田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

恋する輪廻オーム・シャンティ・オーム(Om Shanti Om)

2014年08月11日 08時10分24秒 | 日記

 ボリウッドを代表する俳優シャー・ルク・カーンが主演を務め、インドで大ヒットを記録したミュージカル・エンタテインメント。1970年代、脇役俳優のオームは人気女優シャンティに恋をするが、シャンティは売れっ子プロデューサーのムケーシュと密かに結婚・妊娠していた。しかし、ムケーシュは、妻の妊娠を喜ぶどころか疎ましく思っており、ある晩、撮影中の映画のセットにシャンティを呼び出し、罠にはめて殺害。シャンティを助けようと駆け付たオームも、映画スターのカプール夫妻の車にはねられてしまい、搬送先の病院で息を引き取る。オームの死亡と同じ時、同じ病院でカプール夫人は男児を出産。その男の子はオームと名付けられて育ち、30年後、スター俳優として活躍するが……。(映画.comより)

 

 

出ました!元祖インド映画!3時間の長丁場、歌あり踊りあり、最近はおしゃれにアメリカナイズされたインド映画も多い中、こう言うのを見るとホッとしますねぇ(って、年寄りくさい?)。

主演は我らがスター、シャー・ルーク・カーン。彼の映画もたくさん見て来ましたね。さすがに歳を取りました。ラジニカーントほどではないけれど、こんな新人のピチピチギャルのお相手には少々見劣りするような・・・。

しかし、ラジニカーントでも、いまだに自分より若い母親役の女優と共に(笑)、青年の役をやるわけですから、ルーク・カーンにできないわけはありません。ラジューのように出世はしなくとも、人情と愛情はたっぷりです。

さて、ルーク・カーン扮するオームは売れない脇役専門の役者。でも、いつか大きく花咲いてやると思っていると当時に、看板スターである美人女優に本気で恋しています。常に彼女に恋しているため、エキストラ参加の彼女主演の映画でも、目は彼女にクギ付けです。

ある日、ふとした撮影アクシデントから彼女を救ったために、少しお近付きになります。喜びはじけるオーム。でも、実は彼女は有名プロデューサーと結婚していたのです。出世欲が強いプロデューサーは、彼女との結婚をひたすら隠し、スタジオ付きのリッチな親を持っている女性との結婚を企みます。そしてあろうことか、彼の子を身籠っていた彼女をスタジオごと焼き殺してしまうのです。

すべてを知ってしまったオームは、彼女を助けようとして自分も死んでしまいます。事なきを得たプロデューサーは、めでたしめでたし、ハリウッドに渡り成功するほどの実績を積んでゆきます。

ところが、オームは有名俳優の息子に生まれ変わっていました。その名もオーム。2世俳優として大成功を収めていた(新)オームに、ある日覚えのない記憶がよみがえります。そして、それは少しづつ鮮明に。最初は半信半疑だった(新)オームも、すべてが記憶通りに残っていることに感銘を受け、復讐を果たす決意をします。

歌あり踊りあり、そしてかなりのズッコケあり。こんなポップな復讐劇は珍しい。とっても楽しめます。でも、「どうせ思い通りのハッピーエンド」とタカをくくって見ていると、最後に「えっ!」と驚くことになります。

やっぱり、あんまりな悪事はいけませんね。天は見ているのです。清く正しく生きましょう(笑)。

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時計仕掛けのオレンジ(A CLOCKWORK ORANGE)

2014年08月09日 22時43分51秒 | 日記

 鬼才スタンリー・キューブリック監督の描く傑作SF。近未来、毎日のように暴力やセックスに明け暮れていた不良グループの首領アレックスは、ある殺人事件で仲間に裏切られ、ついに投獄させられてしまう。そこで彼は、攻撃性を絶つ洗脳の実験台に立たされるが……。赤一色の画面からオレンジ色に変わってゆくオープニング、「雨に唄えば」のメロディに乗せて繰り広げられるレイプ・シーン、荘厳なバロックやクラッシックをカバーした電子音楽、広々としたレコード店の独特のセットなど、映画全編にシニカルな演出が満ち、なおかつブラックなテーマをポップに昇華させるという、キューブリック監督の手腕が冴え渡る。「2001年宇宙の旅」と並んで、SF映画という枠におさまらない突出した輝きを持っている作品だ。(allcinemaより)

 

 

 今頃すみません。実はこの名作を見ないで今まで来ていました。映画ヲタクの名に恥じますね。

それにしても強烈な映画でした。キューブリック監督の作品は、あまり理解できないものも多いのですが、これは比較的わかりやすい印象でした。個人的には「カッコーの巣の上で」を思い出しました。

退廃的な生活を送っていた「両親はそれなりに裕福で、成績も悪くなく、顔だってなかなかのハンサム」な青年アレックスは、4人の悪ガキグループのリーダーでしたが、偉そうな態度に度が過ぎたのか、ある日仲間の裏切りにより逮捕されてしまいます。いや、本当に悪事を働いていたので、当然と言えば当然、裏切りがなくてもいつかは捕まったのでしょうけど。

しかし、罪の認識がないアレックスは、なんとか早く刑期を終えることに執着し、牧師に取り入るだけでは飽き足らず、新しい実験の被験者として名乗りを上げます。そして施された斬新な実験。心理学の先生や大臣が言うように、本当に2週間そこらで人間性を変えることなんてできるのでしょうか・・・。という話です。

結論から言うと、できるわけはありません。あちこちに綻びが出始めます。その過程をありとあらゆる風刺を交えて描いてゆくのです。舞台は近未来?アレックスの母親も異様なくらい派手な格好をしています。

表現もどぎつい。政治家の人気取りも今と同じ、若者の行き場のなさも今と同じ、年寄りの強さも今と同じ。多分、これらは歴史上、ずぅっと変わらない。

もう古い映画なので、今さらああだこうだと深く掘り下げる必要もないのでしょうが、やっぱりすごい監督だったんでしょうね、キューブリック氏は。こんな意味不明な若者言葉から創作し、ポップな色合いを多用しながらこれだけのことを描いてしまうなんて。

人間って、複雑で罪深い。あれだけの悪事を働いておきながら、自分はほとんど覚えてない。で、墓穴を掘りながらも、丁寧な言葉遣いはきちんとできる。卑屈になりながらも、自分が優位に立てると思えば態度を豹変させる。それに乗っかる人がいるかぎり。で、多分それで生きて行ける。

マルコム・マクダウェルを年輩になってからしか知らない身としては、あまりの面影のなさにびっくりです。言われなければ絶対気付かなかったでしょう。役者さんって、さすがですね。

 

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複製された男(Enemy)

2014年08月07日 07時56分23秒 | 日記

 主演のジェイク・ギレンホールが1人2役を演じ、「灼熱の魂」「プリズナーズ」のドゥニ・ビルヌーブ監督のメガホンで、ポルトガル唯一のノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説を映画化。自分と瓜二つの人物の存在を知ってしまったことから、アイデンティティーが失われていく男の姿を描いたミステリー。大学の歴史講師アダムは、DVDでなにげなく鑑賞した映画の中に自分とそっくりの端役の俳優を発見する。驚いたアダムは、取り憑かれたようにその俳優アンソニーの居場所を突き止め、気づかれないよう監視するが、その後2人は対面し、顔、声、体格に加え生年月日も同じ、更には後天的にできた傷までもが同じ位置にあることを知る。やがて2人はそれぞれの恋人と妻を巻き込み、想像を絶する運命をたどる。(映画.comより)

 

 

う~ん、どうなんでしょうねぇ。思わせぶりな予告、ヒューさまの「プリズナーズ」の監督ということで、鑑賞してみたわけですが、まぁ蓋を開けてみれば、どうとでも解釈できる話とでも言いましょうか・・・。

主人公のジェイク・ギレンホールは、大学の歴史講師。しかし、同じことの繰り返しの毎日、仕事への情熱は失せているように見えます。その気持ちはわからんでもないですが、メラニー・ロランという超絶美人なガールフレンドがいて、おしゃれなアパートに住んでいる。現実的にはかなり恵まれているんですね。

そうやって怠惰に暮らしていたある日、同僚からあるDVDを勧められます。すると、そこには端役とは言え自分そっくりな俳優が!この同僚がそれを知ってて勧めたのかどうかは明らかにされませんが、しかし見れば見るほどそっくりです。

そこで彼について調べ始めるジェイク。その役者アンソニーは、いままで3本程度、それも端役でしか出てない三流役者だということがわかります。しかし、事務所などを調べて行くうちに、案外おしゃれなアパートに住み、美人の妻がいて、彼女は幸せなことに妊娠していることまでわかります。彼に接触を試みるジェイク。さて、どうなるのでしょうか。

 

 

<ここからは自己解釈による感想。ネタバレもあり>

冒頭にキューブリックの「アイズ・ワイド・シャット(だったっけかな?)」のようなシーンがあり、男たちが美人を鑑賞するクラブが映し出されます。美人たちは自慰行為をしたり、蜘蛛を踏み潰しかけたりと、意味深な行動をとっています。よく見ると彼女たちはアンソニーの妻だったり、たぶんメラニー・ロランもいたのかも。それを鑑賞している方は、多分アンソニーかな。

しかし、次の場面は何もなかったように、大学の歴史の授業。ジェイクの日常が映し出されます。そこから、上にかいたような物語が展開するわけです。

いろんなところにいろんな伏線があり、ジェイクの母にイザベラ・ロッセリーニが出てきたり、意味深なことばかりです。いちいち気にしてると余計頭がこんがらがります。所々に思いついたように「蜘蛛」が大小出て来ますし(笑)。

個人的には、今さらこんなテーマで、とも思うのですが、男の願望に尽きるのではないかと思います。どちらに転んでも美人のパートナーがいて、おしゃれなアパートがあって、生活臭もない。「お金に困った」などという話は一度も出てこなくて、秘密のクラブだって出入りは自由。

私は誰が存在するとかいうのではなくて、そもそもすべてが幻想だったのではないのかなぁ、と思います。乱暴な見方ですが、最初から何も存在しないと。

あんまりいろんな感想を読んで、いろいろ考えると疲れて来たので、そういうことにします(笑)。監督、ジェイク、ごめんなさいね。

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僕を探しに(Attila Marcel)

2014年08月04日 08時08分24秒 | 日記

 アカデミー長編アニメーション賞を受賞した「ベルヴィル・ランデブー」や、ジャック・タチの遺稿をもとに映画化した「イリュージョニスト」などで知られるフランスのアニメーション作家シルバン・ショメが、初めて手がけた実写長編作。「ベルヴィル・ランデブー」のサントラで使われた楽曲「アッティラ・マルセル」に着想を得て、仏文豪マルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」のエッセンスも織り交ぜながら、孤独な主人公が不思議な女性との出会いから失われた過去の記憶が呼び覚まされ、少しずつ変化していく人生を描いたファンタジックな物語。幼い頃に両親を亡くし、そのショックで言葉を話すことができなくなったポールは、伯母のもとで世界一のピアニストになるよう育てられる。友だちもいない孤独な人生を歩み、大人になったポールは、ある日、同じアパルトマンに住む謎めいた女性マダム・プルーストと出会う。彼女のいれたハーブティーを飲むと、固く閉ざされた心の奥底の記憶が呼び覚まされていき、ポールの人生に変化が訪れる。(映画.comより)

 

 

 楽しいファンタジーでした。いくらハーブにはいろんな効果があるからと言って、こんなことはあり得ないと思うけれど、とってもおしゃれな画と、口は悪くともいい人ばかりなのとで、安心して見られる映画でした。

それにしても、画がおしゃれでしたね~。インテリアやピアノ、小さい庭から街並みまで、まるで北欧のような感じでした。でも、フランスなんだものね(文化に詳しくなくてバカなこと言ってるかもです。すみません)。

主人公のポールは、二人の叔母に愛情いっぱいに育てられてはいますが、両親を2歳の時に失い、しかも目の前で失ったようで、そのショックから口がきけなくなっています。音楽の才能があり、ピアニストとして日々美しい曲を奏でていますが、若手のためのコンクールではなぜか優勝できずにいます。

そんな彼も今年で33歳。もうそのコンクールに出場できるギリギリの年齢になるという年。交流のある盲目のピアノ調律師が落としたレコード(!)を届けるべく、彼の後を追ううち、不思議なおばさんに出会います。というか、調律師もここへ来ていたのです。

彼女は、違法かもしれないけれど、アパートの中(ベランダ?)に庭を作り、ハーブを植えています。そして、かなりいろいろ勉強してあるようで、依頼人に合ったハーブを調合し、記憶を呼び戻したり、リラックスさせてくれたりします。

幼い頃の不鮮明な記憶がトラウマになっていたポールは、彼女のおかげでいろんな想い出の玩具と共に、正確な記憶を紐解くようになります。そしてやがて幸せな記憶へと導かれてゆくわけです。

彼は2歳だったのですから、きちんと記憶していなくても当然です。しかし、人間って、自分の都合のいいように無意識に記憶をすり替える、とはよく聞きますから、こんな療法、自分自身は少し怖いような気もします。

映画はファンタジーですから、少しのハーブティーで「バン」と昏睡したり、失敗することなく記憶を次々取り戻したりと、あり得ないことの連続です。でも、どこか癒される雰囲気を纏っているのは、実写初、本当はアニメ監督のショメ氏の力量によるものでしょうね。映画の中には、アニメではないけれど、着ぐるみが演奏したり踊ったりするシーンもあり、ポールの回想シーンでは父も母も歌って踊ります。

終盤、着ぐるみ達のおかげでコンクールに優勝したポールですが、その後ピアニストとしてあるまじきハプニングが襲います。でも、それは不幸なことではなく、新たな人生への再出発となるのです。

ファンタジーに満ちたこの映画でも、怖かったのは家の違法改造。建物の強度は保ちましょうね(笑)。

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サウンド・オブ・ノイズ(Sound of Noise)

2014年08月02日 15時00分10秒 | 日記

 

 身の回りにある日用品を使い、町中のいたるところに音楽を作り出す神出鬼没の音楽テロリストと、音楽嫌いな警察官の攻防を描いたスウェーデン発の異色クライムコメディ。音楽一家に生まれ育つも、生まれつきの音痴のため音楽が嫌いな警察官アマデウスは、ある事件現場でメトロノームを発見。それを手がかりに捜査を開始するが……。監督のオラ・シモンソン&ヨハネス・シェルネ・ニルソンが2010年に発表し、カンヌ映画祭などで評判となった短編「アパートの一室、6人のドラマー」を長編化した。(映画.comより)

 

 

遅い時間1回上映だったために見逃してしまっていた映画をwowowで発見!よくぞ放映してくださいました。音楽の才能がない私でも、楽しめました。

主人公は、高名な音楽一家に生まれるも、極度の音痴のために音楽嫌いになったその名も「アマデウス」と(しかも弟は神童と来てる。つらいねぇ)、自分達の音楽を信じるがゆえ、巷に溢れる耳障りな音楽が我慢できないグループ。彼らは「音楽テロ」を実行してます。グループの中心は、その過激さゆえ音楽学校を放校になった女性、サナ。なかなかの美人です。

冒頭、いきなりサナの運転する車の後部座席でドラムをガンガン叩く男が映されます。その音に合わせて運転するサナ。そのうちパトカーに追われるのも想定内。どんどん過激に叩き、運転します。やがて民家(?)に突っ込んで逃走します。車内に残されたメトロノーム。駆けつけた警察は、起爆装置の音と判断し、躊躇しています。

そこへ到着したアマデウス。もっとも嫌いだった「メトロノーム」の音だと見破り、事なきを得ます。「誰だ、こんなことするのは」。アマデウス、何かが起こると予感します。

ここからが映画の始まりです。まずは「doctor,doctor,gimme gas(in may ass)」。ここではいけすかない患者の身体と、手術室の道具を使って音楽を奏でます。変なテロ(笑)。でも、これが彼らのスタイルなのです。

つぎに「money 4 u honey」。これは、突如銀行を襲い、お札をシュレッダーにかける音やハンコを押す音、書類をめくる音などで音楽を奏でてしまう事件。

つぎは「fuck the music kill!kill!」。アマデウスの弟が指揮するクラシックのコンサート会場の外で、重機を使った音楽を奏で、演奏を妨害するというもの。ここでは少し前に気付いたアマデウスが阻止しようとがんばりますが、ダメでした。

最後は「electric love」。電線を使った演奏はいいけれど、街中を停電させてしまっていいのか!?これ、犯罪ですよね。そんなこと言うと、全部犯罪ですが。

そこへ、アマデウスの耳が聞こえなくなる現象が絡んだり(どうやら、彼らが楽器として用いたものは聞こえなくなるらしい)、美人リーダーにほんのり恋心を抱いたり、グループが持っていた楽譜が、絵入りですごく抽象的だったり、理解不能なことも多々まじり(そしてそれに対する説明はまったくなく)、なんなのかよくわからないこともあるのですが、とにかく感性で楽しめばいいみたいです。

ちなみに、後から気付いたのですが、私はるか昔に「short6」という短編を集めた作品で彼らを見てました!その中の一編にセリフが全くなく、部屋を移動しながらその辺にあるもので演奏してゆく、というものがあったのですが(「四つの部屋と六人の打楽器奏者のための音楽」)、それが彼らでした!そっかぁ、確かにおもしろかったなぁ。印象に残ってます。特に、カプセル剤をシートから出す音を使っていたことが。懐かしい!大阪は心斎橋の、今はない「ソニータワー」の映画館だったなぁ。あそこは一時、「マチネー料金」を導入してました。じきにやめてましたけど(笑)。

軽~く見るにはお勧めの映画です。

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