田舎に住んでる映画ヲタク

「映画大好き」の女性です。一人で見ることも多いけれど、たくさんの映画ファンと意見交換できればいいなぁと思っています。

時計仕掛けのオレンジ(A CLOCKWORK ORANGE)

2014年08月09日 22時43分51秒 | 日記

 鬼才スタンリー・キューブリック監督の描く傑作SF。近未来、毎日のように暴力やセックスに明け暮れていた不良グループの首領アレックスは、ある殺人事件で仲間に裏切られ、ついに投獄させられてしまう。そこで彼は、攻撃性を絶つ洗脳の実験台に立たされるが……。赤一色の画面からオレンジ色に変わってゆくオープニング、「雨に唄えば」のメロディに乗せて繰り広げられるレイプ・シーン、荘厳なバロックやクラッシックをカバーした電子音楽、広々としたレコード店の独特のセットなど、映画全編にシニカルな演出が満ち、なおかつブラックなテーマをポップに昇華させるという、キューブリック監督の手腕が冴え渡る。「2001年宇宙の旅」と並んで、SF映画という枠におさまらない突出した輝きを持っている作品だ。(allcinemaより)

 

 

 今頃すみません。実はこの名作を見ないで今まで来ていました。映画ヲタクの名に恥じますね。

それにしても強烈な映画でした。キューブリック監督の作品は、あまり理解できないものも多いのですが、これは比較的わかりやすい印象でした。個人的には「カッコーの巣の上で」を思い出しました。

退廃的な生活を送っていた「両親はそれなりに裕福で、成績も悪くなく、顔だってなかなかのハンサム」な青年アレックスは、4人の悪ガキグループのリーダーでしたが、偉そうな態度に度が過ぎたのか、ある日仲間の裏切りにより逮捕されてしまいます。いや、本当に悪事を働いていたので、当然と言えば当然、裏切りがなくてもいつかは捕まったのでしょうけど。

しかし、罪の認識がないアレックスは、なんとか早く刑期を終えることに執着し、牧師に取り入るだけでは飽き足らず、新しい実験の被験者として名乗りを上げます。そして施された斬新な実験。心理学の先生や大臣が言うように、本当に2週間そこらで人間性を変えることなんてできるのでしょうか・・・。という話です。

結論から言うと、できるわけはありません。あちこちに綻びが出始めます。その過程をありとあらゆる風刺を交えて描いてゆくのです。舞台は近未来?アレックスの母親も異様なくらい派手な格好をしています。

表現もどぎつい。政治家の人気取りも今と同じ、若者の行き場のなさも今と同じ、年寄りの強さも今と同じ。多分、これらは歴史上、ずぅっと変わらない。

もう古い映画なので、今さらああだこうだと深く掘り下げる必要もないのでしょうが、やっぱりすごい監督だったんでしょうね、キューブリック氏は。こんな意味不明な若者言葉から創作し、ポップな色合いを多用しながらこれだけのことを描いてしまうなんて。

人間って、複雑で罪深い。あれだけの悪事を働いておきながら、自分はほとんど覚えてない。で、墓穴を掘りながらも、丁寧な言葉遣いはきちんとできる。卑屈になりながらも、自分が優位に立てると思えば態度を豹変させる。それに乗っかる人がいるかぎり。で、多分それで生きて行ける。

マルコム・マクダウェルを年輩になってからしか知らない身としては、あまりの面影のなさにびっくりです。言われなければ絶対気付かなかったでしょう。役者さんって、さすがですね。

 

コメント
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