スピルバーグ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009105961/
血統配合は秋天を参照してほしいが、一つ付け加えると、「ディープのLyphardクロスのG1馬は、母系にNorthern Dancer+Never Bend(Bold Reason)+Fair Trialの組み合わせを必ず持っている」説は今も有効で、トーセンラー=スピルバーグ(Sadler's Wells)もジェンティルドンナ(Bertolini)もディープブリランテ(Loup Sauvage)もこれにあてはまる。
全兄トーセンラーは母父LyciusのマイラーっぽさもONになっていて長いところよりは1800mぐらいのほうが斬れ味が際立つが、こちらは兄より伸びがある体型で重厚な体質で、スピードの乗りも持続的で、ようするにこちらのほうがLyphard的でありサドラー的でありHyperion的であるという説を採ってきた。兄より体質は硬めでそれほどストライドが伸びる走りではないが、しかし同じピッチで長く走ることができる。そういう「サンデー×Lyphard×ハイインロー」的粘着脚質に見えるから前受けに転じるべきだとずっと書いてきたが、ディープインパクトとダンシングブレーヴに関しては他のLyphardとは別もののオリジナルな爆発力がある血という解釈で、あまりLyphard論に固執しすぎるとよくないようだ。
秋天はスローで流れたわりには、早めに先頭に立ちすぎたとか、なかなか前が開かなかったとか、ポジションが後ろすぎたとか引っかかったとか、有力どころにそれぞれちょっとした誤算が生じた結果、有力どころがゴール前で意外に弾けず、いつもどおりの競馬をしていつもどおりの力を発揮した北宏スピルバーグだけがいつもどおりの末脚で追い込んだら突き抜けてしまった、というレースだったように思う。しかしここへきて本格化を辿っているのもたしかで、そこはBurghclere≒Aureoleのニアリークロスを持つディープ牡駒というべきだろう。ここは更に距離が400m延びるが、兄とは違って2000mに延びて持続力で勝ったのだから、それに兄もスローなら長い距離をこなすのだから、少なくともスロー想定ならば距離延長を割り引く必要はないのではないか。ただスローすぎて残り400mを23秒でダッシュするようなレースになってしまうと、後方一気でまとめて差し切るまでの鋭さは感じない。トーセンジョーダンがピンナで追い込んで秋天を勝った後、ウィリアムスでJCを先行して2着に粘ったような、あの二人はJC前にミーティングして先行策を決めたらしいが、そういう発想が少しでも北宏にあればというところで、「いつも意識して下げているわけではなく、この馬のリズムでもって進んで行っている」とは追い切り後の共同会見でのコメント。中団ぐらいからの差しで、上がり2Fではなく4Fの末脚勝負ならば、ここも名繁殖の血の本格化に期待できるだろう。
ワンアンドオンリー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011105072/
血統配合は菊花賞を参照。
母はタイキシャトル×Danzigらしいマイラーだったが、この馬は父の若いころ、本格化前の2着を重ねていたころに似た細身で長手の体型。ダービーはノリが勝負を賭けて引っかかるのを覚悟で出していって、実際かかり気味ではあったがでも前で受けたぶんと距離適性のぶん、そして東京で伸び伸びとストライドを伸ばして走れたぶん、イスラボニータについに雪辱したというレースだった。神戸新聞は本番を控えてダービーのように出しては行かず、しかし追い込むのではなく3角すぎからのロングスパート。ゴール前は接戦になったが、先頭に立ってからの「抜かせない強さ」を見せたという点ではローズのヌーヴォレコルトと似た勝ち方で、やはりハーツクライ産駒が成長し完成するというのは、Hyperionが発現してくるのとニアリーイコールなのだ、ということを再認識させる勝ち方でもあった。菊の負けはいろいろ不利な条件が重なってのもので、神戸新聞では横綱相撲でサウンズオブアースとトーホウジャッカルをねじ伏せているのだから、中距離の持続力なら世代ナンバーワンの評価は不動。ここはダービーと同じ舞台で、この枠順ならばノリはダービーのように出してきて内に入れてくるのではないかと思うし、イスラが秋天で古馬トップに通用することを示したのだから、ベストの舞台でベストのレースができれば、この馬とてここで勝ち負けになっておかしくないはずだ。本当に良くなるのは来年という気もするのだが、ここでジャスタウェイとワンアンドオンリー、ハーツクライ産駒どちらを信用するかとなると、やっぱり明確な意思を持って出していくほうを、4角で前にいるほうを信用すべきだろうと思うのだ。
フェノーメノ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106599/
血統配合は秋天を参照。
秋天はスタートは良かったが両隣の馬に二の脚で見劣り、左右から来られて引かざるをえずポジションが下がってしまった。もともと立ち回りの巧さと粘り強さで走るタイプだけに、スローを後方待機から外差しという形では持ち味は出ない。それにしても、蛯名は最後はあまり追ってなかったとはいえ、直線の反応も伸びも平凡でやや期待外れの内容ではあった。敗因としては、馬が長いところのペースに慣れてしまっていること、加齢とともに休み明けは動かなくなっていること、この二つをあげておきたい。春は日経賞5着から春天で即巻き返しており、ここは変われる材料が揃ったし今週の追い切りの動きも良い。しかしこの秋のトレンドでいうとこの代打には全面的に飛びつけないというか、誰が乗っても乗りやすい馬だし岩田は若いころの主戦でもあったけれど、やっぱり戦略的優位で勝ってきた部分が少なからずある馬だから、引きつづき蛯名が乗ってくれたほうが◎を打ちやすかった...というところでこの順位。
ジャスタウェイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106461/
スカイノダンの半弟で、母母シャロンはCCAオークス(米G1・ダ10F)勝ち馬で、その母Double Wiggleの産駒にトーヨーレインボーやエターナルビート、孫にフォーエバーモアなどが出る。牝祖Blue Burstが持つBlue Gay≒Revoked1×2がこの牝系の活力源だ。母シビルはWild Again(3/4欧,1/4米)×シャロン(3/4米,1/4欧)で「1/2欧,1/2米」で強いクロスを持たず、そこに同じく「1/2欧,1/2米」で強いクロスを持たないハーツクライが配されて、ジャスタウェイ自身はNorthern Dancer≒Icecapade5×3、Revoked≒Nothirdchance5・6×7、そしてトニービンとBushel-N-Peckを通じるHyperionとNasrullah的な組み合わせのクロスで、全体としては緩い父母相似配合と言っていいだろう。
ハーツクライ産駒は概して晩成で、本格化とともにトモや腰に力がついて前でレースができるようになってくる。ワンアンドオンリーやヌーヴォレコルトやウインバリアシオンは母がNorthern Dancerの強いクロスなので開花は早めだったが、本馬は父母ともに強いクロスを持たない相似配合なので典型的な晩成ハーツクライの成長曲線で、13年エプソムC後に福永祐一が「トモに力がついた」とコメントしてから快進撃は始まった。体型は父と母を足して割ったような、Wild Againを胴長にしたようなイメージ。体質脚質はHyperion的で、父ほどストライドを伸ばして走るわけではなく、Wild Again系×トニービン系のトランセンドもかなりHyperion的な体質脚質だったが、同じフォームで同じラップで長く走りつづけることができる。だから追い込んで勝ったときも鋭い瞬発力で並ぶ間もなく差しきっているわけではなくて、秋天もドバイも緩みのないラップの持続戦をゴールまで完歩やピッチがあまり落ちずに同じようなラップを我慢強く刻みつづけ、その結果持続力の差が明らかになって抜け出してからも突き離してしまった、という勝ち方だった。この持続力は凱旋門賞のような上がりの競馬では100%活きるとは言いがたく、だからトランセンドのように逃げろとは言わないが、もうちょっと前で受けて自分で緩みないペースをつくってHyperionを絞り出すようなレースをすべきではないか、ということは本格化前から書いてきた。そして中山記念でのノリはテン乗りにもかかわらず、気合いをつけて出していって、先行してしかもゴール前の脚色が一番いいという完勝。長所を100%引き出した騎乗で、この馬の進むべき道を示してくれた。前にブログでも書いたが、Wild Againを父や祖父に持つ馬に追い込み馬の大物なんて(この馬を除いては)いない。ここはスローになりそうだし、今のところ陣営から先行するという旨の発言も出ていないから、となると◎を打とうという気にはやっぱりなれない。世界一の持続力を誇る馬だが、その持続力は上がり11.8-12.0を4角先頭でこそ最大限に光り輝くものだろう。
ハープスター
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011104000/
母母ベガは桜花賞とオークスに勝ち、アドマイヤベガやアドマイヤドンを産んだ名繁殖でもある。トニービン×Northern DancerでHyperion4・6・6×5、残りのMoonscapeがTom Fool×Bold RulerでBull Dog3×4にAlpoise≒Outdone3×4(Laughing Queen=PompeyとPennant≒Pink DominoとBen BrushとMeddler)なので、「米血Moonscapeを1/4異系にし、3/4でHyperionとNasrullahをクロス」というトニービン産駒の王道配合。そこにファルブラヴが配されたのが母ヒストリックスターで、ファルブラヴは母父Slewpyを1/4異系とする「3/4欧,1/4米」の配合形だから、ヒストリックスターは「3/4欧,1/4米」の父母同士の配合ということになり、またHyperionクロスのベガに5代アウトのファルブラヴをもってきた「緊張→緩和」のリズムでもある。自身はNorthern Dancer3×3、Bold Ruler7×5、Specialとトニービンを通じるHyperionとNasrullahとFair Trialのクロス。そこにディープインパクトが配されたハープスターは、「母父がNorthern Dancer系のマイラーで(ファルブラヴはJCに勝った中距離馬だが種牡馬としてはFairy King的なマイラー資質を特に牝駒に強く伝えている)、母がNorthern Dancerのクロス」という、桜花賞で勝ち負けするディープ牝駒の典型のような配合パターンになった。またウインドインハーヘアはNorthern Dancer+Turn-to+Hyperion+Fair Trialという血脈構成だから、ウインドインハーヘアとFairy Kingとベガを通じてNorthern DancerとHyperionとNasrullah≒Royal ChargerとFair Trialの組み合わせをクロスしつつ、サンデーの米血を1/4異系的に使った配合形になってもいる。思わず膝を叩いてしまうようなニアリークロスがあるとか、近い世代に凄い全きょうだいクロスがあるとか、そういう特筆すべき仕掛けは見当たらないが、ファルブラヴの母系のどうでもいいところはあまりいじらず、ディープとFairy Kingとベガから引き出すべき資質は引き出した、ピントの合った配合と言うべきだろう。
Fairy Kingの影響が強いマイラーっぽい体型と肉付きの良い480キロ近い馬格を誇るが、体質はディープ譲りで柔らかみもある。札幌記念では川田がゴーサインを出してからの加速がスムーズで、ピッチ走法だから小回りコースでの機動力も十分。凱旋門賞は着順はともかく、直線でビュンと斬れた脚はTreveと双璧で、末脚の鋭さにかけては世界でも指折りだということは証明した。でもやっぱり、ジェンティルドンナと比較してもマイラー寄りの体型と加速をする馬で、2400mでもスローで上がり23秒ダッシュ決戦なら関係ないよと言われるかもしれないが、2000mと2400m、川田が乗りやすいのは間違いなく前者だろう。
ジェンティルドンナ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009106253/
血統配合は秋天を参照。
JC連覇を見てのとおりスローの上がりの競馬に強いが、それは母譲りのスプリントで一気に加速できる能力に秀でているからで、本質は2000m前後がベストの機動力と加速力に富む中距離馬だと思っている。2000mよりも2400m戦のほうが上がりの競馬になりやすいのでJCやドバイでベストパフォーマンスを叩き出してきた。「父中距離×母マイラー」の配合形で、2400mのスローをビュンと加速して抜け出してしまえる女傑、という点ではTreveとジェンティルは似たキャラだと思う。昨年の秋天はHペースで流れたのでジャスタウェイにちぎられたが、今年は得意のスローの上がりの競馬で当面の敵イスラボニータをきっちり捕らえたまではよかったが、スピルバーグにズバッと差し切られてしまったのをどう見るか。やはり休み明けは割り引きなのかもしれないが、Burghclereのニアリークロスを持たないしディープ産駒としても成長力に富む配合とは言えないから、衰えが忍び寄ってきているのも事実だろう。オルフェーヴルとの肉弾戦を制した一昨年と比べると、デニムアンドルビーに迫られた昨年はパフォーマンスを落としているのはたしかだし、その昨年より今年のほうがメンバーは強い。
エピファネイア
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104155/
血統配合は秋天を参照。
母を長手の体型でナスキロ柔い体質にしたような中距離馬で、Habitat絡みのニアリークロスの影響で血統の字面からは想像できないほどの動きの俊敏さ手先の軽さがある。Habitat譲りのトモの非力さはかなり強化されてきたが、今でも前の駆動の良さで走っているところはあって、京都や阪神の外回りの3~4角を唸りながら下ってくる脚が圧巻。唸りながら惰性で流れ込める京都外回りがベストコースで、東京も急坂がないのでダービーのように差しに回って斬れを発揮できるコースだ。秋天は前半ずっと力んで走っていたし、ゴール前で脚が上がり気味だったのはその影響も少なからずあるだろう。久々の来日となるスミヨンだが、誰もが折り合いに手を焼いていたキンシャサノキセキできれいに折り合ってスワンSを快勝、その後キンシャサはどこからでも差せる馬になった。この人もフランスの第一人者だけに折り合いのタッチは絶妙で、この乗り替わりで誰もが期待しているのはそこだろう。ダービー以上に弾ける可能性もアリという期待はあるが、菊を勝っているとはいえ、2400mよりは2000mがベターではあるとも思う。
イスラボニータ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103565/
血統配合は秋天を参照。
秋天は外枠のぶん2角までに少し脚を使わされるロスはあったが、スローの3番手で満を持して追い出して、しかし内からジェンティルにも差されての3着。本命馬としての最低限の責任は果たした一方で、「柔らかく大きく、かつ速く」動ける一流馬ではあっても、「柔らかく大きく、かつ速く強く」動けるスーパーホースではなかった、という言い方は少し酷だろうか。柔らかく大きくストライドを伸ばせるが、そこから地面をグッと掴んで筋肉が収縮して重心をテコに変えて反発する、その"強さ"が一流馬としては少し弱いように見える。だから秋天のように全部出し尽くすレースになると、ちょっと動きがダラッとして見える。また体型にそれほど伸びがないのに柔らかく大きく動けるということは、裏を返せば長い距離を走るための燃費が良い走りではない。ここは秋天以上に折り合いがカギとなるだろう。しなやかにストライドを伸ばして抜け出してくるシーンは目に浮かぶが、一方で秋天やダービー以上を望める材料は乏しい、というのが正直なところか。そんな状況下で、この馬の美点も欠点も知り尽くしている蛯名にかかる比重は大きい。
デニムアンドルビー
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104
トゥザヴィクトリーやサイレントディールなどでおなじみのフェアリードールの牝系で、トゥザグローリー=トゥザワールド兄弟とはサンデーサイレンスとキングカメハメハとフェアリードールが共通する3/4同血の間柄。こちらは父がディープインパクトで、Alzaoとラストタイクーンを通じるNorthern DancerとナスキロとAttica≒Tom Foolのクロスになり、角居厩舎らしい東京外回り向きのストレッチランナーとなった。一方で道悪にもへこたれないパワーと持続力は母系の濃厚なハイインロー譲りで、カミソリというよりナタと表現したい斬れが武器。
秋華賞4着が内回りの4角の加速でメイショウマンボに譲るという負け方だっただけに、宝塚も牡馬の強豪相手では苦しいとみていたが、内々を立ち回れたとはいえあの5着は古馬になっての着実な地力アップを示す内容だった。そのような成長力もこの牝系のセールスポイントのひとつだ。秋天は直線前にいたエピファネイアの上りでの反応が悪く、これを避けるために外に立て直すロスがあったし、そこからゴールまではなかなかいい脚色で伸びていた。巧く捌ければ昨年以上に走れるかもしれない。それで何着になるかとなると、今年のほうがメンバーは厚いので3着ならば...という言い方に。
トーセンジョーダン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2006103169/
「トニービン→ジャングルポケットの父系にノーザンテーストをもってきてHyperionの濃厚な継続クロスを重ねつつ、米血の塊クラフティワイフを母母に置いて1/4異系とする」、このパターンは、本馬の他にもカンパニーやレニングラードが出た黄金配合だ。超Hペースの秋天を追い込んで勝ったのがもう3年前のこと。以後は13年JC3着も12年春天2着も12年大阪杯3着も11年JC2着もすべて先行粘り込みでの好走で、11年秋天は超HペースでHyperion的な持続力粘着力だけで追い込めたが、やっぱり前で受けてHyperionを振り絞るというのがこの馬の持ち味を最も出せる競馬だろう。しかしもう8歳の秋、「Hyperionの成長力」という言葉もさすがに使いにくくなった。昨年と同じようなレースになって同じようなレース運びができたとしても、着順はもう少し下がるだろう。
タマモベストプレイ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104866/
タマモホットプレイ、タマモナイスプレイ、タマモトッププレイ、チャームポットなどの全弟で、ステイゴールドやドリームパスポートとも7/8同血ぐらいの関係で、おなじみのロイヤルサッシュにさかのぼる名牝系。母ホットプレイはNearco4×5・5、その父ノーザンテーストがLady Angela3×2、Nearco的Hyperion的凝縮を持つ母に5代アウトのフジキセキを配した緊張→緩和のメリハリだけでオープン級が続出する配合だ。
1400mぐらいがベストだった兄姉と比較すると体型に伸びがあってスピードの乗りも緩慢なので外1800mベスト説を採ってきたが、経年とともにますます緩慢で長いところ向きの走りになってきた。ロイヤルサッシュの牝系はPrincely Giftを引くだけに京都芝を上手に下ってくる馬が多いが、京都大賞典は速い脚がない弱みと下りを惰性で加速していける強みを理解し、下りから気合いを付けて逃げ馬を追いかけていった津村の好プレーだった。ただし最高に乗られた結果ラストインパクトに差し切られてしまったあたりはまだG1級で通用するレベルにはないと考えられるし、あのロンスパは東京では京都外ほどはハマらないだろう。展開的にはこの馬が番手をとれば、上がり2Fのヨーイドンにはならないという読みもできるか。
ヒットザターゲット
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2008104835/
血統配合は秋天を参照。
Miesqueとグリーンシャトーとニホンピロウイナーとノーザンテーストから受け継いだHyperionの血が騒ぎ始めたのはやはり古馬になってからで、4歳以降3つの重賞を手中に収めた。典型的な平坦巧者で、全8勝の内訳は小倉3、函館2、京都福島新潟が各1。若いころよりはいくぶんトモはシッカリしてきた印象もあるが、母系にHabitatの血が入るのでどちらかといえば前輪駆動の走りで、下りで惰性をつけられる京都外回りがベストコース。秋天は残り200mからジワジワ差してはきたが、よくみると坂の上りではやや置かれ気味というか他馬との加速で見劣っている。東京だと最後くるわりに着順が上がらないのはそのあたりだろう。
ディサイファ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2009102678/
血統配合は秋天を参照。
デビュー当初はいかにも"緩いディープ産駒"という感じで未完成だったが、古馬になって腰などがパンとしてきて追っての味も出てきた。ただグラスワンダー牝系譲りの掻き込み走法も受け継いでおり、毎日王冠やエプソムCを見ても、東京の良で一線級相手だと斬れ味で少し見劣るという印象。距離延長も母父からみてプラスとは言えないだろう。
《外国馬》
アイヴァンホウIvanhowe
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010190003/
母父Sternkonigの母SternwappenがWaffenart5×4、Alchimist=Antonia≒Arjaman≒Aditi6×4・5・5・5・6、3代母IndraがAlchimist≒Aditi2×4。母父父KalaglowがPalestine4×3、母母父Local SuitorがNasrullah3×4。母Indigo Girlはドイツ血脈が強いSternwappenとIndraを代々1/4異系とし、残りの3/4でNasrullah~Nearcoを継続クロスしてきたが、Nasrullah=Rivaz6・6×5・6、Wild Risk6・7×5、Aureole5×6ぐらいで強いクロスは持たない。父Soldier Hollowはバイエルンツフトレネン(独G1・芝2000m)を連覇した中距離馬で、Sadler's Wells≒レイクアイル2×2(Northern DancerとHail to ReasonとBimelech=Big HurryとSpecial=Lisadellが共通)、Northern Dancer3×5・5と強いクロスを持つので、なかなか見事な緊張→緩和になっている。
母がWild RiskとAureoleのクロスというだけでちょっとまともな気性とは思えないし、隣の馬にぶつかりながらSea the Moonに襲いかかるときの脚はそれらしい狂気も漂っていた。大物食いの一発大駆けタイプだろう。ただし凱旋門を見るかぎりはあくまで"ナタの斬れ"で、上がり11.5-11.5をビュンと差し切るような鋭さ軽さは期待できないかも。ちょっと上がりがかかればドゥーナデンぐらいは追い込めるかもしれない。外国馬ではこれを拾いたい。
トレーディングレザーTrading Leather
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010190002/
父TeofiloはFrankelと同じGalileo×デインヒルの配合でNorthern Dancer3×4、デューハーストS(英G1・芝7F)や愛ナショナルS(愛G1・芝7F)など5戦5勝でカルチェ賞2歳チャンピオンに選ばれたが、そのまま脚部不安で引退した。母のNorthern Dancerクロスがあまり強くない(5×4)ので配合全体のバランスは悪くない。母が持つMill Reef≒Riverman4×3にMiswakiの母Hopespringseternalが呼応する(ナスキロラトロ)ので、細身で脚長でナスキロ柔く斬れるが、動きは緩慢であくまでコンデュイット的な重厚な斬れだ。東京で上がり11.5-11.5では反応できないタイプだろう。
アップウィズザバーズ Up With the Birds
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010190001/
父Stormy AtlanticはStorm Cat×Seattle Slewだからスタチューオブリバティのような配合で、日本で走っている産駒は芝ダ兼用のスプリンター~マイラーが多い。母母Wilderness SongはスピンスターS(米G1・ダ9F)勝ち馬で、Wild Again産駒で欧血中心の血脈構成なので、アップウィズザバーズ自身は「3/4米、1/4欧」の配合形になっている。Seattle Slew的な胴長体型でナスキロ柔さもあるので、東京芝中距離への適性はありそうだが、2400mで真の底力や持続力を要求されて強い血統ではなく、適性だけで通用するとは思えない。
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サトノシュレンと久々二度目のコンビとなる川島がどんな逃げを打ってくるのか、ここがまず読みづらいが、いずれにしても番手はタマモベストプレイで、その後ろにフェノーメノとイスラボニータとトーセンジョーダンとワンアンドオンリー、レースをつくるのはここらだろう。京都大賞典はトゥザグローリーが引っかかって後続を離して逃げたが、番手の津村は下りから気合いを付けてスパート態勢に入らせており、瞬時に加速できないがダラッと長く脚を使えるベストプレイの持ち味を活かしきった好騎乗で、おそらくここも同じような呼吸でスパートしてくるだろう。
とすると、仮に川島がスローで逃げても上がり11.5-11.5のダッシュ勝負ではなく、ユタカのヒットザターゲット(11-9-6-2)やアンカツさんのウインバリアシオン(13-15-2-2)が4角手前からレースを動かして、上がり4~5Fの"スローからのロンスパ戦"にした13年や11年に近いイメージでいいかもしれない。
この4Fロンスパ戦に共通するのは(1)トーセンジョーダンが2着3着に残っていること(2)ジャガーメイル、トレイルブレイザー、アドマイヤラクティといわゆる目黒記念タイプが健闘していることで、スローでもヨーイドンでなければ、Hyperion的持続力や東京2500mで好走するようなスタミナがある程度信用に足る、というスタンスでいきたい。一方で昨年よりもメンバーは厚くなっていること、いわゆる"お手馬コンビ"が脚光を浴びる今期のトレンドも考慮して…。
05年JCで2番人気に支持されたハーツクライは、4角13番手から追い込んでハナ差2着。間違いなくあと一完歩でアルカセットを交わしていた。そしてこれがルメールに、次走有馬での先行を決意させる伏線となったのは言うまでもない。
ジャスタウェイもワンアンドオンリーも前走はうまくいかなかったレースだったが、それを踏まえてここで鞍上がどう乗ってくるか。予想する側としては男馬のHyperionを信じた印でいきたいし、男馬のHyperionを信じきって乗れるのは誰だろうか、というところでこんな印に着地。ディープ娘とイスラに印を回すかどうかは、もう2日間考えさせてください。
◎スピルバーグ
○ワンアンドオンリー
▲フェノーメノ
☆ジャスタウェイ
△アイヴァンホウ
藤沢厩舎所属でデビューした北村宏司はこれまで数多くの素質馬良血馬に跨ってきたが、一方で大一番の勝負がかりでは岡部さんやノリや外国人が騎乗することがほとんどで、これまでG1での騎乗成績は[2.2.5.87]、先の秋天勝ちが06年ヴィクトリアマイル(ダンスインザムード)以来8年ぶり2度目のG1タイトル奪取だった。この計96回のG1騎乗で1人気はなし、2人気は2回だけ(1.0.1.0)、3人気も3回だけ(0.0.1.2)だから、名門厩舎の準主戦を長くつとめてきたわりには、G1でチャンスのある馬に乗る機会はあまり巡ってこなかったというべきだろう。
スピルバーグもデビュー戦からコンビを組んでいたのだが、プリンシパルS勝ちはウチパクが、そしてダービーはノリが手綱を取った。ダービー大敗後に長期休養に入り、復帰後は1000万下からの出直し、それからはずっとコンビを組みつづけて[4.0.1.0]、着実なステップアップを遂げて大舞台に戻ってきて、いきなりの秋天勝利。岡部さんやノリの背中を見ながらキャリアを積んできた"永遠の準主戦"が、名繁殖プリンセスオリビアの血を引くディープインパクトの素質馬を、自分なりのやり方で完全開花させたのがスピルバーグなのだ。
今でも岡部さんのようには乗れないしノリのようにも乗れないけれど、スピルバーグの全13戦中8戦で手綱をとってきた自負を胸に、おそらく前にいるであろうワンアンドオンリーを視界に入れながら、ノリの背中を追いながら、北村宏司は鞭をふるうだろう。
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/7e15cb9b7a145639588c7bfdd6e948a6
私の記憶違いでしたね。
あと、サドラーが日本で走らない血統的原因は、ミルリーフかなと思っています(シングスピールはヘイロー×バラード一族配合の影響化にあるから例外)。
これは以前、日本でサドラーが走らない原因はと考えた時、日本で走ったオペラオーやサムソンと、欧州で活躍中のサドラー系に違いがないか調べたら、日本で走ったサドラー系には、ミルリーフが入っていない共通点を見つけたんです。
ノーザン系クラブで募集中のサムソン産駒も、ミルリーフが入っていない産駒が多いから、意外と大手牧場の配合プランナーは、こういうところに気がついているのかなと思っています。
ロベルト=有馬イメージが強い一方で、シンクリやウオッカはJC勝っているから、馬によってはJCで勝負になると思っていたら、シンクリ産駒がJC勝っていて驚いています。
ウオッカもエピファネイアもロベルト系で尚且つ、ナスキロとHyperionを合わせ持つ馬でした。(ウオッカのHyperionは薄目ですけど)
こういう展開こそ、もってこいの馬だったんでしょうね~
朝からすみません
確かにあのペースは読めませんでした。
勝ち馬はずっと掛かってましたが、それでも最後はほぼ持ったままぶっちぎったんですから文句なしに強かったと思います
ロベルトのスタミナにスペシャルウィークの持続力、キロフプリミエールのパワー
昨日のエピファネイアはこれらの血が一気に爆発した感じでした
ヨーロピアン好きの私は久々に府中で一流サドラーの走りを見れたと喜んでました(^^;)