■かつて公害企業として全国にその悪名を響かせた東邦亜鉛の安中製錬所ですが、その体質は少しも改善されないまま、現在に引き継がれていることが、今年8月9日の突然の公表で判明しました。
※参考URL:「当社の非鉄スラグ製品の調査・回収について」 ⇒ http://www.toho-zinc.co.jp/news/pdf/news_20190809_2.pdf
しかし東邦亜鉛は、これほどの違法行為を犯しながらも、廃棄物処理法に基づくペナルティを群馬県から受けることもなく、「当社の有毒スラグが不法投棄されている場所を見つけたら情報提供してください」などと涼しい顔で、自社のHPや新聞広告を出している有様です。 ※2019年11月29日上毛新聞P4:ZIP ⇒ 20191129mxol_new.zip
そうした中で、12月7日付に上毛新聞に次の記事が掲載されました。
**********令和元年(2019)12月7日上毛新聞
ZIP ⇒ 20191207vxo.zip
東邦亜鉛のスラグ 県内70ヵ所で使用
基準超す有害物質49ヵ所
東邦亜鉛安中製錬所(安中市)が出荷した非鉄スラグ製品の一部に、土壌環境基準値を超える有害物質が含まれていた問題で、県は6日、10月末時点の調査結果を公表し、この非鉄スラグが建設資材として県内の計70ヵ所使用されていたことを明らかにした。このうち環境調査が終了した51ヵ所では、96%の49ヵ所で基準値超の有害物質が検出された。
県によると、この非鉄スラグは榛東村内の公共工事で1ヵ所、県内の民間工事で69ヵ所使用されていた。基準値を超える有害物質が検出されたのは民間工事の49ヵ所だが、現時点で土壌への汚染は確認されていない。
県は同社に対し、使用箇所の全容解明と環境調査、結果の報告などを指示している。
**********毎日新聞2019年12月7日 デジタル群馬版
東邦亜鉛排出スラグ 建設資材70カ所使用 49カ所で基準値超 /群馬
金属メーカー「東邦亜鉛」が出荷した環境基準を上回る亜鉛やヒ素などを含んだ金属片「スラグ」が県内で建設資材として流通していた問題で、県は6日、県内での使用箇所が10月末現在の調査で70カ所に上ったと発表した。このうち49カ所の資材から基準を超過する有害物質を検出したという。県は健康被害の発生は考えにくいとしているが、使用箇所の管理者などを通じて注意喚起しているという。【西銘研志郎】
9月発表の8月末時点での使用箇所は51カ所だった。今回はここから新たに19カ所が加わった。
使用状況の内訳は、榛東村の公共工事で1件、駐車場など民間工事で69件。これまでの調査で使用箇所の土壌の汚染は確認されていないという。使用箇所からのスラグの撤去作業は進められているという。
県は同社に対し、「調査の加速化」などを改めて行政指導しているという。スラグの使用が判明した場所については、県が環境への影響を監視していくのとともに、今後も使用箇所の調査を継続していくという。
スラグは金属製錬の際に炉にたまる金属くずで、基準を超える有害物質が含まれていないことなどを条件に建設資材に再生利用されるケースもある。
**********読売新聞2019年12月7日05:00
有害スラグ使用49か所
県は6日、金属メーカー「東邦亜鉛」の安中製錬所(安中市中宿)が出荷していた有害な非鉄スラグ製品の県内の使用先が、同社による調査で10月末現在、49か所に上ると発表した。有害品には土壌環境基準を超える鉛などが含まれるが、土壌汚染は確認されていないという。同社製品が砂利や路盤材に使われた工事は10月末で70か所あると判明しており、有害品の使用先はさらに増える恐れがある。
【12/8追記】**********東京新聞2019年12月8日
鉛、ヒ素49ヵ所で基準超え 東邦亜鉛出荷の非鉄スラグ
東邦亜鉛安中製錬所(安中市)が出荷した非鉄スラグの一部に土壌環境基準を超す鉛やヒ素が含まれていた問題で、県は六日、これらの非鉄スラグが県内七十カ所で使用され、うち四十九カ所で基準値超の鉛やヒ素を検出したと発表した。土壌汚染や健康被害は確認されていないとしている。
県は「個人や法人の情報が含まれる」との理由で、この四十九カ所の場所を公表していない。東邦亜鉛は取材に対し「使用場所が分かり次第、撤去を進める」としている。
東邦亜鉛によると、非鉄スラグは亜鉛の製造工程で出る砂利のような形の物質で、セメントや道路の基盤材として販売していた。
**********
■今回もポイントを整理してみましょう。
ポイント①「榛東村内の公共工事で1ヵ所、県内の民間工事で69ヵ所使用されていた」こと。
ポイント②「県は同社に対し、『調査の加速化』などを改めて行政指導しているという」こと。
ポイント③「県は健康被害の発生は考えにくい」としていること。
それではポイントごとに考えてまいりましょう。
ポイント①
「榛東村内の公共工事で1ヵ所、県内の民間工事で69ヵ所使用されていた」こと。
↑リサイクル砕石の製造も手掛ける岡田興業の資材置き場には、非鉄スラグが大量に山積みされていました。この資材置き場に仮置きしておいて、リサイクル砕石の中に鉛・ヒ素入り非鉄スラグをたっぷり混入させていたことでしょう。↑
今回の東邦亜鉛の非鉄スラグ不法投棄事件は、岡田工務店・岡田興業という兄弟会社が実行犯となり進められました。この岡田グループは、盛り土やリサイクル砕石に非鉄スラグを混合させるやり方で群馬県中にばら撒いた模様です。
報道によると群馬県は「榛東村内の公共工事で1ヵ所」「県内の民間工事で69ヵ所」使用されていたと発表されたとなっていますが、岡田興業のリサイクルプラントが近い榛東村の公共事業で「1ヵ所」だけ使用とは、あまりにも少なくお話になりません。
当会では、群馬県が建設を進める高崎渋川バイパスの中央分離帯に東邦亜鉛の非鉄スラグが使用されているのを発見しています。しかし他の高崎渋川バイパスに使用されているかどうか?調べようともしません。今回は公共工事でたった1ヵ所使用とは開いた口がふさがりません。
群馬県や榛東村の公共事業で岡田興業の建設資材が使用された場所は全て、鉛・ヒ素に汚染されている可能性があります。なぜ公共工事の資料を調べて、岡田グループの建設資材の使用の有無を調べないのでしょうか?群馬県と岡田グループとの癒着?が疑われてなりません。
ポイント②
「県は同社に対し、『調査の加速化』などを改めて行政指導しているという。」こと
驚いたことに群馬県は東邦亜鉛に対し「調査」を行政指導していることが報道されています。同様の大同特殊鋼有害スラグ事件では、廃棄物処理法に基づく立ち入り調査及び報告の聴取が行われましたが、今回の東邦亜鉛のスラグ事件では「調査」を行政指導というあきれた対応になっています。
まさか群馬県は、東邦亜鉛とも癒着して、お目こぼしを画策していると言われてもしょうがないと覚悟しているのでしょうか?一刻も早く廃棄物処理法に則った対策が必要です。
※参考:報告の聴取(廃棄物処理法第18条第1項)
立入検査(廃棄物処理法第19条第1項)
大同特殊鋼や佐藤建設工業に対する立ち入り検査の様子はこちらです。↓↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2259.html#readmore
ポイント③
「県は健康被害の発生は考えにくい」としていること。
毎日新聞の調査によると東邦亜鉛の非鉄スラグからは「環境基準の55倍の鉛と6倍のヒ素」が検出されています。この超有害なスラグがばら撒かれているのに、なぜ「県は健康被害の発生は考えにくい」と簡単に考えているのでしょうか?
非鉄スラグに含まれた鉛が環境基準値以内だから「健康被害の発生は考えにくい」ならまだわかりますが、環境基準値を爆発的に超過しているのに「健康被害の発生は考えにくい」とは、どうしても理解できません。
環境基準値とはいったい何なのでしょうか?群馬県は環境基準値を何だと考えているのでしょうか?
■2019年11月25日に東邦亜鉛が「環境報告書2019」を掲載しました。群馬県の県土を有毒な鉛入りスラグをまき散らして汚染しまくった事実がどのように報告書に自己評価されているのか注目されましたが、結局、最後の1ページに「20 当社の非鉄スラグ製品に関する対応状況について」と題する僅か8行の文章しか掲載されませんでした。
※参考URL:環境報告書2019 ⇒
http://www.toho-zinc.co.jp/csr/envreport/pdf/env_2019.pdf
**********
「20 当社の非鉄スラグ製品に関する対応状況について」
2019年7月下旬、当社安中製錬所(群馬県安中市)が過去に出荷した非鉄スラグ製品(以下、K砕製品という。)の一部において、土壌汚染対策法(以下、土対法という。)の指定基準値を超過した製品があること、ならびび、当社の管理不足により不適切な使用・混入がなされた可能性のあることが、調査の結果判明いたしました。
当該基準超過製品は2016年4月以降、出荷を停止しておりますが、当社では出荷済みK砕製品の使用状況を調査するとともに、地域住民の皆様に情報提供をお願いしております。
土対法の基準を超過するK砕製品が使用・混入された可能性のある個所については関係者と協議しながら回収・撤去等の修補工事を鋭意進めております。
**********
このように東邦亜鉛は、鉛・ヒ素入り非鉄スラグ(=K砕)の違法投棄をしていたにもかかわらず、なぜか「土壌汚染対策法」の指定基準超過のみ強調していますが、本来、鉛やヒ素など有害物質を判定基準(鉛又はその化合物、ヒ素又はその化合物が溶出で0.3㎎/L)を超える鉱滓は「特別管理産業廃棄物」として遮断型最終処分場に搬入しなければなりません。
■ところが、新聞記事にもあるとおり、群馬県まで「現時点で土壌への汚染は確認されていない」などと東邦亜鉛に忖度する見解を、臆面もなく公表しているのです。
群馬県がこの及び腰ですから、公害企業の東邦亜鉛としては、渡りに舟でしょう。大同特殊鋼のフッ素・六価クロム入り鉄鋼スラグ問題といい、東邦亜鉛の鉛・ヒ素入り非鉄スラグ問題といい、群馬県の環境行政の酷さは留まるところを知りません。当会は微力ながら全力を挙げて、群馬県と特定企業の癒着の是正に邁進してまいります。
【12/08追記】
報道では、群馬県の発表だとして「土壌汚染は確認されない」として、環境分析調査をしていることをほのめかしていますが、廃棄物の疑いのある非鉄スラグの70箇所の調査結果が発表されないのは、極めて不可思議です。
当会が実際に東邦亜鉛安中製錬所由来の非鉄スラグ(東邦亜鉛では「K砕」と呼んでいる鉱滓のこと)の溶出量試験を行った関係者から、結果を聞いたところ、溶出量試験でとんでもない値が出たことが分かりました。
溶出量試験の値が大きいと、客観的に見て、特別管理産業廃棄物になります。
70箇所も調べれば、かなりの確率で特別管理産業廃棄物の値を超す可能性があります。
当会では、群馬県が本当のことを発表しているかどうか、確かめる必要性を痛感しており、早速今月12月第3土曜日開催予定の例会で、土壌汚染が確認されなかったことがわかる一切の情報の開示請求を行うための協議を行うことにしております。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
※参考URL:「当社の非鉄スラグ製品の調査・回収について」 ⇒ http://www.toho-zinc.co.jp/news/pdf/news_20190809_2.pdf
しかし東邦亜鉛は、これほどの違法行為を犯しながらも、廃棄物処理法に基づくペナルティを群馬県から受けることもなく、「当社の有毒スラグが不法投棄されている場所を見つけたら情報提供してください」などと涼しい顔で、自社のHPや新聞広告を出している有様です。 ※2019年11月29日上毛新聞P4:ZIP ⇒ 20191129mxol_new.zip
そうした中で、12月7日付に上毛新聞に次の記事が掲載されました。
**********令和元年(2019)12月7日上毛新聞
ZIP ⇒ 20191207vxo.zip
東邦亜鉛のスラグ 県内70ヵ所で使用
基準超す有害物質49ヵ所
東邦亜鉛安中製錬所(安中市)が出荷した非鉄スラグ製品の一部に、土壌環境基準値を超える有害物質が含まれていた問題で、県は6日、10月末時点の調査結果を公表し、この非鉄スラグが建設資材として県内の計70ヵ所使用されていたことを明らかにした。このうち環境調査が終了した51ヵ所では、96%の49ヵ所で基準値超の有害物質が検出された。
県によると、この非鉄スラグは榛東村内の公共工事で1ヵ所、県内の民間工事で69ヵ所使用されていた。基準値を超える有害物質が検出されたのは民間工事の49ヵ所だが、現時点で土壌への汚染は確認されていない。
県は同社に対し、使用箇所の全容解明と環境調査、結果の報告などを指示している。
**********毎日新聞2019年12月7日 デジタル群馬版
東邦亜鉛排出スラグ 建設資材70カ所使用 49カ所で基準値超 /群馬
金属メーカー「東邦亜鉛」が出荷した環境基準を上回る亜鉛やヒ素などを含んだ金属片「スラグ」が県内で建設資材として流通していた問題で、県は6日、県内での使用箇所が10月末現在の調査で70カ所に上ったと発表した。このうち49カ所の資材から基準を超過する有害物質を検出したという。県は健康被害の発生は考えにくいとしているが、使用箇所の管理者などを通じて注意喚起しているという。【西銘研志郎】
9月発表の8月末時点での使用箇所は51カ所だった。今回はここから新たに19カ所が加わった。
使用状況の内訳は、榛東村の公共工事で1件、駐車場など民間工事で69件。これまでの調査で使用箇所の土壌の汚染は確認されていないという。使用箇所からのスラグの撤去作業は進められているという。
県は同社に対し、「調査の加速化」などを改めて行政指導しているという。スラグの使用が判明した場所については、県が環境への影響を監視していくのとともに、今後も使用箇所の調査を継続していくという。
スラグは金属製錬の際に炉にたまる金属くずで、基準を超える有害物質が含まれていないことなどを条件に建設資材に再生利用されるケースもある。
**********読売新聞2019年12月7日05:00
有害スラグ使用49か所
県は6日、金属メーカー「東邦亜鉛」の安中製錬所(安中市中宿)が出荷していた有害な非鉄スラグ製品の県内の使用先が、同社による調査で10月末現在、49か所に上ると発表した。有害品には土壌環境基準を超える鉛などが含まれるが、土壌汚染は確認されていないという。同社製品が砂利や路盤材に使われた工事は10月末で70か所あると判明しており、有害品の使用先はさらに増える恐れがある。
【12/8追記】**********東京新聞2019年12月8日
鉛、ヒ素49ヵ所で基準超え 東邦亜鉛出荷の非鉄スラグ
東邦亜鉛安中製錬所(安中市)が出荷した非鉄スラグの一部に土壌環境基準を超す鉛やヒ素が含まれていた問題で、県は六日、これらの非鉄スラグが県内七十カ所で使用され、うち四十九カ所で基準値超の鉛やヒ素を検出したと発表した。土壌汚染や健康被害は確認されていないとしている。
県は「個人や法人の情報が含まれる」との理由で、この四十九カ所の場所を公表していない。東邦亜鉛は取材に対し「使用場所が分かり次第、撤去を進める」としている。
東邦亜鉛によると、非鉄スラグは亜鉛の製造工程で出る砂利のような形の物質で、セメントや道路の基盤材として販売していた。
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■今回もポイントを整理してみましょう。
ポイント①「榛東村内の公共工事で1ヵ所、県内の民間工事で69ヵ所使用されていた」こと。
ポイント②「県は同社に対し、『調査の加速化』などを改めて行政指導しているという」こと。
ポイント③「県は健康被害の発生は考えにくい」としていること。
それではポイントごとに考えてまいりましょう。
ポイント①
「榛東村内の公共工事で1ヵ所、県内の民間工事で69ヵ所使用されていた」こと。
↑リサイクル砕石の製造も手掛ける岡田興業の資材置き場には、非鉄スラグが大量に山積みされていました。この資材置き場に仮置きしておいて、リサイクル砕石の中に鉛・ヒ素入り非鉄スラグをたっぷり混入させていたことでしょう。↑
今回の東邦亜鉛の非鉄スラグ不法投棄事件は、岡田工務店・岡田興業という兄弟会社が実行犯となり進められました。この岡田グループは、盛り土やリサイクル砕石に非鉄スラグを混合させるやり方で群馬県中にばら撒いた模様です。
報道によると群馬県は「榛東村内の公共工事で1ヵ所」「県内の民間工事で69ヵ所」使用されていたと発表されたとなっていますが、岡田興業のリサイクルプラントが近い榛東村の公共事業で「1ヵ所」だけ使用とは、あまりにも少なくお話になりません。
当会では、群馬県が建設を進める高崎渋川バイパスの中央分離帯に東邦亜鉛の非鉄スラグが使用されているのを発見しています。しかし他の高崎渋川バイパスに使用されているかどうか?調べようともしません。今回は公共工事でたった1ヵ所使用とは開いた口がふさがりません。
群馬県や榛東村の公共事業で岡田興業の建設資材が使用された場所は全て、鉛・ヒ素に汚染されている可能性があります。なぜ公共工事の資料を調べて、岡田グループの建設資材の使用の有無を調べないのでしょうか?群馬県と岡田グループとの癒着?が疑われてなりません。
ポイント②
「県は同社に対し、『調査の加速化』などを改めて行政指導しているという。」こと
驚いたことに群馬県は東邦亜鉛に対し「調査」を行政指導していることが報道されています。同様の大同特殊鋼有害スラグ事件では、廃棄物処理法に基づく立ち入り調査及び報告の聴取が行われましたが、今回の東邦亜鉛のスラグ事件では「調査」を行政指導というあきれた対応になっています。
まさか群馬県は、東邦亜鉛とも癒着して、お目こぼしを画策していると言われてもしょうがないと覚悟しているのでしょうか?一刻も早く廃棄物処理法に則った対策が必要です。
※参考:報告の聴取(廃棄物処理法第18条第1項)
立入検査(廃棄物処理法第19条第1項)
大同特殊鋼や佐藤建設工業に対する立ち入り検査の様子はこちらです。↓↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2259.html#readmore
ポイント③
「県は健康被害の発生は考えにくい」としていること。
毎日新聞の調査によると東邦亜鉛の非鉄スラグからは「環境基準の55倍の鉛と6倍のヒ素」が検出されています。この超有害なスラグがばら撒かれているのに、なぜ「県は健康被害の発生は考えにくい」と簡単に考えているのでしょうか?
非鉄スラグに含まれた鉛が環境基準値以内だから「健康被害の発生は考えにくい」ならまだわかりますが、環境基準値を爆発的に超過しているのに「健康被害の発生は考えにくい」とは、どうしても理解できません。
環境基準値とはいったい何なのでしょうか?群馬県は環境基準値を何だと考えているのでしょうか?
■2019年11月25日に東邦亜鉛が「環境報告書2019」を掲載しました。群馬県の県土を有毒な鉛入りスラグをまき散らして汚染しまくった事実がどのように報告書に自己評価されているのか注目されましたが、結局、最後の1ページに「20 当社の非鉄スラグ製品に関する対応状況について」と題する僅か8行の文章しか掲載されませんでした。
※参考URL:環境報告書2019 ⇒
http://www.toho-zinc.co.jp/csr/envreport/pdf/env_2019.pdf
**********
「20 当社の非鉄スラグ製品に関する対応状況について」
2019年7月下旬、当社安中製錬所(群馬県安中市)が過去に出荷した非鉄スラグ製品(以下、K砕製品という。)の一部において、土壌汚染対策法(以下、土対法という。)の指定基準値を超過した製品があること、ならびび、当社の管理不足により不適切な使用・混入がなされた可能性のあることが、調査の結果判明いたしました。
当該基準超過製品は2016年4月以降、出荷を停止しておりますが、当社では出荷済みK砕製品の使用状況を調査するとともに、地域住民の皆様に情報提供をお願いしております。
土対法の基準を超過するK砕製品が使用・混入された可能性のある個所については関係者と協議しながら回収・撤去等の修補工事を鋭意進めております。
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このように東邦亜鉛は、鉛・ヒ素入り非鉄スラグ(=K砕)の違法投棄をしていたにもかかわらず、なぜか「土壌汚染対策法」の指定基準超過のみ強調していますが、本来、鉛やヒ素など有害物質を判定基準(鉛又はその化合物、ヒ素又はその化合物が溶出で0.3㎎/L)を超える鉱滓は「特別管理産業廃棄物」として遮断型最終処分場に搬入しなければなりません。
■ところが、新聞記事にもあるとおり、群馬県まで「現時点で土壌への汚染は確認されていない」などと東邦亜鉛に忖度する見解を、臆面もなく公表しているのです。
群馬県がこの及び腰ですから、公害企業の東邦亜鉛としては、渡りに舟でしょう。大同特殊鋼のフッ素・六価クロム入り鉄鋼スラグ問題といい、東邦亜鉛の鉛・ヒ素入り非鉄スラグ問題といい、群馬県の環境行政の酷さは留まるところを知りません。当会は微力ながら全力を挙げて、群馬県と特定企業の癒着の是正に邁進してまいります。
【12/08追記】
報道では、群馬県の発表だとして「土壌汚染は確認されない」として、環境分析調査をしていることをほのめかしていますが、廃棄物の疑いのある非鉄スラグの70箇所の調査結果が発表されないのは、極めて不可思議です。
当会が実際に東邦亜鉛安中製錬所由来の非鉄スラグ(東邦亜鉛では「K砕」と呼んでいる鉱滓のこと)の溶出量試験を行った関係者から、結果を聞いたところ、溶出量試験でとんでもない値が出たことが分かりました。
溶出量試験の値が大きいと、客観的に見て、特別管理産業廃棄物になります。
70箇所も調べれば、かなりの確率で特別管理産業廃棄物の値を超す可能性があります。
当会では、群馬県が本当のことを発表しているかどうか、確かめる必要性を痛感しており、早速今月12月第3土曜日開催予定の例会で、土壌汚染が確認されなかったことがわかる一切の情報の開示請求を行うための協議を行うことにしております。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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