市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

タゴ51億円横領金で購入した絵画等をタゴから預かった人の情報が黒塗りされた理由(その1)

2010-07-26 22:53:00 | 土地開発公社51億円横領事件
■先月の6月22日付上毛新聞に、タゴの配偶者から「夫が所有していたと思われる絵画6点を損害賠償の債務履行の一部にしたい」と岡田市長が理事長をしている安中市土地開発公社に今年4月に申し出があった、という記事が掲載されました。

 当会では、さっそく事の真意を確かめるために、6月25日付で岡田義弘市長に対して次の内容で行政文書開示請求を出していたところ、先日7月23日に情報開示がありましたので、報告します。

■平成22年6月25日付で提出した行政文書開示請求の内容は次の通りです。

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平成22年6月22日付上毛新聞に掲載された“安中・巨額詐欺事件「債務履行の一部に」 元職員の妻 絵6点、公社に提出”と題する記事で「安中市の元職員による巨題詐欺事件に絡み、元職員の妻が『夫所有と思われる絵画6点を損害賠償の債務履行の一部にしたい』として、市土地開発公社(理事長・岡田義弘市長)に提出していたことを、市が6月21日の市議会全員協議会で報告した」「元職員の妻からは4月に申し出があり、公社の理事に諮った上で5月に受け入れた。6点の中には東洲斎写楽作とされる版画、高橋由一作とされる油彩画「風景」などが含まれている」とあるが、このことに関係する一切の情報。(公社から安中市長に報告された情報のほか、土地開発公社そのものが保有する情報も含む)
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■開示されたのは次の3件の情報でした。

開示対象となる行政文書名/開示の別/不開示とした部分/不開示とした理由/適用条文/送付枚数
●安中市土地開発公社への損害賠償債務履行用資産について(報告)【平成22年6月16日付 市長決済文書 文書番号第6255号】/部分開示/個人の住所、氏名、個人が特定できる情報、個人の印影/個人に関する情報/安中市情報公開条例第7条第2号/5
●損害賠償債務履行担保用資産の任意提出について【平成22年5月14目 安中市土地開発公社理事長決裁文書】/部分開示/個人の住所、氏名、個人が特定できる情報、個人の印影/個人に関する情報/安中市情報公開条例第7条第2号/3
●議会全員協議会報告事項/全部開示/なし/-/-/1

■開示情報によると、タゴの配偶者から絵画6点の寄附について、打診があったのは今年の5月連休の直前の4月27日でした。同日、岡田理事長(=市長)、鳥越副理事長(=総務部長)、大沢常務理事(=建設部長)と事務局の都市整備課?で協議し、その日に、タゴの配偶者に引取りをOKしたようです。

 そして、連休明けの5月7日にタゴの配偶者宅を訪れ、書類にタゴとタゴの配偶者の署名と押印をするよう説明し、5月11日に、タゴの配偶者から書類に署名と押印ができたと連絡があり、5月14日(金)にタゴの配偶者の家に赴いて、絵画6点を受け取ったことがわかります。

■その状況を示す開示資料を見て見ましょう。

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【安中市役所の回議用紙】
年度    平成22年度
文書種類  収
文書番号  第6255号
保存年限  10年
受付年月日 平成22年6月11日
保存期限  平成33年6月1日
起案年月日 平成22年6月11日
廃棄年度  平成33年度
決裁年月日 平成22年6月16日
分類番号  大0 中1 小0 簿冊番号6 分冊番号1
完・未完別 完結
簿冊名称  土地開発公社関係書類
完結年月日 平成23年5月31日
分冊名称  土地開発公社庶務書類
施行区分  重要
公開    1 非公開 時限秘( 年)部分秘 全部秘 2 公開
起案者   総務部企画課企画調整係 職名 主任 氏名 須藤 陽一  内線(1022)
決裁区分  市長
印欄    市長・岡田 部長・鳥越 課長・中田 係長・富田 係 須藤 公印・-
関係部課合議 財務部長・嶋田 建設部長・大沢 会計管理者・田中
宛先    安中市長  岡田 義弘
差出人   安中市土地開発公社 理事長 岡田 義弘
件名 安中市土地開発公社への損害賠償債務履行用資産について(報告)
 別紙のとおり、安中市土地開発公社より通知がありましたので、報告いたします。

【公社からの市への報告】安中市企画課収受22.6.11
安土開発22号
平成22年6月11日
安中市長 岡田義弘 様(総務部企画課)
       安中市土地開発公社 理事長 岡田義弘
安中市土地開発公社への損害賠償債務履行用資産(絵画等)の提出について(報告)
 このことについて、前橋地方裁判所平成11年(ワ)第165号損害賠償請求事件に係る平成11年5月31日付判決により確定した債務者(■■■■)の損害賠償債務残額(2,208,211,500円)の一部履行の担保として、絵画等6点について債務者に代わって妻である■■■■様から任意提出を受けましたので報告いたします。
     記
1.経過       別紙のとおり
2.提出された絵画等 別紙のとおり
3.今後の課題    別紙のとおり

【別  紙】
1.損害賠償債務履行用資産(絵画等)の提出の経過
○平成22年4月27日(火)
 債務者:■■■■の妻、■■■■様より電話有り。
 ■■■■■■様から4月12日に、「■■■■さんから預かっていたのでお返しする。」とのことで、絵画等6点を保管している。土地開発公社で引き取って処分していただき、■■■■の損害賠償金に充ててもらえないか。ただし、本物がどうかは不明である。という内容であった。
 同日、土地開発公社3役及び事務局で協議し、引き取る方向付けが出されたため、■■■■様へ「引き取る」旨電話連絡を行う。
※絵画等を引き取るための準備を進める。
○平成22年5月7日(金)
 ■■■■様宅へ訪問し、絵画等を預かる際に提出していただきたい書類について説明し理解を得る。債務者である■■■■の署名・押印、及び提出者である妻■■■■様の署名・押印をお願いする。
○平成22年5月11日(火)
 ■■■■様から書類の準備ができた旨電話有り。日程調整の結果、5月14日(金)に引き取りに伺うこととなった。
○平成22年5月14日(金)
 ■■■■様宅訪問。「提出書」を確認後、絵画等6点を確認し引き取る。持ち帰り保管する。
○平成22年5月21日(金)
 安中市土地開発公社理事会に報告。
2.提出された絵画等
番号/種類/補足説明事項/備考
1/絵画/作者:立川広巳 作品名:薔薇の中で/価格不明
2/絵画/作者:浅井忠 作品名・山間の部落/価格不明
3/絵画/作者:萬鉄五郎 ※サイン有り、その他黒字有り/価格不明
4/絵画/作者:高橋由一 作品名:風景/価格不明
5/絵画/作者:林武 ※日動画廊社長サイン有り/価格不明
6/版画/作者:東洲斉写楽/価格不明
3.今後の課題
 現在、債務者:■■■■所有の家屋2棟について、再度強制競売に付しておりその経過を見守っているところである。
 また、預かった絵画等については、本物かどうかが不明であることから、絵画等の鑑定評価が必要となってくると思われるが、その方法について、今後、研究・検討を十分に重ねてから、その対応について決めていくこととしたい。

【タゴの配偶者が岡田市長あてに出した文書】※原本は会計課にて保管
平成22年5月14日
債権者 安中市安中1-23-13 安中市役所内
    安中市土地開発公社
    理事長 岡田 義弘   様
                     ■■■■■■■■■■■■
           債 務 者 住 所 ■■■■■■■■■■■■
                 氏 名 ■■■■■■■■
           資産提出者 住 所 ■■■■■■■■
                 氏 名 ■■■■■■■■
損害賠償債務履行担保用資産(絵画等)提出書
 前橋地方裁判所平成11年(ワ)第165号損害賠償請求事件に係る平成11年5月31日付判決により確定した債務者(■■■■)の損害賠償債務残額(2,208,211,500円)の一部履行の担保として、絵画等6点について■■■■に代わって■■■■が任意提出しますので、受納されるようお願いします。
 なお、金額については不明であり、適法な手続により換価処分された金額が、絵画等6点の有する価格であることを認め、これを損害賠償残債務の一部に充当することを承諾するとともに、換価方法についてはおまかせします。
 また、この絵画等は平成22年4月12日、■■■■様より、「■■■■さんから預かったものであるのでお返しする。」として預かっているものであり、■■■■の資産では無く、■■■■の資産であることを申し添えます。
     記
提出する絵画等目録
番号/種類/補足説明事項/備考
1/絵画/作者:立川広巳 作品名:薔薇の中で/価格不明
2/絵画/作者:浅井忠 作品名・山間の部落/価格不明
3/絵画/作者:萬鉄五郎 ※サイン有り、その他黒字有り/価格不明
4/絵画/作者:高橋由一 作品名:風景/価格不明
5/絵画/作者:林武 ※日動画廊社長サイン有り/価格不明
6/版画/作者:東洲斉写楽/価格不明
(安中市土地開発公社収受22.5.14)

【安中市土地開発公社の回議用紙】
決済印   決済22.5.14
決済区分  理事長
発議年月日 平成22年5月14日
文書番号  第  号
施工区分  -
浄書    -
校合    -
公印   -
編纂項目 -
完結   平成  年  月  日
起案者  島田亮一
保存期間 ― 年
理事長・岡田 副理事長・鳥越 常務理事・大沢 事務局長・角井 事務局次長・大塚 係員・金田・井上・中里見
損害賠償履行担保用資産の任意提出について
 損害賠償請求事件の債務者である■■■■の妻■■■■氏から損害賠償残債務の一部に充当するために、■■■■の資産である絵画等(6点)と「損害賠償債務履行担保用資産(絵画等)提出書」の提出がありました。つきましては、絵画等を預かる証として、別紙「預かり証」を交付してよろしいか伺います。

【預かり証】(案)
平成22年5月  日
債 務 者 住 所 ■■■■■■■■■■■■■■■■
          ■■■■■■■■■■■■■■■■
      氏 名 ■■■■■■■■ 様
資産提出者 住 所 ■■■■■■■■■■■■■■■■
      氏 名 ■■■■■■■■ 様
              債権者 安中市安中1-23-13
                  安中市役所内
                  安中市土地開発公社
                  理事長 岡田 義弘
 前橋地方裁判所平成11年(ワ)第165号損害賠償請求事件に係る平成11年5月31日付判決により確定した債務者(■■■■様)の損害賠償債務残額(2,208,211,500円)の一部履行の担保として、■■■■様に代わって■■■■様が任意提出した絵画等6点をお預かりいたします。
 なお、金額については不明であり、適法な手続により換価処分された金額が、絵画等6点の有する価格とし、これを損害賠償残債務の一部に充当するとともに、換価方法については安中市土地開発公社で決定いたします。
    記
提出する絵画等目録
番号/種類/補足説明事項/備考
1/絵画/作者:立川広巳 作品名:薔薇の中で/価格不明
2/絵画/作者:浅井忠 作品名・山間の部落/価格不明
3/絵画/作者:萬鉄五郎 ※サイン有り、その他黒字有り/価格不明
4/絵画/作者:高橋由一 作品名:風景/価格不明
5/絵画/作者:林武 ※日動画廊社長サイン有り/価格不明
6/版画/作者:東洲斉写楽/価格不明

<損害賠償債務履行担保用資産(絵画等)提出書>(省略)

【議会全員協議会報告事項】
日 時:平成22年6月21日(月)
    議会最終日 本会議閉会後
場 所:市役所本庁3階 委員会室
番号/報 告 事 項/資料の有無/担当課
1/土地開発公社に係る損害賠償債務履行担保用資産(絵画等)提出について/無/総務部企画課
2/公立碓氷病院における感染性胃腸炎発生状況について/無/公立碓氷病院事務部
**********

■タゴの配偶者から絵画6点の寄附の申し出があった今年の5月連休前後には、タゴの自宅の競売が行われました。競売入札の公告が4月15日で、入札期間が5月11日から同18日、開札が5月25日で、特別売却期間が5月28日~6月10日だったことから、奇しくも時期的にほぼ一致します。

 このことを裏付けるように、公社の岡田理事長から岡田市長あてに提出された報告書にも、「現在、債務者:■■■■所有の家屋2棟について、再度強制競売に付しておりその経過を見守っているところである」と記載があります。

■それにしても、驚くべきことは、タゴ一族と安中市・公社が、既に親密に連絡を取り合っているという事実です。

 岡田市長(=理事長)にしてみれば、タゴ事件発覚以前から、タゴとは親密な関係だったことから特段、違和感などないにしても、鳥越総務部長や、大沢建設部長、それに公社事務局の建設部の職員らは、違和感があったに違いありません。でも、岡田市長による独裁体制下の市役所にあっては、ノーと言える雰囲気ではありません。

 しかし、タゴ51億円事件にこの15年間翻弄されてきた安中市民としては、今回の唐突なタゴの配偶者からの絵画6点の寄附と、それに対して、引取りを即日快諾した安中市幹部らの行動に不自然さを感じざるを得ません。

■安中市民が首を傾げたくなるのは次の事項です。

(1)この絵画等6点は、タゴの配偶者によると、「4月12日に、X様より『タゴさんから預かったものであるのでお返しする』として預かっているものであり、Xの資産では無く、タゴの資産である」との説明だが、「既にタゴは14年の実刑を満了し、個人の人権があるので個人情報の観点から名前を黒塗りにしてある」として、なぜ安中市がタゴ一族のみならずX氏の名前まで黒塗りにしたのか。
(2)もともと、事件発覚後、タゴが横領した金で購入した骨董品は、栃木県足利市の骨董商の一品堂の小貫達の協力を得て、全て警察が家宅捜査してリストアップし、一品堂の手引きで、中島誠之助も関係する東京の笹塚会で競売に掛けて換価済みであるはずなのに、なぜ今頃になって、6点もの絵画等をタゴが密かにX氏に預けることができたのか。
(3)本来、タゴ一族は、この絵画等6点を換価したうえで、安中市・公社に損害賠償の一部として充当しなければならないのに、なぜ、岡田理事長らは、即日、絵画等6点の引取りを承諾したのか。

 市民の抱くこれらの疑問を明らかにすることが、タゴ事件をとりまく黒い霧を吹き払うために不可欠であることを岡田市長ら安中市の幹部は分かっていないようです。

【ひらく会情報部・この項つづく】

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