田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

007 スペクター(Spectre)

2015年12月18日 07時14分39秒 | 日記

 

 ダニエル・クレイグが4度目のジェームズ・ボンド役を演じる「007」シリーズ第24作。前作「007 スカイフォール」に続きサム・メンデス監督がメガホンをとり、レイフ・ファインズ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリスら共演陣も続投。新たなキャストとして、ボンドガールとなるモニカ・ベルッチ&レア・セドゥー、「SHERLOCK シャーロック」のアンドリュー・スコット、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のデビッド・バウティスタ、そしてオスカー俳優のクリストフ・ワルツらが参加。「スカイフォール」で焼け残った写真を受け取ったボンドは、そこに隠された謎を追って単身メキシコ、ローマと渡っていく。その過程で悪名高い犯罪者の美しい未亡人ルキア・スキアラと出会ったボンドは、悪の組織スペクターの存在を突き止めるが……。(映画.comより)

 

 

 

 なにげに盛りだくさんな内容でしたね。それだけにボンド以外の人物造形が少しおろそかになったかな、という気がします。例えば「最年長のボンドガール」。ずっとそういう触れ込みだったから期待していたのですが、出番は限られていましたね。もう少し活躍して欲しかった。

若い方のボンドガールも、とてもミステリアスできれいなんですが、「ミッション・インポッシブル」や「ミッドナイト・イン・パリ」の彼女の方が魅力的だったかな、とも思います。その存在自体が回りくどい。悪の組織の一員だった彼女の父親も、すべてをバラすつもりなら、ボンドに直接会っているわけだから暗号めいたことを言って娘を経由するような手を使わずに、もっとダイレクトに伝えれば話は早かったはず(と思う)。

普通の2Dで見たからか、ギネス級の爆発も「ふぅぅぅん」って感じだったし、ボンド映画だからっていう色眼鏡はあるとしても、もはやどこに感動するべきなのかがわからない感じがしました。いや、それは私の感性が下がっているだけかもしれません。

なにより、「スペクター」の秘密が、ボンドを巻きこんでいるとは言え「ロード・トゥ・パーディション」や「グラディエーター」など、枚挙にいとまがないほどありきたりな理由だったことがショックでした。「今更そこか」みたいな。

私が醒めているだけかもしれませんが、役者陣が良かっただけにちょっと残念な気がしました。クリストフ・ヴァルツは相変わらずの存在感。Qも素敵でラブリー。彼はジェームズ・ボンドが好きなのかな。マネーペニーの「友達」がすごい有名俳優のカメオでベッドからチラっと顔を出す、な~んて演出があったら楽しかったかも。アンドリュー・スコットも小物感ハンパなくてうまいと思いました。

電光石火の早業で女に手を出すボンドも渋くてカッコよかったけれど、ダニエルの表情が硬くて無理してる感じが少ししました。次のボンドは、本当のところ誰なのかなぁ。ダニエルはもう一作品出てくれるのかな。

ただ派手なだけではなく、シリアスな傾向に打って出たところはよかったと思います。次をどんな感じにつなげるのか、興味津々です。

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パリ3区の遺産相続人(My Old Lady)

2015年12月14日 07時16分04秒 | 日記

 パリの旧市街マレ地区。疎遠だった父を亡くしたマティアス・ゴールド(ケヴィン・クライン)は、相続した遺産のアパルトマンを調べるためにニューヨークからやって来る。離婚3回、子どもはなく、持ち家を処分して借金だけが残った彼にとって、負け犬人生をリセットするチャンスだった。部屋数が多く、庭付きのアパルトマンは高く売れそうだと期待するが、誰もいないはずのそこには、英国生まれの老婦人マティルド・ジラール(マギー・スミス)が住んでいた。驚いたことに、フランス伝統の不動産売買制度“ヴィアジェ”によって、元の所有者であるマティルドが亡くなるまで売却できない上、毎月2,400ユーロを年金のように支払い続けなければならないという。頭を抱えるマティアスだったが、ニューヨークに帰る金もなく、マティルドから部屋を借りることに。(moviewalkerより)

 

 

 

 こう言う制度がフランスにあるってことを初めて知りました。文化の違いだとは思うのですが、ケビン・クライン同様、「人の命で賭けをするなんて」とも思います。

映画は、「人生ボロボロな男」や「ヴィアジェ」などという始まりに比べ、お話はどんどん複雑になってゆき、しまいには「それ、あかんのちゃう?」と思うほどの展開を見せます。なんなんでしょうねぇ。この出演者とこのアパルトマンに、この話は重すぎるんじゃないか、と思いました。

さて、いつも自分と母をほったらかしにしていた父親が死に、彼は唯一息子にパリのアパルトマンを残しました。これを売っていくばくかのお金を手にしたら、人生立て直せるかもしれないと、ニューヨークからパリへとやってきた冴えない男ケビン・クライン。パリ郊外の庭付き一戸建て。高く売れるはずのアパルトマンには、なぜか住民(マギー・スミス)が。

フランスの「ヴィアジェ」とは、こうです。例えば、まともに買えば高価で手が出ない様な物件があったとします。しかし、そこに人が住んだ状態のままお安く買い取り、住人には毎月いくばくかの家賃(?)を支払い続けます。不動産の所有権は買った人間に移り、住んでいる人は生きている限りそのまま住むことができます。住民が亡くなると当時にそのアパルトマンは買い手のものとなり、あとは自由に使うことができます。

しかしながら、予測できないのは住人の寿命です。実際、80歳や90歳だからと安易に買ったものの、老夫人がどんどん長生きして100歳を超え、買った人の方が先に死んだという事例もあるそうです。もちろん、逆に半年ほどで亡くなってしまい、とてもお安く住居を手に入れたという例もあるそうですから、これはまさにバクチですね。日本の「担保」のように、上限があるものではないですからね。フランス政府は、不動産取引の活性化と高齢者対策の双方で推進したようです。確かに、売ったほうにとっては、住まいと生活費の不安がないまま死ぬまで暮らせるのですから、万全の高齢者対策といえるのかもしれません。

ともかく、あてが違ったケビン・クラインは途方に暮れ、彼女たち(実際マギー・スミスは娘のクリスティン・スコット・トーマスと同居していた)に黙って家具や調度品を売りさばいたりしながら、こっそりマギーの主治医に健康状態をうかがいに行ったりも(笑)。しかしながら、彼女は健康そのもの、「あなたの方が先に死ぬわよ」と主治医に言われて返す言葉もありません。

またこの娘とやらも、すごくしっかりしていてまぁきついことこの上ない。フランス女性だから仕方のないところはあるのでしょうが。なんで所有者がこんなボロカスに言われなあかん、と慣れない私は少しむっとしたりもしました。

しかし、すべてに理由があったのです。なぜケビンの父親はこのアパルトマンを残したのか。そしてここにどうして老夫人が住んでいたのか。すべてが明らかになる過程は壮絶です。ちょっと話練りすぎでは?と思うくらい。

でも出演者たちはさすがの名演でした。小さなフランス人(不動産屋さん)のドミニク・ピノンも味のある存在感。バックは花の都(死語?)パリ。目には楽しい映画でした。疲れていない時にどうぞ。

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ハッピーエンドの選び方(The Farewell Party)

2015年12月13日 17時01分49秒 | 日記

 

 人生の最期の選び方というテーマをユーモラスに描き、第71回ベネチア国際映画祭で観客賞を受賞したイスラエル映画。老人ホームに暮らすヨヘスケルの趣味は、みんなの生活を少しだけ楽にするユニークなアイデアの発明。望まぬ延命治療に苦しむ親友からの依頼で作った、自らスイッチを押して苦しまずに最期を迎える装置が評判を呼び、安楽死を望む人からの依頼が殺到する。そんな中、愛する妻レバーナに認知症の兆候があらわれ、ヨヘスケル自身が、最愛の妻との死をどう迎えるかという現実と向き合うこととなる。(映画.comより)

 

 

 

 ここに来てイスラエル映画。原題、書けません(笑)。でも、本当に同じような問題は、国を問わず存在するのですね。ただ、ここに登場する老人ホームは、とても快適に見えました。もちろん映画で見ただけですし、今回はそこが争点ではないので、現実とは違うかもしれません。

ともかく、泣いて笑って、本当によく出来た映画でした。取り扱う問題は非常にシリアスなのですが、随所にユーモアと笑いを織り込み、爆笑すること請け合いです。うまいもんです。

誰しも苦しんで生きていたくない。また、体は丈夫でも、相手のことがわからないくらいになってまで生きていたくない。みんなそうだと思うのですが・・・。

永遠のテーマだとは思います。今の日本でも、高齢化が深刻で(しかもこれからどんどん増える)毎日暗い話題ばかり。少し前まで「長寿はめでたい」と言われていたのに、これほど問題点ばかりをあげつらわれたのでは、これから歳を重ねるものは生きていられない。まだ他人事に感じられる若者はいいけれど、私のようにこれから老人になる人はどうすればいいのか。ちょうど第二次ベビーブームに近い年代の私は、「右を向いても左を向いても老人」なんて時代に差し掛かり、若者に「またババアが歩いてる」とかって石を投げられるんじゃないかと怯えるわけです。

このまま先細りするのは目に見えている。爆発的な老齢人口が社会の足を引っ張るのでしょう。社会のお荷物になりたくない。でも、歳は取る。

実際のところ、大笑いしながらも、見終わった後は心にずっしりと来るものがありました。「現実的にどうしよう」って。でもなぁ・・・こんな装置が市販されていても困ると思うしなぁ。

ま、ともかく、一元的に論じられる話ではないのですが、映画は大変よくできていました。お勧めです。

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ローマに消えた男(Viva la liberta)

2015年12月07日 07時49分56秒 | 日記

 「グレート・ビューティー 追憶のローマ」などで知られるイタリアの名優トニ・セルビッロが、失踪した政治家とその替え玉になった双子の兄弟を1人2役で演じたヒューマンドラマ。イタリア統一選挙を目前に控えたある日、支持率が低迷しているイタリア最大の野党の党首エンリコが、突如として行方をくらませた。困り果てたエンリコの部下アンドレアは、エンリコの双子の兄弟ジョバンニを替え玉に起用。するとジョバンニは、ウィットとユーモアに富んだ言葉で瞬く間に世間を魅了していく。一方、エンリコはパリで暮らす元恋人ダニエルの家に身を寄せていた。共演に「フォンターナ広場 イタリアの陰謀」のバレリオ・マスタンドレア、「ふたりの5つの分かれ路」のバレリア・ブルーニ・テデスキ。「そして、デブノーの森へ」のロベルト・アンドが監督を務めた。「イタリア映画祭2014」では「自由に乾杯」のタイトルで上映されている。(映画.comより)

 

 

 

 粋な映画でしたね~。物語の筋は、よくある話なんです。人生と世の中の世知辛さに疲れた大物政治家が一時失踪。党ブレーンは、双子の兄弟を使って(なんでそんなに都合よく双子なんだ!)その場しのぎの窮策を打つが、バックグラウンドが全く違い社会的には成功していないように見える片割れが、実は人間味に溢れる人物だったため、事態は思わぬ方向へと転がってゆく・・・ね、聞いたことあるでしょう?絶対に一度や二度は映画で見たようなお話。

でも、その「よくある話」がおしゃれに仕上がっているんですね。不思議ですね、何が違うんでしょうね。主演俳優のうまさ?もちろん名優でした。でも、個人的には、過去の女性の話を絡めたのが成功のもとだったと思うのです。久しぶりに見たヴァレリア・ブルーニ・テデスキの素敵だったことったら!!もうどうしましょう、って感じです。50歳を過ぎてのあれほどの色っぽさ!丁稚奉公に行きたいくらいです(笑)。うらやましい!

人生における社会的な成功は、得てして苦痛をもたらし追い詰められるもの。それは、別に成功してなくても、生きてゆくと言うことはそういうものなのかもしれません。かの「ローマ法王・・・」だって数日逃げ出したのですから(笑)。そして同じ理屈で、気ままに生きている人間だからと言って、みなが人間味あふれる素晴らしい人だとも限りません。最後は観客をもけむに巻く不思議なオチで、なにやら置いて行かれたような感覚でした。

ヒューマニズム溢れる作品でしたが、多分それがメインではなく、私は男女の恋物語がメインだったと思いますね。「愛していたわ、どちらも。」「私は、あなたの右目と、彼の左目を愛したのよ」・・・フランス女性のエスプリ溢れる会話には感嘆するばかりです。アジア人もなにげにおしゃれでした。

大人の映画でしたね。

 

 

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ピッチ・パーフェクト(Pitch Perfect)

2015年12月01日 07時18分25秒 | 日記

 個性豊かなガールズアカペラ部のメンバーたちが織りなす友情やプライド、成長を描いたガールズムービー。音楽好きでDJを目指しているベッカは、親の勧めで嫌々ながらも入学した大学で、ひょんなことからガールズアカペラ部に入部することに。個性は豊かだがバラバラなチームメイトたちとともに大会を目指すことになったベッカは、時に周囲と衝突しながらも次第に友情を育ませていく。ブロードウェイミュージカルで舞台を踏んだ経験をもち、「イントゥ・ザ・ウッズ」「ラスト5イヤーズ」といったミュージカル映画への出演も続くアナ・ケンドリックが主人公ベッカ役で主演。ケンドリックが劇中でカップを楽器代わりに演奏し、歌うシーンが評判を呼び、ファン動画が作られるなど全米で人気を博した。共演に「ナイト ミュージアム エジプト王の秘密」のレベル・ウィルソンほか。(映画.comより)

 

 

 

 この映画って、本国では2012年の作品なんですってね。日本に来るのが遅い!個人的に、実はこんなお話が大好きで、ついでに言うと歌を歌うのも実は好き。家庭を持ってしまうとカラオケなんてついぞ行かないですけど。こんな映画を見ると、大学生の頃に「アカペラ部」な~んてのに出会ってたら、人生変わっただろうな、なんて思います。

主人公は”地味め”アナ・ケンドリックス。父親の勧めである大学へ入ったけれど、本当は自分でミキシングができるDJを目指していて、有名人の手伝いから始めたりしています。アカペラなんて本当は興味なかったのだけれど、いろんなクラブ勧誘回るうちに成り行きで入部することに。

一方、この大学のアカペラ部は、過去優勝経験もある有名クラブ。でも今は「過去の栄光」となったクラブの再起を図っているところ。部員不足に悩む彼女たちは地味めアナを筆頭に、おデブちゃんやアジア系など、あらゆる女の子を集めて奮起しようとしています。

そこへ女子独特の葛藤や、過去の伝統を必死で守ろうとするリーダーと革新派の新部員との確執など、いろんな要素を盛り込み、王道に仕上げた作品。もちろん、男の子もちょっと(?)絡みます。でもメインのお話には食い込んで来ないかな。

ちょっとお下品な描写もあるし(おもいっきりゲロ吐いたりする)、主人公アナに近づく男の子も積極的でアナにどんなに邪険にされてもめげないとか、理想的過ぎる(笑)。その辺は安易に作られてあるかな、という気もしたけれど、まぁ及第点な作品かな。ただ、個人的にはもっとアカペラの盛り上がりが見たかった。ぐぐっと感動させるくらいの歌声とか、もちろんドラマ性も大事だけれど、「これが素人か。さすが!」というほどのアカペラが聞きたかった。なんかね、歌の場面が少なかったのが残念です。

この作品、すでに「2」が来ていて、都会では終わったけれど今和歌山で上映中。少ないと感じたアカペラの部分も、大画面で見たら満足な出来だったのかしら。家のテレビで見たから何とも言えないなぁ。ちょっと思案中。

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