即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

電王戦その後

2014年07月09日 12時20分14秒 | 将棋
先日のNHKEテレ、「サイエンスZERO」で電王戦の特集、『プロ棋士大苦戦! 進化する将棋コンピューター』、やってましたね。

プロ棋士と同じような思考方法でどんどん強くなるコンピュータ。
ほぼ勝負づけは済んでしまってる感があるので、残る砦はタイトル保持者の3人。
この3人のようなトップ棋士であればまだコンピュータでも勝てないのではないか。

その一人である渡辺二冠も登場していました。
『やらないで済むならその方が楽だけど、この時代にこういう立場でいるので役割としては受けないと仕方ない、どうやったら一矢を報いることができるのか考えている。』
と、ある意味前向きな発言をしていました。

時間が経ってしまえばコンピュータの方がずっと強くなるので、トップ棋士とやるのであれば今しかない、今がもっともいいタイミング、という流れで番組は終わっていました。

さあ、今検討しているのでしょうけど、果たして来年の電王戦はどうなるのでしょうか?

別に楽しみにしているわけではなく、早く止めたらいいのに、見限るべき時が来てるのに、と思うだけなのですけどね。

予測。
1)同じような5対5で、ハンディ戦にしてレベルを合わせて調整して行う。
  強すぎてしまうコンピュータ側にいろんな制約を設けてちょうどいい手合いにするようなハンディを設ける。
いきなりトップ棋士を持ってくるにはちょっとそれは行きすぎだろう、との声もあるだろうから、ここは今の流れの中でさらに盛り上げる趣向を凝らして次回に臨む。

2)電王戦は電王戦だけど、5対5の対戦方法を変化させて行う。
タッグマッチであるとか、勝ち抜き戦であるとか、あるいはバトルロイヤルのような方法とか。

3)いよいよ羽生四冠、森内竜王、渡辺二冠のいずれかのタイトルホルダーが登場する。

4)このまま続けるといろいろ齟齬をきたすことに気づいて中止する。
コンピュータの進化は止められないので仕方ないけど、棋士とコンピュータの対決の図式でなく、別のやり方でコンピュータとつきあう方法を模索していく。

さあ、どうなっていくのでしょうか、注目です。


さて、週刊現代で連載中の『巨泉の今週の遺言』で、将棋マニアの巨泉さんが電王戦についての意見を述べていましたので最後に紹介します。

第261回
競馬も将棋も人間中心に!
便利さと利潤を追求する安倍政権の将来は危ない
(5月31日号)

(部分的に引用させてもらいます。)=========================
ところで、長年のボクの主張は読者はすでに御存知であろう。「余り便利さを追いすぎてはいけない」「経済的成長(利潤)を追いすぎるな」「身の丈相応の生活で、むしろ心の平穏を求めよ」である。だからボクは安倍政権の方針に反対して来たし、今後も、し続けるつもりだ。利潤を求め過ぎると、先日の韓国のフェリー事故のような惨事につながる。日本のマスコミは、日本人の嫌韓傾向をあおるように、非難をつづけているが、我国だって他国の事は言えない。利益を求めるあまり、運転手に苛酷なスケジュールを課した結果、死傷者を出した高速バスの事故をはじめ、枚挙にいとまがない。ごく一部の恵まれた正社員を除くと、日本のサラリーマン、労働者の条件は、先進国でもかなりシビアなクラスに属している。これも長い間企業向きの政策を続けて来た保守党政権に従ったからだ。

 「便利さ」については、現在のIT時代が雄弁に物語っている。ボクは相変らず携帯はもたない、フェイスブックも拒否している。ブログもやらないし、ツイッターもやらない。理由は、自分だけの世界に、他人が勝手に入って来て欲しくないからだ。勿論パソコンは使うし、メールもやる。しかしそこまでで線を引いている。線引きの基準は、ボクの「生活の質」と合致するかである。

 ボクはかねがね危惧していたが、最近トラブルが表面化して来た。まず競馬だ。先日新聞に出たが、「外れ馬券」が経費として認められ、告発して5億7千万円を課した検察が敗訴、控訴は却下された。われわれオールドファンには信じられない金額だが、これは今や馬券購入の中心になっている「ネット馬券」なのである。いわゆる〝競馬予想ソフト〟を利用して、馬券を大量に購入する。少し調べて見たら、何と50点から100点も買うらしい。ボクには想像もつかないが、三連単の馬券だけ、何百倍(中には千倍単位)もつくので、100種類買っても儲かるらしい。

 今回の大阪高裁の判決はJRAには直接関係ない。税務署が裁判に負けただけだ。しかし元を正せば、馬券の売り上げを増やしたいJRAが、三連単をはじめ、射倖心をあおるハイリスク・ハイリターン馬券を売り出した事に起因している。昔から「競馬はロマン」といわれ、若駒が一生に一度の夢を託して走るダービーをはじめ、クラシックレースに人気が集った。「ネット馬券」にロマンが入る余地はない。あくまで数学と計算の世界である(かな?)。

 そして億単位の金を自由にできる人しか参加できない世界だろう。しかしパドックの横断幕などを見ていると、いまだに「ロマン」を追っているファンが大多数を占めているのは間違いない。これ以上ネット馬券が増えてくると、競馬ファンは漸減するオソレさえある。ボクはJRAが、ハイリターン馬券を廃止するか、出走頭数を制限するかをしない限り、競馬は衰退するのではないか、と危惧している。


 将棋界にもITの波が押し寄せ、コンピュータ・ソフトとプロ棋士が対戦する「電王戦」なるシリーズが誕生した。今のところコンピュータが圧倒的に強く、先日もA級九段のトップ棋士が敗れた。こうしたシリーズが始まるキッカケは、一昨年世を去った、長年の親友だった米長邦雄前将棋連盟会長の英断?によるものだった。アマチュアのプロ参加とか、女流棋士の進出とか、時代を取り入れるのに積極的だったヨネちゃんらしい。

 しかし電王戦はやりすぎである。現在行われている名人戦を見れば解るが、将棋は人間同士が〝頭をかきむしって〟争うものである。不完全で、ミスをする人間同士だからストーリーが生れ、ロマンが生ずる。阪田三吉の「銀が泣いている」、升田幸三の「錯覚いけない、よく見るよろし」など、歴史に刻まれた名言は、限りある人間だからこそ生れたのだ。その人間と、複数の人間が組み立てたソフトが争うのはフェアでない。大天才の谷川現会長に告ぐ、電王戦は将棋の命取りになるよ。

===========================(引用終わり)

本当に巨泉さんに同感、賛成です。
別にこんなことで盛り上げようとしなくても全然困らないです。
名人戦、棋聖戦、王位戦と続いているタイトル戦の熱戦。
そして、王座戦の挑戦者、竜王戦の挑戦者を決める決勝トーナメントもどんどん進行していてますます目が離せない状況です。
こんなにも魅力的な棋士がたくさんいて、こんなにも迫力満点の対局を見せてくれるのだから、人間同士の戦いだけでおなか一杯なわけです。
歴史も伝統もあるリスペクトする人間たちの勝負の醍醐味。
今後も連綿と続いて行ってほしいですし、僕らを楽しませていってほしいです。

谷川会長は米長前会長のようにグイグイ皆を引っ張っていくタイプではないでしょう。
ここは会長を支える知見のある理事や棋士の皆様に期待せざるを得ません。
時代の大局観に基づき、後に禍根を残さないようなしっかりした判断、読みの深い次の一手を指していただきたいと強く願っています。


今年の電王戦についての記事はこちら。
<作戦間違い@電王戦>
<その2>
<その3>
<その4>
<その5>
<その6>
<その7>
<その8>
もしも羽生さんよりも数倍強いコンピュータソフトができたら
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 祭りのあと | トップ | 命を繋げる、命を広げる »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これは、ありがたいっ!! (こてくん)
2014-07-09 12:48:17
おおおっ、今週の週刊現代には
そのような事が・・・・。

これはありがたいです。早速
買ってきます(笑)

>大天才の谷川現会長に告ぐ、電王戦は将棋の命取りになるよ。

大橋巨泉さんの言うことはごもっとも
なのですが、もう遅すぎた感も
あります。

今から止めたところで、おそらくは・・・・。

まっ、でも、羽生さんが頭を下げる所
を見ないで済むならば、
それでもいいかなぁ~~~と

思っているもう1人の自分もいます。

ま、(電王?と羽生さんとの7番勝負を)やるのも
止めるのも『今『という感じはします。


>競馬

そうは言っても、3連単が入ってきた時点で、
予想する人の予想も64点買い、120点買い
などなど、ロマンのかけらもないですから
(笑)

そして、ほとんどの人が当たらない。
単勝・複勝買いにすれば、余裕で当たるのに。

(で、わたしが当たってもその程度?と
上から目線で馬鹿にされたような気分に
なりますが・・・・笑)

ロマンはあるとは思います・・・・が、
昔ほどの楽しさは無くなりました。

ただ・・・〝競馬予想ソフト〟のおかげで、
オッズが変になり、前よりも不可思議な
感じで儲かることもあります。(笑)

本気で競馬を勉強したら、鉱脈を
掘り当てる事ができるのかも
しれませんが、所詮は『ぎゃんぶる』

地のついた着実な儲け方ではないので、
あんまり・・・・ねえ。

人には薦められませんよねぇ~~~~(笑)

PS・渡辺先生は昔やっているので、
もう免除しちゃいなよ(笑)

・・・・とわたしの中では思っています。

若者を戦地におくっちゃいかんぜよ(笑)

ではではっ。


返信する
週刊現代 (nanapon)
2014-07-09 13:13:23
こてくんさん、こんにちは。

>おおおっ、今週の週刊現代にはそのような事が・・・・。これはありがたいです。早速買ってきます(笑)

いや、これはずいぶん前のですよ。すみません、書かないで。全文ネットで読めるので買わなくても大丈夫。

>大橋巨泉さんの言うことはごもっともなのですが、もう遅すぎた感もあります。今から止めたところで、おそらくは・・・・。まっ、でも、羽生さんが頭を下げる所を見ないで済むならば、それでもいいかなぁ~~~と思っているもう1人の自分もいます。

これをさせちゃあおしめーよ。
見たくないどころか、これをさせちまったら将棋とおさらばだぜ。

>そうは言っても、3連単が入ってきた時点で、予想する人の予想も64点買い、120点買いなどなど、ロマンのかけらもないです。

はい、競馬はロマンです。金儲けじゃないです。

>若者を戦地におくっちゃいかんぜよ(笑)

これもそのとおり。
いろいろおかしい世の中です。
返信する

コメントを投稿

将棋」カテゴリの最新記事