栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第169回天皇賞回顧~シーザリオ決戦!Habitat≒Kris S.で下る

2024-04-30 11:18:56 | 血統予想

京都11R天皇賞
◎5.ブローザホーン
○14.テーオーロイヤル
▲12.ドゥレッツァ
△1.サリエラ
テーオーロイヤルはリオンディーズにクリスエスが入るからエピファネイア的で(ハビタット≒クリスエスのニアリークロス)、しかも母父がマンハッタンカフェだから、高速ステイヤーとしての資質はもとより高かった。長距離重賞連勝の内容は圧巻で、完全復活どころか6歳の今が全盛期かもしれない。
ドゥレッツァは牝系がスタミナ豊富で母は芝2400のNZオークスに勝っているし、金鯱賞をみると2000よりは2400の馬なのだろう。マテンロウレオは日経賞で一周目の直線で馬が行く気になってしまったが、同じ轍は踏みたくないならノリは逃げないと思う。とすると今年は前半スローになりそうだし、前で運んで高速上がりを出せる裏付けがあるドゥレッツアは下げられない。
サリエラは前走時432キロの低燃費体質&走りでステイヤー然とした牝馬だと書いてきたし、ダイヤモンドではテーオーロイヤルとビッシリ叩き合った。ただ当時が斤量差3キロで今回は2キロ。それと馬群がイマイチなドイツ血統だけに、17頭立ての最内枠はユタカといえども乗りにくい。スローで馬群が密集するとなおのこと乗りにくい。ゴールまで割れずじまいだった新潟記念の悪夢がよぎる。
タスティエーラは大阪杯はスピード負けの格好だったが、出来も万全ではなかったかも。菊2着馬が巻き返すシナリオも一考したが、京都の高速上がり戦を差し切るようなイメージではない。
ブローザホーンはダイヤモンドS2着ジョーヤマトが出る牝系がスタミナ十分で、そこにエピファネイアだとスタミナに偏りすぎなぐらいだが、最優秀短距離馬デュランダルが間に入ってセオリーどおりの好形になった。京都は2戦2勝(1競走中止)で、前駆のいいフォームで下ってくるさまはたしかに父エピファネイアと重なるところ。前走時426キロのステイヤー体質で、まさに淀の長丁場向きの馬だ。
「阪神大賞典は行きっぷりがよすぎたが、折り合いを気にしすぎずに自信を持って乗りたい」(菅原)。そうそう、エピファネイアはそれでいい。福永先生だって菊は一周目からうなってたし、2周目の下りで我慢ならんという感じで先頭に立った。達人スミヨンだってスタートからずっとうなりながら走らせてJC圧勝だ。シーザリオがうなりながら下る淀の3200。今年の春天はこれで打ってみる。

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すいません昨日やることが多すぎて回顧書けませんでしたm(_ _)m
まずは例によってNETKEIBAの全頭解説から、導入文と1~3着を

昨年はディープ系ワンツー+ステイゴールド系、Sir GaylordとPrincely Giftで下る
23年はジャスティンパレス(父ディープインパクト)とディープボンド(父キズナ)、ディープインパクト系のワンツーで、3着がオルフェーヴル産駒シルヴァーソニック。20年はディープ産駒フィエールマンが勝ち、ステイゴールド産駒スティッフェリオが2着。19年はフィーエルマンとグローリーヴェイズ、ディープ産駒のワンツーで、3着がステイゴールド産駒パフォーマプロミス。京都外回り長丁場は、Princely Gift譲りの脚長前輪駆動で下るべし…とよく書いたものだが、ステイゴールドの母母母父がPrincely Giftだ

テーオーロイヤル
メイショウハリオの半弟で、メイショウカドマツやメイショウキョウジの甥で、メイショウベルボンやメイショウジブリのイトコで、4代母はCourtly Deeという名門牝系。リオンディーズ×マンハッタンカフェはリプレーザやテーオーラフィットと同じ。母母父がRoberto系Kris S.だから、リオンディーズをエピファネイア風味にした配合ともいえる。今春は重賞連勝で完全復活。もとより長丁場では地力上位だが、Roberto的な後駆で坂コースがベターかも。(距離◎スピード○底力◎コース○)



ブローザホーン
デザートスネークの甥で、母オートクレールはJRA4勝(芝ダ1200~1600)。ダイヤモンドS2着ジョーヤマトも近親。母父デュランダルはマイルCSやスプリンターズSの勝ち馬。牝系はスタミナ十分で、母父にスピードが入ってエピファネイア産駒としてもバランスの良い配合になった。2400以上[4-0-1-1]、426キロの小柄なステイヤー。前駆がいい走りのエピファ産駒だから、実績どおり京都外回りも合う。日経新春杯のようにスタミナ勝負になれば。(距離◎スピード○底力◎コース◎)



ディープボンド
ダンケシェーンの半弟でローレルゲレイロのイトコでノースブリッジやタッチウッドも近親。Storm Catの血脈構成をニアリークロスで増幅し、キズナ産駒の走る配合パターンといえる。母がマイラー質なので先行力や機動力を兼備しており、長距離ならロンスパ捲りでしぶとく流れ込むが、ジリ脚で大一番で2着が多いのは母母父カコイーシーズの面影も…。京都外2400以上は[1-1-1-1]で崩れなしだが、高速馬場では辛いので一雨ほしい。(距離◎スピード○底力○コース○)



23年○ヒュミドール△シルヴァーソニック、20年○スティッフェリオ▲フィエールマン△ミライヘノツバサ△エタリオウ、19年◎フィエールマン▲ヴォージュ、京都の春天は外回り3200を下るPrincely Giftを毎年狙ってきました

今年の出走馬でPrincely Giftをもつのはシルヴァーソニック、スマートファントム、ドゥレッツァ、プリュムドール、メイショウブレゲ、ワープスピードでしたが、高速決戦前提で予想するといずれにも印は回らずでしたね

となると、母方に入るHabitat、Kris S.≒Habitatのニアリークロス2×4由来の前駆のいい走りで、京都は3戦3勝で菊花賞をうなりながら下って4角先頭で圧勝で、産駒も菊でよく激走するエピファネイア、これを父にもつブローザホーン

そしてエピファネイアの半弟リオンディーズにKris S.が入ってHabitat≒Kris S.5×3をもち、キングカメハメハ×マンハッタンカフェ(Pasadoble≒Allegedのニアリークロス)でもペプチドナイルのようにRibot肩を引かなかったテーオーロイヤル



この2頭はそもそも3200を走破するスタミナが優位なだけでなく、下りで加速して惰性で直線先頭のレースができる、淀の長丁場の勝ちパターンにハメられる血統的な裏付けもありました

ちなみに私のTARGETのテーオーロイヤルのコメント欄には、3年前から「Ribotエピファ」とだけ書いてあります

Ribotエピファやから、大箱長距離でこその馬なのだと言いつづけてきて、21年の兵庫特別~ダイヤモンドSの3連勝はずっと◎でしたが、つづく春天は阪神内回りやったので無印にしたら、タイトルホルダーに真っ向勝負で3着に踏ん張ったので舌を巻きました

あの春天の2着がディープボンドで、これで春天は4回走って京都でも阪神でも[0-3-1-0]、香港ではノースブリッジが入魂の逃げでアワヤの3着で、村田のモガミヒメ健在です

終わってみればシーザリオ経由のHabitat≒Kris S.のワンツー、3着はディープインパクト経由のSir Ivor≒Drone6×5・5、Princely Gift勢がスピード的に苦しかった今年はSir Gaylordで下る春天に

思い起こせばリオンディーズが種牡馬入りするときに「エピファネイアに倣うならばシンボリクリスエス肌との配合が成功するはず」と書いたんですが、リオンディーズ×シンボリクリスエスは今のところ大当たりは出てなくて、でも代表産駒はやっぱりHabitat≒Kris S.やったというね

それにしてもキングカメハメハ系種牡馬×マンハッタンカフェ牝馬の配合は、以下のように最近猛威を振るってます



この組み合わせはPasadoble≒Allegedのニアリークロス(Ribot、Princequillo、War Admiral、Flower Bowl≒Determine、Count Fleetが共通)で両者のパワーが表現されやすいのでペプチドナイルのようなダート巧者も出るのですが、キングカメハメハがNorthern Dancer4×4・6でキンカメ系種牡馬はNorthern Dancerクロスがうるさい配合が多いので、非Northern DancerのマンハッタンカフェをもってきてNorthern Dancerクロスについての緊張→緩和で爆発しているという面のほうが大きいでしょうね(ちなみにテーオーロイヤルの父リオンディーズはNureyev≒Sadler's Wells4×3とNorthern Dancer5・5・7×4・6、母メイショウオウヒはNorthern Dancerなし)



ドゥレッツァは熱中症ということで失速はやむなし、サリエラは1周目直線でテーオーの直後の外に出したのはさすがで、この2頭で決まるかと思ったんですが、早々と外に出せたことで早々とヤル気になってしまったようで、行きたがってしまったとユタカはコメントしてます

マテンロウレオはどうもゴール板や正面向正面を認識しているふしがあって、今日も日経賞も、1周目の4角~直線を全力で走ろうとしてるように見えます(ディープインパクトが菊花賞の一周目で引っかかったやつですね)

「4角回ってくるときは、20年前に天皇賞を見に来ていた自分に『見ておいてくれ』という気持ちで追っていました」

菱田少年が初めて競馬場でレースを見て、騎手をめざそうと心に決めたのが2004年の春天、ノリとイングランディーレが大逃げを決めたあの春天でした

今日もノリのマテンロウレオが大逃げを打ってスタミナ勝負の下地をつくり、31歳になった菱田少年はお手馬テーオーロイヤルのスタミナを信じて、2周目下りでもう手応えがなくなったドゥレッツァをパスして、Habitat≒Kris S.譲りの前駆で先頭のディープボンドに並びかけていった

「淀の下りはゆっくり下らなければならないというがあれは嘘で、下りで行かなければ春天や菊は勝てない」と笠シショーは言いますが、それを最も体現していたのはやっぱりライスシャワーで、ライスシャワーは下りで行って下りで逝った馬でした

ブローザホーンが勝つ馬券で勝負しましたが、菱田とテーオーロイヤルが下りで行って、横綱相撲で勝って素晴らしい天皇賞でした、菱田おめでとう

コメント (6)
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