栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

日曜の重賞回顧~鮮やか復活“斬れるインディジェナス”

2016-02-14 17:56:52 | 血統予想

東京11R 共同通信杯
◎1.スマートオーディン
○10.ハートレー
ハートレーはアユサンやサトノアラジンをエーピーインディ的に胴長にしたようなイメージで、東京のほうが末は斬れるタイプとみている。ただスローの1800mというマイラーっぽい爆発力が要求される条件下では、母系のハビタットの影響も感じさせる体型体質加速のスマートオーディンがまた凄い上がりを叩き出しそうだ。追うと内にモタれるところがあるし、土曜の東京はイン伸び優勢だったからこの最内はむしろレースがやりやすいのでは。もう一頭拾うならメートルよりイモータルだが、まともなら一騎打ちだろう。

京都11R 京都記念
◎7.サトノクラウン
○9.レーヴミストラル
▲6.タッチングスピーチ
△2.アドマイヤデウス
△4.ショウナンバッハ
×3.トーセンレーヴ
×10.ワンアンドオンリー
注13.ミュゼゴースト
サトノクラウンは天皇賞では全く反応せずに馬群に飲み込まれていったが、今回は「昨秋のようなことはない」と陣営は言っている。ダービーで◎にしたように4歳世代ではドゥラメンテに次ぐ評価をしてきた馬で、ここは格好をつけてもらわないと困るし、馬場が渋るのはむしろプラスだろう。タッチングスピーチもこの世代のディープ産駒ではナンバーワンの評価をしてきた馬で、今年は飛躍の年になるのではないかと期待している。ただ馬群の中ではどうもズブいところがあるだけに4角で大外に持ち出せるかどうかだろう。

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共同通信杯は人気2頭が掲示板にも載らない大敗で波乱、前夜の雨量が思った以上に多く、ハービンジャー×ダンスインザダークでHis Majesty=Graustark5×6のテルメディカラカラやNureyev3×3のバゴ産駒マンボネフューが好走するパワー馬場となり、ここにまず波乱の要素があったのかと

ディーマジェスティの母エルメスティアラは未出走ですが、その半姉エルノヴァ(父サンデーサイレンス)は牝馬ながらステイヤーズSで2着するなどパワーとスタミナを誇った馬で、5歳時のエリザベス女王杯はアドマイヤグルーヴの3着
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013104704/

3代母Doff the Derbyは英ダービーやキングジョージに勝った名馬ジェネラスの母でもありますが、ジェネラスは種牡馬としてはパワーとスタミナに偏りすぎていてCaerleon的なしなやかさはほとんど伝えず、ガルボやアドマイヤスバルやタニノエポレットの母父といえばだいたいのイメージは掴んでいただけるかと

シンコウエルメスからの分枝も前述エルノヴァをはじめ、セイクレッドレーヴやワールドレーヴなどだいたいパワーに振れたタイプばかりで、ディーマジェスティの全姉ホクラニミサも稍重になるとジリジリ差してくる

ディーマジェスティは新馬戦で単勝を買ってて、当時ブログに書いたコメントが「ホクラニミサの全弟で母がブライアンズタイム×Sadler's Wells、姉よりパワー寄りで洋芝向き」

このイメージはずっと変わらなくて、東京で未勝利を勝ったときもマウントロブソンをやっとこ差したという感じであまり斬れ味は感じられず、だから東京1800mのスローで上がり33秒ソコソコでビュンと弾ける絵は全く浮かばなかった(^ ^;)

しかし想定以上にタフな馬場になり、道中も意外に流れてレース上がりが11.8-12.3、新馬が11.7-11.9、2戦目が11.5-11.8、3戦目が11.0-11.5

イン伸び馬場をインベタで回ってこれたのも大きかったですが、いつも上がりの競馬でジリ脚ばかりが目立っていたのに、タフな馬場になってついにパワー全開という勝利でした

ディープ産駒でも斬れ味は並で、母父Dynaformerのニューダイナスティが荒れ馬場の七夕賞でインを突いて2着に差してきたような、あんなイメージで、距離はもっと延びたほうがいいでしょうが、東京でも中山でも上がりの競馬だと鋭さ負けしてしまうタイプでもあるかと

イモータルは相変わらずパドックでは良く見せますが、ちょっとしなやかすぎて緩すぎるぐらいで完成度はそれほど高くないように思えるし、そんなタイプですからパンパンの良ならもっと斬れたんじゃないかと思います

メートルダールも母がRoberto×Sadler's Wellsですからディーマジェスティと同じ組み合わせで、この母方のパワーが強く中山のほうが追い込みやすいイメージで、今年の共同通信杯は稍重の弥生賞みたいな質のレースになった感があります

以下「重賞の見どころ」より再掲

メートルダール
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2013105785/
母イグジビットワンはパオロメザノッテ賞(伊G3・芝2000m)とカルロダレッシオ賞(伊G3・芝2400m)勝ち馬で、4代母ZaizafonはZafonicやZamindarの母。母父Silver Hawkはグラスワンダーの父でビービーバーレルの母父。ダイヤモンドS4着のノーステアとはゼンノロブロイ×Silver Hawk×Sadler's Wellsまで共通するのでかなり似た配合といえる。母系にRobertoとSadler's Wellsが入るのでパワー豊富で、ここ2走を見てのとおり中山中距離の捲り差しで本領発揮のタイプ。ここは東京替わりと距離短縮が割り引きで、馬場が渋って時計や上がりのかかる決着になってほしいところか。

スマートオーディンは中間坂路でガンガン乗られてパドックでも肉付きがよくなって、これはたしかに鍛えられてきたけどあまりスローになるとうなって行ってしまうんじゃなかろうか…と心配になったのですが、ソコソコ流れたのに前をカベをつくってもユタカがなだめるのに苦労するほどで、あれだけ行きたがるとマイラー寄りの肉付きになってきているだけになおさら苦しい

ハートレーはイン伸び馬場なのにずっと外々を回っていて、ストライドで走る馬ですからノリは伸び伸びと走らせたかったのかもしれませんが、直線は全く反応せず内にモタれて苦しがっていて、馬場を苦にしたのかそれともスロー専用機なのか、いずれにしても食い足りない内容でした

まあこれからクラシック本番まで一喜一憂がつづくわけですが、あんなとんでもないラップで逃げ切ってしまうメジャーエンブレムだってスローで引っ張って逃げたら斬れ味のある馬にビュンと差されてしまったわけで、イモータルだって朝日杯で引っかかったらどこにもいなかったわけで、いつも言うようにどんな馬場でもコースでもペースでも同じぐらい強い馬なんてなかなかいないわけで、負けてしまった馬たちはこれを次走への糧にできればいいんじゃないかと

京都記念は予想は大的中なんですが、馬券はタッチングスピーチの単だけ買って観てました…

パドックのサトノクラウンは昨春と比較するとまだ馬体の張りが一息に見え、対照的にタッチングスピーチは息を飲むような素晴らしい体つきで、しかしサトノクラウンとタッチングスピーチとアドマイヤデウスのお手馬3頭で決まって何も当たらないとは悲しすぎる(^ ^;)

サトノクラウンは外伸び荒れ馬場を先行して直線突き放すのですから、道悪が巧いのはもちろんスタミナも確か

Mahmoudさんはサトノクラウンのことを「欧州12F型の末脚の伸ばし方をする」と言ってますが、今日の勝ち方は“斬れ味のあるインディジェナス”というイメージで、JCでスペシャルウィークの2着に食い下がったMarjuの代表産駒と重なるものがありました

タッチングスピーチはエリザベス女王杯がゴール前猛追で届かず、『サラブレ』先月号のラッ血対談でMahmoudさんと二人で嘆いていたんですが、なんであんなにズブいのかという話になって、「ローズSでは4角でちゃんとスピードに乗っていたから、馬群に入るとズブいのかもしれない」と言われて、ああそういえば札幌で勝ったときも直線は一番外に出してたなと

今日のように外からかぶせられずに運べれば、勝負どころからスムーズに加速していけるし、直線は外のヒストリカルが伸びれば伸びるほど頑張ってました

以下「重賞の見どころ」より再掲して終わりにします

サトノクラウン
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104668/
チェヴァリーパークS(英G1・芝6F)のLightening Pearlの全弟で、母ジョコンダはキラヴーランS(愛G3・芝1400m)3着。母父Rossiniはロベールパパン賞(仏G2・芝1100m)勝ち馬で、母母父Vettoriは仏2000ギニー勝ち馬。父MarjuはセントジェイムズパレスS(英G1・芝8F)に勝ち英ダービー2着、産駒にアスタルテ賞(仏G1・芝1600m)のマルバイユ(マルセリーナやグランデッツァの母)やIndigenous(ジャパンC2着)などがいる。母ジョコンダはMr.Prospector3×4とHopespringseternal≒Sir Ivor3・4×4を持ち、対照的に父Marjuはあまり強いクロスを持たないので、緊張と緩和のメリハリがきいた好配合。“斬れ味のあるIndigenous”というタイプで、パンとすればここでも格負けはないだろうし京都外2200mも合っているが、思わぬ大敗を喫してしまった天皇賞からいかに立て直してくるか。まずは今週の追い切りに注目。

タッチングスピーチ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104906/
母リッスンはフィリーズマイル(英G1・芝8F)勝ち馬で、リッスンの全姉SequoyahはモイグレアスタッドS(愛G1・芝7F)に勝ち英愛2000ギニーのHenrythenavigatorを産んだ。母母BrigidはRiverman≒Ringing Bellsのニアリークロス2×2、リッスンはBold Reason≒Never Bend3×4と代々の配合も良く、繁殖としても最高の血統配合をしている。母父Sadler's Wellsが強い体型で、ディープ牝駒にしてはパワーと持続力に長け、エリザベス女王杯でもゴール前の伸びは際立っていた。牡馬一線級相手でも差し切れる脚はあるが、馬群の中だとズブい面があり、ローズSのように直線は外に持ち出したほうが伸びるタイプかもしれない。

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日曜のボツ予想~道悪をHyperion的に我慢強く

2016-02-14 10:04:52 | 血統予想

どうやら中山記念がとんでもないメンツになりそうで、この際ミッキーアイルも参戦してもらって、「ドゥラメンテとリアルスティールとイスラボニータとロゴタイプとラストインパクトとフルーキーが出てくるらしいから、アンビシャスが折り合うためにも追っぱなしてガンガン逃げまくるんじゃあああっ!」と松山くんに丸投げしたほうが、いろいろオモロイことが起こりそうな気がするんですがダメですかね(・∀・)

東京最終は◎ルールソヴァール
サウンドトゥルーの全弟でフレンチデピュティ×フジキセキの砂黄金配合、休養前は東京マイルでモーニンやソルティコメントやラテラスやパワーポケットに迫る追い込みをみせており、あとは去勢効果がどう出るかですがここはいきなり狙ってみたい

こぶしは○フォーアライタ―も▲カイザーバルも渋るのは歓迎でしょうが、◎アドマイヤロマンはミッキードリームの全弟でアルパーシャンと同血、この牝系とキングカメハメハの組み合わせは他にもミッキータイガー、ロッカフラベイビー、トーセンディオールと道悪巧者がズラリ
アドマイヤロマンはキンカメ×サンデー×トニービン×ノーザンテーストですからドゥラメンテと15/16同血でもあるのですが、ドゥラメンテやルーラーシップがナスペリオン的に豪快にストライドを伸ばすのに対し、アドマイヤロマンはHyperion的な実直なストライドでしぶとく我慢強く走る
それは母母の段階で、エアグルーヴの段階でナスペリオン的ストライドをHornbeam≒パロクサイド3×3で固定していたエアグルーヴと、Hyperion的資質(Hyperion4・6・6×5)を固定していたスプリングコートとの違いというべきで、たとえ血統表の15/16が同じであっても、エアグルーヴを通じるHornbeam≒パロクサイドのクロスとスプリングコートを通じるHornbeamのクロスではニュアンスが異なってくる
というわけでアドマイヤロマンはドゥラメンテほどストライドが伸びる体型体質ではないですが、ここは行く馬が揃ったし、道悪の内1600mを実直に我慢強く差してくるだろうと思います

京都ダートは不良で前が止まらない可能性はありますが、すばるは母系の米スピードが発現してダート寄り短距離寄りになってきた◎フォーエバーモア、今なら軽いダートの1400は条件としてはベスト
メイショウボーラー×アフリートでやはり軽いダ1400がベストでしかも待望の外枠を引いた○ニシケンモノノフに、▲ワンダーコロアールもSecrettame≒Drone4×5とFull Out≒Mill Reef4×5ですからナスキロ&ナスペリ柔さでダートを走るタイプで、オータムと羅生門で◎を打ったように軽いダ1400はベストパフォを出せる舞台と書いてきました

壇ノ浦は◎ライトファンタジア
ダイワスカーレットが有馬記念史上に残る凄いラップで逃げ切った08年、これを追いかけた馬たちは次々と振り落とされて、サドラー系ステイヤーのアドマイヤモナークはついていけずに最後方からバテずに追い込んだら、みんなバテたので2着になってしまったという凄いレース
メジャーエンブレムが全部振り落としたあと、メイショウサムソン産駒のフロンテアクイーンが中距離馬然とした脚でジリジリ追い込んできたのをみて、あの有馬記念がオーバーラップしたのは私だけではないでしょう
アドマイヤモナークがズブくても内回りを追い込む脚を兼備していたのは母がトニービン×DanzigでFair Trial的な小脚を伝えるからで、妹のライトファンタジアは父がゼンノロブロイに替ってHalo≒Drone3×4、これもマツパク厩舎らしからぬ内回り向きの小脚使いで、内2200m重のすみれSでワンダーアツレッタをゴール前で交わして2着
アトムは朝日杯で人気になってた頃はたしかにRahyのマイラーというタイプやったんですが、古馬になって胴が伸びてきて中距離馬のジワジワ加速になってきて、中京2000のシンガポールでジリジリ差してきて「あれこんなにファンタスティックライトみたいな馬やったっけ?」と出馬表を確認したほどで、今は道悪の小倉2000をHalo3×4の機動力でエッチラオッチラ捲るのが合っていそう
▲スペキュレイターはリンカーン×ブライアンズタイムですから小回りも道悪も歓迎で、ハナさえ切れればとにかくしぶといのでまた休み明けでも激走があるかも
☆ジェネラルゴジップは母がDynaformer×Kingmamboなのでフリオーソみたいな配合で、このパワーが強い走法だからディープ産駒でも内回り向きだとはなみずきで◎にしたときからずっと書いていますが、内2000mは[1.1.1.1]、はなみずき以外は全て馬券に絡んでます

他のレースはこれから考えますが、「No.1予想」では京都記念を、「馬券総合倶楽部」では共同通信杯と京都記念を予想していますので、日曜もよろしくお願いします

コメント (94)
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