大藪春彦原作 村川透監督 松田優作 風吹ジュン 佐藤慶 成田三樹夫 小池朝雄 千葉慎一 待田京介 岸田森 真行寺君枝 1979年
「最も危険な遊戯」や「処刑遊戯」などで村川透監督、主演松田優作でヒットを飛ばしていたコンビが、大藪春彦原作のハードボイルド・アクションに臨んだ第一弾。
昼間は平凡なサラリーマンの男が、夜はボクシングジムに通い体を鍛えている。彼が狙うのは何か?
会社が不正に絡んで恐喝を受けているのを知った男は、逆に会社を乗っ取ることを企てる。
この映画の魅力は、松田優作の鍛え抜かれた身体から繰り出されるアクションであろう。
ここで繰り広げられるのは、近代アクションのはしりとも言おうか、かつての石原裕次郎、小林旭に代表される日活アクションや、高倉健に代表される任侠アクションとは違ったアクションである。
勧善懲悪でも義理人情でもない、ドライな資本と欲望を至上とした人情を拒絶するアクションである。
おそらく、それまでの日本のヒーローで、会社の株を乗っ取ろうとした男はいなかったのではなかろうか。そういう男たちを懲らしめるのが、ヒーローの役割であったはずだが、ここでは、ヒーローとヒール(悪役)が融合した人物像となっている。それに、平気で人を殺す。
21世紀の資本主義社会のヒーローを先取りしているかのようだ。
有り余る金と、社長の可愛い娘を手に入れた男は、カウンタックを乗り回し一人笑いをこらえる。
一匹狼を象徴する、狼の仮面を被ったような男。
女も金と権力で手に入れた男が、最後は女の情に刺される。
もつれる足で空港に行き、飛行機に乗った男は、フライト・アテンダントの「何かお持ちしましょうか」というに言葉に、息も絶え絶えに言う。
「ワインを。ジュブレ・シャンベルタンの、2001年を。僕の友人のナポレオンが愛用していたやつです」
映画は1979年の作だから、当然2001年もののワインがあるわけがない。
そして、男は気の抜けた顔で付け加える。
「ジュピター、木星には何時に着くの」と。
もうそこには、狼の顔はなかった。
無機質な廃墟やビル跡でのアクションが、まるでモノトーンのようにコントラストを醸し出して美しい。
一時期の鈴木清順監督の影響かもしれない。
脇を固める俳優陣が個性派揃いだ。
佐藤慶 成田三樹夫 小池朝雄 千葉慎一 待田京介 岸田森は、主役、準主役を張っていた男たちだ。
また、ヒロインの風吹ジュンが、松田優作とのベッドシーンでは惜しげもなく裸を曝している。
この映画は、松田優作の代表作となった。
アクション映画は、最近はCGを駆使し、何でも可能な撮影技術になっている。可愛い女性が屋根をぴょんぴょんと飛び跳ねたり、回転しながらアクションをやったりするのは、現実味がなくかえって興味をそがれてしまう。
やはり、アクションは生身の人間がたち振る舞うことに味がある。
「最も危険な遊戯」や「処刑遊戯」などで村川透監督、主演松田優作でヒットを飛ばしていたコンビが、大藪春彦原作のハードボイルド・アクションに臨んだ第一弾。
昼間は平凡なサラリーマンの男が、夜はボクシングジムに通い体を鍛えている。彼が狙うのは何か?
会社が不正に絡んで恐喝を受けているのを知った男は、逆に会社を乗っ取ることを企てる。
この映画の魅力は、松田優作の鍛え抜かれた身体から繰り出されるアクションであろう。
ここで繰り広げられるのは、近代アクションのはしりとも言おうか、かつての石原裕次郎、小林旭に代表される日活アクションや、高倉健に代表される任侠アクションとは違ったアクションである。
勧善懲悪でも義理人情でもない、ドライな資本と欲望を至上とした人情を拒絶するアクションである。
おそらく、それまでの日本のヒーローで、会社の株を乗っ取ろうとした男はいなかったのではなかろうか。そういう男たちを懲らしめるのが、ヒーローの役割であったはずだが、ここでは、ヒーローとヒール(悪役)が融合した人物像となっている。それに、平気で人を殺す。
21世紀の資本主義社会のヒーローを先取りしているかのようだ。
有り余る金と、社長の可愛い娘を手に入れた男は、カウンタックを乗り回し一人笑いをこらえる。
一匹狼を象徴する、狼の仮面を被ったような男。
女も金と権力で手に入れた男が、最後は女の情に刺される。
もつれる足で空港に行き、飛行機に乗った男は、フライト・アテンダントの「何かお持ちしましょうか」というに言葉に、息も絶え絶えに言う。
「ワインを。ジュブレ・シャンベルタンの、2001年を。僕の友人のナポレオンが愛用していたやつです」
映画は1979年の作だから、当然2001年もののワインがあるわけがない。
そして、男は気の抜けた顔で付け加える。
「ジュピター、木星には何時に着くの」と。
もうそこには、狼の顔はなかった。
無機質な廃墟やビル跡でのアクションが、まるでモノトーンのようにコントラストを醸し出して美しい。
一時期の鈴木清順監督の影響かもしれない。
脇を固める俳優陣が個性派揃いだ。
佐藤慶 成田三樹夫 小池朝雄 千葉慎一 待田京介 岸田森は、主役、準主役を張っていた男たちだ。
また、ヒロインの風吹ジュンが、松田優作とのベッドシーンでは惜しげもなく裸を曝している。
この映画は、松田優作の代表作となった。
アクション映画は、最近はCGを駆使し、何でも可能な撮影技術になっている。可愛い女性が屋根をぴょんぴょんと飛び跳ねたり、回転しながらアクションをやったりするのは、現実味がなくかえって興味をそがれてしまう。
やはり、アクションは生身の人間がたち振る舞うことに味がある。