市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

尖閣諸島に押し寄せる中国の漁船団が呼び覚ます日本と台湾の関係の重要性

2012-09-18 18:35:00 | 国内外からのトピックス
■中国の反日運動が連日激しさを増している様子がマスコミで報じられています。今日、9月18日は満州事変の引き金となった柳条湖事件発生の日で、反日デモにさらに弾みがつくことが懸念されています。そして、台風16号が北に去り、海象条件が好天しつつあるこのタイミングに、尖閣諸島のある東シナ海(中国や台湾では「東海」と呼んでいる)では、3ヵ月半の休漁期間が9月16日の正午に終了し、浙江省と福建省などで待機していた漁船約1万隻が、昨日から順次出航し、このうち約1000隻が本日18日から明日19日にかけて、沖縄県の周辺海域に到着する予定だと報じられています。

 30年前、東シナ海で操業するのは、主として日本の漁船団でした。以西底引き網漁業といって、185トン以下の2隻の漁船で底引き網を引っ張りながら、底魚を主体に漁獲するもので、効率がよいものの、魚を根こそぎ乱獲する恐れがある漁法です。

 農林水産省の「漁業・養殖業統計年報」によれば、東シナ海における1960年の日本の漁獲量は37万トンほどあり、以西底引き網漁に従事する漁船は400隻を数えていました。しかし、それをピークに以降、直線的に減少し始め、2010年初頭では、山田水産など僅か4社による計13隻の漁船しかいなくなり、年間1000トンにも満たない漁獲状況にあります。

 この原因として、乱獲による資源減少に加えて、1980年代からは日本漁船は、人件費等の高騰で採算が取れなくなり、また漁労者の高齢化による就労人口の減少により、撤退が相次ぎました。その後を埋める形で、操業コストの安い中国漁船や韓国漁船が東シナ海に繰り出し始めて、日本の漁獲量は漁船の数と、資源枯渇の両面から、急激に減少を続けてきました。http://abchan.job.affrc.go.jp/doukou/column/column02.html 

■筆者が、1997年に江蘇省にある連雲港市を訪れた時に、町の郊外の高台に豪邸が並んでいるのを見て、「あれは一体なんですか」と地元民に訪ねたところ、「あれは東シナ海に出漁して魚を取り、それを下関の沖で日本側の買取業者に販売して、財をなした漁業成金の漁民らの邸宅です」と説明されたことがあります。

 当時、既に、東シナ海に出漁する日本の漁船数は激減していました。そうした状況下で、性能の優秀な日本製の魚群探知機を搭載した日本漁船が、魚群を発見して底引き網を下ろしかけると、周辺海域にいた韓国や中国の漁船団がその様子を監視していて、ワッと一気にやってきて、操業を妨害し、日本船を排除して、その海域を分捕り、自分たちで操業している、ということを聞いたことがありました。性能の悪い魚探を使ってやみくもに網を投じるより、日本漁船が操業しようとしている海域を力づくで横取りしたほうが効率がよいからです。

■もともと、漁業は略奪産業です。漁場にはルールはなく、早い者勝ち、数の多い者勝ちの弱肉強食の世界です。かつては、日本の漁船が、遠洋漁業も含めて、世界の漁場を席巻していました。

 ところが、人件費の高騰や、漁業就労者の老齢化や、後継者不足などにより、急激に日本漁船の数が世界の海から姿を消していったのでした。この背景には、旺盛な日本人の魚食需要を支えてきた日本の商社や大手漁業会社は、自分で漁船団を保有して、日本人船員を確保して漁業をするより、コストの安い現地漁民らから魚を買い付けるほうが合理的で儲かるとして、方針を転換したことが挙げられます。

■その後、中国でも魚食需要が増えてきて、漁民は、高い値段で日本に買ってもらった恩義も次第に薄れ、もともと力づくで漁場を制覇してきただけに、日本漁船が姿を消せば、漁業海域は次第に自分たちのものだという気持ちになるの時間の問題でした。

 現在、もともと日本固有の領土である竹島も、戦後、韓国大統領だった李承晩が1952年(昭和27年)1月18日に勝手に海洋主権宣言をして、一方的に日本海・東シナ海に李ラインなる軍事境界線を引き、竹島を違法に取り込んでしまいましたが、その後しばらく問題視されなかったのは、竹島の周辺海域には、まだまだ日本漁船が多数出漁していたから、韓国側もすぐには手を出せなかったものです。しかし、日本漁船がコスト高で競争力を失い、周辺海域から姿を消せば、もう韓国にとってためらう理由はなにもありません。

 このように、尖閣諸島周辺海域は、もはや中国や韓国の漁船の独壇場となっており、両国ともにルール無視の国民性であるため、ひとたび、実効支配されてしまえば、その回復には非常な困難を伴うことになります。

■現在、尖閣諸島を目指して航行している1000隻とも言われるおびただしい漁船に乗り組んでいる連中は、そうした弱肉強食の考え方をしてきた輩です。しかも、中国政府は、彼らを取り締まるという名目で、漁業監視船をたくさん尖閣諸島周辺海域に派遣するため、よけい始末に終えません。

 中国の連日の反日デモで示された中国の本質と、今回の尖閣諸島を数で包囲して力ずくで乗っ取ろうとする中国のやり方に、一番心配をしているのは、日本人ではなく、むしろ、お隣の台湾の国民でしょう。台湾の人々は、戦後、大陸から蒋介石の率いる国民党軍として台湾に移住してきた外省人の振る舞いを見て、大陸の中国人の民度の低さを痛感させられました。

 その後も、台湾併合を目指す大陸政府の脅しや賺(すか)しに屈せず、台湾の人たちは独立に向けた努力を傾注しています。その台湾の人たちが、尖閣諸島に対する中国の一連のやり方について、いつか台湾に対しても同様なやり方で、攻めて来るのではないかという懸念が大きく現実のものになっています。香港の次はいつかは台湾だと漠然と思っていた台湾の人たちも、尖閣諸島に対する大陸中国のやりかたに、にわかに認識をあらたにして来たのは事実です。

■台湾の人たちの中にも、尖閣諸島は、台湾の固有の領土だと主張する向きも一部にはあります。しかし、尖閣諸島が中国のものだと認識する人はいません。

 今回の中国の反日デモは、大陸中国の分裂を含め大変革の引き金になる可能性も孕んでいますが、そのきっかけとなった日本の尖閣諸島の国有化宣言を契機に、尖閣諸島に押し寄せる中国の大漁船団の動静と、今後の日中関係は、台湾と日本との関係をより一層ひきつける機会にもなり、今後の動静が注目されます。

【ひらく会情報部】


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