■みなかみ町のたくみの里近くの日帰り温泉「遊神館」は、周囲ののどかな風景とともに湯量豊富な温泉を堪能でき、大浴場・ジャグジー・薬湯・源泉掛流浴槽・露天風呂と5種類男女別々の浴槽とサウナを備え、地粉を使った館内手打そばが好評で、120畳の大広間・有料個室・カラオケルームもあり有、常設ではないものの館内手もみ整体・エステも受けられ、各種ご宴会可能がうたい文句です。この施設の一角に、「RDF実証試験施設」なるものが建てられたのは、平成30年でした。
↑土地利用契約が為されないまま町有地に立てられたRDF実証試験施設。↑
↑みなかみ町営日帰り温泉の「奥平温泉遊神館」。↑
しかし、議会の議決を経ないまま署名された協定書にもとづき、地元の建設会社による建設工事が始まらないうちに、それまで形式的には「売却」のかたちで売り払っていたものの実際には1トン当たり2万1000円で処理するためのゴミ運搬処理契約を町の担当課長が突然解消してしまいました。
一方RDF実証試験も開始の目途が立たず、売り払い先を失ったRDFが倉庫から溢れそうになり、あわてて2017年6月から別の業者とRDFの引き取りを契約したところ、それまでの処理費用の2倍近い1トン当たり3万7000円となり、同年7月からは1000円アップして3万8000円を町が負担してきています。
そこで、これらの協定書や契約を結んだ経緯と責任の所在を明らかにするために、元同町議だった当会会員が、住民監査請求を行いました。しかし監査委員は責任の所在には踏み込まず、ごみ処理費用の経費節減と、PDF実証試験施設が建った町有地の使用許可を出すように、としか勧告しなかったため、当会会員は10月30日に訴状を前橋地裁に提出しました。
■ところで廃棄物固形燃料化とは、ゴミから固形燃料(RDF:Refuse Derived FuelおよびRPF:Refuse Paper & Plastic Fuel)を製造することです。これらの廃棄物固形燃料は、専用の装置で燃やされて、乾燥や暖房、発電などの用途に供されます。
RDFは可燃性の一般廃棄物を主原料とする固形燃料で、家庭などから排出される厨芥類(台所で発生する生ごみなど)を含みます。一方、RPFは、産業廃棄物として分別収集された古紙及びプラスチックを主原料とする固形燃料で、原料性質が一般廃棄物と比較して安定しているため、製造工程はRDFより単純で、製造コストも低く、低位発熱量もRDFより高くなります。
そのRDFを燃やそうとする試みはこれまで各地で行われてきましたが、爆発事故などでいずれも失敗しています。そうした中、みなかみ町でもRDF発電を1998年から開始しましたが、2006年にガス爆発で設備が破損し、発電事業がストップを余儀なくされました。年間約2500トンものRDFを町が運搬費を負担することで、外部に処理を委託してきました。
ところが2016年になり、みなかみ町に突然お助けマン業者が現れました。この業者は、言葉巧みに、行き場がなくなったRDFを利用して温水供給に使い、施設も作ろうと町の有力者らに持ち掛けました。しかしスッポン養殖を前面に出すと世間体が悪いので町営の温泉施設の熱源供給のための実証実験施設ということで、話が進められました。
しかし、この実証実験施設ではRDFを燃やすことから、本来は「廃棄物処理施設」であり、環境アセスメントや説明会など廃棄物処理法にもとづく手続きが必要となります。なぜなら、RDFの原料は所詮ゴミなので、燃やすには当然、バグフィルターなど、さまざまな排ガスクリーニング装置が整備されていなければなりません。そのため、さすがに環境省はともかく、県民のための生活環境保全意識の乏しい群馬県も、さすがに大気汚染防止法に基づく施設設置届の受理を保留しました。
仕様書さえ見当たらず、煙突さえなさそうなボイラーもどきが稼動したら、大変な大気汚染は避けられません。温泉施設の熱源供給なぞ、言語道断です。環境汚染意識の低い群馬県省も待ったをかけたわけですが、本来なら、「保留」ではなく、「不許可」とすべき事例です。
なお、住民監査請求のことについては、次のブログ記事を参照ください。
○2019年10月13日:スッポン養殖に目がくらみ禁断のRDFに手を出したみなかみ町に住民監査請求↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3050.html
■10月30日の提訴について、マスコミもさっそく報道しました。
**********読売新聞群馬版2019年10月31日
みなかみ元町議がRDFで住民訴訟
みなかみ町のごみ固形化燃料(RDF)事業を巡り、町が議会の議決を経ずにRDF処理費を支出しているのは不当だとして、元町議の男性が30日、鬼頭春二町長を相手取り、岸良昌・元町長と当時の担当課長に約2億3000万円の損害賠償を請求するよう求める住民訴訟を前橋地裁に起こした。
町は2017年度からRDFを県外事業者に年間約1億円の委託費を払って処理しているが、この額は燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ。訴状では、この判断をした当時の担当課長と委託契約をした岸元町長が町に損失を与えたとして、17年6月から今年8月までの処理費を請求するよう求めている。
提訴したのは鈴木章二・元町議。8月に同じ趣旨で住民監査請求をしたが、町監査委員が勧告で請求に触れなかったのを不服として提訴した。鬼頭町長は取材に、「訴状を精査して対応したい」と話している。
**********朝日新聞群馬版2019年10月31日
みなかみの固形化燃料問題 「元町長へ賠償請求を」提訴
家庭ごみの固形化燃料(RDF)を利用した実証試験計画で、みなかみ町に損害を与えたとして、鈴木章二前町議(61)が30日、町に対し、元町長と当時の担当課長に計約2億3500万円を請求するよう求める住民訴訟を前橋地裁に起こした。
訴状によると、実証試験の施設が町議会の議決を経ていない協定書に基づいて町有地に建設された上、施設の稼働を見込んで町議会の議決を得ずにごみ運搬処理契約を変更し、処理費用が以前の2倍近くに上っていると主張。町有地の使用料分120万円とごみ処理費用約2億3400万円の損失を町に与えたとして、協定書を結んだ当時の岸良昌元町長と契約変更にかかわった元課長に賠償請求するよう求めた。
原告の鈴木氏は8月、損害額を算定して原因者に請求するよう鬼頭春二町長に求める住民監査請求を提出。町監査委員は町が施設の使用許可を出し、ごみ処理の経費節減計画を立てることなどを勧告したが、鈴木氏は「監査結果では、協定書や契約の有効性に踏み込まず、町の損害を看過している。施設建設に至った経緯を訴訟を通じて明らかにしたい」と言う。町は「町長が出張中で訴状も届いておらず、コメントできない」としている。
(金井信義)
**********
■訴状はまだ、当会会員から当会事務局にもまだ届いていないため、詳細は分かりませんが、当会が入手次第、皆様にご報告したいと思います。
【11/11追記】
当会会員が10月30日に前橋地裁に提訴した訴状の写しが当会事務局に送られてきたので、以下に紹介します。
*****訴状*****ZIP ⇒ 2019103001i.zip
訴 状
令和元年10月30日
前橋地方裁判所民事部 御中
原 告 鈴 木 章 二
〒379-1414 群馬県みなかみ町布施339-1(送達先)
原 告 鈴 木 章 二
電 話 090-1431-6607(携帯)
FAX 0278-64-0753(固定電話兼用)
〒379-1393 群馬県利根郡みなかみ町後閑318
被 告 みなかみ町
上記代表者 町長 鬼 頭 春 二
電 話 0278-62-2111(代表)
FAX 0278-62-2291
RDF違法事業費用損害賠償請求事件
訴訟物の価額 金160万円(算定不能)
貼用印紙額 金1万3000円
第1 請求の趣旨
1 被告みなかみ町長鬼頭春二は、元・同町長の岸良昌、および元・生活水道課長の高橋考一に対し連帯して、平成29年6月から令和元年8月における固形燃料RDF運搬・処理業務委託事業に関して2億3423万9025円、及び平成29年10月から令和元年10月におけるみなかみ町遊神館RDFボイラー実証実験協定に関して120万円、およびこれらに対する平成29年6月から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
第2 当事者
1 原告はみなかみ町の住民であり納税者である。
2 被告は、みなかみ町長であり、上記事業費を計上した者である。
3 訴外は、固形燃料RDF運搬処理業務委託先のウイズウェイストジャパン㈱(以下「WWJ」という。)(群馬県吾妻郡草津町)、サンエコサーマル㈱(栃木県鹿沼市下石川)、及び、みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定先のみなかみエネルギーサービス㈱(以下「MES」という。)などである。
第3 住民監査請求
1 令和元年8月 1日、原告はみなかみ町監査委員に、地方自治法第242条第1項により、ごみ固形燃料RDFに関連した事業についてみなかみ町職員措置請求(甲1の1~4)を行った。
2 みなかみ町監査委員は、令和元年8月6日、住民監査請求に対する補正要求書を原告に送り(甲2)、令和元年8月20日、原告はみなかみ町監査委員に対して、補正書の提出(甲3の1~2)を行った。
3 令和元年10月3日、原告は、「みなかみ町職員措置請求に基づく勧告について(通知)」(令和元年9月30日付、み監発第3号)(甲4)を受け取ったが不服である。
第4 監査請求と監査結果に対する不服
1 原告は、みなかみ町監査委員に対し、「ごみ固形化燃料(RDF)事業の有効利用実証実験施設(以下「実験施設」という。)について、町が土地の使用許可を出していなかった」ことと、「町は2017年度からRDFを県外業者に一般廃棄物として処理を委託しているが、これを当時の担当課長による独自の判断としていた」ことについて、「使用許可を出していなかったことによる損害を算定し原因者に請求すること」と、「RDF事業に関して町が依然として支出している無駄な経費を直ちに精査して、原因となる協定書ないし契約等の取り決めの有効性を精査し、関連する損失を算定し、原因者に請求すること」との趣旨で、監査請求を申し立てた。
2 ところが、みなかみ町監査委員の監査結果(甲4)では、令和元年12月31日までに、①遊神館地内RDF実証試験施設の行政財産(町有地)使用許可を出すこと。②ボイラーの仕様書等の提出を求め、安全性等を確認すること、③安全性等が確認できない場合は、事業の中止も検討すること、④ごみ固形燃料(RDF)化の運搬処理業務委託事業の支出について精査を行い、経費節減計画を立てること、としか勧告されておらず、肝心の協定書や契約書等の有効性そのものに踏み込まないまま、既に支出ないし使われた行政財産(公金、町有地)の損害が看過されてしまっている。
第5 みなかみ町の損失
1 固形燃料RDF運搬・処理業務委託に関して
平成29年7月から現在(令和元年10月)に至るまでの少なくとも2億3423万9025円(内訳:は、「一般廃棄物(RDF)運搬・処理業務委託契約書」(以下「業務委託契約書」という。)(甲6の1~4)そのものが地方自治法第96条第1項第5号に定める「その種類及び金額について政令で定める基準に従い、条例で定める契約を締結すること」のため、議会の議決を経なければならないが、議決のなされないまま契約をされており無効である。
よって、金234,239,025円は公金で負担すべき理由がなく、みなかみ町の損失である。
なお、平成29・30・31年RDF利用施設搬出量(甲10)によれば、WWJ扱い分の内訳は次の通りである。
平成29年6月 349.380t×@41,045円/t=1434万0302円
平成29年7月~平成30年3月
1576.370t×@42,120円/t=6639万8280円
平成30年4月~平成31年3月
2567.960t×@42,120円/t=1億0816万2475円
平成31年4月~令和元年8月
1076.400t×@42,120円/t=4533万7968円
2 平成29年10月から令和元年10月におけるみなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定に関して平成29年10月から現在(令和元年10月)までの2年間に業者が遊神館地内で設置した実験施設用に使用してきた一定面積の町有地にかかる使用対価(月5万円×24か月=)120万円は、「みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定書」(以下「協定書」という。)(甲7の1、2)そのものが地方自治法第96条第1項第5号に定める「その種類及び金額について政令で定める基準に従い、条例で定める契約を締結すること」のため、議会の議決を経なければならないが、議決のなされないまま契約をされており無効である。さらに、この協定書では実験施設が町有地である遊神館地内にあることから、当然町有地の譲渡もしくは貸し付けが伴うため、地方自治法第96条第1項第6号に定める「条例で定める場合を除くほか、財産を・・・(中略)・・・又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること」に相当することから、議会の議決を経なければならない。ところが、議決のなされないまま契約をされており、実質的に業者によって町有地が占用されている状態である。
したがって、協定書の締結以降、この町有地が貸し出された場合の得べかりし使用対価(月5万円×24か月=)1,200,000円が未回収となっており、みなかみ町の損失である。
第6 本件請求の要旨
1 固形燃料RDF運搬・処理業務委託に関して
(1)住民監査結果(甲4)では、業務委託契約書が地方自治法第96条第1項も定める議会の議決を経ないまま締結されたことに触れられていない。
(2)この件につき、令和元年9月3日付でごみ処理調査特別委員会(委員長・中島信義)(以下「調査特別委員会」という。)がみなかみ町議会議長の小野章一あてに「ゴミ処理調査特別委員会の最終報告」(甲5)を提出しているが、その内容が住民監査結果に反映されているかどうか定かではない。
(3)この最終報告では、「茨城県古河市のS商店(注:㈱関商店の茨城工場のこと)へ固形燃料(RDF)の販売を打ち切った経緯」「MESとの接点」が記されている。
(4)それによると、「平成26年に元町長(注:岸良昌のこと)より奥利根アメニティパークの経費削減見直しの指示を受けた当時の担当課長(注:当時の生活水道課長の高橋考一)が『経費削減は町民の負担軽減になる』として、平成27年度よりRDFの町内循環型構想推進の検討を開始した」とあり、ボイラー実証試験施設を巡る協定書締結に向けた動きがはじまる端緒となったことがうかがえる。
(5)また報告には、「当時RDFの運搬費は(1トン21000円)で、委託先の㈱IHI環境エンジニアリング(以下「IKE」という。)は、茨城のS商店に『減量で受け入れができないか』と確認をしたが、S商店は『今迄同様、全量でなければ受け入れることができない』と(調査特別委員会に)回答してきた」と記されている。
(6)続けて「平成29年3月14日に町とIKEとの協議が整わなかったため、(被告が)S商店に『平成28年度末で終了、来年度からなくなる』旨を連絡した。調査特別委員会は平成31年2月13日に茨城県のS商店を訪れて、(同社)担当のN取締役執行役員に聞き取り調査をしたところ、『次年度に向け大型トレーラーまで購入し継続の意思はあった。一度(契約を)切ったらその次は受け入れられない』と回答したとのことであった。」「取締役執行役員のNさんは『あくまでもIKEの下で事業をしていたので、みなかみ町の職員とはかかわっていない』とのことであった」としており、なぜか、みなかみ町職員の関与を強く否定していることを強調している。
(7)また「元担当課長(高橋考一)は運搬料の原料をIKEと協議したが、0か100かの回答に、『来年度は0にしてもらいたい』と元町長(注:岸良昌)の決裁もなく、独自の判断でお願いした」とある。
このことから、この元担当課長(高橋考一)は、当時の岸町長の決裁を得ないまま、それまでのIKEと関商店ルートでのRDFの引き取りを打ち切ったことがわかる。
(8)一方、こうしているうちにも、IKEによるRDFの引き取りが打ち切られた後も、「平成29年4月からも1日約10トンから生産されており、奥利根アメニティパークでの保管量が限界に近くなった為、運搬処理の見積もりを2社からとり、(当時の岸良昌市長が)WWJと1トン3万9000円(ただし、請求金額はこれに消費税8%分の3120円を加算した合計4万2120円)で運搬処理契約を締結した。その結果、倍近い多額の費用がかかっている。ごみ処理経費の削減が進んでいない状況であると言わざるを得ない」と、異様に高額な費用の支出であることを認めている。
(9)具体的には、平成29年5月22日に、みなかみ町長の岸良昌は、WWJとサンエコサーマル㈱と業務委託契約書を締結したが、この時は1トン3万8000円(ただし、請求金額はこれに消費税8%分の3040円を加算した合計4万1040円)で運搬処理契約を締結していた(甲6の1)。委託期間は、契約日の平成29年5月22日から同年度末の平成30年3月31日までであった。
(10)ところが、僅か1か月余り後の平成29年7月1日に、突然契約変更が行われ、契約金額が増額されて1トン当たり3万9000円(ただし、請求金額はこれに消費税8%分の3120円を加算した合計4万2120円)とされた(甲6の2)。その後、毎年4月1日付で、業務委託契約書が更新されて現在に至っている(甲6の3、甲6の4)。
(11)この業務委託契約書により、みなかみ町はこれまでに次の支出を余儀なくされている。
平成29年6月 349.380t×@41,045円/t=1434万0302円
平成29年7月~平成30年3月
1576.370t×@42,120円/t=6639万8280円
平成30年4月~平成31年3月
2567.960t×@42,120円/t=1億0816万2475円
平成31年4月~令和元年8月
1076.400t×@42,120円/t=4533万7968円
(12)以上総額234,239,025円は、議会の議決を経ずに締結された業務委託契約により支出されたものであり、公金で負担すべき理由がなく、みなかみ町の損失である。
2 みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定について
(1)住民監査結果(甲4)では、協定書が地方自治法第96条第1項で定める議会の議決を経ないまま締結されたことに触れられていない。
(2)この件についても、令和元年9月3日付でごみ処理調査特別委員会(委員長・中島信義)(以下「調査特別委員会」という。)がみなかみ町議会議長の小野章一あてに「ゴミ処理調査特別委員会の最終報告」(甲5)を提出しているが、その内容が住民監査結果に反映されているかどうか定かではない。
(3)この最終報告では、「茨城県古河市のS商店(注:㈱関商店の茨城工場のこと)へ固形燃料(RDF)の販売を打ち切った経緯」「MESとの接点」が記されている。
(4)それによると、「平成26年に元町長(注:岸良昌のこと)より奥利根アメニティパークの経費削減見直しの指示を受けた当時の担当課長が『経費削減は町民の負担軽減になる』として、平成27年度よりRDFの町内循環型構想推進の検討を開始した」とあり、ボイラー実証試験施設を巡る協定書締結に向けた動きがはじまる端緒となったことがうかがえる。
(5)具体的には、いつの議会全員協議会なのかは定かでないが、最終報告によれば「町議会は、当局(注:みなかみ町執行部のこと)よりRDボイラーの実証試験を民営で行うと報告を受けた」とある。
(6)続けて、「平成28年1月にMESの代表者(注:山地敏男。甲7)が来町、元担当課長に面会、RDFをボイラーで燃焼し熱源としてスッポン事業をしたいとのこと、そして北海道富良野市でのRDFのボイラーの実用状況(仮温熱供給方式)の説明があり、平成28年6月に町当局より(議会の)厚生常任委員会へ報告があった。厚生常任委員会より担当課(長)に『町内循環が可能であれば勉強したほうが良い』と提案した」と最終報告は記している。
(7)そして、「平成28年7月20日より、厚生常任委員会でRDFボイラーを実用している先進地、北海道富良野市へ視察、事前に運搬しておいた当町のRDFをボイラーで燃焼、それは可能であることを確認したが、排ガスより基準値の7倍のダイオキシンが発生したとのこと。次にMESの代表者(山地敏男)がみなかみ町へ来た経緯は当初富良野市からの紹介であったと町から議会(厚生常任委員会)へ報告があった。しかし調査した結果で富良野市も照会した事実はないとのことである。元担当課長の勘違いであったことが判明した」とされている。
(8)つまり、議会の厚生委員会は、元担当課長の“勘違い”でわざわざ富良野市へ視察にいき、さらにコストを掛けてみなかみ町で製造したRDFを現地富良野市にあるRDFボイラーで燃焼試験をしたことが判明したのである。
(9)最終報告ではさらに「MESの代表者(山地敏男)はRDFを製造している自治体をインターネットで検索し、来町したとのことであった。平成31年4月26日の調査特別委員会で、MESの代表者が元町長(岸良昌)に面会したか、又誰が紹介をしたのかの確認を現在の担当課に依頼した。そして令和元年5月15日の調査特別委員会の席上、担当課より公式記録に面会した事実はなかったとの報告。そして非公式での面会も確認できなかったとのこと、そして令和元年8月9日で再度確認したところ、非公式で面会した事実が判明した(注:このときMES代表者が、町長の岸良昌と副町長の鬼頭春二に面会したのは、当時の厚生常任委員長の高橋市郎町議と現在の厚生常任委員長の山田正一町議の紹介であったことが、MES代表者の山地敏男が作成した資料から判明している(甲7))」とあり、RDFの町内循環への方針転換が、MESの山地敏男による元町長の岸良昌への働きかけを端緒としていたことがわかる。
(10)そして最終報告では協定書締結に至る経緯について、「平成29年9月22日に起案し、元町長より決済(ママ、決裁)がおり、平成29年10月3日にMESの代表者と協定書を締結したことを元町長(岸良昌)と元厚生常任委員長に報告した。そして実証試験に向け動きはじめた」と記している。
(11)その後、「平成29年10月30日に新町長にM氏(注:前田善成)が就任、11月中旬、協定書が無いとのことで、元担当課長(高橋考一)が前町長(前田善成)と元議長(注:林喜美雄)へ提示した。その席上協定書に不備がある旨の指摘があり、変更指示が出た。そしてMESに対して協定書の変更とRDFボイラー仕様書等の提出を求めたが、現在も未提出のままとなっている」と最終報告は綴っている。
このことから、協定書が、元担当課長の手引きで、岸良昌・元町長が町議会における議決を経ずに、議会の厚生常任委員会の元委員長ら一部のみを抱き込んで、MESとの間で締結されたことがわかる。
(12)最終報告では「前町長(前田善成)は昨年5月までは実証試験を推進していたが、一連の騒動(みなかみ町に地域おこし協力隊員として平成28年に採用され、みなかみ町観光協会に出向していた女性職員が平成30年4月18日に前田善成町長(当時)からセクハラ行為されたとして、同5月に被害届が出され、起訴される前に前田町長は失職。同12月27日に女性職員が被害届を撤回し、本件示談成立とされるまでの一連の出来事)後は方向を転換し、政争の具とした。また多数の議員は協定書の有無すら承知しておらず、情報共有の観点から反省すべき点は多々あり慎重に進めるべきであったと言わざるをえない」とある。
(13)さらに最終報告によると、いつなのか不明だが、「その後、議会の要請で協定書が提示された」として、「実証試験でボイラーの設置期間は、『5年間と確認した』にもかかわらず、協定書内容には『ボイラーの法定耐用年数以上』との記載があった。さらに実証試験が失敗した場合の後処理等責任所在の記載がなかった。初めから成功ありきではなかったかと思わざるを得ない。実証試験でありながら町有地内に無許可で施設を建設したことも不適切であった。協定書が事前に議会に提示されていたならばこれらの問題は生じなかったと想われる。一方実証試験委使うボイラーは韓国製であり新古の判断がつかない物であった」とある。
(14)このことから、元町長の岸良昌とMES代表の山地敏男との間で締結された協定書の存在は、議会の一部関係者のみ協定書の締結を承知していたものの、多数の町議会議員は、協定書の存在を知らされない状況にあったことは、議会の議決を経ずに締結されたことを如実に示している。なお、前田善成が町長就任の半月後その存在を知らされ、肝心のボイラー仕様や費用分担責任の不明記など不備を指摘して変更を指示したにもかかわらず、最終報告では、あたかも前町長の前田善成が、本件を政争の具として批判しているが、むしろ、協定書の不備を指摘したことにより、元町長・岸良昌とともに本件を推進していたものらが、本件の利権を擁護しようとして、前田善成に政争を仕掛けたというべきであろう。
(15)最後に、最終報告は「平成31年2月12日より調査特別委員会に於いて同型ボイラーを実用している富良野市へ調査に行き確認したところ、自動運転システム及び熱交換器の能力に課題が見受けられ調整修繕を行っていたため、当時は稼働していない状況が見受けられた。調査特別委員会としても遊神館地内での実証試験には疑問を感じている。最後にごみ処理調査特別委員会のまとめとしてRDFボイラーの実証試験を進めるための一連の説明と協議が不十分であった結果、問題を大きく複雑にしたと言わざるをえない。昨年(平成30年)12月の議会定例会に於いてごみ処理調査特別委員会が設置され数多くの委員会、調査、そして関係者への聞き取りなどを進めてきたが調査特別委員会としては限界を感じた。今後町当局としてこの最終報告を受けて対応して頂くことを申し述べ、ごみ処理調査特別委員会の最終報告といたします」と結んでいる。
(16)以上のことから、協定書では、実証試験の施設を町有地に設置するにあたり、適正な対価を示すことなく町有財産である町有地を貸し付けることを約している。したがって地方自治法第96条第1項第6号により、議会での議決が必須であるにもかかわらず、元町長の岸良昌が、議会の議決を経ないまま、MESの山地敏男の間で、協定書を締結したことは明らかである。
3 みなかみ町議会におけるRDF問題にかかる協議経過について
(1)前項までは、平成30年12月に町議会定例会で設置されたごみ処理調査特別委員会によるRDF問題にかかる調査の最終報告をもとに、このRDF問題を見てきたが、今度は、みなかみ町議会で平成30年7月24日に行われた全員協議会の席上、当時の金子生活水道課長による説明資料(甲8)に基づいて、その時点までのRDF問題を振り返ってみる。
それによれば、今回の事件で取りざたされているRDFは可燃ごみを固形化してペレット状にしたものであり、平成10年4月に石川島播磨重工業㈱(現・IHI)により建設され竣工した奥利根アメニティパーク固形燃料施設において製造が開始された。
(2)当初は、同施設内で日量最大40トンの可燃ごみを20トンの固形燃料(RDF)化して最大550kwのバイナリー発電機能を有する焼却+灰溶融設備で処理していた。灰溶融は直流抵抗方式で能力は16時間稼働で最大3トンだった。運転管理はみなかみ町がIHI子会社のIKEと「固形燃料化及び利用施設運転保守管理業務委託契約」を結び、年間委託費として毎年2億6千万円程度支払われていたとみられる(甲9)。
(3)平成10年4月から9年間稼働した後、平成18年8月3日午前8時20分、バイナリー方式の発電の熱伝達媒体として使用していたノルマルペンタンが漏れて爆発事故が起きた。修繕費等を検討したところ、費用が嵩むため稼働休止を余儀なくされた。
(4)そのため製造したRDFを外部に売却する必要が生じ、急遽平成18年8月10日に、IKEの紹介で町とS商店との間で売却契約が成立した。条件はRDFの売り払い代金として1トン当たり1000円(税込み)でS商店が町に支払うことで合意された。ところが、RDFをみなかみ町から茨城県古河市にあるS商店の茨城工場までの運搬賃として1トン当たり21,000円(税別)かかるとされた。すなわち差し引き20,000円(税別)がRDF処理費としてS商店に支払われる勘定になる。
このRDFの外部処理については、平成18年8月11日の町議会厚生常任委員会で町が説明し承認を得たとされており、実際のRDF搬出は同8月21日から開始された。その二日後、同8月23日に議会全員協議会でRDF外部処理について説明がなされた。
(5)当初の平成18年度はRDFの運搬費をIKEが負担したが、平成19年度以降はIKEとの「固形燃料化施設運転保守管理業務委託契約」にこの運搬費用が計上されるようになった。この理由は、実質的に運搬費を負担しないと販売できないことから、逆有償取引と見なされることを恐れての配慮だと思われる。
(6)ちなみにRDFの処理費は変動があるものの年間2,500トン前後排出されており、業務委託契約にまぎれてIKE(最終的にはS商店)に支払われている運搬費用は年間5千万円前後とみられる。実際に、平成18年度から28年度にかけて、町とIKEと間で締結された「固形燃料化施設運転保守管理業務委託契約」の契約金額(税込み)は次の通りである。
平成18年度 2億6460万円
平成19年度 2億6250万円
平成20年度 2億6250万円
平成21年度 2億6250万円
平成22年度 2億6250万円
平成23年度 2億2638万円
平成24年度 2億2639万円
平成25年度 2億1934万5000円
平成26年度 2億2561万2000円
平成27年度 2億2140万円
平成28年度 1億9794万2400円
他方で、町の資源物売り払い収入としてRDFについては、
平成19年度 320万6910円
平成20年度 309万7050円
平成21年度 297万3480円
という数字が公表されている。
(7)甲8の説明資料によれば、平成27年に、奥利根アメニティパーク経費削減計画が浮上し、RDFによる循環型社会形成構想の推進が提唱されたという。そして、平成28年1月にMES代表者(山地敏男)が北海道富良野市の誰か(不明?)から紹介を受けてRDF購入計画をみなかみ町の誰か(不明?)に打診したという。【最終報告によれば、この時面会したのは元担当課長(高橋考一)とある】
なお、MES代表者は平成26年3月にも、みなかみ町にRDFを購入しに訪問したことがあることを自ら語っている。
(8)MES代表者はこの時、「富良野市がRDFボイラーの実証実験を推進」「みなかみ町にスッポン養殖実施の可否を提案(打診?)」「固形燃料化施設の経費削減策として生ごみ分別施策を検討(打診?)」について、RDF購入計画とともに持ち掛けている。
なお、MES代表者は平成28年6月1日にMES名義で町内にアパートの賃貸利用契約をした。
(9)平成28年6月2日にみなかみ町議会の厚生常任委員会において、「ごみ袋の無料化及びRDFの協議」「富良野市先進地視察の協議」が行われた。【最終報告によれば、このとき厚生常任委員会から町の担当課(生活水道課)に、「(RDFの)町内循環が可能であれば勉強したほうがいい」と提案があり、翌7月下旬の富良野市視察が決まった。】
なお、MES代表者は、みなかみ市の元担当課長(高橋考一)より、「町内業者でないと(町との)契約は難しい」言われたため、平成28年6月13日にMESを設立し代表者となった。
(10)平成28年7月20~21日にかけて、厚生常任委員会が富良野市のRDFボイラーを視察した。その際に、事前にみなかみ町からRDF2トンを富良野市に運搬・搬入し燃焼実験を実施した。運搬はMESがウブカタ資源に依頼し、燃焼実験は富良野市山部東21線12に設置されているRDFボイラーを使って行ったことになっている。燃焼試験の結果、「燃焼自体は問題ないが、排ガスよりダイオキシン38ナノグラム(基準値は5ナノグラム以下)が発生していることが判明した。ところが、この燃焼試験結果表には場所として「富良野リサイクルセンター」とあるが、その住所が上記と異なっており、上記住所にはボイラーが存在しないことが分かっている。
(11)平成28年10月1日から町は、固形燃料化施設の経費節減のため、ごみ減量および分別推進策として生ごみ分別を開始した。
(12)平成29年2月1日の厚生常任委員会で、「RDFの有効利用計画について」「実証実験の実施計画(実績→検証→導入の見極め)」「遊神館での実施及び光熱費等の経費削減効果」「民間によるスッポン養殖計画及びMESとの関係」について、町(元担当課長か)から説明があった。
このうち経費削減効果について、「机上(の計算)で電気代2000万円を1400万円に削減する効果がある」とされ、「そのための燃料としてRDF購入費200万円が必要」と説明された。またスッポン養殖については「RDFボイラーのノウハウを持つMESが関与する」との説明があった。
(13)これにより、RDFの運搬費削減効果として、年間2500トン分の1500~1600万円が見込まれて、遊神館の電気代金に匹敵するとの説明があった。
また、実証実験期間については、「6か月は最低行いたい」旨の説明があった。【協定書では実証試験期間について「耐用年数以上」との記載有り】
実証試験のスケジュールについては、「平成29年3月据付けで平成29年4月から稼働しデータ収集を行う」との説明があった。
設置、運用、灰処分等の軽費については、「すべてMESが負担する」とし、実証試験後の体制については、「ボイラーの買い取りやリース等が考えられる。また、MESは常駐者を置いて、ボイラーの運転管理を行う」旨の説明があった。
(14)遊神館でのRDF実証試験まではRDFを処分できないため、平成29年度よりRDFを一般廃棄物としてWWJに処理を委託することに決まった。
この決定までの過程として、当初みなかみ町はRDFを有価物として購入者を検討したが、購入希望者が見当たらないため、一般廃棄物としての処理業者を探した。町が取引実績のある㈱エコ計画に打診したところ「一般廃棄物としての処理で必要となる処理場の所在自治体との協定における排出量の確定が難しい状態である」というので、WWJに打診したら「鹿沼市とn協定の内数での処理が可能」と分かり、WWJに決定したとの説明だった。
処理費は1トン当たり3万9000円(税別)で、WWJ関連のサンエコサーマル㈱(栃木県鹿沼市)で焼却減量化による中間処理後、焼却灰をWWJの最終処分場(草津町)に運んで最終処分することになった。
(15)その後、平成29年10月3日にみなかみ町とMESとの間で、実証実験の協定書を締結した。同月、業者からのヒヤリングによると、基礎工事の依頼が行われた。同10月30日に、前田善成が町長に就任した。同11月2日に、奥利根アメニティーへRDFボイラーが2台分?搬入された。同時に、基礎及び建屋工事の設計作業が開始された(業者ヒヤリングによる)。
(16)平成29年11月中旬に、消防・労働基準監督署・県等の官庁申請実施時期となり(業者の工程表による)、協定書の見直しが検討された。見直し内容は、実証実験期間を1年とする仕様書を添付することと、県の承認書類を添付することで、MES代表者はこれを了承した。【最終報告によれば、新町長の前田善成が「協定書がない」というので、元担当課長(高橋考一)が協定書を提示したところ、前田町長が「協定書に不備があり変更するように」との指示が出され、MESに対して協定書の変更とRDFボイラー仕様書等の提出を求めたが、現在も未提出のままとなっているという】
また、このころ、建屋の基礎工事が開始された。
(17)平成29年12月5日に、産業観光常任委員会が開催され、「RDFボイラーの灰の処理について」と「事業実施の所管について」が討議された。灰の処理は、実証実験を実施するMESによる産廃処理(マニフェスト処理)とし、事業実施に伴う議会の委員会の所管は、実証実験時は厚生常任委員会で審議し、遊神館導入における予算発生時には産業観光常任委員会がかかわることとなった。
(18)平成29年12月16日に、厚生常任委員会において、「ごみ処理施設の整備検討方式の選定について」が討議され、10年間の施設利用コストの比較表について町当局から次の通り説明があった。
A案 10年間利用の為の延命化 2,416百万円
B案 焼却施設の新設 1,750百万円
C案 RDF施設の全面改修 1,460百万円
(18)平成30年2月15日に、遊神館へRDFボイラーが搬入され機械設備が設置された。同2月23日に、配管工事が開始された。
(19)平成30年3月12日に、みなかみ農業公社主催のスッポン説明会及び試食会が開催された。一説によれば、遊神館のRDF実証実験は、この工業公社のスッポン養殖事業計画が目的で画策されたものだという。
(19)平成30年3月20日に、ばいえん発生施設設置届出書が群馬県に提出されたが、申請者名をみなかみ町名義で提出したため、取下げを余儀なくされた。同3月28日に建屋建設工事が開始された。(業者からのヒヤリングによる)
(20)平成30年4月1日に、「RDF購入に関する契約書等付帯書類伺い」と「RDF収集運搬業務に関する契約書等付帯書類伺い」が業者から提出されたが、現在もなお保留中となっている。
(21)平成30年4月6日16時に、MES及び関連企業がみなかみ町に来庁し、現在に至るまでに経緯について説明を受けた。
(22)平成30年4月16日、スッポン事業の推進について、MESほか関係者が説明のため、前田善成町長に面会しに来庁した。この時、みなかみ町からは「スッポン事業を行う前に実証実験を行うことが先決である」旨説明があった。
(23)遊神館の蓄熱槽とボイラー間の配管追加工事が発注されたが、工事費の支払いがどこなのかは不明のままとなっている。
(24)平成30年4月20日に、生活水道課と観光商工課と業者(MES)との間で遊神館ボイラーの初回打合せが行われた。この時、借地契約のための行政財産使用許可申請書が未提出であるため、業者(MES)へ打合せを実施するよう指導した。
同日、業者が観光商工課と打合せを行い、観光商工課より業者に対して、「申請書に、県提出の施設設置届等証明についての説明書類を添付するように」と求めた。そこで、さっそく業者が行政財産使用許可申請書を町に提出したが、決裁に至っていない。
(25)平成30年4月27日に、業者側の木内建設から「ばい煙発生施設設置届出書」が県に再度提出された。現在なお、県において預かり状態らしい。
(26)平成30年5月14日に、業者の届出により群馬県の環境森林事務所によるみなかみ町の認識の確認等のヒヤリングがみなかみ町の担当課で行われた。その際、「有価物適用5要件」について、県から説明を受けた。みなかみ町からは「早期にボイラーの実証実験を行いたい旨の趣旨を説明し、相談したところ、「有価物としての照明が不十分であるため、実証実験を町主体で一般廃棄物として行い、その後データ収集により有価物として証明できるようになった時点で有価物への変更を行うことが望ましい」との説明を受けた。
県によるヒヤリングの後、前田町長には担当課(生活水道課か)から「県に協力いただき、早い段階での実証実験に着手するなら、町主導で実証実験を行い、試験データをもとに有価物に移行することが早いと、県から提言いただいた」旨説明を行った。
(27)平成30年5月24日に、みなかみ町が群馬県環境森林事務所と協議した。県から「あくまで有価物として動く場合は、有価物5要件中で、県の現在の認識では疑義が3点有り、有価物としては現在のところ認めづらい」との見解が示された。3点とは、通常の取り扱い形態についてであり、①取引が1社では市場形成性が認められないこと、②現状との食い違い(平成29年から一般廃棄物として処理していること)、③取引価値の有無、であった。
(28)平成30年5月28日に、みなかみ町がMESへ、県からの指摘を伝えた。その際、県の指摘として、①RDFについて、町が有価物としても、県では「有価物と認めがたい」との見解であること、②事業としての採算性に疑問があること、③「RDFを有価物として実証できないか」と町がMESに確認すること、がMESに伝えられた。
(29)平成30年5月30日に、みなかみ町が早期の実証実験実施に向けて、町主体で行い、一般廃棄物でのスタートに路線を変える旨の起案を提出した。翌5月31日に、町が県環境森林事務所と協議をした。その際、有価物か一般廃棄物かの各区分における届出関係事務の整理について、打ち合わせた。
(30)平成30年6月1日に、本件について担当課から前田町長に対して説明を行った。町長からは「事実経過と本来あるべき姿(手続き等)を整理したうえで、あらためて説明を行うように」と指示があった。その理由としては「このまま進めることで責任の所在が不明瞭となる懸念」が示された。
(31)平成30年6月8日に厚生常任委員会による管内視察のなかで、アメニティパーク及び遊神館等の現地調査の後、厚生常任委員会が開催され、町当局から現状の説明を行うとともに、実証実験の実施に向けて確認を行った。その中で、山田町議が、平成30年4月1日に業者が町長に出した「RDF購入に関する契約書」と「RDF収集運搬業務に関する契約書」について、「書類はもうできている。前田(町長)がハンコを押さない」と発言したという。
(32)平成30年6月14日に、前田町長と担当課との打ち合わせで、町長から「民設民営での実証実験を崩すことなく進めること」旨の指示が出された。また、同6月18日の前田町長との打合せでも、「民設民営であくまでも民主体の手法で実証実験を進めること」旨の再確認の指示が出された。
(33)平成30年6月22日に、前田町長からの民営民設の決裁を受けて、業者にばい煙発生施設設置届出書の訂正箇所を是正し、再提出指示を出したところ、業者から同日、訂正したものが提出された。
(34)以上が、みなかみ町議会で平成30年7月24日に行われた全員協議会の席上、町当局から為された、その時点までのRDF問題についての時系列的な説明内容である。
平成30年6月26日には、前田町長からセクハラ行為をされたと主張し、強制わいせつ容疑で被害届を出した女性が新聞紙上で「町長の言葉を信用した人々からの2次被害に押しつぶされそうな毎日」と胸中を語った毎日新聞の記事が掲載されるなど、前田町長に対するマスコミ報道が激化し、平成30年6月30日には、前田町長が目まいや食欲不振を訴えて検査入院する事態となり、町政の停滞が深刻化し、同7月27日に臨時町議会が招集され、その本会議に於いて『観光地としてのイメージの回復、町政への信頼回復と正常化が急務である』などを理由として前田町長への不信任決議案が上程され、可決された。県の議会見解でも一事不再議の原理から法律上は出来なくはないが、通常は、一度否決されたた議案の再提出はないのが議会人の常識であったが再上程された。通常はリコール運動になるとの見解であったが不信任の可決になった。
これに対して前田町長は8月6日に議会を解散し、4月22日に続き、9月9日に再び町議選の投開票が行われたが、改選後に再び不信任決議案に提出された場合、賛成するとみられる勢力が大勝したため、翌9月10日、前田町長は町議選で自身を支持する勢力が大敗した責任を取り、町長の辞職願いを提出した。しかし議会はこれに同意せず、「一連のセクハラ問題により町政を混乱させた責任を取るべき」として9月18日に、二度目となる町長不信任決議案が提出され、本会議でも全会一致で可決されたことから前田は町長を失職した。その後、岸良昌町長時代に副町長だった鬼頭春二が、平成30年10月23日告示、10月28日執行の町長選挙に立候補し、無投票で初当選した。
(35)こうして、遊神館のRDF実証実験によりスッポン養殖への道筋をつけようとした元町長の岸良昌は、MESから提案のあったRDFボイラーを強引に導入すべく議会の議決を経ないまま協定書を締結したものの、それまでのRDFの売却契約を破棄したことにより、2倍近い費用をかけて、RDFを外部委託処分するはめになった。しかも、協定書に基づき平成30年5月に設置されたRDFボイラー施設は、遊神館地内の町有地を占用しているにもかかわらず、みなかみ町には使用料が支払われていない。
よって、これらの損害を原因者から回収する義務が現町長にある。
以上
*****証拠説明書*****ZIP ⇒ 2019103002.zip
事件番号 令和元年(行ウ)第 号 RDF違法事業費用損害賠償請求事件
原告 鈴木章二
被告 みなかみ町 町長 鬼頭春二
令和元年10月30日
前橋地方裁判所民事部 御中
証 拠 説 明 書
原告 鈴 木 正 一 ㊞
●号証:甲1の1
ZIP ⇒ 2019103003bpp.zip
○標目:みなかみ町職員措置請求書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年7月29日
○作成者:原告
○立証趣旨:原告がみなかみ町監査委員に地自法第242条第1項によりごみ固形燃料RDFに関連した事業について職員措置請求(住民監査請求)を行った事実。
●号証:甲1の2
ZIP ⇒ 2019103004bpqimnj.zip
○標目:事実証明書1
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年7月31日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠としてRDF実証実験に伴う町有地使用許可を怠り、部署間の情報共有を怠ったことを報じた記事を添えた事実。
●号証:甲1の3
○標目:事実証明書2
ZIP ⇒ 2019103005bprimnj.zip
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年7月27日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠として、RDF実証実験設備が稼働できない状況を解説した記事を添えた事実。
●号証:甲1の4
ZIP ⇒ 2019103006bps.zip
○標目:事実証明書3
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成31年3月16日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠として、RDF実証実験設備の稼働には町議会特別委による検証が更に必要であることを報じた記事を添えた事実。
●号証:甲2
ZIP ⇒ 2019103007bq.zip
○標目:住民監査請求に対する補正要求書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年8月6日
○作成者:みなかみ町監査委員
○立証趣旨:原告の住民監査請求に対して監査委員から補正を求められた事実。
●号証:甲3の1
ZIP ⇒ 2019103008brp.zip
○標目:みなかみ町職員措置請求の補正書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年8月20日
○作成者:原告
○立証趣旨:みなかみ町監査委員に対して補正書を提出した事実
●号証:甲3の2
ZIP ⇒ 2019103009brq.zip
○標目:事実証明書4
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年5月25日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠として、町議会特別委による最終報告案で一部職員らにより事態が複雑化したことを報じる記事を添えた事実。
●号証:甲4
ZIP ⇒ 2019103010bs.zip
○標目:みなかみ町職員措置請求に基づく勧告について(通知)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年9月30日
○作成者:みなかみ町監査委員
○立証趣旨:原告の職員措置請求に対してみなかみ町監査委員から「勧告」するという内容が出された事実
●号証:甲5
ZIP ⇒ 2019103011bt.zip
○標目:ごみ処理調査特別委員会の最終報告
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年9月3日
○作成者:町議会のごみ処理調査特別委員会
○立証趣旨:町有施設遊神館でのRDFボイラー実証試験事業に関して一連の疑惑について、平成30年12月に議会内に設置された特別委員会が調査した最終報告書。RDF外部処理の変更による新たな業務委託契約や、実証試験事業にかかる協定書が、議会の議決を経ずに元町長が署名した不透明な経緯と事実。
●号証:甲6の1
ZIP ⇒ 2019103012bup.zip
○標目:一般廃棄物(固形燃料PDF)運搬・処理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成29年5月22日
○作成者:みなかみ町元町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:元町長らによる遊神館でのPDF実証試験事業推進のため、平成29年3月末で、それまでのPDF売却契約相手の関商店との取引を、元担当課長が独断で一方的に打ち切ったため、新たにWWJ+エコサーマルと運搬・処理業務委託を余儀なくされ、議会の議決も経ずに契約を結び、コストが以前の2倍近くにアップ(委託料1トンあたり税抜で38,000円)した事実。
●号証:甲6の2
ZIP ⇒ 2019103013buq.zip
○標目:業務委託変更契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成29年7月1日
○作成者:元みなかみ町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:平成29年5月22日に新たにWWJ+エコサーマルと運搬・処理業務委託を余儀なくされ、議会の議決も経ずに契約を結んだのに、なぜか委託料1トンあたり税抜で38,000円から39,000円に値上げした金額に変更した事実。
●号証:甲6の3
ZIP ⇒ 2019103014bur.zip
○標目:一般廃棄物(固形燃料PDF)運搬・処理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年4月1日
○作成者:前みなかみ町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:上記の契約と同じ条件で、平成30年度も1年間継続した事実。
●号証:甲6の4
ZIP ⇒ 2019103015bus.zip
○標目:一般廃棄物(固形燃料PDF)運搬・処理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成31年4月1日
○作成者:現みなかみ町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:上記の契約と同じ条件で、平成31年(令和元年)度も1年間継続している事実。
●号証:甲7
ZIP ⇒ 2019103016bv.zip
○標目:奥利根アメニティパークの件、RDFボイラー(導入業者)山地敏男氏談〈メモと協定書案〉
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年ごろ
○作成者:原告
○立証趣旨:RDFボイラーの導入を図ったMES代表の山地敏男氏の談として「平成29年6~8月頃別紙の通り高橋市郎、山田庄一両氏より、町長、副町長に紹介案内していただいた」ことを本人から聞き取ってメモした事実
●号証:甲8
ZIP ⇒ 2019103017bwiv_rdfoj.zip
2019103018bwairdfrlpj.zip
2019103019bwbirdflpvj.zip
○標目:遊神館PDF経過(説明)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年7月24日
○作成者:みなかみ町生活水道課金子課長
○立証趣旨:平成30年7月のみなかみ町議会の全員協議会で、本件担当部署の生活水道課の金子課長が、遊神館PDF実証試験に関わる経過説明の際に用いた資料を示す事実
●号証:甲9
ZIP ⇒ 2019103020bx.zip
○標目:固形燃料化及び利用施設運転保守管理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成18年4月1日
○作成者:みなかみ町長(当時)、IKE
○立証趣旨:平成10年~18年8月2日までは、同施設内で日量最大40トンの可燃ごみを20トンの固形燃料(RDF)化して最大550kwのバイナリー発電機能を有する焼却+灰溶融設備で処理していた。灰溶融は直流抵抗方式で能力は16時間稼働で最大3トンだった。運転管理はみなかみ町がIHI子会社のIKEと「固形燃料化及び利用施設運転保守管理業務委託契約」を結び、年間委託費として毎年2億6千万円程度支払われていたことを示す事実。
●号証:甲10
ZIP ⇒ 2019103021bpo.zip
○標目:平成29/30/31年(2017/2018/2019年度) RDF利用施設搬出量
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成31年9月
○作成者:被告
○立証趣旨:遊神館RDF実証試験のため、平成29年6月以降RDFの外部処理委託を余儀なくされ、毎月平均200トンほど、1トン当たり税込み4万1200円と、それ以前よりもほぼ2倍にコストアップし、令和元年8月までに、2億3423万9025円が、議会の議決を経ないまま締結された業務委託契約委に基づき支出されていることを示す事実。
以上
**********
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
↑土地利用契約が為されないまま町有地に立てられたRDF実証試験施設。↑
↑みなかみ町営日帰り温泉の「奥平温泉遊神館」。↑
しかし、議会の議決を経ないまま署名された協定書にもとづき、地元の建設会社による建設工事が始まらないうちに、それまで形式的には「売却」のかたちで売り払っていたものの実際には1トン当たり2万1000円で処理するためのゴミ運搬処理契約を町の担当課長が突然解消してしまいました。
一方RDF実証試験も開始の目途が立たず、売り払い先を失ったRDFが倉庫から溢れそうになり、あわてて2017年6月から別の業者とRDFの引き取りを契約したところ、それまでの処理費用の2倍近い1トン当たり3万7000円となり、同年7月からは1000円アップして3万8000円を町が負担してきています。
そこで、これらの協定書や契約を結んだ経緯と責任の所在を明らかにするために、元同町議だった当会会員が、住民監査請求を行いました。しかし監査委員は責任の所在には踏み込まず、ごみ処理費用の経費節減と、PDF実証試験施設が建った町有地の使用許可を出すように、としか勧告しなかったため、当会会員は10月30日に訴状を前橋地裁に提出しました。
■ところで廃棄物固形燃料化とは、ゴミから固形燃料(RDF:Refuse Derived FuelおよびRPF:Refuse Paper & Plastic Fuel)を製造することです。これらの廃棄物固形燃料は、専用の装置で燃やされて、乾燥や暖房、発電などの用途に供されます。
RDFは可燃性の一般廃棄物を主原料とする固形燃料で、家庭などから排出される厨芥類(台所で発生する生ごみなど)を含みます。一方、RPFは、産業廃棄物として分別収集された古紙及びプラスチックを主原料とする固形燃料で、原料性質が一般廃棄物と比較して安定しているため、製造工程はRDFより単純で、製造コストも低く、低位発熱量もRDFより高くなります。
そのRDFを燃やそうとする試みはこれまで各地で行われてきましたが、爆発事故などでいずれも失敗しています。そうした中、みなかみ町でもRDF発電を1998年から開始しましたが、2006年にガス爆発で設備が破損し、発電事業がストップを余儀なくされました。年間約2500トンものRDFを町が運搬費を負担することで、外部に処理を委託してきました。
ところが2016年になり、みなかみ町に突然お助けマン業者が現れました。この業者は、言葉巧みに、行き場がなくなったRDFを利用して温水供給に使い、施設も作ろうと町の有力者らに持ち掛けました。しかしスッポン養殖を前面に出すと世間体が悪いので町営の温泉施設の熱源供給のための実証実験施設ということで、話が進められました。
しかし、この実証実験施設ではRDFを燃やすことから、本来は「廃棄物処理施設」であり、環境アセスメントや説明会など廃棄物処理法にもとづく手続きが必要となります。なぜなら、RDFの原料は所詮ゴミなので、燃やすには当然、バグフィルターなど、さまざまな排ガスクリーニング装置が整備されていなければなりません。そのため、さすがに環境省はともかく、県民のための生活環境保全意識の乏しい群馬県も、さすがに大気汚染防止法に基づく施設設置届の受理を保留しました。
仕様書さえ見当たらず、煙突さえなさそうなボイラーもどきが稼動したら、大変な大気汚染は避けられません。温泉施設の熱源供給なぞ、言語道断です。環境汚染意識の低い群馬県省も待ったをかけたわけですが、本来なら、「保留」ではなく、「不許可」とすべき事例です。
なお、住民監査請求のことについては、次のブログ記事を参照ください。
○2019年10月13日:スッポン養殖に目がくらみ禁断のRDFに手を出したみなかみ町に住民監査請求↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3050.html
■10月30日の提訴について、マスコミもさっそく報道しました。
**********読売新聞群馬版2019年10月31日
みなかみ元町議がRDFで住民訴訟
みなかみ町のごみ固形化燃料(RDF)事業を巡り、町が議会の議決を経ずにRDF処理費を支出しているのは不当だとして、元町議の男性が30日、鬼頭春二町長を相手取り、岸良昌・元町長と当時の担当課長に約2億3000万円の損害賠償を請求するよう求める住民訴訟を前橋地裁に起こした。
町は2017年度からRDFを県外事業者に年間約1億円の委託費を払って処理しているが、この額は燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ。訴状では、この判断をした当時の担当課長と委託契約をした岸元町長が町に損失を与えたとして、17年6月から今年8月までの処理費を請求するよう求めている。
提訴したのは鈴木章二・元町議。8月に同じ趣旨で住民監査請求をしたが、町監査委員が勧告で請求に触れなかったのを不服として提訴した。鬼頭町長は取材に、「訴状を精査して対応したい」と話している。
**********朝日新聞群馬版2019年10月31日
みなかみの固形化燃料問題 「元町長へ賠償請求を」提訴
家庭ごみの固形化燃料(RDF)を利用した実証試験計画で、みなかみ町に損害を与えたとして、鈴木章二前町議(61)が30日、町に対し、元町長と当時の担当課長に計約2億3500万円を請求するよう求める住民訴訟を前橋地裁に起こした。
訴状によると、実証試験の施設が町議会の議決を経ていない協定書に基づいて町有地に建設された上、施設の稼働を見込んで町議会の議決を得ずにごみ運搬処理契約を変更し、処理費用が以前の2倍近くに上っていると主張。町有地の使用料分120万円とごみ処理費用約2億3400万円の損失を町に与えたとして、協定書を結んだ当時の岸良昌元町長と契約変更にかかわった元課長に賠償請求するよう求めた。
原告の鈴木氏は8月、損害額を算定して原因者に請求するよう鬼頭春二町長に求める住民監査請求を提出。町監査委員は町が施設の使用許可を出し、ごみ処理の経費節減計画を立てることなどを勧告したが、鈴木氏は「監査結果では、協定書や契約の有効性に踏み込まず、町の損害を看過している。施設建設に至った経緯を訴訟を通じて明らかにしたい」と言う。町は「町長が出張中で訴状も届いておらず、コメントできない」としている。
(金井信義)
**********
■訴状はまだ、当会会員から当会事務局にもまだ届いていないため、詳細は分かりませんが、当会が入手次第、皆様にご報告したいと思います。
【11/11追記】
当会会員が10月30日に前橋地裁に提訴した訴状の写しが当会事務局に送られてきたので、以下に紹介します。
*****訴状*****ZIP ⇒ 2019103001i.zip
訴 状
令和元年10月30日
前橋地方裁判所民事部 御中
原 告 鈴 木 章 二
〒379-1414 群馬県みなかみ町布施339-1(送達先)
原 告 鈴 木 章 二
電 話 090-1431-6607(携帯)
FAX 0278-64-0753(固定電話兼用)
〒379-1393 群馬県利根郡みなかみ町後閑318
被 告 みなかみ町
上記代表者 町長 鬼 頭 春 二
電 話 0278-62-2111(代表)
FAX 0278-62-2291
RDF違法事業費用損害賠償請求事件
訴訟物の価額 金160万円(算定不能)
貼用印紙額 金1万3000円
第1 請求の趣旨
1 被告みなかみ町長鬼頭春二は、元・同町長の岸良昌、および元・生活水道課長の高橋考一に対し連帯して、平成29年6月から令和元年8月における固形燃料RDF運搬・処理業務委託事業に関して2億3423万9025円、及び平成29年10月から令和元年10月におけるみなかみ町遊神館RDFボイラー実証実験協定に関して120万円、およびこれらに対する平成29年6月から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
第2 当事者
1 原告はみなかみ町の住民であり納税者である。
2 被告は、みなかみ町長であり、上記事業費を計上した者である。
3 訴外は、固形燃料RDF運搬処理業務委託先のウイズウェイストジャパン㈱(以下「WWJ」という。)(群馬県吾妻郡草津町)、サンエコサーマル㈱(栃木県鹿沼市下石川)、及び、みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定先のみなかみエネルギーサービス㈱(以下「MES」という。)などである。
第3 住民監査請求
1 令和元年8月 1日、原告はみなかみ町監査委員に、地方自治法第242条第1項により、ごみ固形燃料RDFに関連した事業についてみなかみ町職員措置請求(甲1の1~4)を行った。
2 みなかみ町監査委員は、令和元年8月6日、住民監査請求に対する補正要求書を原告に送り(甲2)、令和元年8月20日、原告はみなかみ町監査委員に対して、補正書の提出(甲3の1~2)を行った。
3 令和元年10月3日、原告は、「みなかみ町職員措置請求に基づく勧告について(通知)」(令和元年9月30日付、み監発第3号)(甲4)を受け取ったが不服である。
第4 監査請求と監査結果に対する不服
1 原告は、みなかみ町監査委員に対し、「ごみ固形化燃料(RDF)事業の有効利用実証実験施設(以下「実験施設」という。)について、町が土地の使用許可を出していなかった」ことと、「町は2017年度からRDFを県外業者に一般廃棄物として処理を委託しているが、これを当時の担当課長による独自の判断としていた」ことについて、「使用許可を出していなかったことによる損害を算定し原因者に請求すること」と、「RDF事業に関して町が依然として支出している無駄な経費を直ちに精査して、原因となる協定書ないし契約等の取り決めの有効性を精査し、関連する損失を算定し、原因者に請求すること」との趣旨で、監査請求を申し立てた。
2 ところが、みなかみ町監査委員の監査結果(甲4)では、令和元年12月31日までに、①遊神館地内RDF実証試験施設の行政財産(町有地)使用許可を出すこと。②ボイラーの仕様書等の提出を求め、安全性等を確認すること、③安全性等が確認できない場合は、事業の中止も検討すること、④ごみ固形燃料(RDF)化の運搬処理業務委託事業の支出について精査を行い、経費節減計画を立てること、としか勧告されておらず、肝心の協定書や契約書等の有効性そのものに踏み込まないまま、既に支出ないし使われた行政財産(公金、町有地)の損害が看過されてしまっている。
第5 みなかみ町の損失
1 固形燃料RDF運搬・処理業務委託に関して
平成29年7月から現在(令和元年10月)に至るまでの少なくとも2億3423万9025円(内訳:は、「一般廃棄物(RDF)運搬・処理業務委託契約書」(以下「業務委託契約書」という。)(甲6の1~4)そのものが地方自治法第96条第1項第5号に定める「その種類及び金額について政令で定める基準に従い、条例で定める契約を締結すること」のため、議会の議決を経なければならないが、議決のなされないまま契約をされており無効である。
よって、金234,239,025円は公金で負担すべき理由がなく、みなかみ町の損失である。
なお、平成29・30・31年RDF利用施設搬出量(甲10)によれば、WWJ扱い分の内訳は次の通りである。
平成29年6月 349.380t×@41,045円/t=1434万0302円
平成29年7月~平成30年3月
1576.370t×@42,120円/t=6639万8280円
平成30年4月~平成31年3月
2567.960t×@42,120円/t=1億0816万2475円
平成31年4月~令和元年8月
1076.400t×@42,120円/t=4533万7968円
2 平成29年10月から令和元年10月におけるみなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定に関して平成29年10月から現在(令和元年10月)までの2年間に業者が遊神館地内で設置した実験施設用に使用してきた一定面積の町有地にかかる使用対価(月5万円×24か月=)120万円は、「みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定書」(以下「協定書」という。)(甲7の1、2)そのものが地方自治法第96条第1項第5号に定める「その種類及び金額について政令で定める基準に従い、条例で定める契約を締結すること」のため、議会の議決を経なければならないが、議決のなされないまま契約をされており無効である。さらに、この協定書では実験施設が町有地である遊神館地内にあることから、当然町有地の譲渡もしくは貸し付けが伴うため、地方自治法第96条第1項第6号に定める「条例で定める場合を除くほか、財産を・・・(中略)・・・又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること」に相当することから、議会の議決を経なければならない。ところが、議決のなされないまま契約をされており、実質的に業者によって町有地が占用されている状態である。
したがって、協定書の締結以降、この町有地が貸し出された場合の得べかりし使用対価(月5万円×24か月=)1,200,000円が未回収となっており、みなかみ町の損失である。
第6 本件請求の要旨
1 固形燃料RDF運搬・処理業務委託に関して
(1)住民監査結果(甲4)では、業務委託契約書が地方自治法第96条第1項も定める議会の議決を経ないまま締結されたことに触れられていない。
(2)この件につき、令和元年9月3日付でごみ処理調査特別委員会(委員長・中島信義)(以下「調査特別委員会」という。)がみなかみ町議会議長の小野章一あてに「ゴミ処理調査特別委員会の最終報告」(甲5)を提出しているが、その内容が住民監査結果に反映されているかどうか定かではない。
(3)この最終報告では、「茨城県古河市のS商店(注:㈱関商店の茨城工場のこと)へ固形燃料(RDF)の販売を打ち切った経緯」「MESとの接点」が記されている。
(4)それによると、「平成26年に元町長(注:岸良昌のこと)より奥利根アメニティパークの経費削減見直しの指示を受けた当時の担当課長(注:当時の生活水道課長の高橋考一)が『経費削減は町民の負担軽減になる』として、平成27年度よりRDFの町内循環型構想推進の検討を開始した」とあり、ボイラー実証試験施設を巡る協定書締結に向けた動きがはじまる端緒となったことがうかがえる。
(5)また報告には、「当時RDFの運搬費は(1トン21000円)で、委託先の㈱IHI環境エンジニアリング(以下「IKE」という。)は、茨城のS商店に『減量で受け入れができないか』と確認をしたが、S商店は『今迄同様、全量でなければ受け入れることができない』と(調査特別委員会に)回答してきた」と記されている。
(6)続けて「平成29年3月14日に町とIKEとの協議が整わなかったため、(被告が)S商店に『平成28年度末で終了、来年度からなくなる』旨を連絡した。調査特別委員会は平成31年2月13日に茨城県のS商店を訪れて、(同社)担当のN取締役執行役員に聞き取り調査をしたところ、『次年度に向け大型トレーラーまで購入し継続の意思はあった。一度(契約を)切ったらその次は受け入れられない』と回答したとのことであった。」「取締役執行役員のNさんは『あくまでもIKEの下で事業をしていたので、みなかみ町の職員とはかかわっていない』とのことであった」としており、なぜか、みなかみ町職員の関与を強く否定していることを強調している。
(7)また「元担当課長(高橋考一)は運搬料の原料をIKEと協議したが、0か100かの回答に、『来年度は0にしてもらいたい』と元町長(注:岸良昌)の決裁もなく、独自の判断でお願いした」とある。
このことから、この元担当課長(高橋考一)は、当時の岸町長の決裁を得ないまま、それまでのIKEと関商店ルートでのRDFの引き取りを打ち切ったことがわかる。
(8)一方、こうしているうちにも、IKEによるRDFの引き取りが打ち切られた後も、「平成29年4月からも1日約10トンから生産されており、奥利根アメニティパークでの保管量が限界に近くなった為、運搬処理の見積もりを2社からとり、(当時の岸良昌市長が)WWJと1トン3万9000円(ただし、請求金額はこれに消費税8%分の3120円を加算した合計4万2120円)で運搬処理契約を締結した。その結果、倍近い多額の費用がかかっている。ごみ処理経費の削減が進んでいない状況であると言わざるを得ない」と、異様に高額な費用の支出であることを認めている。
(9)具体的には、平成29年5月22日に、みなかみ町長の岸良昌は、WWJとサンエコサーマル㈱と業務委託契約書を締結したが、この時は1トン3万8000円(ただし、請求金額はこれに消費税8%分の3040円を加算した合計4万1040円)で運搬処理契約を締結していた(甲6の1)。委託期間は、契約日の平成29年5月22日から同年度末の平成30年3月31日までであった。
(10)ところが、僅か1か月余り後の平成29年7月1日に、突然契約変更が行われ、契約金額が増額されて1トン当たり3万9000円(ただし、請求金額はこれに消費税8%分の3120円を加算した合計4万2120円)とされた(甲6の2)。その後、毎年4月1日付で、業務委託契約書が更新されて現在に至っている(甲6の3、甲6の4)。
(11)この業務委託契約書により、みなかみ町はこれまでに次の支出を余儀なくされている。
平成29年6月 349.380t×@41,045円/t=1434万0302円
平成29年7月~平成30年3月
1576.370t×@42,120円/t=6639万8280円
平成30年4月~平成31年3月
2567.960t×@42,120円/t=1億0816万2475円
平成31年4月~令和元年8月
1076.400t×@42,120円/t=4533万7968円
(12)以上総額234,239,025円は、議会の議決を経ずに締結された業務委託契約により支出されたものであり、公金で負担すべき理由がなく、みなかみ町の損失である。
2 みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定について
(1)住民監査結果(甲4)では、協定書が地方自治法第96条第1項で定める議会の議決を経ないまま締結されたことに触れられていない。
(2)この件についても、令和元年9月3日付でごみ処理調査特別委員会(委員長・中島信義)(以下「調査特別委員会」という。)がみなかみ町議会議長の小野章一あてに「ゴミ処理調査特別委員会の最終報告」(甲5)を提出しているが、その内容が住民監査結果に反映されているかどうか定かではない。
(3)この最終報告では、「茨城県古河市のS商店(注:㈱関商店の茨城工場のこと)へ固形燃料(RDF)の販売を打ち切った経緯」「MESとの接点」が記されている。
(4)それによると、「平成26年に元町長(注:岸良昌のこと)より奥利根アメニティパークの経費削減見直しの指示を受けた当時の担当課長が『経費削減は町民の負担軽減になる』として、平成27年度よりRDFの町内循環型構想推進の検討を開始した」とあり、ボイラー実証試験施設を巡る協定書締結に向けた動きがはじまる端緒となったことがうかがえる。
(5)具体的には、いつの議会全員協議会なのかは定かでないが、最終報告によれば「町議会は、当局(注:みなかみ町執行部のこと)よりRDボイラーの実証試験を民営で行うと報告を受けた」とある。
(6)続けて、「平成28年1月にMESの代表者(注:山地敏男。甲7)が来町、元担当課長に面会、RDFをボイラーで燃焼し熱源としてスッポン事業をしたいとのこと、そして北海道富良野市でのRDFのボイラーの実用状況(仮温熱供給方式)の説明があり、平成28年6月に町当局より(議会の)厚生常任委員会へ報告があった。厚生常任委員会より担当課(長)に『町内循環が可能であれば勉強したほうが良い』と提案した」と最終報告は記している。
(7)そして、「平成28年7月20日より、厚生常任委員会でRDFボイラーを実用している先進地、北海道富良野市へ視察、事前に運搬しておいた当町のRDFをボイラーで燃焼、それは可能であることを確認したが、排ガスより基準値の7倍のダイオキシンが発生したとのこと。次にMESの代表者(山地敏男)がみなかみ町へ来た経緯は当初富良野市からの紹介であったと町から議会(厚生常任委員会)へ報告があった。しかし調査した結果で富良野市も照会した事実はないとのことである。元担当課長の勘違いであったことが判明した」とされている。
(8)つまり、議会の厚生委員会は、元担当課長の“勘違い”でわざわざ富良野市へ視察にいき、さらにコストを掛けてみなかみ町で製造したRDFを現地富良野市にあるRDFボイラーで燃焼試験をしたことが判明したのである。
(9)最終報告ではさらに「MESの代表者(山地敏男)はRDFを製造している自治体をインターネットで検索し、来町したとのことであった。平成31年4月26日の調査特別委員会で、MESの代表者が元町長(岸良昌)に面会したか、又誰が紹介をしたのかの確認を現在の担当課に依頼した。そして令和元年5月15日の調査特別委員会の席上、担当課より公式記録に面会した事実はなかったとの報告。そして非公式での面会も確認できなかったとのこと、そして令和元年8月9日で再度確認したところ、非公式で面会した事実が判明した(注:このときMES代表者が、町長の岸良昌と副町長の鬼頭春二に面会したのは、当時の厚生常任委員長の高橋市郎町議と現在の厚生常任委員長の山田正一町議の紹介であったことが、MES代表者の山地敏男が作成した資料から判明している(甲7))」とあり、RDFの町内循環への方針転換が、MESの山地敏男による元町長の岸良昌への働きかけを端緒としていたことがわかる。
(10)そして最終報告では協定書締結に至る経緯について、「平成29年9月22日に起案し、元町長より決済(ママ、決裁)がおり、平成29年10月3日にMESの代表者と協定書を締結したことを元町長(岸良昌)と元厚生常任委員長に報告した。そして実証試験に向け動きはじめた」と記している。
(11)その後、「平成29年10月30日に新町長にM氏(注:前田善成)が就任、11月中旬、協定書が無いとのことで、元担当課長(高橋考一)が前町長(前田善成)と元議長(注:林喜美雄)へ提示した。その席上協定書に不備がある旨の指摘があり、変更指示が出た。そしてMESに対して協定書の変更とRDFボイラー仕様書等の提出を求めたが、現在も未提出のままとなっている」と最終報告は綴っている。
このことから、協定書が、元担当課長の手引きで、岸良昌・元町長が町議会における議決を経ずに、議会の厚生常任委員会の元委員長ら一部のみを抱き込んで、MESとの間で締結されたことがわかる。
(12)最終報告では「前町長(前田善成)は昨年5月までは実証試験を推進していたが、一連の騒動(みなかみ町に地域おこし協力隊員として平成28年に採用され、みなかみ町観光協会に出向していた女性職員が平成30年4月18日に前田善成町長(当時)からセクハラ行為されたとして、同5月に被害届が出され、起訴される前に前田町長は失職。同12月27日に女性職員が被害届を撤回し、本件示談成立とされるまでの一連の出来事)後は方向を転換し、政争の具とした。また多数の議員は協定書の有無すら承知しておらず、情報共有の観点から反省すべき点は多々あり慎重に進めるべきであったと言わざるをえない」とある。
(13)さらに最終報告によると、いつなのか不明だが、「その後、議会の要請で協定書が提示された」として、「実証試験でボイラーの設置期間は、『5年間と確認した』にもかかわらず、協定書内容には『ボイラーの法定耐用年数以上』との記載があった。さらに実証試験が失敗した場合の後処理等責任所在の記載がなかった。初めから成功ありきではなかったかと思わざるを得ない。実証試験でありながら町有地内に無許可で施設を建設したことも不適切であった。協定書が事前に議会に提示されていたならばこれらの問題は生じなかったと想われる。一方実証試験委使うボイラーは韓国製であり新古の判断がつかない物であった」とある。
(14)このことから、元町長の岸良昌とMES代表の山地敏男との間で締結された協定書の存在は、議会の一部関係者のみ協定書の締結を承知していたものの、多数の町議会議員は、協定書の存在を知らされない状況にあったことは、議会の議決を経ずに締結されたことを如実に示している。なお、前田善成が町長就任の半月後その存在を知らされ、肝心のボイラー仕様や費用分担責任の不明記など不備を指摘して変更を指示したにもかかわらず、最終報告では、あたかも前町長の前田善成が、本件を政争の具として批判しているが、むしろ、協定書の不備を指摘したことにより、元町長・岸良昌とともに本件を推進していたものらが、本件の利権を擁護しようとして、前田善成に政争を仕掛けたというべきであろう。
(15)最後に、最終報告は「平成31年2月12日より調査特別委員会に於いて同型ボイラーを実用している富良野市へ調査に行き確認したところ、自動運転システム及び熱交換器の能力に課題が見受けられ調整修繕を行っていたため、当時は稼働していない状況が見受けられた。調査特別委員会としても遊神館地内での実証試験には疑問を感じている。最後にごみ処理調査特別委員会のまとめとしてRDFボイラーの実証試験を進めるための一連の説明と協議が不十分であった結果、問題を大きく複雑にしたと言わざるをえない。昨年(平成30年)12月の議会定例会に於いてごみ処理調査特別委員会が設置され数多くの委員会、調査、そして関係者への聞き取りなどを進めてきたが調査特別委員会としては限界を感じた。今後町当局としてこの最終報告を受けて対応して頂くことを申し述べ、ごみ処理調査特別委員会の最終報告といたします」と結んでいる。
(16)以上のことから、協定書では、実証試験の施設を町有地に設置するにあたり、適正な対価を示すことなく町有財産である町有地を貸し付けることを約している。したがって地方自治法第96条第1項第6号により、議会での議決が必須であるにもかかわらず、元町長の岸良昌が、議会の議決を経ないまま、MESの山地敏男の間で、協定書を締結したことは明らかである。
3 みなかみ町議会におけるRDF問題にかかる協議経過について
(1)前項までは、平成30年12月に町議会定例会で設置されたごみ処理調査特別委員会によるRDF問題にかかる調査の最終報告をもとに、このRDF問題を見てきたが、今度は、みなかみ町議会で平成30年7月24日に行われた全員協議会の席上、当時の金子生活水道課長による説明資料(甲8)に基づいて、その時点までのRDF問題を振り返ってみる。
それによれば、今回の事件で取りざたされているRDFは可燃ごみを固形化してペレット状にしたものであり、平成10年4月に石川島播磨重工業㈱(現・IHI)により建設され竣工した奥利根アメニティパーク固形燃料施設において製造が開始された。
(2)当初は、同施設内で日量最大40トンの可燃ごみを20トンの固形燃料(RDF)化して最大550kwのバイナリー発電機能を有する焼却+灰溶融設備で処理していた。灰溶融は直流抵抗方式で能力は16時間稼働で最大3トンだった。運転管理はみなかみ町がIHI子会社のIKEと「固形燃料化及び利用施設運転保守管理業務委託契約」を結び、年間委託費として毎年2億6千万円程度支払われていたとみられる(甲9)。
(3)平成10年4月から9年間稼働した後、平成18年8月3日午前8時20分、バイナリー方式の発電の熱伝達媒体として使用していたノルマルペンタンが漏れて爆発事故が起きた。修繕費等を検討したところ、費用が嵩むため稼働休止を余儀なくされた。
(4)そのため製造したRDFを外部に売却する必要が生じ、急遽平成18年8月10日に、IKEの紹介で町とS商店との間で売却契約が成立した。条件はRDFの売り払い代金として1トン当たり1000円(税込み)でS商店が町に支払うことで合意された。ところが、RDFをみなかみ町から茨城県古河市にあるS商店の茨城工場までの運搬賃として1トン当たり21,000円(税別)かかるとされた。すなわち差し引き20,000円(税別)がRDF処理費としてS商店に支払われる勘定になる。
このRDFの外部処理については、平成18年8月11日の町議会厚生常任委員会で町が説明し承認を得たとされており、実際のRDF搬出は同8月21日から開始された。その二日後、同8月23日に議会全員協議会でRDF外部処理について説明がなされた。
(5)当初の平成18年度はRDFの運搬費をIKEが負担したが、平成19年度以降はIKEとの「固形燃料化施設運転保守管理業務委託契約」にこの運搬費用が計上されるようになった。この理由は、実質的に運搬費を負担しないと販売できないことから、逆有償取引と見なされることを恐れての配慮だと思われる。
(6)ちなみにRDFの処理費は変動があるものの年間2,500トン前後排出されており、業務委託契約にまぎれてIKE(最終的にはS商店)に支払われている運搬費用は年間5千万円前後とみられる。実際に、平成18年度から28年度にかけて、町とIKEと間で締結された「固形燃料化施設運転保守管理業務委託契約」の契約金額(税込み)は次の通りである。
平成18年度 2億6460万円
平成19年度 2億6250万円
平成20年度 2億6250万円
平成21年度 2億6250万円
平成22年度 2億6250万円
平成23年度 2億2638万円
平成24年度 2億2639万円
平成25年度 2億1934万5000円
平成26年度 2億2561万2000円
平成27年度 2億2140万円
平成28年度 1億9794万2400円
他方で、町の資源物売り払い収入としてRDFについては、
平成19年度 320万6910円
平成20年度 309万7050円
平成21年度 297万3480円
という数字が公表されている。
(7)甲8の説明資料によれば、平成27年に、奥利根アメニティパーク経費削減計画が浮上し、RDFによる循環型社会形成構想の推進が提唱されたという。そして、平成28年1月にMES代表者(山地敏男)が北海道富良野市の誰か(不明?)から紹介を受けてRDF購入計画をみなかみ町の誰か(不明?)に打診したという。【最終報告によれば、この時面会したのは元担当課長(高橋考一)とある】
なお、MES代表者は平成26年3月にも、みなかみ町にRDFを購入しに訪問したことがあることを自ら語っている。
(8)MES代表者はこの時、「富良野市がRDFボイラーの実証実験を推進」「みなかみ町にスッポン養殖実施の可否を提案(打診?)」「固形燃料化施設の経費削減策として生ごみ分別施策を検討(打診?)」について、RDF購入計画とともに持ち掛けている。
なお、MES代表者は平成28年6月1日にMES名義で町内にアパートの賃貸利用契約をした。
(9)平成28年6月2日にみなかみ町議会の厚生常任委員会において、「ごみ袋の無料化及びRDFの協議」「富良野市先進地視察の協議」が行われた。【最終報告によれば、このとき厚生常任委員会から町の担当課(生活水道課)に、「(RDFの)町内循環が可能であれば勉強したほうがいい」と提案があり、翌7月下旬の富良野市視察が決まった。】
なお、MES代表者は、みなかみ市の元担当課長(高橋考一)より、「町内業者でないと(町との)契約は難しい」言われたため、平成28年6月13日にMESを設立し代表者となった。
(10)平成28年7月20~21日にかけて、厚生常任委員会が富良野市のRDFボイラーを視察した。その際に、事前にみなかみ町からRDF2トンを富良野市に運搬・搬入し燃焼実験を実施した。運搬はMESがウブカタ資源に依頼し、燃焼実験は富良野市山部東21線12に設置されているRDFボイラーを使って行ったことになっている。燃焼試験の結果、「燃焼自体は問題ないが、排ガスよりダイオキシン38ナノグラム(基準値は5ナノグラム以下)が発生していることが判明した。ところが、この燃焼試験結果表には場所として「富良野リサイクルセンター」とあるが、その住所が上記と異なっており、上記住所にはボイラーが存在しないことが分かっている。
(11)平成28年10月1日から町は、固形燃料化施設の経費節減のため、ごみ減量および分別推進策として生ごみ分別を開始した。
(12)平成29年2月1日の厚生常任委員会で、「RDFの有効利用計画について」「実証実験の実施計画(実績→検証→導入の見極め)」「遊神館での実施及び光熱費等の経費削減効果」「民間によるスッポン養殖計画及びMESとの関係」について、町(元担当課長か)から説明があった。
このうち経費削減効果について、「机上(の計算)で電気代2000万円を1400万円に削減する効果がある」とされ、「そのための燃料としてRDF購入費200万円が必要」と説明された。またスッポン養殖については「RDFボイラーのノウハウを持つMESが関与する」との説明があった。
(13)これにより、RDFの運搬費削減効果として、年間2500トン分の1500~1600万円が見込まれて、遊神館の電気代金に匹敵するとの説明があった。
また、実証実験期間については、「6か月は最低行いたい」旨の説明があった。【協定書では実証試験期間について「耐用年数以上」との記載有り】
実証試験のスケジュールについては、「平成29年3月据付けで平成29年4月から稼働しデータ収集を行う」との説明があった。
設置、運用、灰処分等の軽費については、「すべてMESが負担する」とし、実証試験後の体制については、「ボイラーの買い取りやリース等が考えられる。また、MESは常駐者を置いて、ボイラーの運転管理を行う」旨の説明があった。
(14)遊神館でのRDF実証試験まではRDFを処分できないため、平成29年度よりRDFを一般廃棄物としてWWJに処理を委託することに決まった。
この決定までの過程として、当初みなかみ町はRDFを有価物として購入者を検討したが、購入希望者が見当たらないため、一般廃棄物としての処理業者を探した。町が取引実績のある㈱エコ計画に打診したところ「一般廃棄物としての処理で必要となる処理場の所在自治体との協定における排出量の確定が難しい状態である」というので、WWJに打診したら「鹿沼市とn協定の内数での処理が可能」と分かり、WWJに決定したとの説明だった。
処理費は1トン当たり3万9000円(税別)で、WWJ関連のサンエコサーマル㈱(栃木県鹿沼市)で焼却減量化による中間処理後、焼却灰をWWJの最終処分場(草津町)に運んで最終処分することになった。
(15)その後、平成29年10月3日にみなかみ町とMESとの間で、実証実験の協定書を締結した。同月、業者からのヒヤリングによると、基礎工事の依頼が行われた。同10月30日に、前田善成が町長に就任した。同11月2日に、奥利根アメニティーへRDFボイラーが2台分?搬入された。同時に、基礎及び建屋工事の設計作業が開始された(業者ヒヤリングによる)。
(16)平成29年11月中旬に、消防・労働基準監督署・県等の官庁申請実施時期となり(業者の工程表による)、協定書の見直しが検討された。見直し内容は、実証実験期間を1年とする仕様書を添付することと、県の承認書類を添付することで、MES代表者はこれを了承した。【最終報告によれば、新町長の前田善成が「協定書がない」というので、元担当課長(高橋考一)が協定書を提示したところ、前田町長が「協定書に不備があり変更するように」との指示が出され、MESに対して協定書の変更とRDFボイラー仕様書等の提出を求めたが、現在も未提出のままとなっているという】
また、このころ、建屋の基礎工事が開始された。
(17)平成29年12月5日に、産業観光常任委員会が開催され、「RDFボイラーの灰の処理について」と「事業実施の所管について」が討議された。灰の処理は、実証実験を実施するMESによる産廃処理(マニフェスト処理)とし、事業実施に伴う議会の委員会の所管は、実証実験時は厚生常任委員会で審議し、遊神館導入における予算発生時には産業観光常任委員会がかかわることとなった。
(18)平成29年12月16日に、厚生常任委員会において、「ごみ処理施設の整備検討方式の選定について」が討議され、10年間の施設利用コストの比較表について町当局から次の通り説明があった。
A案 10年間利用の為の延命化 2,416百万円
B案 焼却施設の新設 1,750百万円
C案 RDF施設の全面改修 1,460百万円
(18)平成30年2月15日に、遊神館へRDFボイラーが搬入され機械設備が設置された。同2月23日に、配管工事が開始された。
(19)平成30年3月12日に、みなかみ農業公社主催のスッポン説明会及び試食会が開催された。一説によれば、遊神館のRDF実証実験は、この工業公社のスッポン養殖事業計画が目的で画策されたものだという。
(19)平成30年3月20日に、ばいえん発生施設設置届出書が群馬県に提出されたが、申請者名をみなかみ町名義で提出したため、取下げを余儀なくされた。同3月28日に建屋建設工事が開始された。(業者からのヒヤリングによる)
(20)平成30年4月1日に、「RDF購入に関する契約書等付帯書類伺い」と「RDF収集運搬業務に関する契約書等付帯書類伺い」が業者から提出されたが、現在もなお保留中となっている。
(21)平成30年4月6日16時に、MES及び関連企業がみなかみ町に来庁し、現在に至るまでに経緯について説明を受けた。
(22)平成30年4月16日、スッポン事業の推進について、MESほか関係者が説明のため、前田善成町長に面会しに来庁した。この時、みなかみ町からは「スッポン事業を行う前に実証実験を行うことが先決である」旨説明があった。
(23)遊神館の蓄熱槽とボイラー間の配管追加工事が発注されたが、工事費の支払いがどこなのかは不明のままとなっている。
(24)平成30年4月20日に、生活水道課と観光商工課と業者(MES)との間で遊神館ボイラーの初回打合せが行われた。この時、借地契約のための行政財産使用許可申請書が未提出であるため、業者(MES)へ打合せを実施するよう指導した。
同日、業者が観光商工課と打合せを行い、観光商工課より業者に対して、「申請書に、県提出の施設設置届等証明についての説明書類を添付するように」と求めた。そこで、さっそく業者が行政財産使用許可申請書を町に提出したが、決裁に至っていない。
(25)平成30年4月27日に、業者側の木内建設から「ばい煙発生施設設置届出書」が県に再度提出された。現在なお、県において預かり状態らしい。
(26)平成30年5月14日に、業者の届出により群馬県の環境森林事務所によるみなかみ町の認識の確認等のヒヤリングがみなかみ町の担当課で行われた。その際、「有価物適用5要件」について、県から説明を受けた。みなかみ町からは「早期にボイラーの実証実験を行いたい旨の趣旨を説明し、相談したところ、「有価物としての照明が不十分であるため、実証実験を町主体で一般廃棄物として行い、その後データ収集により有価物として証明できるようになった時点で有価物への変更を行うことが望ましい」との説明を受けた。
県によるヒヤリングの後、前田町長には担当課(生活水道課か)から「県に協力いただき、早い段階での実証実験に着手するなら、町主導で実証実験を行い、試験データをもとに有価物に移行することが早いと、県から提言いただいた」旨説明を行った。
(27)平成30年5月24日に、みなかみ町が群馬県環境森林事務所と協議した。県から「あくまで有価物として動く場合は、有価物5要件中で、県の現在の認識では疑義が3点有り、有価物としては現在のところ認めづらい」との見解が示された。3点とは、通常の取り扱い形態についてであり、①取引が1社では市場形成性が認められないこと、②現状との食い違い(平成29年から一般廃棄物として処理していること)、③取引価値の有無、であった。
(28)平成30年5月28日に、みなかみ町がMESへ、県からの指摘を伝えた。その際、県の指摘として、①RDFについて、町が有価物としても、県では「有価物と認めがたい」との見解であること、②事業としての採算性に疑問があること、③「RDFを有価物として実証できないか」と町がMESに確認すること、がMESに伝えられた。
(29)平成30年5月30日に、みなかみ町が早期の実証実験実施に向けて、町主体で行い、一般廃棄物でのスタートに路線を変える旨の起案を提出した。翌5月31日に、町が県環境森林事務所と協議をした。その際、有価物か一般廃棄物かの各区分における届出関係事務の整理について、打ち合わせた。
(30)平成30年6月1日に、本件について担当課から前田町長に対して説明を行った。町長からは「事実経過と本来あるべき姿(手続き等)を整理したうえで、あらためて説明を行うように」と指示があった。その理由としては「このまま進めることで責任の所在が不明瞭となる懸念」が示された。
(31)平成30年6月8日に厚生常任委員会による管内視察のなかで、アメニティパーク及び遊神館等の現地調査の後、厚生常任委員会が開催され、町当局から現状の説明を行うとともに、実証実験の実施に向けて確認を行った。その中で、山田町議が、平成30年4月1日に業者が町長に出した「RDF購入に関する契約書」と「RDF収集運搬業務に関する契約書」について、「書類はもうできている。前田(町長)がハンコを押さない」と発言したという。
(32)平成30年6月14日に、前田町長と担当課との打ち合わせで、町長から「民設民営での実証実験を崩すことなく進めること」旨の指示が出された。また、同6月18日の前田町長との打合せでも、「民設民営であくまでも民主体の手法で実証実験を進めること」旨の再確認の指示が出された。
(33)平成30年6月22日に、前田町長からの民営民設の決裁を受けて、業者にばい煙発生施設設置届出書の訂正箇所を是正し、再提出指示を出したところ、業者から同日、訂正したものが提出された。
(34)以上が、みなかみ町議会で平成30年7月24日に行われた全員協議会の席上、町当局から為された、その時点までのRDF問題についての時系列的な説明内容である。
平成30年6月26日には、前田町長からセクハラ行為をされたと主張し、強制わいせつ容疑で被害届を出した女性が新聞紙上で「町長の言葉を信用した人々からの2次被害に押しつぶされそうな毎日」と胸中を語った毎日新聞の記事が掲載されるなど、前田町長に対するマスコミ報道が激化し、平成30年6月30日には、前田町長が目まいや食欲不振を訴えて検査入院する事態となり、町政の停滞が深刻化し、同7月27日に臨時町議会が招集され、その本会議に於いて『観光地としてのイメージの回復、町政への信頼回復と正常化が急務である』などを理由として前田町長への不信任決議案が上程され、可決された。県の議会見解でも一事不再議の原理から法律上は出来なくはないが、通常は、一度否決されたた議案の再提出はないのが議会人の常識であったが再上程された。通常はリコール運動になるとの見解であったが不信任の可決になった。
これに対して前田町長は8月6日に議会を解散し、4月22日に続き、9月9日に再び町議選の投開票が行われたが、改選後に再び不信任決議案に提出された場合、賛成するとみられる勢力が大勝したため、翌9月10日、前田町長は町議選で自身を支持する勢力が大敗した責任を取り、町長の辞職願いを提出した。しかし議会はこれに同意せず、「一連のセクハラ問題により町政を混乱させた責任を取るべき」として9月18日に、二度目となる町長不信任決議案が提出され、本会議でも全会一致で可決されたことから前田は町長を失職した。その後、岸良昌町長時代に副町長だった鬼頭春二が、平成30年10月23日告示、10月28日執行の町長選挙に立候補し、無投票で初当選した。
(35)こうして、遊神館のRDF実証実験によりスッポン養殖への道筋をつけようとした元町長の岸良昌は、MESから提案のあったRDFボイラーを強引に導入すべく議会の議決を経ないまま協定書を締結したものの、それまでのRDFの売却契約を破棄したことにより、2倍近い費用をかけて、RDFを外部委託処分するはめになった。しかも、協定書に基づき平成30年5月に設置されたRDFボイラー施設は、遊神館地内の町有地を占用しているにもかかわらず、みなかみ町には使用料が支払われていない。
よって、これらの損害を原因者から回収する義務が現町長にある。
以上
*****証拠説明書*****ZIP ⇒ 2019103002.zip
事件番号 令和元年(行ウ)第 号 RDF違法事業費用損害賠償請求事件
原告 鈴木章二
被告 みなかみ町 町長 鬼頭春二
令和元年10月30日
前橋地方裁判所民事部 御中
証 拠 説 明 書
原告 鈴 木 正 一 ㊞
●号証:甲1の1
ZIP ⇒ 2019103003bpp.zip
○標目:みなかみ町職員措置請求書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年7月29日
○作成者:原告
○立証趣旨:原告がみなかみ町監査委員に地自法第242条第1項によりごみ固形燃料RDFに関連した事業について職員措置請求(住民監査請求)を行った事実。
●号証:甲1の2
ZIP ⇒ 2019103004bpqimnj.zip
○標目:事実証明書1
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年7月31日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠としてRDF実証実験に伴う町有地使用許可を怠り、部署間の情報共有を怠ったことを報じた記事を添えた事実。
●号証:甲1の3
○標目:事実証明書2
ZIP ⇒ 2019103005bprimnj.zip
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年7月27日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠として、RDF実証実験設備が稼働できない状況を解説した記事を添えた事実。
●号証:甲1の4
ZIP ⇒ 2019103006bps.zip
○標目:事実証明書3
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成31年3月16日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠として、RDF実証実験設備の稼働には町議会特別委による検証が更に必要であることを報じた記事を添えた事実。
●号証:甲2
ZIP ⇒ 2019103007bq.zip
○標目:住民監査請求に対する補正要求書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年8月6日
○作成者:みなかみ町監査委員
○立証趣旨:原告の住民監査請求に対して監査委員から補正を求められた事実。
●号証:甲3の1
ZIP ⇒ 2019103008brp.zip
○標目:みなかみ町職員措置請求の補正書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年8月20日
○作成者:原告
○立証趣旨:みなかみ町監査委員に対して補正書を提出した事実
●号証:甲3の2
ZIP ⇒ 2019103009brq.zip
○標目:事実証明書4
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年5月25日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠として、町議会特別委による最終報告案で一部職員らにより事態が複雑化したことを報じる記事を添えた事実。
●号証:甲4
ZIP ⇒ 2019103010bs.zip
○標目:みなかみ町職員措置請求に基づく勧告について(通知)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年9月30日
○作成者:みなかみ町監査委員
○立証趣旨:原告の職員措置請求に対してみなかみ町監査委員から「勧告」するという内容が出された事実
●号証:甲5
ZIP ⇒ 2019103011bt.zip
○標目:ごみ処理調査特別委員会の最終報告
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年9月3日
○作成者:町議会のごみ処理調査特別委員会
○立証趣旨:町有施設遊神館でのRDFボイラー実証試験事業に関して一連の疑惑について、平成30年12月に議会内に設置された特別委員会が調査した最終報告書。RDF外部処理の変更による新たな業務委託契約や、実証試験事業にかかる協定書が、議会の議決を経ずに元町長が署名した不透明な経緯と事実。
●号証:甲6の1
ZIP ⇒ 2019103012bup.zip
○標目:一般廃棄物(固形燃料PDF)運搬・処理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成29年5月22日
○作成者:みなかみ町元町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:元町長らによる遊神館でのPDF実証試験事業推進のため、平成29年3月末で、それまでのPDF売却契約相手の関商店との取引を、元担当課長が独断で一方的に打ち切ったため、新たにWWJ+エコサーマルと運搬・処理業務委託を余儀なくされ、議会の議決も経ずに契約を結び、コストが以前の2倍近くにアップ(委託料1トンあたり税抜で38,000円)した事実。
●号証:甲6の2
ZIP ⇒ 2019103013buq.zip
○標目:業務委託変更契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成29年7月1日
○作成者:元みなかみ町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:平成29年5月22日に新たにWWJ+エコサーマルと運搬・処理業務委託を余儀なくされ、議会の議決も経ずに契約を結んだのに、なぜか委託料1トンあたり税抜で38,000円から39,000円に値上げした金額に変更した事実。
●号証:甲6の3
ZIP ⇒ 2019103014bur.zip
○標目:一般廃棄物(固形燃料PDF)運搬・処理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年4月1日
○作成者:前みなかみ町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:上記の契約と同じ条件で、平成30年度も1年間継続した事実。
●号証:甲6の4
ZIP ⇒ 2019103015bus.zip
○標目:一般廃棄物(固形燃料PDF)運搬・処理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成31年4月1日
○作成者:現みなかみ町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:上記の契約と同じ条件で、平成31年(令和元年)度も1年間継続している事実。
●号証:甲7
ZIP ⇒ 2019103016bv.zip
○標目:奥利根アメニティパークの件、RDFボイラー(導入業者)山地敏男氏談〈メモと協定書案〉
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年ごろ
○作成者:原告
○立証趣旨:RDFボイラーの導入を図ったMES代表の山地敏男氏の談として「平成29年6~8月頃別紙の通り高橋市郎、山田庄一両氏より、町長、副町長に紹介案内していただいた」ことを本人から聞き取ってメモした事実
●号証:甲8
ZIP ⇒ 2019103017bwiv_rdfoj.zip
2019103018bwairdfrlpj.zip
2019103019bwbirdflpvj.zip
○標目:遊神館PDF経過(説明)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年7月24日
○作成者:みなかみ町生活水道課金子課長
○立証趣旨:平成30年7月のみなかみ町議会の全員協議会で、本件担当部署の生活水道課の金子課長が、遊神館PDF実証試験に関わる経過説明の際に用いた資料を示す事実
●号証:甲9
ZIP ⇒ 2019103020bx.zip
○標目:固形燃料化及び利用施設運転保守管理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成18年4月1日
○作成者:みなかみ町長(当時)、IKE
○立証趣旨:平成10年~18年8月2日までは、同施設内で日量最大40トンの可燃ごみを20トンの固形燃料(RDF)化して最大550kwのバイナリー発電機能を有する焼却+灰溶融設備で処理していた。灰溶融は直流抵抗方式で能力は16時間稼働で最大3トンだった。運転管理はみなかみ町がIHI子会社のIKEと「固形燃料化及び利用施設運転保守管理業務委託契約」を結び、年間委託費として毎年2億6千万円程度支払われていたことを示す事実。
●号証:甲10
ZIP ⇒ 2019103021bpo.zip
○標目:平成29/30/31年(2017/2018/2019年度) RDF利用施設搬出量
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成31年9月
○作成者:被告
○立証趣旨:遊神館RDF実証試験のため、平成29年6月以降RDFの外部処理委託を余儀なくされ、毎月平均200トンほど、1トン当たり税込み4万1200円と、それ以前よりもほぼ2倍にコストアップし、令和元年8月までに、2億3423万9025円が、議会の議決を経ないまま締結された業務委託契約委に基づき支出されていることを示す事実。
以上
**********
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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