市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【トピックス】今年も田植えの季節の到来を告げる安中田圃用水路の掘り上げ

2009-05-05 21:56:00 | 国内外からのトピックス

■春の風物詩である地元の水利組合員らによる安中田圃の用水路の堀上げ作業が、5月5日に行われました。「なぜ、よりによって子どもの日に?」といぶかる向きもあるでしょうが、組合員らにとっては、ゴールデンウィークの5月5日の朝8時から、年一度の用水路のメンテナンスが恒例となっています。

 灌漑用水の取り入れ口はJR信越線の芸ノ宮踏切付近にあり、フラップゲートで、柳瀬川から取水します。最近、晴天が続いていますが、水量はまずまず。今日は夕方から雨も降り始めたので、久しぶりのお湿りが期待できます。

↑信越線の南側を東に流れる柳瀬川と取水場所↑

 フラップゲートの開閉テストを毎年行いますが、かつては大きなナマズが必ず見つかったゲート下の窪みには、最近まったく魚影が見られません。除草剤などの農薬の影響とみられます。

↑エンジンで油圧ポンプを動かして作動させるフラップゲート↑

 用水路には、生活排水も流入するため、ドブ臭がする場所があります。窒素肥料の節約になるともいわれますが、あまり気持ちの良いものではありません。

 安中土木事務所周辺に広がる地区の圃場は、耕地整理の対象となっていないため、いまだに用水路が自然のままの石垣や直掘りのところがおおく、除草剤の散布で土手の草も枯れてしまい、浸食による土砂の堆積がひどく、毎年こうして労力をかけて堆積した土砂を除去しています。毎年、何とかならないのか、と皆口にしますが、組合長から上部団体の磯部土地改良区経由で安中市長に伝わっているはずですが、一向に改善の兆しがありません。タゴ51億円事件の尻拭いは、こんなところにも影響を及ぼしているのです。

↑毎年、用水路から掘り上げた土砂で山盛りとなった農道。危なくて車両通行できない↑

 組合員の課題は高齢化。平均年齢が毎年確実に上がっていきます。後継者不足はここにも影を落としています。

 もう一つの課題は、戦後、東邦亜鉛安中製錬所から排出され続けたカドミウムなどの重金属を含んだ降下煤塵による土壌汚染問題です。昭和40年代の後半に、山土を表面に厚さ15センチほど客土しましたが、汚染土はそのままだったので、深耕するうちに次第に上層の客土と下層の汚染土が混ざり、次第に玄米中のカドミウム濃度が上がっています。

↑東に流れる柳瀬川と安中田圃。左に安中土木事務所。川下方向の奥に東邦亜鉛安中製錬所が見える。柳瀬川の水は、製錬所のプロセス水や冷却水に使用されている↑

 10年ほど前の群馬県の環境白書によると、一部の水田で収穫された玄米中のカドミウム濃度が0.3ppmを超えているところが相当数ありました。今日ではさらに増えているものと予想されます。やはり、早急に根本的な対策をとる必要があると思われます。さもないと、食品衛生法や、土壌汚染対策法により、水田として使用する場合、あるいは農地転用の場合であっても、法律による制限を受けることになり、財産的な価値が著しく減じられてしまいます。

 そうした課題を背負いながらも、もくもくと掘り上げ作業に勤しみながら、世間話に話が咲きます。
「農協の肥料はなんであんなに高えんだい。1袋3300円もする」
「経済不況だから、もう直下がってもいい頃だんべ」
「リン鉱石は、外国でしか取れねえ。先だって、アデン湾で自衛艦が護衛した船が日本向けの肥料を積んでいたとテレビでやってたっけ」
「だから、高いんだな。俺は化学肥料を減らして、その分、堆肥にしたよ」
「そのせいか。俺も化成肥料があんまり高えんで、近くの酪農家から堆肥を分けてもらおうとしたら、希望した量がもらえなかった。あちこちから堆肥を入れてくれって、たのまれてるそうだ」

 世の中、不況ですが、農業では、それなりの工夫と循環が自然に行われています。

 上空にはゆったりとパラグライダーも飛ぶのどかな一日。心地よい汗にまみれたひとときでした。

【安中大堰水利組合員】


↑やれやれ、くたびれたー↑
コメント (2)
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