市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

【提言】もういちど群銀と民事裁判して和解条件を見直そう

2009-02-04 02:06:09 | 土地開発公社51億円横領事件
■昨年(平成20年)12月17日(水)午後7時から、安中市民センターで開催された「安中市土地開発公社不祥事件和解10年後の対応について」と題する説明会が開かれ、岡田市長、企画部長、建設部長が登壇して、市民に説明後、質疑応答が有りました。この一部始終は当会のブログでも報告済みです。

 その席上、最後のほうで、建設部長が「今回のこの群銀との話し合いの結果について、広報1月号にはもう間に合わないが、12月19日の(松井田での)市民報告会を踏まえて、2月1日号で詳しく報告をするつもり」という発言がありました。参加した市民は、てっきり、説明会で市民から出された質問と、それらに対する回答についても広報に掲載されるのかと思っていました。

 ところが、今年1月下旬に配布された広報では、次のように報じられました。
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【広報あんなか2月号P6からP7】
安中市土地開発公社不祥事件 和解10年後の対応について
 安中市土地開発公社不祥事件につきましては、市民の皆様に大変なご心配をおかけしましたこと、深くお詫びを申し上げます。
 事件発生から約13年が経過し、また、㈱群馬銀行との民事訴訟における和解が成立してからも、10年が経過いたしました。この和解につきましては、安中市土地開発公社が主債務者として、安中市が連帯保証人として、平成10年12月9日に成立しました。安中市が債務保証を行うなかで、安中市土地開発公社が㈱群馬銀行にたいしまして、平成10年12月25日に4億円を支払い、同様に平成11年から毎年12月25日に2,000万円ずつ支払いを行ってきました。
 和解条項によれば、昨年12月25日を期限といたしまして、平成21年以降10年間の支払い金額、支払い方法を、安中市土地開発公社と安中市および㈱群馬銀行と協議して定めることとなっていることから、平成19年11月から交渉・協議を行ってきました。
 この和解というものは、裁判所の判決に匹敵する、大変重いものであります。しかしながら、和解が成立後、10年が経過することから、この和解条項で定められていることとは別に、市民世論や市議会の意見、また、支払期間が長期にわたることから、これまでの10年で終わりにできないかということも併せて、交渉を行ってきました。
 しかしながら、現状において、安中市土地開発公社は健全経営が行われている状況にあり、安中市の財政も健全な状況であることから、㈱群馬銀行は債権放棄をできないとの回答があったことから、この交渉は成立しませんでした。
 引き続き和解条項に沿った協議を行う中で、今までの10年と同様に毎年12月25日に2,000万円を支払うことで合意されました。
 その経過などをご報告させていただきますので、市民の皆様のご理解を賜りますようお願い申し上げます。
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■これは、12月17日の市民への説明会での冒頭での、市長の棒読み原稿とほぼ同じ内容となっています。

次の記事はタゴ51億円事件について、解説したものです。

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【安中市土地開発公社不祥事件とは】
 安中市土地開発公社元職員による有印公文書偽造、同行使、有印公文書変造、同行使、詐欺にかかる刑事事件で、不正取得に関わる32億3,000万円について起訴されました。平成7年8月21日の初公判を皮切りに計7回の公判が開催され、平成8年4月8日懲役14年の実刑判決があり14日間の控訴期間の終了を待って刑が確定しました。

【安中市土地開発公社不祥事件に関わる民事訴訟とは】
 平成7年10月19日、前橋地方裁判所に㈱群馬銀行を原告として、安中市土地開発公社および安中市を被告とする「貸金・保証債務履行請求」の訴状が提出されました。請求の趣旨は、元金39億9,886万1,000円とこれに対する約定利息の請求でありましたが、元職員から6億1,267万8,575円の返済があり、最終的には元金が33億8,618万2,425円に縮減されました。平成7年12月22日から計21回の口頭弁論が行われ、平成10年12月9日に和解が成立し、この中で9億3,618万2,425円および発生した利息損害金全額相当額の支払いが免除され、㈱群馬銀行に対して、主債務者を安中市土地開発公社、連帯保証人を安中市として、24億5,000万円の債務が確定いたしました。その和解条項は次頁のとおりです。

【和解条項】
一 原告と被告らは、友好的且つ健全な金融取引を通じて、よりよい地域社会づくりの実現に向け努力することを目的とし、本件事案の特殊性及び被告らの財務負担の軽減ひいては住民福祉に配慮した裁判所の和解勧告を尊重し、互譲の精神をもって、以下のとおり和解する。
二 被告安中市土地開発公社は主債務者として、被告安中市は連帯保証人として、原告に対し、連帯して、原告請求にかかる本件借入金元金33億8618万2425円及び本日までに発生した利息損害金全額相当額の支払義務あることを認める。
三 原告は、被告らに対し、本日、前項の債務のうち借入金元金9億3618万2425円及び前項の利息損害金全額相当額の支払いを免除する。
四 被告らは、連帯して、原告に対し、前項の免除後の残債務金24億5000万円を、次のとおり分割して、原告安中支店における群馬銀行安中支店長名義別段預金口座番号○○○○○○○○(注:0185582)に振り込んで支払う。但し、残債務金には利息を付さない。
 1 平成10年12月25日限り金4億円
 2 平成11年から10年間は、毎年12月25日限り金2000万円宛
 3 前号後の10年間の残金支払方法については、原告と被告らが前号の最終支払期日までに、その時の被告らの財務状況並びに一般経済情勢等を勘案のうえ、前号の年間支払額を下回らない範囲で協議して定め、以降も残金支払済みまで同様とする。
五 被告らが前項の1及び2の各分割金の支払いを一回でも1か月以上遅滞したときは、被告らは当然に期限の利益を失い、残額及びこれに対する期限の利益喪失の日の翌日から支払済みまで年14パーセントの割合による損害金を一括して直ちに支払う。
六 被告安中市土地開発公社は、別紙供託金一覧表記載の供託金を取り戻すものとし、原告はこれに異議はない。
七 原告はその余の請求を放棄する。
八 原告と被告らは、本件に関し、本和解条項に定める他には何ら債権債務のないことを相互に確認する。
九 訴訟費用は各自の負担とする。
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■これらも、市民への説明会で配布された資料の焼き直しです。次もそうです。

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【和解後10年目の対応について】
 この和解条項に基づき、平成10年12月25日に4億円、平成11年12月25日から、毎年12月25日に2,000万円ずつ、安中市土地開発公社が㈱群馬銀行に支払いを行ってきましたが、第4項第3号に基づき平成20年12月25日までに、平成21年から10年間の支払い方法を協議して定めることとなっていることから、平成19年11月27日から平成20年3月28日まで、協議を始める前段として3回、㈱群馬銀行を訪問しました。
 平成20年度が始まり、和解条項第4項第3号を基本原則として進めることで、4月9日、4月30日に本格的な話し合いが始まりました。5月1日、6月3日、6月5日には、㈱群馬銀行との話し合いについて、市幹部会議を開催し「市の考え方」、「公社保有資産等」、「交渉内容」について検討、調整を行ってきました。6月23日、8月11日、9月2日、9月3日には、この和解条項で定められていることとは別に、これまでの10年で終わりにできないかということについて、粘り強く話し合いを行ってきましたが、10月7日には、安中市土地開発公社は健全経営が行われている状況にあり、安中市の財政も健全な状況であるなどの理由から、㈱群馬銀行は債権放棄ができないとの回答があったことから、この交渉は成立しませんでした。
 10月8日、市幹部会議を開催し、話し合いの経過を報告しました。
 10月17日、安中市土地開発公社理事会、市政策調整会議を開催し、それぞれの方針を確認いたしました。これからの10年間の債務金の支払い方法は、今までと同様に、12月25日に2,000万円を支払うこととして方向付けが出されたものです。これは平成19年度末の安中市土地開発公社決算の中で、現金および現金同等物の期末残高が、2億5,623万8,037円(資本余を除く)あり、これは安中市土地開発公社が行ってきた公有地取得事業や土地造成事業(団地造成事業や工業団地造成事業など)などにおける利益金の留保資金で、これをもって返済可能額を算出したものです。これを受けて、10月20日に㈱群馬銀行取締役頭取宛に、安中市土地開発公社理事長名で、正式に協議書を送付しました。
 11月4日、市議会に対して今までの話し合いの経過を報告いたしました。
 11月27日、㈱群馬銀行から協議書に対して「残金支払い方法について了解する」との回答があり、和解条項に記載されている協議が整いました。
 12月8日に安中市土地開発公社理事会を開催し、残金支払い方法を議決いたしました。なお、平成10年12月25日に当事者間の事務手続きを定めた合意書が取り交わされていることから、この合意書に沿った形で事務手続きを進め、12月26日に「証」(合意書に沿った様式)を㈱群馬銀行に提出しました。
 以上が、和解10年後の対応における経過となります。引き続き、安中市土地開発公社として経営努力を行い、市民の皆様には迷惑をかけないように努めていきたいと考えていますので、ご理解賜りますようお願いいたします。
 和解成立から話し合いなどの経緯については、別表をご参照ください。

【群馬銀行との民事訴訟に関わる和解以降の経緯】
年月日       / 内  容
平成10年12月 9日  和解成立
平成10年12月25日  合意書を取り交わす
平成10年12月25日  債務金の一部4億円支払い
平成11年12月25日  債務金2千万円支払い(以後、毎年12月25日債務金の支払い)
平成19年11月27日  群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年 1月 7日  群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年 3月28日  群馬銀行訪問(本店応接室)
平成20年 4月 9日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所市長室)
平成20年 4月23日  今後の取り組みについて、顧問弁護士に相談
平成20年 4月30日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年 5月 1日  「市の考え方について」市幹部会議を開催
平成20年 6月 3日  「公社保有財産等について」市幹部会議を開催
平成20年 6月 5日  「群馬銀行との交渉について」市幹部会議を開催
平成20年 6月23日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年 8月11日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所応接室)
平成20年 8月12日  公社監事に群馬銀行の考え方を説明し、見解を伺う
平成20年 9月 2日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年 9月 3日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(市役所旧助役室)
平成20年10月 7日  安中市土地開発公社、群馬銀行話し合い(群銀本店応接室)
平成20年10月 8日  「10月7日の話し合いの結果について」市幹部会議を開催
平成20年10月17日  安中市土地開発公社理事会、政策調整会議を開催
平成20年10月20日  安中市土地開発公社理事長名で株式会社群馬銀行取締役頭取宛「和解に関する協議書を提出
平成20年11月 4日  経過等を市議会全員協議会に報告
平成20年11月27日  群馬銀行から「和解に開する協議書」に対する回答
平成20年12月 8日  安中市土地開発公社理事会を開催
平成20年12月17日  「和解10年後の対応について」市民報告会を開催(安中市文化センター)
平成20年12月19日  「和解10年後の対応について」市民報告会を開催(松井田文化会館)
平成20年12月25日  和解後10年間とした最後の債務金2千万円支払い
平成20年12月26日  合意書に関わる「証」を群馬銀行に提出
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■これをみると、岡田市長は「群馬銀行との交渉は成立しませんでした」と言っていますが、とうてい「交渉」と呼べるシロモノではありません。初めから、群銀の言うなりになっており、言い訳として「和解は判決に匹敵する大変重いものです」などとして、群銀の軍門に下ったことを棚に上げて、和解条項のせいにして、自身の戦略のなさを露呈しています。

 そして、市民が最も驚き呆れたのが最後の一節です。

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【元職員に対する債権回収について】
 民事訴訟の和解成立を受け、安中市土地開発公社には、24億5,000万円の債務が確定し、その中の正規借入金額は2億2,690万8,000円でありますので、その残額である22億2,309万2,000円が、損害となりました。そのため安中市土地開発公社では、元職員に対して損害賠償請求を提訴し、平成11年5月31日判決、同6月18日に22億2,309万2,000円とこれに対する民事法定利率である年5分の割合による遅延損害金の支払いを認める判決が確定しています。これまでに、市税還付金、土地および家屋の強制競売による配当金として、1,488万500円を回収し、現在残っている損害賠償請求権は22億821万1,500円となっています。今後におきましても、たとえわずかな金額でも、回収できるように努力していきたいと考えています。
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 10年間で、タゴ事件で被った24億5000万円の債務のうち、わずか「1488万500円を回収した」だけなのに、臆面も無く「今後におきましても、たとえわずかな金額でも回収できるように努力していきたいと考えています」と、よくもまあ言えたものです。

■岡田市長が、本気で損害を回収するなら、「努力していきたいと考える」のではなく、直ちに次のアクションを取るべきです。

 まずタゴの配偶者に渡った1億5千万円を、しっかりと回収しなければなりません。タゴの配偶者は、裁判官に「私の責任というものが大きかった。やはりこの事件は私にも責任があると思います。離婚については全く考えておりません」と約束しているからです。しかし、その後一体幾ら返したと言うのでしょうか。

 タゴの実弟と実母が経営する運送会社に対しても、債権回収を求めなければなりません。とくに、タゴの実弟は、学習塾経営の政治家らと組み、株式会社芙蓉という不動産業会社を設立していたからです。タゴは、安中市の土地情報を一手に握っていましたから、その恩恵に預かった輩達の筆頭がこの一味だったかもしれません。この運送会社は、昨年8月3日に所有するタンクローリーが首都高で横転炎上し、2ヶ月以上にわたり、首都の大動脈を梗塞し、社会経済に大打撃を与え、首都高から約45億円の損害補償請求を受けようとしていますが、平然と営業しています。岡田市長は、首都高に先を越されないうちに、早くタゴによって受けた損害を回収するよう、タゴを弁護した高崎市の弁護士らに頼むなど、迅速に行動を起こすべきです。

■当時の市長は小川勝寿氏(故人)でしたが、ゴルフを通じて、タゴと親密な関係にありました。タゴも市長の事を「おやじ」と呼び、果たして毎週のようにプレーしていたゴルフ料金を一体誰が払ったのか、事件発覚直後、市民はそのことに関心を持ちましたが、市長は一切しゃべらずに、先年、この世を去りました。小川元市長は、当時、高崎駅の付近に土地を所有していました。また、ゴルフ場開発で東京の高田馬場のリゾート開発会社との関係についての情報を当会も入手し調査したことがあります。県警も調べていたようですが、なぜか途中で尻切れトンボになってしまいました。得体の知れない力が働いたのかもしれませんが、岡田市長なら、その気になれば、関係筋に働きかけてバリアーフリーにできるはずです。

 当時の歴代の安中市土地開発公社の上司である市の部長クラスや上司、同僚も、いろいろと恩恵を受けていました。当時の部長や上司らは、事件発覚から10年以上を経過しており、中には既に高額の退職金をもらったり、退職後も安中市の公営施設の施設長などで、さらに甘い汁にありついているものもいます。「泥棒に追い銭」という市民の声を知ってか知らずか、悠々自適の年金生活を送っている人が多数いらっしゃいます。とりわけ、タゴから横領金の一部を分けてもらった部長の中には、そのカネで近くの有名温泉地に妾を囲っていた猛者もおります。

 同僚にしても、飲み屋で勘定を支払う段になり、酒の飲めないタゴを呼び出して、代わりに支払をさせていた輩たちがいたことが、当時、市民からの通報で判明したこともあります。絵画や骨董品などをもらっていた市職員も相当います。

 このほか、タゴを恐喝して、タゴから総額9000万円近いカネを分捕っていた夫婦や、タゴに骨董品の仲介をしていた甘楽信用金庫(現・しののめ信用金庫)の安中支店勤務だったジャン友、そして800万円のインプラント治療を施した高崎の歯医者などなど…、巨額のカネに触れた方々にも、きちんと説明責任を果たしていただく必要があります。

 そして、何よりも、公社設立直後から、市会議員として公社経営に携わった岡田市長に、この事件の真相に関する説明責任があります。公社の監事として、あるいは理事として、消えた剰余金や、タゴの長期配置の人事への関与の有無、そして、事件発覚から逮捕までのタゴの動静などについて、最もよく知る立場にあった現市長としての責務を果たすことが求められているのではないでしょうか。

■広報あんなか2月号では、群馬銀行との交渉経過ばかりに貴重なページ割いています。しかし、タゴ事件について、市民は行政からロクな説明を未だに受けていないのです。当会では、独自に膨大な告発情報や捜査情報を入手して分析してきた結果を、10年間に渡り会員に皆様には安中市民通信「まど」を介してお伝えしてきました。しかし、当事者の安中市は、未だに、事件の真相について緘口令を敷いており、タゴ事件の関係者は一様に口を噤んでいます。今回、せっかく建設部長が市民説明会で説明責任について触れたにもかかわらず、今回の広報あんなか2月号には、「タゴ事件では、いくら公金が横領されて、そのカネを何に使って、使途の不明なカネはいくらなのか、責任の所在はどこにあるのか」が全く書いてありません。

 岡田市長の作戦としては、公約の任期3期12年間は、これでしのげると考えているのでしょう。また、タゴの恩恵に預かった市職員らも、あと10年すれば、全員退職して、名実共に時効と、事件の風化で逃げ切れると踏んでいるのかもしれません。

 そうはさせじと、当会は、今後とも、タゴ事件の真相をいろいろな手段で伝えていきますが、やはり、当事者を代表して、岡田義弘市長が率先垂範して、情報公開を実践することが先決です。

■また、群馬銀行は、安中市に対して、「現状において、安中市土地開発公社は健全経営が行われている状況にあり、安中市の財政も健全な状況であることから、㈱群馬銀行は債権放棄をできない」と回答したことになっていますが、これが本当であれば、とんでもない理屈です。つまり、群銀は、「安中市が債務超過に陥り、財政再建団体に成り下がれば、債権放棄をする」というのです。これほど屈辱的な暴言を浴びせられても、おとなしく群馬銀行のいうことに従った岡田市長の見識が問われなければなりません。

 群馬銀行は、一見して偽造書類だとわかる書類をタゴから受け取って、ろくに審査もせず、逆にタゴにちやほやして、史上最大級の横領の片棒を担いだわけです。

たしかにタゴ事件の黒幕が首長になって、その首長が、おなじ穴のムジナの群銀と交渉(?)しているのですから、こうした結果が出るのは、むべなるかなです。

 岡田市長がいくら群銀の頭取に会いに行っても、脛にキズがあるのでは、群銀に古傷を見透かされてしまいます。タゴ事件のしがらみにとらわれない人物が、あらためて、群銀と交渉しないかぎり、安中市が金融機関に牛耳られるという屈辱的な状況は好転しません。

 市民の間には、次の市長選挙で「群銀との和解条項を反故にする」ことを公約にした候補者が立つべきだ、という声もあります。和解を反故にして支払い拒否すれば、裁判になると思いますが、現在の植民地行政から脱却するには、もう一度、群銀との民事裁判をやり直した方が良い、というものです。これは一考に価するとおもいます。

 その理由としては、和解に至った経過では、銀行側の貸出し責任がそれほど重く問われていなかったことです。貸出側にも、融資の厳密な審査を行っていれば、被害は当然防げたはずでした。相手が自治体であろうが、タゴがでっち上げた計画内容の精査、確認もせずに安易に何十億も融資した金融機関側の責任は免れ得ません。過失割合から考えると、全額ゼロにするのは困難かも知れませんが、金額を減らした判決が得られる可能性があります。そうすれば、タゴ事件の責任をとらずに、のうのうと事件の事を忘れて日々過ごしている輩たちも、弁済する気になるかもしれません。

 それにはなによりも、もう一度、しがらみの無い立場で、新市長がリーダーシップを取って、群銀の頭取と再度の和解を前提に交渉し、当時の行政記録や金融記録、そして刑事記録を全て法廷に出し合って、タゴ事件の真相と、責任の所在を突き止めていけば、103年ローンというひ孫の代まで続きかねない重いツケを残すことはないはずです。

 過去の和解交渉では、安中市側にはスネに傷を持つ御仁が多かったので、裁判にも手加減が加えられた感じがします。今日では、破綻する金融機関も多く、貸出し責任が当時より重く見られるようになっています。

 当会では、この提案を積極的にとらえて、どうしたら実現できるかを今後検討していきたいと思います。合わせて、安中市土地開発公社(TEL382-1111)に対しても、直ちに公開質問状などで質してゆく考えです。

【市政をひらく安中市民の会・事務局】

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行政と業者の癒着例・サイボウごみ処分場その8(無法地帯)

2009-02-04 00:39:42 | 全国のサンパイ業者が注目!

■こうして、平成14年10月23日に最初の告発状を警察に提出してから、1年半後の平成16年5月12日に前橋地裁高崎支部で第1回公判が開かれ、即日結審し、被告の測量会社社長だけが刑事責任を取らされたのでした。といっても、執行猶予付きだったので、結局、具体的に誰も罰せられることなく、処分場だけが粛々と作られていったのでした。公判の内容は、次の調書を参照下さい。
**********
【公判調書】
平成16年(わ)第116号
第1回公判調書(手続)
被告人         野中 渡(出頭)
被告事件        有印私文書偽造・同行使
公判をした年月日    平成16年5月12日
公判をした裁判所    前橋地方裁判所高崎支部
裁判官         大島哲雄
裁判官書記官      黒澤美和
検察官         岡本 章
出頭した弁護人     高橋 勉(注:有名な高橋三兄弟法律事務所所属)
人定質問
    氏名      野中 渡
    生年月日、本籍、住居及び職業は起訴状記載のとおり
被告事件に対する陳述
    被告人     公訴事実はそのとおり間違いありません。
    弁護人     被告人と同様です。
検察官の冒頭陳述
            別紙冒頭陳述要旨記載のとおり
証拠調べ等
            証拠等関係カード記載のとおり
検察官の意見
            別紙論告要旨記載のとおり
被告人の最終陳述
            特にありません。
裁判官
            判決宣告
平成16年5月12日
 前橋地方裁判所高崎支部 裁判所書記官

【論告要旨】
有印公文書偽造・同行使 野中 渡
第1 事実関係
 本件公訴事実は、当公判廷において取調べ済みの関係各証拠によりその証明は十分である。
第2 情状関係
 本件は、被告人が、測量士としての業務を実施するに当たり、境界確定に同意していない隣地所有者がいたにもかかわらず、これらの者が同意したように偽って早期に境界を確定させようと企て、隣接所有者作成名義の書類を偽造した上、これを市役所に提出して行使した事案である。
 被告人は、測量士の資格を有し、測量会社を経営し、専門的立場で本件申請手続を受任していたのであるから、法令及び信義誠実の原則に従って業務を遂行すべき責任を負っていた。
 しかるに、被告人は本件において、実際には境界確定に同意していない住民が同意した旨の虚偽の事実を申告して境界確定を申請すべく、偽造文書を作成した市役所に提出したのであり、かかる行為は、測量士制度に対する社会の信用を損なうおそれを有するとともに、行政手続に瑕疵を生じさせるおそれを有する行為と言える。
 本件犯行は、測量士の行為として言語道断であり、その刑事責任は決して軽視できない。
第3 求刑
 以上諸般の事情を考慮し、相当法条適用の上、被告人を■■■■に処するのを相当と思料する。
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■サイボウの文書偽造事件は、住民が何も知らないうちに、行政と特定の業者が勝手に書類を偽造して、手続きを進めてしまい、気が付いたときは、工事が始まっていたという典型的な事例であり、このほかにも、類似の事例がたくさんあります。

 今回は、たまたま行政の事務事業に不信感を抱いた住民から情報提供がなされたため、立件することができました。ところが、業者が行政とグルになっているため、偽造行為が犯罪として立件されても、提出した偽造書類は結果的に有効になるという、安中市独自の行政手続方法が浮き彫りになったわけです。

 51億円事件を起こした安中市役所の事務事業がいかにいい加減か、今回の偽造事件の被害者の証言を見てみましょう。

■「あれは確か平成14年の4月か5月ころの日曜日のことだったと思いますが、私が、この日会社が休みであったことからいつものように、空き家となった実家の草むしりに出掛けたのです。
 すると、家屋の西側にある畑に、今まではそこに無かった杭が数本打たれていたのです。
 私は、自分の土地に断りもなく勝手に意味の分からない杭が打たれていたので、その場でこれを抜いてしまいました。
 その杭を見ると長さ30センチメートルくらい、太さ5センチ角くらい、下半分が黒色で、上半分が赤色のもので、特に何もかいてありませんでした。
 私は、母が住んでいた大谷地区に、サイボウという会社が廃棄物の処理施設の設置計画を立てていることを知っており、この関係で大型車両の搬入用道路が実家の近くを通るという話が挙がっていたことも知っていましたので、もしかしたら、安中市か業者がその工事を行うために打ったものではないかと思い、その年の5月の連休明けに安中市役所土木課に問い合わせに行きました。
 そこで私は、市の職員に杭のことについて尋ねると、職員は『杭に安中市と書かれていなければ市が設置したものではなく、測量のために業者が打ったものでしょう。』と説明しながら、私に実家の土地の境界を確認したという境界確定書を見せたのです。
 この境界確定書を見ると、一枚目に、市長と申請者と土地の所有者が、公共財産との境界の協議を行い合意した、等と書かれており、さらに、各自が署名押印のうえ提出します、というような文言が書かれていたのです。
 さらにそこには、この協議をした日付として、立会年月日平成10年8月27日、と書いてありました。
 そして、2枚目には土地の所有者の名前と印鑑がたくさん書いてあり、その中に私の母の名前A子と、その横に○○という三文判のような印鑑が押されているのが見えたのです。
 私はすぐに、あれっ、どうして立会日には亡くなっていたはずの母の名前があるのだろう。字も、母の字ではない。と不思議に思い、市の職員に聞いて見たのですが、職員は資料を下げてしまい『市の方では分かりません。』とのことだったのです。
 確かにこの立会日の時点では、実家の土地の名義はまだ私の母A子のままだったのですが、字も違うし母は既に亡くなっていたので、誰かが勝手に実家の土地の境界を確認して、母の名前を書いて印鑑を押したんだな、と思いました。」

■この情報を入手した当会は、さっそく告発手続に踏み切ったわけですが、既に報告したとおり最初から警察は、なぜかこの事件に及び腰でした。告発状を出す場合、当会は通常は、前橋地方検察庁、群馬県警捜査二課、安中警察署の3箇所に提出しています。なぜなら、1箇所だけだと、すぐに無視されてしまうためです。

 殆どの場合、警察は告発状を受理するのを非常にためらうことが多いようです。以前は相談にいくだけでも「民事不介入」を理由に門前払いでしたが、桶川ストーカー殺人事件のあとは、かなり対応が改善されたかのように報道されていますが、実態はあまり変わっていないように思います。
 当会のメンバーの告発に際しても、警察は当初「正式に受理はできないが、参考のためにコピーだけ取らせてほしい」と言いました。情報はいただくが、捜査に着手するかどうかは、警察や検察幹部に聞かないと決められない、という姿勢です。したがって、まず、警察に告発状を受理してもらうまでが、一苦労なのです。

■今回は、たまたま、偽造書類のコピーが、情報公開制度を通じて入手できたため、警察はこの事件を無視することができませんでした。ところが、告発内容と証拠書類を精査した警察は、しばらくしてから、「検察の意向だ」と前置きして、「偽造されたのは文書ではなく、印影だけなので、時効により捜査できないと言ってきました。よほど、当会の告発状を受け取らないように、上層部から指示が出ていたのでしょう。

 当会は今回の事件について「証拠により、申請書類は明らかに偽造だから、その書類を使って行なわれた手続の結果も無効だ」と考えました。ところが、司直(警察+検察、さらに裁判所を含む場合もある)は、そのように判断しませんでした。

 行政と業者の癒着関係に、地元の政治家らが絡むと、余計、ルールが捻じ曲げられる傾向が強くなります。サイボウの処分場の場合、これまでにサイボウは、選挙で3000万円、周辺住民62戸への金銭配布で約2000万円、大谷の公民館新築費用やゲートボール場整備で1500万円、反対住民への切る崩し工作で過去15年間に数千万円使ったと思われます。また、その後、サイボウの後ろ盾になった㈱イー・ステージも、記述のとおり2000万円プラスアルファを工作費として費消しています。

 サイボウの処分場計画を当初から推進した中嶋延里氏と同じく地元の白石定男氏は、サイボウ社長の結城文夫氏と同様に、処分場の完成を見ずに、平成17年~18年にかけて相次いで亡くなりました。当時、地元の情報では、ふたりは農協に1億円前後の借金があり、それがネックで進入道路の開通が遅れたと言われていました。地元農業の振興を責務とする農協は、実は、地元の農業振興地域に廃棄物を運ぶための道路建設を推進する人物らに、融資をしていたことになります。また、JA碓氷安中の前組合長は、サイボウ処分場への搬入道路建設に際して、安中市の中島市長(当時)宛に同意書を提出していました。地元の中山間地の農地を維持して、固定資産税を払っている住民に対して、これほど酷い仕打ちをするJA碓氷安中とは一体何でしょうか。

■ともかく、住民が勇気を奮い起こして、廃棄物処分場計画を食い止めようと、サイボウの代表者を告発しましたが、結局、得体の知れない力により、弾かれてしまいました。ところが、サイボウ処分場への搬入道路に絡む境界確定手続きに関わる文書偽造には、群馬県も関与したことがわかりました。県道前橋安中富岡線との交差点の部分で、サイボウが文書偽造をしていたことが、その直後に発覚したのです。なぜ警察は、最初の捜査でそのことを調べなかったのか、また、発覚後、再び当会が告発しようとして、今度は受理さえしなかったのか。別途、機会を見て、そのことを報告します。

【岩野谷の水と緑を守る会】

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