第41回エリザベス女王杯回顧~まるでTreveのように

2016-11-14 15:24:35 | 血統予想

京都11R エリザベス女王杯
◎3.クイーンズリング
○1.ミッキークイーン
▲8.タッチングスピーチ
△2.マリアライト
×4.ヒルノマテーラ
注15.パールコード
昨年の覇者マリアライトは良馬場のスローだと鋭さ負けの心配があり、ミッキークイーンは臨戦過程が狂ってぶっつけ本番。シュンドルボンはハーツクライ産駒だから京都のここでベストパフォーマンスを叩き出す馬でもないだろう。となると、昨年もゴール前の脚色は最も良かったタッチングスピーチや、ブロードブラッシュ~コンサーンの晩成の追い込み血統が開花してきたヒルノマテーラなどもチャンスだろうが、ここらを含め有力どころは差し追い込みばかり。先行勢がやり合う理由はこれっぽちもないから、14年や13年のような上がりの競馬を想定したい。
クイーンズリングは母父アナバーがダンジグ系のチャンピオンスプリンターで、母アクアリングはリヴァーマンとノーザンダンサーとオリオール≒ハイハットをクロスする父母相似配合。このような「父中距離×母父スプリンター」の配合形は、トレヴ(モティヴェイター×アナバー)やジェンティルドンナ(ディープインパクト×ベルトリーニ)などが典型だが、スローの上がりの競馬で瞬時に反応できる脚質になりやすい。オリオールは馬群を嫌がる気性を強く伝える血で、本馬も16年ヴィクトリアマイルや15年エリザベス女王杯を見てのとおり馬群の中で揉まれたときは案外だが、揉まれず先行して4角で3番手までにいたときは[3-1-0-0]。ここも勝ちパターンに持ち込めるとみて◎とした。1800mぐらいがベストだろうがスローなら2200mもOKだろう。意外に緩みなく流れて持続戦になったときの▲の単勝も押さえたい。

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今年のエリザベス女王杯はプリメラアスールの単騎逃げが見え見えで、しかも有力馬のほとんどが差し追い込みですから、他の先行勢がレースを動かしてくることも考えにくい

締切5分前、例の同級生とマークシートを塗りながら
「いや~ホンマに前が薄い。前が薄いんやけど、スローで行っても残りそうな馬が見当たらん…」
「俺がアスカビレンの鞍上やったら、ハナ切るぐらいの気持ちで出していくけどなあ…。でも大作はこの馬で差したがるからそれはないやろ」

レースは1000m通過が62秒ぐらいで上がり3Fが11.5-11.2-11.4、3番手のシングウィズジョイとパールコードが2着4着、逃げたプリメラも5着に残っていて、ようするにクイーンズリングとミッキークイーンが差してきた以外はスローの行った行ったという競馬でした

クイーンズリングは仏1000ギニー馬Torrestrellaの姪で、母父Anabaaはショウナンアデラの近親でジュライC(英G1・芝6F)などに勝ったDanzig系のスプリンター

「父中距離×母父スプリンター」の配合形ですから、母アクアリングがRiverman4×3で牝馬らしい斬れ味を伝える繁殖とはいえ、Motivator×AnabaaのTreve(母がRivermanクロスなのも同じ)やディープインパクト×Bertoliniのジェンティルドンナなんかと近いイメージで、マイルのHペースをズバッと差すというよりは1800mのスローをフワリと抜け出すようなタイプだろうとデビュー当初から書いてきました
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104105/

母がRivermanのクロスを持つのも、DanzigとLyphardを通じてNorthern Dancerクロスを持つのもTreveと同じですね
http://db.netkeiba.com/horse/ped/000a01224c/

だから1400mの重賞を後方から差し切ってしまうのがむしろ驚きで、Hペースの秋華賞でも上がり1位の末脚で追い込んでましたから、前走府中牝馬勝ちをみてもやっぱりスローの1800~2000mがベストパフォーマンスを出せる舞台だろうと

ただしヴィクトリアマイルやエリザベス女王杯の凡走は馬群の中で周りを気にしたようなところもみられただけに、出遅れてしまい道中は馬群の中、直線も外に出せずに馬と馬の間に突っ込むしかなく、こらアカンやろと外の馬たちに目を移したら、そこからグイグイ伸びて差し切ってしまったのには驚かされました

マンハッタンカフェは母方がドイツ牝系で強いクロスを持たないので、ルージュバックのような父母相似配合の成功例もありますが、ヒルノダムール(母がNijinsky≒The Minstrel2×3)やレッドディザイア(母がNorthern Dancer3×3)のように、クロスがうるさい繁殖との配合で成功しやすい種牡馬といえます

母アクアリングはRiverman4×3、Northern Dancer3×5、Aureole≒ハイハット5×4を持つ父母相似配合で、ダ1200mのデビュー戦を勝った後は伸び悩みましたが、そこにマンハッタンカフェを配した緊張→緩和のリズムで生まれたのがクイーンズリング

「父中距離×母父スプリンター」の本領といえる瞬時の加速と、Rivermanの本領といえる牝馬の斬れ、“ミルコの恋人”クイーンズリングの魅力を、競馬場に詰めかけたファンは堪能したのではないかと思います

ミッキークイーンはパドックの並足も返し馬のキャンターも、絶好調時のしなやかさと比べるとちょっと落ちるように私には感じられたし、浜中はソツなく立ち回って力は出し切ったと思いますが、たぶん昨年の秋華賞ほどは走ってないだろうという3着

マリアライトは2角の不利でポジションが下がってしまったのは痛恨で、もともとラトロ&Ribot肩で掻きこむ走りで京都の良のスローでも33秒前半では上がれない馬ですから、悪い条件が重なってのこの結果はやむをえない

エリザベス女王杯といえばムーアがスノーフェアリーでインを切り裂くイメージが強烈で、7Rのショウボートでもインに突っ込んで伸びあぐんでいるのを見てちょっと嫌な予感はありましたが、タッチングスピーチは何度も書いてきたように直線は一番外に出さないと全力で走らないところがある

今日は上がりが速かったので、あそこから外に出したとしてもどのみち苦しかったと思いますが、いずれにしても馬は良くなっているだけにこの8着は不完全燃焼というべきでしょう


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