憲法の講義を担当していた頃のこと。ある時期を境に、学生たちから「日本はまた戦争をするの?」という声が必ず出るようになった。たしか、武器輸出三原則の見直しを当時の政府が発表したあとだ。ふだんニュースに触れない子たちでも感じる「そういう空気」があったんだと思った。
・・・
学生たちは、自分自身や親しい人たちが戦争に巻き込まれることをリアルに想像して、不安を感じていた。自分のこととして考えれば、戦争に賛成する人なんているとはとても思えない。私だって、戦争で家族や友達をなくしたくないし、だれかのいのちを奪わなければいけないような事態に巻き込まれたくない。これまで関わった子どもたちが戦争に巻き込まれることなんて、絶対にあってほしくない。
・・・
戦争は、そのときだけの問題じゃない。イラク戦争でのアメリカ軍の死者数は、戦闘中より帰国後の自殺者数が上回った。今、「戦争する」ことの意味を、リアルに考えたい。