■昨日開催した市民オンブズマン群馬の3月定例会で、県内各地で取りざたされている行政がらみの諸問題について、熱心な討議が行われました。中でも、桐生市の新里町にある約4,440㎡の原野において、2021年5月に外国人が所有権を取得してから、県外の建設現場から排出された木片やプラスチックなどの産業廃棄物が、神奈川や埼玉ナンバーのトラックによって大量に搬入されたまま山積みされ放置されていて周辺住民の生活環境に大きな不安と支障を与えている問題について、メディア関係者もオブザーバーとして加わっていただき、現状の情報共有と今後の活動方針を話し合いました。概要は本日の朝刊記事を参照ください。
**********読売新聞2023年3月19日
廃棄物放置の山林 情報開示
桐生市 市民オンブズ 県にも請求
桐生市新里町鶴ヶ谷の私有地に廃棄物が大量に放置されている問題で、「市民オンブズマン群馬」(小川賢代表)は18日、前橋市で開いた定例会で、2018年に現地で行われた山林伐採の目的が「太陽光発電施設への転用」だったことを明らかにした。オンブズマンの開示請求を受けて桐生市が公開した伐採届や市の受理書でわかった。
また、廃棄物が搬入された経緯や行政指導に関する公文書の開示請求を県に行ったことも報告し、県は4月17日までに開示の可否を決定すると回答したという。
桐生市の長澤健二副代表(71)は「原状は造成目的と全く異なっており違法状態だ。周辺の住宅地は悪臭が漂い、のり面は廃棄物で埋まり土砂流出の恐れもある。住民と情報共有を図り、県に誠意ある対応を求めたい」と報告。小川代表は「住民に寄り添い、会としてしっかりと対応したい」と話した。
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■このように、行政の及び腰対応が、ルール無視の不良業者の蹂躙を助長しているため、毅然とした行政の事務事業が強く求められています。一方、住民側も結束して不良業者に対抗すべく、行政を動かす必要性を痛感しており、署名活動の開始に当たり、住民組織が結成される動きが具体化しています。引き続き、当会としても、住民目線でこの問題解決のための支援に尽力する所存です。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※関連記事
**********読売新聞2023年3月8日
廃棄物山積み 住民苦慮
桐生市新里町鶴ヶ谷に、建築廃材などの廃棄物が10メートルを超す高さまで積まれ、断熱材やほこりが近くに飛来したり、風向きによっては悪臭が漂ったりしている。近隣住民は県などに対応を求めているが、所有者と連絡がつかず、撤去されるめどは立っていない。
★桐生の山林斜面 県、所有者と連絡とれず★
↑金属製フェンスを超える高さに積み上げられた鹿棄物の山。住民が飛んでくるゴミを拾う作業に追われていた(2月、桐生市新里町鶴ヶ谷で)↑
現場は「県立ぐんま昆虫の森」から南に約300メートル離れた山林の西側斜面にある私有地。高さ約3メートルの金属製フェンスが約70メートルにわたって立てられている。
近くには約10戸の民家があり、これまでに撤去を求める通報が県に約60件寄せられた。県は当初、「廃棄物の場外保管に当たる 」として所有者に届け出るよう指導したが、まもなく連絡が取れなくなった。
県は桐生市や県警とともに、現場の作業員らに早期撤去と搬入禁止、私有地の管理徹底について指導を繰り返したが、搬入は続き、廃棄物の重みでフェンスが傾くこともあったという。住民らは「雨で崩落する恐れがある」と不安がる。
登記簿などによると市有地の面積は約4400平方メートルで、埼玉県川口市の外国人とみられる人物が2021年5月に購入した。ただ、近隣住民によると、埼玉、千葉県内で交付されるナンバーなどを付けたトラックが20年5月頃から、断熱材や畳などを昼夜を問わず廃棄していた。
川口市の住所を読売新聞記者が訪ねると、アパートのドアに産業廃棄物処理の業者名を記した看板が取り付けられていた。近所の人によると、トルコ人が住んでいたが、帰国し、居住者はいないという。
桐生市は今年1月、市税滞納を理由に私有池の差し押さえを実施。廃棄物がフェンスを超える高さになり、作業員らが重機で斜面の下に落としていたが、同月下旬に搬入が中断され、トラックの出入り口がシートで閉じられた。
だが、廃棄物は野積みになったままだ。向かい側に住む60代の男性は「廃棄開始直後から県や市に指導をお願いしてきたが、所有者がいないのでは苦情の持って行き場がない。早い段隋で毅然とした措置を取っていれば、このような状況は防げた」と不満をあらわにした。県廃棄物・リサイクル課は所有者の所在を確認する考えだが、「廃棄物を私有地に置いているだけでは不法投棄の認定は難しい。現状は環境保全上の必要性が認められず、強制代執行などに踏み込むこともできない」としている。
★「まず分析、周辺環境調査を」 関東学院大 津軽石教授★
↑廃棄物の山の下で住民から説明を受ける津軽石教授(右)。辺リにかび臭いにおいが漂っていた(4日)↑
廃棄物政策に詳しい津軽石昭彦・関東学院大教授(地域調環境政策)が4日、現地を訪れ、「石こうボードのようなものがあり、住宅の解体で出た廃棄物が分別されず持ち込まれたように見える」と話した。石こうボードは有害なガスが発生する恐れがあるほか、建築廃材には発がん性のあるアスベストが含まれている場合もあり、「まずは廃棄物を分析し、周辺の環境調査を行うべきだ」と訴えた。
津軽石教授は、1998年に発覚した岩手・青森県境での産業廃棄物不法投棄事件に岩手県職貝として関わった。投棄された量は国内最大規模の約150万トンにのぼり、撤去や業者への行政処分などにあたった。
津軽石教授は「不法投棄の場合、投棄の実行者や排出事業者など、土地所有者以外に対しても撤去などを求めることができる。排出事業者が作る『産業廃棄物管理票』を確認すれば、関わった業者の特定が可能だ」として、「強制代執行を考える前に打つべき手はいろいろあるのではないか」と述べた。
(栗村政伸)
**********毎日新聞2023年3月15日
あふれ出るごみの山 桐生の住宅地近く 飛散、異臭 所有者は連絡取れず /群馬
↑フェンスの切れ目から斜面にはみ出した廃棄物の山=群馬県桐生市新里町鶴ケ谷で2023年3月1日、大澤孝二撮影↑
桐生市新里町鶴ケ谷の私有地に大量のごみが積まれ、風で飛散したり、異臭が漂ったりして住民を悩ませている。撤去を望む住民らが県に対応を求めているが、県は所有者と連絡が取れず、自治体が強制的にごみを撤去する行政代執行にも慎重な姿勢だ。【大澤孝二】
私有地があるのは山の斜面で、住宅地の向かい側。約4400平方メートルあり、土砂やビニールだけでなく古畳やロッカーなどが積み上げられている。金属製のフェンスで周囲を覆っているが西側は囲いがないため、ごみが斜面にあふれ出ている。
斜面の近くに住む住民は「大雨が降ってごみが崩れ落ちたら、斜面の下にある水田などに影響が及ぶのは避けられない」と不安を口にする。別の住民は「天気が良ければ遠くに浅間山が臨める風光明媚(めいび)な場所を選んでついのすみかとしたかったのに、今はごみの山を眺める日常になってしまった」と憤る。
登記簿などによると、土地の所有者は埼玉県に住む外国人とみられ、2021年5月に取得。住民らの話では、その頃から私有地の周囲にフェンスが張り巡らされ、ごみが持ち込まれるようになった。中の様子が見えないため詳細には分からないが、埼玉県や神奈川県などのナンバーの大型ダンプが廃棄物を持ち込み、それほど時間がかからないうちにごみの山ができあがったという。
桐生市は1月中旬、固定資産税の未払いがあるとして私有地を差し押さえた。住民によると同下旬以降は重機の出入りがほとんどなくなり、大がかりなごみの搬入は止まっているという。
ただ、ごみが放置されている状況は変わらず、地区の班長をしている男性は「元々の地主が雑木林を処分して盛り土をし、造成した後に所有者が変更して状況が変わってしまった。市に訴え、事態の解決を図る糸口を探りたい」と話す。私有地の近くに太陽光発電のパネルを設置している会社の役員は「設置しているパネルに飛散した土砂がかぶり、発電効率が半分以下に落ち込んでしまった」とこぼし、原状回復を求める意向だ。
★代執行には慎重★
県廃棄物・リサイクル課の担当者は、景観の悪化などについて現地視察をしたと明かし、「所有者に適切なごみ処理と現在地からの撤去を求めているが、先方とは連絡がつかない状況だ。所有者に代わってごみを撤去する行政代執行に県民の税金を使うのは慎重な検討が必要」と話す。桐生市は「県や警察と連携を図りながら、これ以上はごみの搬入をしないよう土地所有者に求めていく」としている。
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