第84回桜花賞回顧~モレイラを背に、Nijinskyストライドで

2024-04-08 13:34:54 | 血統予想

阪神11R桜花賞
◎11.ライトバック
○7.スウィープフィート
▲9.アスコリピチェーノ
△15.エトヴプレ
×2.クイーンズウォーク
×8.コラソンビート
×10.セキトバイースト
×18.チェルヴィニア
昨年はリバティアイランド(通過順15-16)が豪快に追い込んでコナコースト(通過順2-2)が2着に粘った。桜花賞は行くか追い込むか、極端にメリハリつけて乗ったほうがハマりやすいレースで、3歳になったばかりの牝馬が、阪神外マイルで天賦のスピードを最大限に爆発させるにはこの二択になるということ。また近年の勝ち馬に共通するのは、チューリップ、フィリーズ、アネモネSといったいわゆるトライアルを使っていないこと。2月のクイーンCやエルフィンS、1月のシンザン記念、12月のJFからの直行なのだ。
ライトバックは上がり11.0-11.4の行った行ったをほぼ最後方からナデ斬って新馬勝ち。つづくアルテミスでは序盤にガツンと引っかかって伸びきれず。前走エルフィンでは何とか折り合って素晴らしい斬れ味でスウィープフィートをナデ斬った。ディーマジェスティやタワーオブロンドンが出る名門牝系で、母父がエクシードアンドエクセルなのでマイラーっぽいキズナ牝駒で、母系にダルシャーンが入るので脚をタメればタメるほど爆発する。こういう才気溢れる危うい牝馬で桜花賞を差し切ってこそ真の一流の騎手というべきで、新進気鋭の坂井瑠星がそれを成し遂げるとみた。キズナ産駒はこの21年生は質量ともに黄金世代だから、クラシックで勝ち負けする馬が何頭も出て不思議ない。今年のパンツはライトバックです。
スウィープフィートは後方で構えても常にうなっているが、それだけに追っぱなしたときの末脚の爆発力は凄い。チューリップぐらい前半折り合えばライトバックに雪辱も十分とみるが、父も母父も母母も中距離馬で、マイルでペースが流れて高速決着になったときにどうか。チューリップは稍重もプラスだった面はあるのでは。
アスコリピチェーノはリッスンの孫娘で地力があるし、母系にサドラーズウェルズが入るダイワメジャー産駒といえばアドマイヤマーズにレシステンシア。ただメジャー産駒だけに、JFのように中団から差す形で高速桜花賞を勝ちきれるかどうか。4角先頭ぐらいなら地力が黙っていないと思うが。
クイーンズウォークは弱点の少ないマイラーだが、母方にデピュティミニスターが入ってちょっと加速がもっさりパワー寄りに見える。陣営がオークス向きと評しているのはそのあたりかもしれない。マイルで才気爆発という弾け方には見えないのだ。
チェルヴィニアも良い馬だが、ハービンジャー産駒だけに1800をシッカリ走破というタイプに見える。スローのレースしか経験していないし、ルメールしか乗ったことがない馬というのは怖さがある。どう御すか見もの。
エトヴプレは母系の奥にオリオールのクロスがあり、行ききればしぶといことをフィリーズで見せつけた。祐介が言うように1400ベストだが、高速Hペース桜花賞ではこういうタイプの前残りが穴なのだ。

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例によってNETKEIBAの全頭解説から1~3着を

ステレンボッシュ
ヴァルコスやロカの姪で、ドゥラドーレスやレガレイラやアーバンシックのイトコ。母ブルークランズはJRA3勝(芝1800~2000)。牝祖ウインドインハーヘアはディープインパクトの母で子孫が繁栄中の名繁殖。父エピファネイアはエフフォーリアやデアリングタクトなどを出し成功。血統どおりの長手の体型の中距離馬で、マイルなら60秒で追走して33秒で上がるような配分が理想。そんな追走ができるか、それで届くレースになるかだろう。(距離○スピード○底力◎コース◎)



アスコリピチェーノ
アスコルターレの半妹で、母アスコルティはJRA2勝(芝1200~1400)。母母リッスンはフィリーズマイル(英G1・芝8F)勝ち馬で、タッチングスピーチやサトノルークスやミスタージーティーの母でキングスレインの母母。母系にSadler's Wellsが入るダイワメジャー産駒といえばアドマイヤマーズにレシステンシア。この母方の重厚さも強く、阪神は合うし距離はもっと延びてもよさそう。メジャー産駒だし、JFよりはもう少し前で受けたほうがいいのでは。(距離○スピード○底力◎コース◎)



ライトバック
インザオベーションの下で、3代母Lake Toyaの産駒にサンタラリ賞(仏G1・芝2000m)のSobetsuがいる。牝祖シンコウエルメスはジェネラスの妹で、エルノヴァの母で、ディーマジェスティやタワーオブロンドンやオセアグレイトの母母。母父Exceed and Excelはデインヒル系の短距離型。名門牝系のキズナ牝駒で、母系にDarshaanが入るだけに斬れ味が秀逸。エルフィンはスローを我慢して折り合えたのが収穫で、爆発力ならこれだろう。(距離◎スピード◎底力◎コース◎)



阪神JFが前後半46.4-46.2(良)、チューリップが46.0-47.1(稍)、フィリーズレビューが33.8-11.2--35.1(良)、このペースを刻んで逃げた馬が全部出てくるとなると、少なくともJFよりは前傾ラップで流れるのでは…

という頭で予想したのですが、蓋を開けると前後半46.3-45.9ですからJFと同じような配分の後傾戦となり、馬群は3列4列で一団で進み、JFの1着2着がそのまま入れ替わったという結末に

後傾戦なのに差し決着となったのは、9R10Rを見ても桜花賞ウィークにしては外が伸びる馬場バイアスだったことに加え、エトヴプレもセキトバイーストも緩めず逃げてこそ味があるタイプなので、結果的には前の組にあまりアドバンテージがなかったというべきでしょうね

これまで1000m通過60秒超のレースしか経験していないチェルヴィニアでしたが、ここは大外枠でカベをつくれず、これまでで最も速いペースなのにうなってしまい、予想コメントにも書いたように「ルメールしか乗ったことがない馬」の危うい部分が露呈してしまった形

スウィープフィートは例によってまずは後方で折り合い重視、またまた弾けそうな手応えで直線まできたんですが、4角でブロックされて追い出しを待たされたぶんが痛恨

輪郭なんかはマイラーっぽいんですが、体質は血統どおり中距離質で、マイルで高速決着になりすぎるとちょっと辛い面もあったかと…パドックもチューリップのほうが張りがあったと思います

ライトバックはパドックのテンションはギリギリセーフという感じで、返し馬でもうるさかったようですが、フワッと出して折り合いはバッチリ、ユタカをブロックしつつ大外からビュンと追い込んで、坂井瑠星さすがやなあ~という騎乗でした

直線追い出されてからの躍動はまさにハッとする脚で、さあここからどれだけ爆発するんやというところで画面から見切れてしまったのが残念で、ライトバックのパンツが見たかった人はフラストレーションが溜まったでしょう

いつも書くように「Darshaanの牝馬の斬れ」ってのは、デゼル=オヌール然りシゲルピンクダイヤ然りデンコウアンジュ然りエイシンデネブ然りで、スローの上がり特化のレースほど斬れる、脚をタメてタメて末脚特化で乗れば乗るほど斬れる


まあたいていの牝馬はそうなんですが、フランス血統の斬れを最も体現するDarshaanは特にそういう血なので、オークスも折り合いとの戦いになるだろうしこんなレースになるのだろうと思いますね

「パドックではライトバックのしなやかな体質とアスコリピチェーノの頑強な体質が目につく」とコメントしておきましたが、アスコリは1800ぐらいがベストとみているものの、ダイワメジャーのマイラーこうあるべきという頑強さで、JFと比較しても迫力を増してかなり成長が感じられました

リッスンの牝系にはこれもフランス血脈の斬れの代表格Rivermanが入るので、牡はいかにもサドラーの12Fというもっさり感があるんですが、牝はタッチングスピーチのように斬れはある脚質になる

なのでアスコリピチェーノは中団から差してもソコソコ味があるんですが、でもメジャー産駒がエピファやキズナやスワーヴ相手に大レースを勝ちきるには、やはり前で受けるべきではないか…という見方は変わらないですかね

改めてレースを見なおしても、一番強いレースをしたのはこの馬という内容で、栗東留学の関東馬が1人気2人気とは時代が変わったねえ~という話を年寄りはしていたんですが、渋いベテラン北村宏司が乗る関東馬を1人気に推したファンの目は正しかった

ステレンボッシュはエピファネイア×ルーラーシップ×ダンスインザダークで牝系がウインドインハーヘア、中距離×中距離×中距離でクロスがサンデーサイレンス4×4とSadler's Wells≒Nureyev4×6とNijinsky6×5・8、スペシャルウィークとダンスインザダークを通じるサンデーサイレンスとNijinskyとTom Foolの組み合わせのクロスという言い方もできます

今日のパドックでもモレイラが二人乗れそうな長い背中が印象的で、血統どおりのNijinsky的な中距離馬にしか見えないのですが、1000mを58.8で通過しあと600mを33.4で上がるというJFと同じぐらいのペース配分で、中距離馬が対応できるペース配分で走破できたことがまず大きかったと思いますね

あと4角でアスコリが早々と左手前になってちょっと膨れた、その間隙を突いて一瞬のうちに外に出したモレイラはさすがで、あそこで出せなかったら直線はチェルヴィニアの後ろでしたからね

母ブルークランズも背長の長い中距離馬で現役時は京都芝外1800と中京芝2000で計3勝、Northern Dancerがうるさい配合(5・6・6・8×5・5)ですが、こういう牝馬との配合も決まりやすいのが種牡馬エピファネイアの強みで、非Northern Dancerのシンボリクリスエスは血統表の1/4で使い勝手がいい

どうみても東京2400のほうが合っている馬ですから、オークスもかなり視界良好というべきで、それにしても皐月賞にはイトコのレガレイラとアーバンシックが出てくるし、もうモレイラとランズエッジは何でもありかいなという感じです(^ ^;)

ウインドインハーヘア(f.Alzao)
└ランズエッジ(f.ダンスインザダーク)
 ├ロカ(f.ハービンジャー)
 │├ドゥラドーレス(m.ドゥラメンテ)
 │└レガレイラ(f.スワーヴリチャード)
 ├エッジースタイル(f.ハービンジャー)
 │└アーバンシック(m.スワーヴリチャード)
 └ブルークランズ(f.ルーラーシップ)
  └ステレンボッシュ(m.エピファネイア)


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3 コメント

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一応念の為 (Unknown)
2024-04-10 18:55:33
シルクの追加募集も始まってますのでご確認のほど宜しくお願いいたします。
Unknown (MJ)
2024-04-11 08:51:15
はい栗にも伝えております
私は今日中にはアップするつもり
Unknown (MJ)
2024-04-11 10:19:20
康太アカンかったか…

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