即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

名人戦第三局、野田へ・その2

2010年05月09日 23時21分10秒 | 将棋
昨日の記事の続編です。

本当は今日の記事のタイトルを
「名人戦第三局・野田へ行った野田。」
と書いたのだけど、内容まで人をおちょくってるんか、と思われるのもなんなのでやむなく中止しました。(結局そうかも?)

今回すごく感じたのは、壇上の大盤解説だけでなく、ステージの左右に対局場(者)の様子と上から見た盤面のモニターがあることが、今までの連盟の大盤解説会と違ってどれだけ生の迫力を演出してくれたことか。

席が左側だった事もあり、そういう意味では、壇上の解説以上に、目の前のモニターを注視していました。

おー、指したよおお!!
えっ、角、切っちゃったのお?!

見て見て、悩んじゃってるねえ。
あー、頭抱え込んでる。

あらまた席はずしたんだ。休んでるのかなあ?
いい変化がないので、疲れちゃったんだよなあ、きっと。

と、こんな風に楽しめる。

そして終盤、一分将棋にでもなれば、一手一手、手に汗握る攻防が楽しめると言うわけ。
わっ、秒読まれてる。
手が震えてるんじゃない?
もうトイレ行けないな、これじゃ。
ここで一分は辛いなあ。
読みきれてるんだろうか?うーん。

かぶりつきで格闘技の試合を見てるような迫力です。

今日は、ずっと見ていたそのモニターの写真を中心にお伝えします。

またしても横歩取りになったこの第三局。
途中までは、ほぼ後手羽生名人の横綱相撲というか、完封ペースだった。
すべて効かされ、言い分を通され、こちらは我慢の連続。
やることなすこと三浦八段の陣形は窮屈になり、閉塞状態になり、先の楽しみがなくなっていく。
何よりもどうしようもないのが、右の金銀の形。
木村八段「ひどい悪形。特にこの銀は邪魔してるだけでなく、無い方がいい。」
青野九段「初心者に教える時にも、こんなことやってたら絶対にうまくならないと教えるような形。」
木村八段「ただでさえ言葉数が少ないのに、ますます少なくなっちゃうね、これじゃあ。」

皆で先手良しの変化を考えるけど見つからない。
なんとか手を作れないと、何も出来ないまま終わってしまう。

木村八段「すみっこの方に行く手は良くない手が多いですね。
オセロじゃないんだから。」

どうにもならないですねえ。
終局、早いかもしれません。

深浦王位「三浦さんになんとか勝って欲しいですね。
これがもし第四局で終わってしまうようなことがあると、ただでさえ強い羽生さんが余力を持って棋聖戦に出てくることになっちゃいますから。
ここだけの話ですけど、ぶっちゃけ長引いて欲しいです。(笑)」

これ↓、ピンボケですみません。

あそこまで脇息にもたれかかるとは、と皆があきれるほどの没頭ぶり。
「ここまで横向いちゃってるのって、あんまり見ないですよねえ。」

そしてすぐに席をはずす。今日は特に多いのでは。
いつ見てもいないイメージ。

渡辺竜王「羽生名人も動きは激しいけど、三浦さんもすごいですね。」
山田女流三段「湯飲みを持ったまま出て行くとか、よくわからない動きもしますしねえ。」
渡辺竜王「こう指すしかないというところでも結構いなくなりますから。
あれだけ二日制は疲れると言ってたので、控え室で休んで体力を温存しているんじゃないですかね。」

渡辺竜王「封じ手の練習をしたというのもびっくりしましたね。誰もやらないですよ。
あれは将棋界では新手でした。あっという間に業界内に広まりました。
そして、二日制の練習をしたいという話も驚きました。
さすがに二日制だと、誰もつきあってくれないんじゃないでしょうか。」

▲9五金がいいのでは、という検討陣の話。
打ちにくいけど、それをやれば打開できそうという解説が続く。
しかし、渡辺竜王は、「うーんそうなんですけど、筋が悪いんです、この手は。」とトーンダウンしている。

悩みがつきない三浦八段が考えている前で平然とおやつを食べる羽生名人。

三浦八段のあの対局姿勢がたまらないと言う人、かなりいるのではと思います。
今回の名人戦で一気にその魅力は開花した感が。

誰よりも真剣に、どこまでも深く読む。

飄々として自分のペースを貫く羽生名人が指す。

どこかで手を作らないと・・・。
食らいついていかないと・・・。

鈴木八段「三浦八段の口癖は、「将棋は難しい、そんなもんじゃない。」」

真田七段「羽生名人は、相手が気にするところには行かずにジワっと落ち着いた手がうまいんですね。」

夕方、羽生名人が角を切ったところから急に激しい将棋になり、差が詰まった、逆転か、というモードになる。

会場も一気にヒートアップ。
「もうお終いかと思って帰っちゃった人いないですかね。可愛そうです。」

8時50分の衛星放送が始まる。
これじゃ9回裏のいいところで時間切れだよ。あんまりだな。
俺たちよかったよねえ、ここにいて。

さあ、一分将棋に。果たして読み切れているのか。

ギリギリの戦い。合い駒を間違えるも、わずかに足らず。

やっとのことで3連勝。
でもすっきりとはいかなかった。完封勝ち、大差勝ちのペースで投げていたけど、終盤にきて危ない場面を作ってしまった。

無念。。。

秒を読まれて、手が出なかった。

地元の人たちの熱気がそうさせたのか。
一気に手に汗握る終盤になりました。
対局者でもないのに、終わってすぐには立ち上がれないほどの興奮、熱中。

これで三浦八段は3連敗。
対羽生戦はなんと13連敗という泥沼。
後が無い。
ここでこの悔しさを福岡でどうぶつけることができるか。
いい意味で開き直れるのか。
はたまた1日12時間の研究でもだめだから、14時間に修正して準備をするのか。
このまま一方的に大きな壁に打ちのめされるのか、はたまた本来の粘り強さを発揮して結果を残せるのか。

どちらにしてもこの名人戦は三浦八段を中心に回っているかのように思える。
戦いの主役だ。

そういえば、この対局室の様子の映像。
ずっと見ていたけど、三浦のアップがあまりにも多い。
羽生のアップの映像と比べると、8対2とか、9対1くらい。
それほど三浦のひたむきで愚直な将棋と向き合う姿勢が、
人間的であり、魅力に溢れているということだ。

知らず知らずのうちに僕たちはそんな三浦の虜になってしまっている。

山田姉(御)弟子「次は絶対にがんばってほしいです。これからは優しくします。」

鈴木環那女流初段「前夜祭の時の三浦八段の挨拶を聞いて、すごく応援したい気持ちになりました。」

酔いしれた一日。大いに満喫した野田。(まだ言ってる。)

終了後、たいがーさんたちとアフターも楽しんで、家に着いたのはもう日付が変わっていました。
もう現地行きは病みつきです。
連盟大盤解説会も行かないわけではないので、(昨日書いたように)ファンの気持ちを考えてくださいね。

では、関係者の方々、お疲れ様でした。ありがとうございました。
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます! (Jiro)
2010-05-10 04:47:24
今日も熱の入った文章と写真ありがとうございました!

名人戦の手に汗握る様子が、よくわかりました!

確かに、三浦八段、魅力的ですね。。。よき伴侶を得れば、もっと強くなるかも!!
返信する
熱戦続きでも (指さないファン)
2010-05-10 13:37:17
昨年末の竜王戦に続いて、名人戦迄ストレート決着では・・・2大棋戦があっさり終了ではファンへの裏切り行為です。

何とか1つは入れて欲しい。大阪・春日・天童が、谷川・桐山・高橋の各九段が泣いているぞ!

今こそ武蔵の本領を発揮して欲しい!!
返信する
亀コメントでゴメンナサイ。 (golgo56513)
2010-05-13 21:56:12
写真素晴らしいですね!
確かに三浦八段の注目度は異常に高いような気がします。
やっぱり棋士としても人間的にも魅力あふれているからだと思います。
今後も「現地解説会場」に行ったら、熱いレポートをよろしくお願いします。
期待してます!(笑)
返信する
コメント、ありがとうございます。 (nanapon)
2010-05-14 15:23:13
☆Jiroさん、こんにちは。

>今日も熱の入った文章と写真ありがとうございました!名人戦の手に汗握る様子が、よくわかりました!

そう言っていただけるとうれしいです。
こちらこそありがとうございます。

>確かに、三浦八段、魅力的ですね。。。よき伴侶を得れば、もっと強くなるかも!!

確かにそうかもですね。
寡黙で暗いイメージもあったかもしれないけど、今回ですっかり、明るいし、ユーモアもあるし、サバサバしてるのがわかりました。
男っぽいし、モテそうな気がしますけどね。

☆指さないファンさん、こんにちは。

>昨年末の竜王戦に続いて、名人戦迄ストレート決着では・・・2大棋戦があっさり終了ではファンへの裏切り行為です。

それだけ多くの人の期待が集まってますからね。
来週の第4局、なんとか三浦八段らしさを見せてほしいです。

☆golgo56513さん、こんにちは。
その節はお世話になりました。

>写真素晴らしいですね!

ありがとうございます。ピンボケもあるし、まだまだです。というか、小さくて大したことのないカメラなので、望遠もしっかり撮れる一眼レフがほしいと思ってます。

>確かに三浦八段の注目度は異常に高いような気がします。やっぱり棋士としても人間的にも魅力あふれているからだと思います。

そうですね。まあそれを上回るすごい人が相手なので、霞んでしまいますけど。

>今後も「現地解説会場」に行ったら、熱いレポートをよろしくお願いします。期待してます!(笑)

ありがとうございます。どこかでご一緒できるといいですね。また現地行きの機会を狙います。
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