急に血糖値と虫歯や歯周病の病気を結びつけているので、
困惑している方もいらっしゃるでしょう。
これは江部康二著「主食を抜けば糖尿病は良くなる」を読んだことが
きっかけでした。
http://blog.goo.ne.jp/obatadental/e/cce9ecb7afe30d60d1640c4e58a9345a
私が血糖値について敏感に反応した理由は、歯科と糖尿病の
関係にあります。
糖尿病は空腹時でも血糖値が高くなる病気ですが、糖尿病の方の
虫歯や歯周病の治療はなかなかうまく治せないのが現実です。
(実際には糖尿病になっても虫歯や歯周病にならない方もたくさん
いらっしゃいます。糖尿病の合併症が体のどの部分に現れるか、
ということなのです。)
糖尿病になると組織に栄養がいきわたらないので病気の治りが悪くなる、
というのが一般的な説明です。
また糖尿病の方は甘いものを好むということから歯科の病気になりやすい
という面もあります。
(糖尿病の方は低血糖時に糖分を含まないと活動できないという側面もあり
ます。)
ところが糖尿病と診断されていなくても、糖尿病のような病態を示す方も
いらっしゃいます。
このような方達を「かくれ糖尿病」(正式には境界型糖尿病)として捉えて
いたのですが、医者にはそういう診断をされていない方も多いのです。
そして血糖値を中心にみてみると、糖尿病と診断されない高血糖という
状態があるということを知りました。
食後にかなり血糖値が上がるのですがその後急激に血糖値が下がるので
一般的な検査では糖尿病と診断されないのです。
ブドウ糖負荷試験という検査をすれば診断できるのですが、簡単に行う
検査ではありません。
食後だけ高血糖で急激に血糖値が下がるので、血糖値の平均値を取る
HbA1cという検査でも異常は出ません。さらに空腹時血糖も正常です。
糖尿病ではないのであえて診断名を作ると食後高血糖症、血糖値乱高下症、
血糖値調節機能障害、低血糖症などとなります。
歯科的に問題となるのは
高血糖の時間帯に虫歯や歯周病の危険がある
低血糖の時に甘いものを必要とするので虫歯の危険がある
ことです。
血糖値が安定すると虫歯や歯周病になる危険が低くなる、というのが
この「栄養」カテゴリーのメインテーマです。