並木の若葉がそよぐ
空は、絵の具を流したように青い
横断歩道のメロディ、カッコウの鳴き声がこだまする
白い道路に建物の影が伸びている
帽子をかぶった少年が走っていった
あれは、かつての私だ
五月の佐賀は、清々しくも少し寂しい
久しぶりに佐賀の街を歩いた。
駅から中央通りを南の濠のほうへ向かって歩いていく。
佐賀の街は道路も大きくなり、街は小奇麗になった、ようだ。しかし、歩いていても、行き交う人は以前より少なくなった。扉を閉めた店もある。
一番の繁華街、唐人町、白山アーケイドも、人影はまばらだ。呉服元町を歩くと、もうかつての華やかさを思い出せないような、寂しさが漂う。
街で一つだけのデパート玉屋は、昔より少し小さくなったように感じる。
濠を渡り、城内に入ると少し風が緩やかに変わる。元々ゆったりとした佐賀に吹く風が、さらにやんだようになる。
佐賀城鯱の門の前で立ち止まる。門は鉄砲の弾跡で傷ついている。維新後の若きもののふの無念の傷跡だ。萩、秋月、熊本春風連、佐賀の乱と散っていった歴史の一こまの残滓が佇む。
日が作り出す影が、さらに濃くなったようだ。
夜が忍び込もうとする黄昏どきに、すれ違った人はどこへ行こうとしているのか。
街は変わっていく。
人と同じように。
最も美しいものは、美しいものがそうでなくなったときだといった言葉を思いおこす。
空は、絵の具を流したように青い
横断歩道のメロディ、カッコウの鳴き声がこだまする
白い道路に建物の影が伸びている
帽子をかぶった少年が走っていった
あれは、かつての私だ
五月の佐賀は、清々しくも少し寂しい
久しぶりに佐賀の街を歩いた。
駅から中央通りを南の濠のほうへ向かって歩いていく。
佐賀の街は道路も大きくなり、街は小奇麗になった、ようだ。しかし、歩いていても、行き交う人は以前より少なくなった。扉を閉めた店もある。
一番の繁華街、唐人町、白山アーケイドも、人影はまばらだ。呉服元町を歩くと、もうかつての華やかさを思い出せないような、寂しさが漂う。
街で一つだけのデパート玉屋は、昔より少し小さくなったように感じる。
濠を渡り、城内に入ると少し風が緩やかに変わる。元々ゆったりとした佐賀に吹く風が、さらにやんだようになる。
佐賀城鯱の門の前で立ち止まる。門は鉄砲の弾跡で傷ついている。維新後の若きもののふの無念の傷跡だ。萩、秋月、熊本春風連、佐賀の乱と散っていった歴史の一こまの残滓が佇む。
日が作り出す影が、さらに濃くなったようだ。
夜が忍び込もうとする黄昏どきに、すれ違った人はどこへ行こうとしているのか。
街は変わっていく。
人と同じように。
最も美しいものは、美しいものがそうでなくなったときだといった言葉を思いおこす。