安田記念回顧~サンデー的柔さから逃れるために

2011-06-06 11:46:57 | 血統予想

東京11R 安田記念
◎8.アパパネ
○10.リディル
▲2.シルポート
△13.ダノンヨーヨー
△18.リーチザクラウン
×16.ジョーカプチーノ
×17.エーシンフォワード
注6.サムザップ
注12.ライブコンサート
アパパネは激闘の反動だけが気がかりだが、追い切りをみる限りは大丈夫。1800m前後ならウオッカやスイープトウショウ級の女傑だから、今年のメンバーならここも◎だ。○▲は「サンデー×リファール×ハイインロー」の配合形で、前受けでちゃんと結果を出してきた臨戦過程に好感。シンボリクリスエス2騎は母系のミスプロ的なスピードが強く1400mがベストだろう。土曜の競馬をみると東京芝は上がりがかかっているので、エーシンやサムザップなどのジリ差しでも間に合うかもしれない。

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リアルインパクト、エーシンフォワード、ショウワモダン、ブルーメンブラッド

これらに然るべき理由を理路整然と述べて◎を打たなければならないというのは、ちょっと難しすぎると泣き言の一つも言いたくなります(^ ^;)

古くはタイキシャトルやアグネスデジタルやエアジハード、最近でもダイワメジャーやアサクサデンエンやデュランダルなど、マイル路線には本番ではちゃんとリピート好走するチャンピオン級がいたもんですが、ここ2年はほんとに混迷を極めていて、アパパネのようなチャンピオンがちゃんと走ってくれないと、私の手にはとても負えません…

そして以前にも指摘しましたが、このマイル路線の混迷は、「サンデーの血を引く馬からは真の中距離チャンピオンはいくらでも出てくるが、真のマイルチャンピオンはなかなか出てこない」ということと密接に関係しているのではないか…とも

サンデーの柔らかさしなやかさは高速馬場の中距離を走るぶんには最高なんですが、Hペースの引き締まったマイル戦を走るぶんには、たとえばグランプリボスなんかをみてもやっぱりちょっと柔らかすぎるんですよね~

ダイワメジャーとデュランダルが母系をノーザンテースト+Hyperionで固めていたのも、ハットトリックが母系を頑健な米血で固められていたのも、サンデー的柔さから逃れていかに頑健になりうるか、マイルを頑健なパワーで加速できるか、ということやと思うんです

ダイワメジャーは母系をHyperionで固めつつNothirdchance≒Beau Max4×4でパワー増幅をはかりました
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103114/

ハットトリックのマイラーとしての力強さはNothirdchance≒Revoked4×7に加え、母系にRibotやDamascusなどのいかつい血が入るからでしょう
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2001103018/

リアルインパクトの母トキオリアリティーはMeadowlake×In Realityという字面通りのスプリンターで半兄アイルラヴァゲインもこの母の影響が強い馬でしたが、MeadowlakeはBlue Moon≒Nothirdchance2×3でリアルインパクト自身はNothirdchance≒Blue Moon5×4・5
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008103244/

このニアリークロスに加え母系にミスプロやナスキロのような柔らかな血を全く引かず、Nothirdchanceニアリークロスの周縁を米アウトサイダー血脈で固め、頑健さを増してマイラーとして大成したという意味で、配合の方向性としてはハットリに近いものがあるかなあ…と

でもそんな配合ではあっても、体型も体質もだんだんディープ的になってきているようにも見え、今でも一流マイラーとしてはしなやかすぎる感じで、先々は1800~2000mがベストになりそうな気も一方ではしています

なんやけっきょくディープ産駒はマイルG1しか走らんやないか~という人もいるでしょうが(^ ^;)、リアルインパクトやマルセリーナは母がそういうマイラーを出せる血統だからで、ビワハイジやエアグルーヴとの配合ではちゃんとしなやかで柔らかな中距離馬が出ています

しかしそういうタイプは柔らかすぎて3歳春には完成しきれないという傾向はあるのかもしれず、だからPOGならマイラー狙いが吉という考え方はアリやと思うし、だから私は今年のディープ1位は頑健なマイラー牝系のマイラー牝馬にしました(^ ^;)

アパパネはパドックでの歩様が硬く、ブエナ相手にHペースの激闘を繰り広げての中2週で、前走と同じパフォーマンスを発揮することはできず…という弾けなさ

ウオッカは08年ヴィクトリアマイルは超スローでエイジアンウインズを差せず、09年はブラボーデイジー以下に大差勝ちで、つまりどちらもダメージが残るようなレースではなかったし、スイープトウショウは半年ぶりの都大路Sを叩き台っぽく凡走しての参戦でしたから、この臨戦過程の違いに落とし穴があったということですね…

スマイルジャックは今日もたしかに惜しい内容でしたが、マイルG1では行っても差しても不細工な競馬になってしまうのはそのペースが合っていないからで、馬ナリで流れに乗って弾けるべきポイントで弾けられるのが適性距離というべきで、それがこの馬の場合は1600mより長いところではないかと私は言い続けてきました

不細工な競馬でも好走するのは父のNHKマイルと同じで、力はあるだけに惜しいなあ~といつも思います

クレバートウショウは手応えはあったのにまたも馬群を割りきれず、クレバーの直後にいたリディルも右往左往しているうちにレースが終わってしまいました

サンデー×スカーレットインク牝系
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/b38217214b6f913147389b06224a90eb


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11 コメント

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Unknown (sshima)
2011-06-06 14:44:22
中距離で柔らかさが活き、短距離では切れ味が活きる、というサンデー標準装備の状況で、狭間のマイル路線で光る血は馬券的に重要ですね。代表格はキンカメとノーザンダンサー系、結局アパパネと香港勢になるのかもしれませんが(^_^;)
丁寧な解説感謝 (馬好き)
2011-06-06 16:12:37
丁寧な解説毎度ながら、有難いです。
あと、たまに、フレンチな斬れという表現がありますが、あれはパーソロンとかをイメージしたらいいんですかね?
Unknown (MJ)
2011-06-06 16:53:02
そうですね~日本の高速芝だとデインヒルよりラストタイクーンのほうがチャンピオンマイラーを出しやすい気はしますね~
タイキシャトルやアグネスデジタルが社台で供用されていたら…などと思ったりも

Unknown (MJ)
2011-06-06 16:55:33
パーソロンは日本で成功したフランス血脈の筆頭ですが、たとえばグレビオ(=Grey SovereignとPrince Bioの組み合わせ)でいうとKalamounなんかは「フレンチな斬れ」の代表格ですかね~
カンパラ→トニービンとか、Highest Honor→レーヴドスカーとか、あとCaro→クリスタルパレス→タニノギムレットとか、このあたりの斬れ方はグレビオ的でフレンチ的と言っていいと思います
Prince BioとNasrullahでいうとPrince Tajとかムーティエとかスノッブとか、DarshaanやIrish Riverもナスキロ+フランス血脈で独特の斬れがあるし、Green Dancerも母父がVal de LoirなのでNijinsky系にしては斬れで勝負するようなところがありますね~(エイシンプレストンのような)
あと忘れてはならないフランス血脈といえばディクタスで、サッカーボーイやステイゴールドやオルフェーヴルなんかは、フレンチとサンデーとPrincely Giftとで柔らかく斬れているという言い方もできると思います
Unknown (sshima)
2011-06-06 19:25:31
参考までにご教授ください。タイキシャトルとアグネスデジタルからチャンピオンマイラーを出すとしたら配合の核は何になるとお考えでしょうか?
社台で共用…の文脈とのつながりがちょっとわからなかったもので。(サンデー系牝馬につける?それとも単に繁殖の質?)
懇切丁寧感謝 (馬好き)
2011-06-06 21:44:58
毎度、懇切丁寧な解説ありがとうございます。
Unknown (メタボ博士)
2011-06-07 06:55:14
マイル戦線はしばらくは混迷するな(^_^;)タイキシャトル、アグネスデジタルは最初ダート路線だったことを考えると、ダート的配合要素が強い馬も考慮する必要があるかな
Unknown (MJ)
2011-06-07 11:00:22
いや、彼らのようなマイル王からマイル王が出ないのはなぜだろう…ということが浮かんだので書いたまでで、配合的なことを含めて書いたわけではないです(^ ^;)
タイキシャトルはStorm Catやマルゼンとの配合での成果をみる限り、Caerleonが核とはいえるのかなあ~という気もしますが
アグネスデジタルはアウトブリードなので相手牝馬を立てるタイプですから、ヤマニンキングリーやサウンドバリアーの母のようなうるさい配合の牝馬と成功しやすいでしょうね~
Unknown (sshima)
2011-06-07 12:50:07
ご回答いただきありがとうございました。
タイキシャトルはCaerleonが配合の核だとすると出ても柔らかマイラーで、頑健マイラーを出すのは難しいのかな?と個人的に思ってしまいました。
Unknown (MJ)
2011-06-07 13:04:06
ん~、たしかにゼンノエルシドなんかは柔らかマイラーでしたが、たとえばシンコウラブリイは母系にLa Troienne的パワー(ポッセ→Better Self)が入るので頑健さ兼備で、とするとやっぱりカギはLa Troienneにあるような
メイショウボーラーとレッドスパーダの違いもそのあたりにあるような
あとゴールデンキャストとかマイケルバローズとかディアチャンスなんかの血統表をみると、「タイキシャトルのCaerleonの上手ないじくり方」がみえてくるような

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