市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【速報:鉛・ヒ素入りスラグ問題】群馬県は民間工事でさらに11か所増加と発表!

2020-03-11 20:17:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題


■かつて公害企業として全国にその悪名を響かせた東邦亜鉛の安中製錬所ですが、その体質は少しも改善されないまま、現在に引き継がれていることが、今年8月9日の突然の公表で判明しました。
※参考URL:「当社の非鉄スラグ製品の調査・回収について」 ⇒ http://www.toho-zinc.co.jp/news/pdf/news_20190809_2.pdf
 しかし東邦亜鉛は、これほどの違法行為を犯しながらも、廃棄物処理法に基づくペナルティを群馬県から受けることもなく、「当社の有毒スラグが不法投棄されている場所を見つけたら情報提供してください」などと涼しい顔で、自社のHPや新聞広告を出している有様です。 ※2019年11月29日上毛新聞P4:ZIP ⇒ 20191129mxol_new.zip
 そうした中で、2020年3月11日付読売新聞に次の記事が掲載されました。


【3/18追記】本件記事の末尾をご覧ください。
**********読売新聞2020年3月11日
◆有害スラグ使用63か所
 金属メーカー「東邦亜鉛」の安中製錬所(安中市中宿)が有害な非鉄スラグ製品を出荷していた問題で、県は10日、県内63か所の工事でこの製品を使用していたと発表した。
 同社や県が実施している調査の中間親告(2019年12月末現在)で明らかになった。報告では、同社製品が砂利や路盤材に使われた工事は80か所あり、使用場所はさらに増える可能性がある。有害品には土壌環境基準を超える鉛やヒ素が含まれるが、土壌汚染は確認されていないという。
**********

 なお、群馬県では3カ月前の2019年12月6日にもHPで中間報告を発表しています。
○2019年12月7日:【速報:鉛・ヒ素入りスラグ問題】群馬県は公共工事ではたった1ヵ所と発表!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3086.html

■この記事のネタとなった群馬県のHPには、3月10日付で東邦亜鉛の有毒スラグについて次の記事が発表されています。

*****群馬県HP*****最終更新日:2020年3月10日
https://www.pref.gunma.jp/houdou/e17g_00027.html
【3月10日】東邦亜鉛(株)安中製錬所から搬出された非鉄スラグに関する使用箇所の状況について(環境保全課、廃棄物・リサイクル課)
 東邦亜鉛株式会社安中製錬所から搬出された非鉄スラグが建設資材として使用されたことについて、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)に基づき調査を行ってきたところ、使用箇所の状況は次のとおりです。
1.調査等の経過
(1)立入検査(廃棄物処理法第19条第1項)
 ・平成30年5月~東邦亜鉛(株)ほか
(2)報告の徴収(廃棄物処理法第18条第1項)
 ・平成30年11月~東邦亜鉛(株)ほか
(3)行政指導
 ・平成30年10月 東邦亜鉛(株)に対して、非鉄スラグを路盤材及び敷砂利として使用しないよう指示
 ・平成31年1月 県建設業協会及び県再生骨材協会に対して、有害物質を含有する建設資材が工事に使用されることがないよう周知を依頼
 ・令和元年5月 東邦亜鉛(株)に対して、非鉄スラグのリスクについての注意喚起とともに、住民等からの問い合わせ窓口を設置し、速やかにその旨を周知広報することを指示
 ・令和元年10月 東邦亜鉛(株)に対して、「調査の加速化」「使用箇所への対応措置の早急な実施」「周知広報の徹底」を改めて指示
 ・令和2年2月 東邦亜鉛(株)に対して、令和元年10月の指示内容を重ねて指示
2.非鉄スラグ使用箇所の解明及び環境への影響調査の結果(令和元年12月末時点)
(1)東邦亜鉛(株)安中製錬所から搬出された非鉄スラグの使用が確認された箇所は、別表のとおり公共工事で1箇所、民間工事で80箇所である。
(2)これまでの調査の結果では、建設資材から土壌環境基準等を超過する有害物質が検出された箇所はあるが、土壌汚染は確認されていない。
(3)県では、同社に対して、引き続き使用箇所の全容解明に当たるとともに、判明した使用箇所における環境調査の加速化と結果の報告、及び生活環境の保全上支障が生じないよう必要な措置を指示した。

3.今後の対応
(1)今後とも非鉄スラグの使用箇所の解明を進め、新たに使用箇所が判明した場合は、これまでと同様の方法で環境調査を行い、その結果を速やかに公表する。
(2)判明した使用箇所は全て県がリスト化し、今後も継続して、地下水概況調査の中で、環境への影響について監視を行っていく。
【別表 東邦亜鉛(株)安中製錬所から搬出された非鉄スラグの使用箇所】
令和元年12月末時点
1.公共工事
○公共工事一覧
工事実施主体:榛東村
使用箇所等の数:        計:1
       令和元年10月末時点:1
             新規判明:0
うち環境調査実施箇所数:    計;1
       令和元年10月末時点:1
               今回:0
うち土壌環境基準等の超過箇所数:非鉄スラグ:計:
             令和元年10月末時点:
                     今回:
                   土壌:計:0
             令和元年10月末時点:0
                     今回:0
(注)本表は、令和元年12月末時点の工事実施主体からの報告を整理したものである。
2.民間工事
○民間工事一覧
工事実施主体:民間工事
使用箇所等の数:        計:80
       令和元年10月末時点:69
             新規判明:11
うち環境調査実施箇所数:    計:69
       令和元年10月末時点:51
               今回:18
うち土壌環境基準等の超過箇所数:非鉄スラグ:計:63
             令和元年10月末時点:49
                     今回:14
                   土壌:計:0
             令和元年10月末時点:0
                     今回:0
(注)本表は、令和元年12月末時点の東邦亜鉛(株)からの報告を整理したものである。

【非鉄スラグに関する問い合わせ先】
 廃棄物・リサイクル課 産業廃棄物係
 電話 027-226-2861
 メール sanpai@pref.gunma.lg.jp
 環境保全課 放射線・土壌環境係
 電話 027-226-2833
 メール kanhozen@pref.gunma.lg.jp
○このページについてのお問い合わせ
環境局廃棄物・リサイクル課
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
電話 027-226-2861
FAX 027-223-7292
E-mail haikirisaka@pref.gunma.lg.jp
**********

■県の発表によると、読売新聞の冒頭の記事タイトルは間違いで、正しくは次のとおりになります。
**********
◆有害スラグ使用63⇒80か所
 金属メーカー「東邦亜鉛」の安中製錬所(安中市中宿)が有害な非鉄スラグ製品を出荷していた問題で、県は10日、県内80か所の工事でこの製品を使用していたと発表した。
 同社や県が実施している調査の中間親告(2019年12月末現在)で明らかになった。報告では、同社製品が砂利や路盤材に使われた工事は80か所あり、使用場所はさらに増える可能性がある。有害品には土壌環境基準を超える鉛やヒ素が含まれるが、土壌汚染は確認されていないという。
**********

■また、群馬県以外にも、安中市のお隣の富岡市も、いつも群馬県の発表と合わせてHPに掲載しています。

*****富岡市HP*****
https://www.city.tomioka.lg.jp/www/contents/1583460138233/index.html
東邦亜鉛株式会社安中製錬所から搬出された非鉄スラグについて
登録日:2020年3月10日
 東邦亜鉛株式会社安中製錬所から搬出された非鉄スラグが建設資材として使用されたことについて、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき群馬県が調査を行なった結果は以下のとおりです。
<非鉄スラグの使用箇所>
公共工事  1箇所
民間工事 80箇所
詳細については群馬県のホームページをご覧ください。
https://www.pref.gunma.jp/houdou/e17g_00027.html
○このページのお問い合わせ先
市民生活部 環境課(清掃センター内)
電話番号:0274-62-2823
FAX番号:0274-62-2339
**********

■ところが、安中市は、安中公害で有名な東邦亜鉛安中製錬所のお膝元にあるにもかかわらず、何もHPで報じようとしていません。

 ことほど左様に安中市の住民への生活環境の維持管理については、お粗末としか言いようがありません。

 そもそも、重金属が土壌環境基準等を超えるような物質が環境中に放置されていること自体、尋常ではありません。しかし、そうした重金属を含む産廃を県内のあちこちにまき散らしても、東邦亜鉛や岡田工務店には、なにひとつお咎めがありません。特定の業者との癒着を指摘される群馬県ですが、ここにもその体質がうかがわれます。

【3月18日追記】
 この日の朝日新聞の朝刊にも東邦亜鉛の有毒スラグの記事が掲載されました。

**********朝日新聞2020年3月18日
基準超のスラグ新たに14カ所で 東邦亜鉛出荷
 東邦亜鉛安中製錬所(安中市安中)が有害なヒ素や亜鉛を含むスラグを出荷していた問題で、県は10日、これまでに明らかになっている県内40カ所に加え、昨年末時点で新たに14カ所で環境基準を超えるスラグが建設資材などに使用されていたと発表した。具体的な場所は非公表。
 スラグは金属製錬の際に炉内にたまる金属くず。県廃棄物・リサイクル課などによると、スラグ撤去は同社が自主的に行っているが、県は撤去箇所を明らかにしていない。スラグの下の土壌への汚染は確認されなかったという。
**********
 群馬県民の安全な生活環境を守るべき立場の県環境森林部が、東邦亜鉛から有毒スラグを不法投棄した現場の調査結果が提出されたものを、そのまま鵜呑みにして、「あらたに14カ所で基準超えが判明」などとしていますが、本来、自らも関係先に聴取して実態調査をしなければならない義務があるのに、ひたすら東邦亜鉛からの自己申告待ちという受け身の姿勢を取り続けています。しかも、「鉱滓」という産業廃棄物としての認定と、「不法投棄」という認定も、いまだに「調査中」というだけで、何もしようとしません。さらに悪質なのは、上記の記事にもあるように有毒スラグの「具体的な投棄場所」や「撤去場所数」さえ、公表しようとしません。これが我が群馬県の環境行政の実態なのです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
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