
(前号から続く)
お金はありますよ、どうぞ使って下さい、なんてこの48年間ママヨさんから聞いたことが一度も無い。就職してその年の夏に結婚して以来、家にどのくらいのお金があるのかを波風氏は正確に知らないし、そういう面倒なことは知りたくないのである。財布は波風家の常識と自負するママヨさんの領分であり、波風氏はその子分である(笑)。
最近お金のことで一番困ったのは、定年退職後はママヨさんに働らいてもらって自分は主夫やりつつ遊ぶ算段だったのが、「家に全然お金がありません」と厳かに宣言された時だった。あの時は、ウームまいった。不承不承、働くことになった。働いたら意味ある仕事だし楽しかったが、やりたいことも強かったから心に決めた期間を経て終えた。
価値観の内容は「ひと・もの・こと」で、その中の「もの」の代表が「衣食住」。波風氏のブログはこの暮らしの三要素に読書を加えた「衣食住本」で、飽きもせず11年書き続けている。その理由は、「ひと・もの・こと」も「衣食住」も知らないことだらけだからだ。実際の暮らしからだけでなく、少し目を開いて政治や経済や文化を眺めていなければ、偏ったものの見方、馬鹿な考えに必ず陥ると信じているからだ。そうすると、知ったことや疑問を誰かに語りたくなってブログ記事を書くことになる。
夢(価値観)と現実(お金をはじめとした環境)の拮抗状況を的確に判断できなければ、老いの大冒険挑戦だけでなく(そういうこともあったりして)、可能なところで楽しんだり辛いことがあった時の逃げ道がなくなってしまう。「豊かな暮らし」とは自己責任の醍醐味であり、全て自己責任で納得し始末しなければならない。時間と自由に満たされた老後こそ「豊かな暮らし」が実現できるはずだ。支配も拘束もなく、ついでに体力と金力もないが好きにやれる。
そう考えると、「豊かな暮らし」の追求は勇気が必要だ。茨木のり子さんの「寄りかからず」、石垣りんさんの「精神にハタから表札をかけられてはならない」という自立の志が老いるほどに大事。周囲とケンカせずニコニコしていながら、目の大丈夫なうちは新聞や本を読み、自分のやりたい「難しいことを(疲れたら休みながら)こつこつと」続け、仕上げは機嫌良く暮らしながら「ちょっと昼寝してくる」と布団に入り永久に寝入って起きてこない(どこも痛くなく、誰にも迷惑かけず)、というのが「豊かな暮らし」の最終理想だなあ。
大学共通テスト(国語)の第1問(小問10個、小計50点)やってみる。宮沢賢治作『よだかの星』をもとに食物連鎖を考えさせ面白かったが2問間違い計34点。新聞の活字小さく疲れたので残りは明日。第2問は好きな作家の黒井千次の小説から
画像は玄関の不在表示札(蒲鉾の板)、あと5ヶ月したら外で遊べる 。ママヨさんの作ったカステラ食べながら、庭作りの本を開く。