市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ問題を斬る!・・・国土交通省の謎の工事に迫る(その4)調査を振り返って

2015-11-12 12:25:00 | スラグ不法投棄問題
■シリーズでお伝えしました国道17号・前橋渋川バイパスにある渋川市沼辺信号~半田北信号付近の謎の工事ですが、連日大きな反響をいただきました。その中で、皆様方からポイントのご指摘、ご意見、新情報などが当会に寄せられました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。皆様からの貴重なご意見と、当会の考えを踏まえ、今回の“謎”の工事について振り返りながら、編集後記よろしく、オンブズマンが感じた数々の謎について、「あとがき」として分析し整理してみました。


この工事はいったい何?

■この工事の様子をみて、まず初めに思うことは、「いったい何という工事名なのだろう」という疑問です。この謎の現場のほとんどの路上工事看板には「歩道工事を行っています」とだけ書かれており、何がナンダか判りません。

 関東地方整備局では、「道路見える化計画」と銘打って、平成18年3月21日付、国道利第37号・国道国防第205号「道路工事現場における標示施設等の設置基準の一部改正について」という道路局長名の通達を出しました。次の資料は、それを受けて平成18年9月に国交省関東地方整備局が出した「路上工事看板設置関連通達改正のポイント(事例集)」です。
http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000011171.pdf

 これによれば、例えば「舗装修理工事を行っています」→「傷んだ舗装をなおしています」というふうに記載するなどし、路上工事看板の表示目的を、「何の工事を行っているかを簡潔にわかるように表示するよう改善を図る」とあります。

 ところが、謎の現場では、「歩道工事を行っています」とだけしか表示されていません。

 また、工事内容を簡潔に説明した「工事種別」も表示しなければなりませんが、ひとつだけ、工事名らしいものを記載した工事標識には「環境整備工事」とだけ書いてあります。

 その他、発注者情報についても書いてあり「国土交通省 関東地方整備局 高崎河川国道事務所 上武監督官詰所」となっています。

■2015年4月24日、国交省関東地方整備局が、鉄鋼スラグの分析結果について記者発表しました。
 http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kyoku_00000682.html
 ●記者発表資料
 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000621465.pdf

 国交省はその中で、次の通り公表しています。

「土地の所有者の意向および関係機関の依頼により、当該材料を撤去することで調整の整った2工事の施工箇所については、撤去を実施します。」

 このことから、“謎”の工事は、有害スラグ撤去工事だと推測されます。そうであるなら、「環境整備工事」などと工事標識に工事種別をあいまいに表記せず、「有害スラグ撤去工事」として住民に工事内容を分かりやすく伝えてほしいものです。

 本来であれば、前記の「道路見える化計画」により、路上工事看板には、「不法スラグを撤去せずに擁壁をなおしています」というふうに表示すべきではないのでしょうか。

■工事標識の発注者情報「国土交通省 関東地方整備局 高崎河川国道事務所 上武監督官詰所」を頼りに、国土交通省のホームページより入札情報サービスでそれらしい工事を探してみました。入札情報サービスはこちらです。↓
http://www.i-ppi.jp/Search/Web/img/top__g01_title.gif

 そこには、有害スラグ撤去工事なる工事名は一つも見当たりません。上武監督官・環境整備工事という言葉をたよりに探してみると似たような工事名を見つけました。

**********


 工事名:H27上武道路他環境整備工事
 工事場所:群馬県太田市武蔵島町~群馬県前橋市上細井町外5箇所
 工事内容:本工事は、高崎河川国道事務所管内における国道17号上武道路、群馬大橋拡幅、渋川西バイパス、綾戸バイパス及び国道18号高崎安中拡幅、国道50号前橋笠懸道路の道路予定地等を管理するため、除草工、防草工、防護柵、舗装工、擁護工、応急処置工等を行うものである。
 工期:平成27年4月1日から平成28年3月31日まで
 予定価格:71,200,000(税抜き)

h27hh.pdf
**********

となっている工事です。もし、齟齬がありましたら、お手数ですが当会宛、その旨ご指摘ください。

■同じ国交省でも、水資源機構による有害スラグ撤去は早期に行われました。ところが、関東地方整備局の場合は、有害スラグ対策の遅れの酷さが指摘されます。

 しかも今回分かったのは、上記の通り、国土交通省は2015年4月24日に「有害スラグを撤去する」と公表した時点で、すでに2月6日に入札公告を出していたことです。すなわち、一年を通じての除草工や応急処置工などとするこの環境整備工事のなかで、地域住民の目のつきにくい所で隠れるようにコソコソと、有害スラグ関連対策工事を実施しているのです。

 有害スラグの撤去は二の次で、真の目的は擁壁のズレ・崩壊対策工事?・・・こうした疑惑が今回指摘されました。

 なぜ国交省は、このようにコソコソと工事をしたがるのでしょうか?

 その理由は、他の有害スラグ不法投棄現場の隆起・膨張箇所の対策不足を指摘されるのが怖いからではないでしょうか?

【11月14日追記】
 ご好評と大きな反響をいただいている“謎”の工事シリーズ記事ですが、これに関連する追加情報が当会に寄せられました。
 国土交通省に対して今回の謎の工事内容に関する情報公開請求をしたところ、なんと国交省から「土地所有者の意向により不開示」という返事が来たとのことです。
 開示拒否の理由を、土地所有者のせいにする、何とも姑息で陰湿な国交省のお役人様たちの隠ペイ体質を見て取れます。
 今後いろいろな方面でこの謎の工事の手口が取り上げられて、国交省による、この「不開示」問題も、その背景やしがらみが次第に解明されることが期待されます。


■さて、「歩道工事を行っています」などと工事の目的を表示しながら、工事の内容を示す工事種別では「環境整備工事」などとわざわざ呼び変えてまで、コソコソと工事をしている国交省の実態から、本来は、有害スラグ撤去工事と地域住民に知らせながら工事しなければならない場合を想定した際に、考えられるポイントを、皆様から寄せられたご指摘ご意見を踏まえ書き出してみます。

 今回の補修工事のポイントとして次の疑問点を挙げることが出来ます。

①だれがこの費用を負担しているのか

②アースアンカー工法を採用したことで、スラグ全量撤去よりも、隣接のカーリット工場への擁壁の倒れ込みを優先した背景は何か

③アースアンカー施工後、再度擁壁をたてて、スラグをそのまま残置して、現場を隠ぺいするつもりなのか

④スラグを取り除かないままアースアンカー工法で盛土の崩壊を防ごうという発想のようだが、スラグの膨張をアースアンカーで食い止められると誰が、どのような根拠で判断したのか


■上記の各ポイントについて考察を加えてみましょう。

ポイント① 工事の費用負担は?

 これは当然、大同特殊鋼が負担すべきです。そして盛り土の中に自分勝手に有害スラグ不法投棄したのですから、盛り土の撤去についてはブラック佐藤建設工業に費用を負担させなければなりません。

ポイント② スラグ撤去より擁壁修理を優先した理由は?

 沼辺信号から半田北信号にかけて不法投棄された有害スラグを全量撤去する費用と、アースアンカー工法でスラグを残すブラック工法を比較し、後者の方が安価であれば、それは渋川市と同じように、大同様のご負担を減らそうと配慮する、「大同様ご機嫌おうかがい主義」に基づいて、工法が選択されているとしか考えられません。
だから、スラグマネーに国土交通省も汚染されていると考えるのが妥当でしょう。

ポイント③ スラグ残置のまま擁壁を再構築し現場隠ぺいか?

 国土交通省は、どうやら地域住民のために有害スラグを撤去する気など、サラサラ無いと考えているようです。
この環境整備工事は応急処理工等となっているので、後で有害スラグを撤去しなければ対策工事は完了とは言えません。当会は微力ながら国土交通省にキチンとした対策を取らせるべく活動を続けます。

ポイント④ アースアンカーの耐張力がスラグの膨張力を上回ると判断したのは?

 国交省は、今回の謎の工事を、独自体質である隠ぺい理論で組み立ててしまっています。そこには、アースアンカー工法が有害スラグの膨張に有効かどうかの検討が欠けています。言わば、欠陥工事と言うことが出来ます。
 今回の対策費用について、よしんば大同様が負担するので、我々の血税は不投入だから百歩譲って良し、とした場合を想定してみましょう。でも、将来アースアンカー工法が無効で、擁壁がさらにズレてしまい、その将来時の対策工事費用を、大同様が「一度負担済みだ」として負担を拒んだ場合、国交省はどうするのでしょうか?
 「どうせ、そのころにはスラグ問題も風化しているだろうから、血税で賄えばいいや」などと、いつものように税金投入を安易に決めてしまう恐れがないと、誰が断言できるでしょうか。
となると結局、将来、住民に負担が回ってきてしまうことになりかねません。
すなわち、現在の目先の負担を減らし、ツケを孫子の代の住民に負担させかねない計画なのです。スラグマネーに頭脳汚染された優秀な国土交通省のお役人様による、大同様のための、手の込んだ優遇対策と言えるのではないでしょうか。

・・・あとがきに替えて・・・

■謎の工事は、垂直に切り立った擁壁の膨張崩壊による大惨事発生リスクに対する、お役人様の「責任逃れ」・「隠ペイ工作」というとんでもない国民への背任と、ブラック大同・佐藤連合への優遇処置という、二つの悪行が重なった、稀代の問題工事であることが浮き彫りになってきました。

 ノーベル賞を受賞した科学者が新聞にこんな言葉を伝えています

「若者はどんどん海外へ出ていくべきだ、5年もすれば英語が自由になる、その時に日本のおかしなところが見えてくる」

という旨の内容でした。

 群馬県警による9.11強制捜査後も、国土交通省は、何事も無かったかのようにブラック佐藤建設工業のスラグ運搬車の出入りを黙認しています。そこにはスラグマネーによる汚染・癒着があると考えられます。

 それに加えて、長年無理をつづけてきた「工期厳守至上主義」が蔓延していると見られます。

 建設業者に無理な負担を強いて工期を厳守させることが美徳とされてきたのです。建設業者いじめがエスカレートし、工期を達成することが不可能な場合でも、隠ぺい・偽装・改ざんなどで対応させる、という間違った方針が、国土交通省の所管する工事を歪めてきてしまったのではないでしょうか?

■有害スラグ不法投棄問題のような大問題が起きたのですから、工期を間に合わせるようとするのは、ナンセンスです。社会的な大問題への対処方針では、工期延長を余儀なくされることは、が安全な工事施工の観点から当然視されなければなりません。

 外国に行かなくても、英語がペラペラにしゃべれなくても、国土交通省のガラパゴス役人様の仕事ぶりを見れば、いとも簡単に“おかしな・間違った日本”を体験できてしまえるのです。

 昨今、世間を騒がせている偽装問題についても、元はと言えば、権限のうえに胡坐をかいてきて、悪事がばれても執行猶予しかつかないお役人様が蔓延り過ぎたせいで、生み出された問題なのではないでしょうか?

 当会が取り組んでいる有毒スラグ問題も、コンクリート・アスファルトを原料とする再生砕石を偽装することから事件が始まっており、問題の根源は共通であることがわかります。

■地元群馬県で跳梁跋扈しているガラパゴス役人様を一掃できるよう、当会は行政の指南役として、引き続き微力ながら全力を傾注してゆく所存です。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

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