「正岡子規 言葉と生きる」(坪内稔典著:岩波書店)、雪降る2日間、読みふける。
前から気になっていた子規。やっと読めた入門書。34年間の生涯、少年、学生、記者、病床、仰臥の5時代5章に分け、その扉でその時代に書き残した言葉や歌を配する。「(俳句・短歌・文章の文学上の革新を起こした)子規の言葉は、新しくなろうとする近代日本の言葉」を、初心者にもわかるスタイルで構成。老後は漱石、と決めていたのも子規を読む理由。また、著者が「ねんてん先生」、坪内稔典さんだったことも。前から、屈託なく楽しい俳句、融通無碍な文章が好きだ。
子規の人間性、強烈な個性に惹かれる。自分を徹底して客観化・対象化し、滑稽さを愛する開放性に驚く。江戸幕府瓦解の年に生まれた子規、今から100年以上前に溌剌と生きた青年に、普遍的な人生の意味を考えさせられる。本物の知性とは何かを。生涯の友人、漱石を身近に感じるようにもなった。読み終えて直ぐ「墨汁一滴」と「病床六尺」を注文。久しぶりに「坊ちゃん」再開。
愛読する「海街diary」最新刊〈7 あの日の青空〉」(吉田秋生作:小学館)、予約注文し読む。隣人の『生』と避けがたい『死』を描くことで、どんな平凡な人間にもドラマがあり、人生に意味を見いだし、登場人物が深みを増す。114頁で目頭熱くなる。子規が漱石に宛てた手紙「僕ハモ-ダメニナッテシマッタ…」読んだ時に似通う感慨。