありますが、S社との総務担当者との間で、総務担当者が千葉で後援会をまとめてくれるという話が出て、その話を盛り上げていくため、「一度甘利大臣に会っていただこう」という話になった。11月14日に大臣室で、甘利大臣との面会の予約を入れた。甘利大臣には面会の直前に、「甘山会に入っていただいた企業の方が表敬訪問に来た」、という程度の話のみで、UR等の件は話していない。
 国会見学、昼食ののちに大臣室で面会をした。総務担当者側は、S社社長、その知人女性と総務担当者がいた。もう1人いたかどうかは覚えていない。大臣側は甘利大臣のほか、A秘書と大臣の政務所管であるE秘書がいた。大臣室には30分くらいいたと思う。「甘山会について千葉をまとめますから」という話があったが、URの話が出た記憶はない。総務担当者側は、S社社長が主に話をしていた。面談のどこかで社長が、お土産と就任祝を大臣に渡した。A秘書の記憶では社長がご祝儀袋を取り出し、お土産の入っている袋に入れ、その袋ごと大臣に渡していたと思う。大臣がその祝儀袋を袋から取り出したことや、ポケットに入れたような記憶はない。
 以上が、平成25年11月14日の50万円の授受の状況等についてA秘書が弁護士に説明した内容であります。
 次に、平成26年2月1日に面会を設定した経緯および50万円の授受の状況等について、A秘書が弁護士に説明した内容を申し上げます。
 1月21日午前11時30分ごろ、総務担当者が「相談したいことがある」と言い、大和事務所にやってきた。「S社が使っている土地上の社屋を移そうと思い、新しい土地を掘ったら産廃が出てきたので、S社の敷地の産廃撤去を企業庁にお願いしたい」という話だったと思う。総務担当者が「大臣に会って話がしたい」というので、2月1日、大和事務所で大臣のアポを取った。ただ総務担当者は産廃の件よりは、どちらかと言えば前回、大臣室に行ったときは社長ばかりが話をしていて総務担当者の影が薄かったので、今度は同人が「個人としてお祝いをし、大臣と付き合いたい」という希望であった。
大臣室、大和事務所で各50万円を受け取る
 2月1日、面談の前にA秘書のほうから、「大臣に詳しい説明等はしていなかったが、敷地の下から産廃が出てきて、UR、企業庁と問題があるようなので話を聞いてもらえますか」という程度の説明をしたと思う。面会時間は20~30分ぐらいで雑談がほとんどだったと記憶している。
 産廃の件については、総務担当者はファイル2冊くらい持ってきて説明をしていた。大臣は総務担当者の説明を聞き、S社のほうで産廃を掘り出した等と言っていたのに対し、「自分で掘り出したのなら自分で処理するしかない」とか、「見つけた段階ですぐに言わなければ駄目なのではないか」等と言っていたと思う。その後、大臣は「総務担当者が持参した資料を東京のE秘書に渡しておいてくれ」ということだった。大臣は総務担当者の話を聞き、面倒に思ったのではないかと思う。この件はこれで話が終わった。
 記憶が定かではないが、総務担当者は、帰る前に甘利大臣に50万円の入った封筒や手土産を渡していたと思う。社長のときと同じように、お祝いの趣旨と聞いていた。大臣から「しっかり処理しておいてくれ」と言われ、現金50万円の入った封筒を受け取った。これについてはいったん大和事務所にある金庫に入れた。以上が平成26年2月1日に面会を設定した経緯および50万円の授受の状況等についてA秘書が弁護士に説明をした内容であります。
 続いて、大臣室および大和事務所で執行された各50万円の会計処理について、A秘書が弁護士に説明した内容であります。平成26年2月1日に大和事務所で渡された50万円は、平成25年11月14日の大臣室で社長から渡された50万円と合わせて、平成26年2月4日に13区支部で寄付として入金処理をした。このうち平成25年11月14日の50万円は、E秘書が1月下旬ころ大和事務所に持ってきていたと思う。A秘書が、お付き合いをしてるところからのものなので、大和事務所で処理をすることで持ってきたと思う。持ってきたのは、平成26年1月ころになったのは、平成25年末が大臣の舌がんの件でE秘書に余裕がなかったからではないかと思う。
 A秘書が大和事務所の経理担当者に、E秘書が持ってきた50万円とこの50万円の合計100万円につき、S社からの100万円の寄付として第13区支部で処理するよう言い、S社宛ての領収書を作成してもらいS社に送ったと思う。
 さらに、産廃の件の対応状況について、A秘書が弁護士に説明した内容を申し上げます。
 総務担当者が持ってきた資料は、甘利大臣が総務担当者との面会時に「E秘書に渡しておいて」と言っていたので、そのまま事務所の誰かにE秘書に届けてもらったと思う。E秘書に献金のことは伝えていない。その後、ずいぶん待たされた記憶があるが、それから数カ月以内にはE秘書が千葉県に電話した結果を伝えてきた。E秘書から電話をもらい、その後、総務担当者に対し、「千葉県も処理に困っていて難しい、千葉県とはこれ以上話ができない、力になれないと思う」と伝えたと思う。A秘書が弁護士に説明した内容の説明は以上です。
 弁護士によりますと、第13区支部の政治資金収支報告書には、平成26年2月4日にS社からの100万円の寄付金の記載があることが確認できました。また、大和事務所の経理事務員に対して電話でヒアリングをしたところ、S社からの寄付金として処理をした等の説明を受けたとのことです。
 一方、E秘書も弁護士に次のとおりの説明を行っています。
 11月14日、A秘書の案内で総務担当者や社長らが大臣室で大臣と面会をした。一緒にいたが、A秘書が連れてきたので関心を持って見聞きしていなかった。どのようなやりとりがなされたかはほとんど、ほとんど覚えていない。大臣からお菓子と言われ受け取った、手土産を渡された記憶がある。その後、中を確認したところ、立派な祝儀袋のようなものが入っているのに気が付いた。大臣からはきちっと処理するよう言われ、A秘書の関係なので大和事務所に持っていくのがいいと思い、時期は覚えていないが大和事務所に行ったときに持っていった。大臣の舌がんの件があったので、年が替わっていたかもしれない。大和事務所で適切に処理すると思っていた。どのように処理したかは聞いていなかった。
 また大和事務所から資料が送られてきたことがあったかについては、いつ資料が送られてきたかは覚えていないが、大和事務所から送られてきたことはある。普段でも、地元で国絡みの陳情があるとそれが送られてくることはある。重要な案件であれば、甘利大臣から「資料届いたか」、等々、聞かれることがあるが、この件では甘利大臣からはまったく話はなかった。E秘書も甘利大臣に報告しなければならない重要な案件でないと思い、甘利大臣にはまったく説明や報告等はしていない。
 資料に記載のあったところへ電話をしたが、「千葉の企業局のほうに」と言われたのでそちらへ電話をした。案件の内容は説明しているかもしれないが、どのような説明をしたか等は覚えていない。一般論としてこのような場合、誰が処理するのか等について質問をし、「一般的に地主が処理するという回答だったと思う」、との説明でありました。以上が、E秘書が弁護士に対して行った説明の内容であります。
500万円の授受について
 以上のとおり、各50万円については私が秘書に指示したとおり、政治資金として処理されていたことを。確認をしました。なお、平成25年11月14日の50万円につきまして、私からきちんと処理するようにと指示を受けていたものの、私の舌がん騒動で入金が遅れてしまったとのことでしたので、収支報告書の入金日については選管などとも相談し、適切に対応するよう事務所に指示をしました。
 次に本日発売の『週刊文春』において、総務担当者が私の父などと面識があったとする記事が出ているようなので、私が記憶する限りで多少、説明をします。総務担当者は私の父が衆議院議員時代に父と面識があったとか、父との会食の場で私と会ったと述べているようですが、当時、私は面識はありません。この総務担当者の方は名字がいくつか変わっているとの話も聞いていますが、少なくとも『週刊文春』に出ていた総務担当者の名前を当時、父から聞いたことはありません。
 次に1996年から97年ころ、漁業権の売買に関する相談をしたとのことですが、このころ私の父の知人の僧侶が来られまして、北方領土の漁業権の相談を受けたことがあります。しかし僧侶が誰かを連れてこられたような記憶はありますが、この総務担当者だったかは記憶にありません。このときの僧侶の相談は、「北方領土の漁業権を買い上げてもらいたい」というものでした。とても無理な話なので、その旨伝えて相談は終わったと思います。後日、この漁業権の話は時々出てくる話で、筋が悪いと役所から聞いた覚えがあります。
 今回の報道を受けて初めて知ったのですが、7~8年前に大和事務所のC秘書に、ある人が北方領土の漁業権の相談に来たが、C秘書が外務省に問い合わせて無理であることが分かったので、C秘書がその人にその旨伝えたところ、「『なんにもできねえじゃねえか』などと捨てぜりふを吐いて出ていったことがある」、とのことでした。そして、平成25年5月ごろ、総務担当者がA秘書にURとの相談を持ち込んだ際、A秘書から総務担当者を紹介されたとき、C秘書が昔相談に来た人ではないかと思い出し、総務担当者に対して、前にお会いましたよね、などと尋ねたところ、その総務担当者は、「いや初めてです」と答えたので、「おかしいな」と思った、とのことでした。
 次に報道されている秘書とS社との間の、平成25年8月20日の金500万円の授受についての調査状況を報告いたします。まずS社とURの補償交渉への関与等でありますが、A秘書の、弁護士に対する説明の要旨を申し上げます。
 総務担当者と初めて会ったのは平成25年2月ごろであり、その後、平成25年5月の連休後、5月9日だったと思う、に、大和事務所に来た際に、URとの間の補償に関する陳情があった。それに対して確認するという対応をした。その後、大和事務所のC秘書に総務担当者から預かった資料を渡し、当事者の双方から話を聞くという趣旨で現状を調べてくるように頼んだ。C秘書からの報告については、記憶が定かではないが、URに行って現状について教えてもらったのではないかと思う。
 その後、大和事務所で総務担当者と会った際、詳細は覚えてないが、話はしてきたので、あとは当事者でやってほしいという話だったと思う。総務担当者との間でそれ以上の話はなく、この件はこれで終わったとの認識であった。A秘書やC秘書が金額交渉等に介入したことはない。以上が、S社とURの補償交渉への関与等に関する、A秘書の弁護士に対する説明の要旨であります。
 続いて、本件についてのC秘書の弁護士に対する説明であります。A秘書から頼まれて、平成25年5月か6月ころ、一度、URに行ったことがある。その際A秘書から数枚程度の資料を渡されたと思う。その中にS社の名前はあったと思う。話し合いの進捗状況の確認に行ったと思う。URに何かお願いをした記憶はない。解決をしてくれなどと話した記憶もない。
 次に、500万円授受の有無および趣旨についての、A秘書の、弁護士に対する説明の要旨を申し上げます。
 8月20日、総務担当者と大和事務所で会った。その際に2億2,000万円という話は聞いた記憶がない。当日、総務担当者が1,000万円を出しきて、そのような多額の献金は受け取らないと言ったが、結果として100万と400万の合計500万を受領して、大和事務所の経理事務員に100と400で分けて領収書を切るように言ったと思う。独断で決められないと思い、100万円は献金としていただき、400万円は預かり、事務所の者と相談して判断しようと考えた。2枚とも寄付として領収書を、これ13口分を作成してもらい、総務担当者に渡した。なお、総務担当者からは領収書は要らないと言われたが、領収書は発行しなければいけないと言って発行した。
 その後、経理事務員と400万円の扱いについて相談したところ、やはり400万については返したほうがいいとなったので、その日のうちに総務担当者に返したい旨伝えたが、総務担当者は、いったん渡したお金なので受け取ってもらいたい、自由に使ってほしい旨、言ってきた。そこで400万円のうち100万円を大臣の元秘書の県議会議員のほうへ回すこととして9月6日に渡した。元秘書の県議に対する100万円の寄付については、事前に総務担当者に話をしている。
 9月6日に総務担当者に県議からの100万円の領収書を渡したが、300万円については結局、総務担当者に返せず、自分の机の引き出しに保管してしまった。なお、400万の領収書は総務担当者のほうで処分しておくという話であり、その後に処分したと聞いた。この300万についてはその後、本来、自腹でしなければならない支出、支払い等に使った。自腹での負担が大きいので誘惑に負けてしまった。県議に100万円渡したことや、300万円を返さないで使ったことは、甘利大臣や事務所の者には話していない。以上が500万円授受の有無および趣旨について、A秘書が弁護士に対し説明した内容であります。
 加えて、弁護士が確認した500万円授受の有無および趣旨について、甘利明事務所関係者の説明や関係資料によれば、平成25年8月20日の500万円のうち、100万円は同日、S社からの寄付として入金処理がされ、平成25年、政治資金収支報告書に計上されていることが確認できました。また、県議が代表を務める大和市第2支部の平成25年政治資金収支報告書に、S社からの100万円の寄付が計上されていることについても確認されました。
 また、大和事務所の経理事務員は、A秘書から相談され、寄付として受け取るのはせいぜい100万円と言った。500万は受け取ったが、400万円は返却するという話だった。そこで、入金簿のS社の欄に、8月20日、400万円は返却のこと、とメモ書きした。400万円年は返却したとA秘書から聞いた。そこで入金伝票に、9月6日返却と書いた、等と説明し、また同じく、大和事務所の同じく経理を担当している事務員も、同趣旨の説明をしております。このメモ書きと入金伝票の記載は確認できました。これみんな弁護士ですよ。以上のとおり、当初受け取った500万円のうち、第13区支部と大和支部の2支部への各100万円については、それぞれ収支報告書に記載されていることを確認しました。
 残りの300万円については、A秘書が総務担当者に返金を申し入れましたが強く拒まれ、結果としてA秘書が手元で管理し、費消してしまったとの報告を受けました。従って、300万円については収支報告書の記載を欠いている状態になっていますので、選管などと相談の上、適切に対応するよう指示をしました。以上、本日までに弁護士に調べてもらい判明した内容を、中間報告という形で報告を受けた内容を踏まえ説明をしました。現在も引き続き、記事に掲載をされているような事実があったのか調べてもらっています。
500万円のうち300万円をA秘書が私的に費消
 秘書らの対応につきましては現在も調査をしてもらっているところであり、URなどとのやり取りの内容についても今後明らかになると思います。ただ、現時点では先ほど説明したとおり、A秘書が寄付として受領してしまった300万円を費消してしまったことが明らかになっています。さらに、A秘書とB秘書からは、総務担当者やS社社長から飲食や金銭授受などの接待を多数回にわたり受けている事実は認めているとのことであり、調査をしている弁護士を通じて両名から辞表が提出されました。今後も調査は引き続き行いますが、辞表は本日付けで受理することといたしました。
 そして、総務担当者およびS社からの政治献金につきましては、選管などとも相談をした上で、全て返金するよう事務所に指示をしました。また、今回の報道後、調べてみて初めて分かったことですが、信用調査会社によれば、S社は3年連続赤字企業である恐れがあり、そうであれば総務担当者やS社は政治資金規正法の22条の4に違反する寄付をしたことにもなるので、その観点からもただちに返金をするよう指示をしました。
 今回の報道があってから、A秘書に対しましてS社社長から毎日のように、口裏合わせをしようとの電話があったとの報告を受けています。S社社長からは次の内容の電話があったとのことです。たくさんありますが、いくつかご紹介をいたします。
 「口裏合わせはなんでもいいけどさ、じゃあ独り言を聞いてくださいよ。もしちょっと動いてみて、大臣が口利いてでも、もしうまくなるようであればその返事をいただいて、正面、絶対出さないけれどもなんとかなるっていうふうにやって、言ってくれれば絶対止める。ただ最後は、例えばですよ、記事が出たとしていろいろ迫られますよね。でも、一色がいなければ、一色が出てきて、いや、実を言うと内輪もめでありもしないことを言ったって言えば済む話になると思いますよ」。
 もう1つ、紹介します。
 「俺、一色がしゃべってるだけだったら証拠が薄いと思いますよ。それは話しているだけであって、実はないと思いますよ。私、確信持って言いますよ、あのA秘書さんたち、あきらめるの早いんじゃないですか。ないと私は踏んでますよ。なぜかって言うと、私、録音持ってませんかって聞かれましたもん。大臣室での話とかなんか録音したのありませんかって聞かれましたもん。俺、持ってませんよって言いましたもん。俺にもよく言ってくる、録音してありますかって言ってきたけども、じゃあ聞かせてよって、はいって言って、俺、1回も聞いてないよ。一色が言うには、解決すれば自分が出て行って頭を下げるって言ってるんだよ。私が虚偽で言いましたって」などと言ってきているとのことです。
 なお、当然のことながら、A秘書はS社社長の誘いには乗っておりませんし、本日説明したとおり、S社社長が大臣室に持参をした50万円の授受についても、調査の中で説明をしているところであります。
 今回、私の秘書のUR関係の件につきましては、今回の記事を読んで初めて知り、愕然といたしました。秘書が疑惑を招いていることについて、監督責任を重く受け止めております。現在、さらなる調査を進めておりますが、多数の関係者からヒアリングを行う必要があることから、一定の時間がかからざるを得ないということをどうかご理解をください。
 このように、私が受理をした2件の献金は政治資金として処理され、政治資金収支報告書に記載されていたと、第三者である弁護士から報告を受けました。以上で私の報告を終わりますが、今般の私を巡る週刊誌報道によって、国民の皆さまにご心配をお掛けしましたことについておわびを申し上げますとともに、国民の皆さまに対しても多大なご迷惑をお掛けしたということをおわびを申し上げます。
閣僚の職を辞することを決断
 私はアベノミクスの司令塔として安倍総理より日本経済のかじ取りを任され、この3年間、国務に命懸けで取り組んでまいりました。デフレの脱却、経済再生と、財政健全化の二兎の追求。成長戦略の実行、実現、社会保障、税一体改革の推進、そしてTPPの推進など、不眠不休で取り組んでまいりました。舌がんの病床においても、経済財政諮問会議の席上でも、あるいはTPP国際交渉の現場においても、この国の未来に思いをはせなかったり、国政に心を砕かなかったりした瞬間は一瞬たりともありません。国家国民のために文字どおり全身全霊で取り組んでまいったという自負があります。
 しかしながらその一方で、気が付けば、その代償としてとしか言いようがないんですけども、私の政治活動の基盤である地元事務所および私を支える秘書の問題で、国民の皆さまに対し、大変恥ずかしい事態を招いてしまった事実が判明をしました。国政に貢献をしたいとの自分のほとばしる情熱と、自身の政治活動の足元の揺らぎの実態と、その落差に気が付いたときに、天を仰ぎ見る、暗たんたる思いであります。
 この1週間、報道された事案の真の内容を知れば知るほど、いったい全体なぜこのようなことが起こったのか、自問を繰り返す日々が続きました。同時に、なぜ秘書は自分に報告、相談をしてくれなかったのか。忙し過ぎて地元に目が向かなかったことが原因か、などと深い悔恨の思いがおりのようにたまってまいりました。一介の秘書ではなく、よりによって地元、事務所長という、事務所を統括する立場の人間がその道を外れてしまったこと、いや、それ以上に、そうした自体に至っていることをおよそ報道されるまで見逃してしまった自分自身を責めました。もはや統括すべき人間が不在となる以上、事務所を一から立て直す責任は支部の代表者たる私自身にあります。あらためて地に足の付いた政治活動を実施していく責任が、衆議院議員としての私にはあります。
 今回の事案報道により、野党の皆さまに経済演説を聞いていただけないばかりか、国会審議にも支障を来しかねない事態となりました。このことは、本来、安倍政権を支える中心的立場の人間が、逆に安倍政権の足を引っ張るという、安倍内閣の一員としての閣僚、甘利明にとっては誠に耐えがたい事態であります。何よりも希望を生み出す強い経済を推進してきた閣僚、甘利明が、そのポストにあることを理由とされて重要な予算審議に入れないなど、いささかといえども国政に停滞をもたらすことがあってはなりません。私自身に関わることが、権威ある国会でのこの国の未来を語る建設的な営みの足かせとなることは、閣僚、甘利明の信念にも反します。閣僚のポストは重い。しかし政治家としてのけじめを付けること、自分を律することはもっと重い。政治家は結果責任であり、国民の信頼の上にある。たとえ私自身はまったく関与していなかった、あるいは知らなかった、従ってなんら国民に恥じることをしていなくても、私の監督下にある事務所が招いた国民の政治不信を秘書のせいと責任転嫁するようなことはできません。それは私の政治家としての美学、生きざまに反します。
 安倍内閣は、経済最優先で取り組み、わが国経済は緩やかな回復基調が続き、ようやくもはやデフレではないという状況までやってくることができました。15年以上続いたデフレの重力圏から脱却できるかの瀬戸際にあります。デフレから脱却し、強い経済を実現するためには、本予算および重要関連法案の一刻も早い成立こそが求められており、その阻害要因となるものを取り除いていかなければなりません。もとより私もその例外ではありません。
 国会議員としての秘書の監督責任、閣僚としての責務、および政治家としての矜持にかんがみ、本日ここに閣僚の職を辞することを決断しました。先ほど、この会見の趣旨と私の辞意については安倍総理にご連絡をいたしました。この会見ののちに官邸に伺って、直接お伝えをいたします。ありがとうございました。
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項続く】
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