栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

レッツゴードンキが外回りをピッチで制し、ドゥラメンテが内回りをストライドで制するのだから競馬は面白い

2015-05-20 09:40:12 | 配合論

キングカメハメハとトニービンが出会うと、HornbeamのクロスにSpecialの「HyperionとNasrullah」の組み合わせが脈絡するので、ルーラーシップやドゥラメンテやミッキードリームのように「HyperionとNasrullah」的なナタの斬れがONになりやすい

だからストライドで走るタイプが成功しやすく、ラトロ肩にしたりRoberto曲飛にしたりFair Trial的ピッチにする必要はないので、キンカメ×トニービンの場合はLa TroienneやFair Trial絡みのクロスは避けたほうがいいのだろう、ということは昨日のエントリで書きました

このSpecialの“別の顔”をONにすることで成功したのが、トゥザワールド=トゥザグローリーとコディーノとレッツゴードンキ

トゥザワールドは下記のようにNureyev4×3のクロスですが、母母フェアリードールがHyperion4・4×4・5・5・7・7・7とHyperionの塊のような配合で、その母父Sharpen Upには「HyperionとLady Juror」のTudor Minstrelが入るし、母系の奥にはFlower Bowlと3/4同血のYour Host(Alibhai×Mahmoud)も入ります
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103975/

コディーノは母母父ポッセがForli×NasrullahですからSpecialとニアリーで、母母母父High TopにはFair Trial系Court Martialが入ります
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104236/

トゥザワールドもコディーノもFair Trial~Lady Jurorの血を母母のところに2本重ねる一方で、母系にナスキロ血脈は一本も入りません

この2頭はSpecialの「HyperionとNasrullah」ではなく、Forliの「HyperionとLady Juror」を増幅することで、ストライドを伸ばす方向は諦めて、ピッチと回転に特化したからこそ成功したというべきでしょう

レッツゴードンキの場合は何といってもKingmambo≒ジェイドロバリーの3/4同血クロス2×3が光りますが、両者に共通するのはMr.ProspectorとNorthern DancerとSpecial、Mr.ProspectorとSpecialの組み合わせはNashua≒Nantallahのニアリークロスになり、これはパワーと機動力に長じた組み合わせであるということはよく書いています
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012102095/

そこでポイントになってくるのが母系に入るRoberto系リアルシャダイで、「Mr.Prospector、Nureyev、Robertoのトライアングル」といえば、キンカメ×ブライアンズタイムの砂黄金配合や、ゴルア×Mr.Prospector×Robertoの砂黄金配合や、ブライアンズタイム×Nureyev×Mr.Prospectorのフリオーソなどダートで大成功している配合パターンですが、その主な根拠はNashua≒Nantallahの継続クロスにあるのです

レッツゴードンキは母系6代目にナスキロ血脈Chieftainが入りますが、Kingmambo≒ジェイドロバリー2×3にRobertoが絡み、また母父マーベラスサンデーにはTom Foolや「HyperionとFair Trial」の組み合わせも入るので、全体としてはNashua≒Nantallahと「HyperionとLady Juror」とTom Foolのパワーとピッチと機動力でまとめた配合

パワーとピッチに磨きをかけて機動力や加速力で勝負するのならば、ナスキロ的柔らかさやHornbeam的ナタ斬れはONにする必要はないわけで、この3頭はストライドを伸ばす方向ではなくピッチを上げる方向に特化したからこそ成功したのだ、という見方はできるのではないかと

こういうピッチで走る馬は東京より中山向きの脚質になりがちで、弥生賞をうなりながら捲ったトゥザワールドはタガノグランパ(Mill Reef5×5のキンカメ産駒)に内回りではいつも先着するのに外回りではいつも先着されるし、コディーノは朝日杯で3角からうなって行ってしまいましたが、レッツゴードンキも根はこの2頭に近い脚質なのだろうと私はみています

とはいえ機動力に長けたピッチ走法が東京や外回りの大レースで好走するケースもあって、それはどういうケースかというと、レッツゴードンキの桜花賞やコディーノの東スポ杯のように、超スローで上がりだけの競馬になったケース

レッツゴードンキは外回りの長い直線でストライドを伸ばしたのではなく、4角~直線半ばまでのスパートで勝負を決めてしまったのです

Kingmambo≒ジェイドロバリーのレッツゴードンキが外回りをピッチで逃げ切り、Hornbeam≒パロクサイドのドゥラメンテが内回りをストライドでねじ伏せるのだから、レースは生き物だし競馬は面白いですね(・∀・)

コメント (5)
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