京都11R 菊花賞
◎6.ヴェルトライゼンデ
○9.アリストテレス
▲3.コントレイル
△14.ヴァルコス
×1.ディアマンミノル
×13.ロバートソンキー
「血統屋」のPOG書籍で推奨したように、コントレイルの配合はディープ産駒として最高レベルと評価しているが、ストームキャットの血を引く馬はJRAの3000m以上の平地レースを勝ったことがない([0-2-4-47])。おそらくキズナやリアルスティールのようにだんだん距離適性は短くなっていくはずで、ついに黒星がつくならここだろう。
ヴェルトライゼンデもPOG書籍で推奨した馬で配合は満点。父似でやや詰まって見える体型だが、ドイツ血脈とハイペリオンの持続力を感じさせる体質は兄ワールドプレミアに似ており、春の時点で菊花賞が一番楽しみだと書いてきた。京都芝は良に乾いてもタフだろうし、昨年のような持続戦ならこれが勝つ予想で。
他では強い内容の2連勝で本格化気配、伯父のリンカーンにますます似てきたアリストテレス。トウカイテイオーの甥でグニャグニャした動きが何とも不気味なロバートソンキー。オルフェーヴル×デヒアで京都外向きの前輪駆動で走るディアマンミノル。そして急遽の乗り替わりだが、ダンスインザダーク譲りの長手体型とディープ牝系譲りのしなやか体質のヴァルコス。
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例によって、まずは1~3着馬の解説を再掲
コントレイル
母母フォルクローレは北米2歳女王。母系にUnbridled's SongとStorm CatとRelaunchが入り、母はFappiano3×4とIncantation4×5というド真ん中のディープ黄金配合だ。ダノンキングリーなんかと似たタイプだろうが、こちらのほうが締まりが強く強靭で3歳時の完成度も高い。ひと夏越して更にエンジンやアクションが良くなっただけに、長距離を燃費よく走れるかどうかだけが課題だろう。(距離○スピード◎底力◎コース◎)
アリストテレス
ヴィクトリーやリンカーンの甥で、アドミラブルやエスポワールのイトコで、フサイチコンコルドやアンライバルドなども出るバレークイーンの牝系。エピファネイア×ディープインパクトはムジカと同じで、サンデーサイレンスとSadler's Wellsのクロスも同じ。前走は早め先頭で押し切る強い勝ち方で、伯父のリンカーンに近いイメージに完成しつつある。エピファ産駒だけに馬群で揉まれるとあまりよくないかも。(距離◎スピード○底力◎コース○)
サトノフラッグ
サトノレイナスの全兄で、ダンサールの3/4弟で、母バラダセールは亜オークス(亜G1・ダ2000m)や亜1000ギニー(亜G1・ダ1600m)に勝った。ディープインパクト×Not for Saleはダノンファンタジーと同じでLyphardのクロスも同じだが、こちらは母方がスタミナ豊富で男馬のぶん更に持続力に富み、中距離馬としての奥行きを感じさせる。ただ3000に延びてのプラスはないのと、思ったより成長が緩やかで本格化はもう少し先なのかも。(距離○スピード○底力◎コース○)
振り返るとコントレイルとの出会いは、血統屋のPOG商材「ディープ好配合リスト」のピック作業中で、まずはタゲの血統表を片っ端から見ながら選んでいくんですが、「おおお~これはまさにノースヒルズのお家芸や! しかも母はFappianoとIncantationのクロスときたもんだ」「立ち姿もいかにもディープ×Storm Catのストライドマイラーで、しかも緩いところがあまり感じられないのがええなあ(・∀・)」
デビュー戦快勝後「なるほど~これはだいたい思い描いたとおりの馬で、やっぱりダノンキングリーとの比較において説明できる」、東スポ圧勝後「そら“強靭ダノンキングリー”やから東京1800最強よ」
無敗の三冠を達成してしまうほどの名馬なのに、初めて血統表を見たときから今日に至るまで、コントレイルに対するイメージはほとんど変わらないままで、“強靭ダノンキングリー”のままで、それだけ配合的な美点がきれいに忠実に実馬に表現されているというね
昨日のパドックも素晴らしいの一語で、今すぐ秋天でアーモンドと走ってるところが見たいとみんなに言ってましたが、性能やスケールが想像の遥か上やったというだけでね
“強靭ダノンキングリー”は、中山2000でうなりながら抜け出した巨尻デインヒルを大外からねじ伏せ、京都3000でエピファネイア×リンカーンの執拗な追撃を凌ぎきり、ついに負けることなく同世代との戦いを終えました
そんなわけで、コントレイルの血統についてはさんざん書いてきてもう付け加えることもないので、ダービーや皐月やホープフルの回顧などを読んでくださいと…ロードクロサイトは名血名門名配合で優秀な繁殖なので、種牡馬コントレイルも当然優秀やと思います
アリストテレスは伯父のリンカーンと同馬主同厩舎で担当も同じ方だそうで、父がエピファネイアとくれば菊花賞2着が約束されているような血統ですが、ここへきての2連勝の内容が素晴らしすぎて、善戦マンだった春からひと皮むけて、顕著な成長がみてとれましたよね
大本命にプレッシャーをかけながらエピファ産駒で外差し、ルメールのレースプランも120点でしたが、やっぱりリンカーンはディープの2着だった(そして母系にトニービンの名も…)
エピファネイア×ディープインパクト(エピディープ)はSir Gaylordのクロスによりスリムで後駆が非力に出やすいのが弱点で、だから大成功のエピファネイア×キングカメハメハ(エピカメ)と比較すると完成が遅く勝ち馬率も高くないのですが、エピディープのオープン馬3頭がいずれもSadler's Wellsのクロスをもつことは、エピカメがSadler's Wells≒Nureyevのクロスで成功しているのと裏表の関係ということができます(オーソクみたいに2歳から連勝は珍しいですが、アイビーのパドックをみてもまだまだ緩いですよね)
●エピディープ一覧(SW=Sadler's Wells, NR=Nureyev)
ようはデアリングタクトもアリストテレスもオーソクレースもやってることはだいたい同じで、体質を締め後駆をパワーアップしたいエピファ産駒において、Sadler's Wells≒Nureyevのクロスが最大のキーになるだろうということは、まあ配合やる人ならだいたい予測できますよね
サトノフラッグはもともと馬っぷりは世代屈指で、思ったより成長曲線が緩やかで春はG1では通用しませんでしたが、ずっと書いているようにかなりLyphardっぽいディープ産駒ですから、ディープブリランテのようなレースができるようになればディープブリランテのように大きなところを狙える器なのだ、という評価も変更なしです
バビットは加速するときにタイキシャトルっぽいというかウサギのようなマイラーっぽい走りになるので、アーモンドアイみたいにウサギで加速してスピードに乗ってから4輪駆動になるので、どうもガンコほどステイヤー然としないという話をTLではしてたんですが、Mahmoudさんもちょっと似たようなことを書いてたのが面白かったな(・∀・) 今日はハナを叩かれた上に妙なジグザグラップを刻まれて、この馬の持ち味は出せずじまいでしたが…
ロバートソンキーとヴァルコスもコース取りやレース運びがうまくいったとはいえず、今日はちょっとかわいそうでしたね
ガロアクリークを推す人も意外に多く、私もNashwan母母父ベスト説なので配合は大好きですが、たとえばブラックタイド×サクラバクシンオーとか、古くはニホンピロウイナー×マルゼンスキーでもいいですが、そういうのが菊花賞で好走してもまったく驚かないけれど、キンシャサノキセキ×Kingmamboが、短距離×マイラーが連対した例はほぼ皆無なのでは
※色塗りはスプリンター~マイラー
未だに母父バクシンオーを持ち出して「菊の予想に血統関係ないんや!」と言う人はいますが(^ ^;)、たとえば父がディープやブラックタイドやハーツクライならば、母父はバクシンオーでもGreen TuneでもOrpenでもタイキシャトルでもエエんで、むしろそういうマイラーのスピードが入って然るべきで、でもキンシャサ×Kingmamboは菊ではないです
「菊の血統解説、ヴェルトライゼンデのコース適性がなんで○なんすか?」とさっさん会期待の若手=空気の読めない馬術部大学生が聞くので「忙しいのにめんどくさいなあ…走り方がドリームジャーニーやんか。あんまりPrincely Gift前駆ではないやんか」
あれ…とすると、もしかすると、オルフェやレインボーラインのようには下れないかもしれないなとふと思ったんですが、コントレイルとアリストテレスの直後の絶ポジにいながら、4角手前から池添の手だけが動きはじめ、ああそうか…ドリジャ走法では下りで離されてしまうんか…
そこの見立てを誤ったというべきで、体質はワールドプレミアでも走法はドリームジャーニーですから、父同様の記念タイプなんですかね
距離適性で断然上回るアリストテレスにずっと貼り付かれて地味にプレッシャーをかけられつづけ、ややかかり気味に一足先に抜け出す形、ふつうなら目標にされてキッチリ差されてしまいそうなところを能力で凌ぎきって、圧倒的な性能差があってもこんな苦戦になるのだというね
苦戦になったからこそ、観てる人全てが三冠達成の重みを実感でき、名馬コントレイルの凄みをまた感じることができたのではないかと
菊花賞が終わって、いろんな人といろんな話をしていたら東京最終の締め切りが間近なのに気づき、慌てて◎マローネメタリコの単だけベットしたら届かず2着…万券ゲッツの歓声のなか一人だけ泣いてましたが(T_T)、みんなであーだこーだ言える名勝負を今週も観たいすね
https://www.youtube.com/watch?v=Pfjcowx_Kag
無敗の三冠を賭けて、Roberto系ステイヤーとの戦いになった点は今年と通じています。
なにかひとつピースが欠けていたら(アンティシペイトと武豊が出ていたら、とか)同じ歴史だったかもしれません。
偉業を達成した陣営に自然と拍手が生まれる素晴らしい菊花賞でした。
硬さも伝えるならサンデークロスもありでしょうし今から種牡馬入りが楽しみです
オリオール魂としては。
春の天皇賞で、フィエールマンを追い詰めながら、どうしても抜けないグローリーヴェイズのような感じでしたね。
その後、グローリーヴェイズは、先に抜け出して、抜けるものなら抜いてみろという戦法にモデルチェンジして大成しました。
私もグリーンチャンネルで生中継を、その後NHKとフジテレビでGCでリプレイを見ていて最終レース買いそびれました。トホホ。でも、ゴール後1コーナーへ流して行く福永祐一の後方から来たルメールが「おめでとう。強かった」とばかりに左肩をポンと叩いて行ったのを確認しました(負かした勝春の頭を叩いたデムーロとエライ違いだ)。