栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第68回大阪杯回顧~今年も先行押し切り、高速巡行で夢かなう

2024-04-02 10:37:12 | 血統予想

阪神11R大阪杯
◎9.ステラヴェローチェ
○11.ベラジオオペラ
▲15.リカンカブール
17年からG1に昇格し今年で7年目。この7年間は、ジャックドールとレイパパレが逃げ切り、ポタジェとラッキーライラックとアルアインがイン好位から抜け出し、スワーヴリチャードが向正先頭で、キタサンブラックは番手抜け出しで勝った。勝ち馬の4角順位は平均2.57で、良でも重でも、外々を回ってまとめて差し切るのは困難なレースだ。しかも今年は逃げ馬が不在で、どういう隊列になるのかがなかなか読みづらい。
まだ上積みがありそうな体つきで大阪城Sを勝ったステラヴェローチェはまさに地力上位。もう脚元の不安はないようで更に状態は上がってきた。ゴスホークケンの甥で牝系はマイラーだが、バゴ×ディープインパクトでヘイトオブファッション≒バークレアの3/4同血クロス3×4だから持続力と成長力に富む中距離馬。調教師は行く馬がいなければハナを切ってもいいとコメントしているし、鞍上も無理に押さえず馬まかせで先行か。阪神内2000で前で受けたら、ハイペリオン的な二枚腰が黙っていないだろう。
ベラジオオペラはエアデジャヴーの曾孫で、内回りの機動力には定評がある牝系。ボッケリーニに競り勝ったチャレンジCの内容も評価できる。リカンカブールは外枠を引いてしまったが、シルバーステート産駒だからこれも内回りのコーナーで加速できるタイプ。前走のように好位で運べれば。
タスティエーラとプラダリアとローシャムパークは、2000のスピード競馬だとバリバリのG1級とはいえない。ソールオリエンスはブリンカーを着けてくるようだが、いつもの外差しでまとめて面倒みれるかどうか。△を入れてもいい馬は何頭かいるが、買いたいのは◎単と◎→○▲なので印はシンプルに。

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例によってNETKEIBAの全頭解説より1~3着馬を

ベラジオオペラ
エアアンセムやサトノヘリオスの甥。牝祖エアデジャヴーはオークス2着で、エアメサイアやエアシェイディの母でエアスピネルやエアウィンザーの母母。父ロードカナロアは世界の短距離王だが、中距離型の繁殖との間にアーモンドアイ、パンサラッサ、サートゥルナーリアと中距離のチャンピオンを出している。本馬も母父ハービンジャーが強い中距離馬で、この牝系らしく機動力に富み重賞勝ちはともに内回り。コース適性はここでも上位だろう。(距離◎スピード○底力○コース◎)



ローシャムパーク
母レネットグルーヴはドゥラメンテと同血でJRA3勝(芝1600~1800)。母母イントゥザグルーヴはアドマイヤグルーヴの全妹でJRA4勝(芝1800~2000)。牝祖エアグルーヴは名牝名繁殖。そこにハービンジャーで、本馬はボーデンと同血の間柄になる(父と母父が同じで母母が全姉妹)。香港Cは本調子を欠いたか見せ場もなかったが、持続力とパワーに富む中距離馬でここまで[6-2-1-2]とあまり底を見せていない。2000でG1となると時計はかかってほしい。(距離○スピード○底力◎コース◎)



ルージュエヴァイユ
デインバランスの半姉。母ナッシングバットドリームズ(不出走)は父が名馬Frankelで母は凱旋門賞馬デインドリームで、デインヒル3×3のクロスをもつ。父ジャスタウェイはハーツクライの代表産駒でダノンザキッド、テオレーマ、マスターフェンサー、ヴェロックスなどの父。エリザベス女王杯では直線荒れたインに突っ込んで力強く差してきた。牝馬ながら持続力と底力に富むが、長手の体型のジャスタ産駒で、内回りでは差しにくそうな…。(距離○スピード○底力◎コース○)



予想コメントにも書いたように、G1大阪杯の勝ち馬の4角順位は平均2.57、今年も2~3番手の2頭の叩き合いとなり、外枠から果敢に出していったベラジオオペラ和生と、向正で押し上げていったローシャムパーク戸崎のエスコートが決め手となりました

ステラヴェローチェは4角で手応えが怪しいリカンカブールをパスするとき、プラダリアの内を狙ったら結果論ですがスペースはあったかなと、すぐ横にいたルージュエヴァイユがそのまま最内を突いて3着にきただけに、ベラジオとのワイドが勝負やっただけにボヤきたくなりますが(^ ^;)、あの瞬間に内にはスペースがなさそうとジャッジするのもやむを得ないですかね

タスティエーラとプラダリアについては、NETKEIBAの解説で「2000だと渋ったほうが狙いやすい」と書いておきましたが、2000mを118秒で走破するレース、後半1000mを58秒で走破するレースでG1級といえるような実績は残しておらず、逆にいうと1F延びて馬場が荒れてくる宝塚では見直せるのでは(ステラヴェローチェにも同じことが言えますがもう穴人気必至かと…)

ソールオリエンスやハーパーは内回りのコーナリング能力が高くないので外を回らざるをえなかったですが、大阪杯を外4列目を回って差し切るほどの傑出した馬ではない

ベラジオオペラはアイドリームドアドリーム牝系らしい機動力抜群の中距離馬で、向正でローシャムに並びかけられてからもコーナリングで終始リードを保ち、けっきょくゴールまで抜かせませんでした

「望田が選ぶサンデー直仔限定“三大Bold Ruler忍者”は、マイルがジェニュイン、中距離がエアメサイア、そして短距離がオレハマッテルゼです」「私に言わせればSeattle SlewやSecretariatなんてぜんぜんBold Ruler的じゃなくて、彼らはオリジナルなナスキロ血脈であり、アイドリームドアドリーム牝系みたいなのが典型的なBold Rulerやと思ってます」(望田潤bot)



ベラジオオペラは
Kingmambo≒Paris Breeze3×6
Storm Bird≒ノーザンテースト4×4
Graustark=His Majesty5・7×6
Bold Ruler6・7×7
トライマイベストとデインヒルを通じるNorthern DancerとBuckpasserのクロス
と、全体に密な父母相似配合になってますね

母父ハービンジャーの重厚さも表現された中距離馬ですが、公式ラップは12.4-10.9-12.5-12.6-11.8-11.5-11.5-11.4-11.4-12.2、内回りの3~4角を高速巡行で走りつづけるレースを直線先頭で押し切るというのは、これぞアイドリームドアドリーム牝系の真骨頂

エアシャカールの皐月賞、エアメサイアの秋華賞、ベラジオオペラの大阪杯、これで内2000のG1コンプを達成…かと思ったらまだホープフルがあったか(^ ^;) オープン特別時代の2013年にエアアンセムが勝ってますが

母父ハービンジャーのG1勝利はレガレイラに次いで2頭目ですが、ハービンジャーは肌に回っても重厚さと緩さを伝えているので、ベラジオオペラ(ロードカナロア)、メイケイエール(ミッキーアイル)、オメガギネス(ロゴタイプ)など、マイラー質の種牡馬との配合が成功しやすいのは順当な傾向やと思いますね

ロードカナロア×ハービンジャーはJRAに8頭が出走し、ベラジオオペラの他エイカイマッケンロ(現役3勝)、スクルトゥーラ(現役2勝)、グレイスフル(2勝)の4頭が勝ち馬となってますからまずまず成功しているといえるのでは

コメント (7)
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