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戦争の火種、と、その残火。


以前にも記したものとなるけど。
今から、110年前…。
1914年6月、
ボスニア訪問中のオーストリア・ハンガリー帝位継承者夫妻が、
隣国、セルビア人の青年によって暗殺される事件が起きる。
この事件は、政治的な解決がつかないどころか、
同盟国を巻き込み、拡大していく。
もともとは戦争回避の抑止力としての“国家間での同盟関係”でありながら、
同盟関係にある国々が、次々と戦争に巻き込まれていく状況となり。
皮肉にも、世界的な規模となる世界大戦(第一次世界大戦)へと突き進む。
この第一次世界大戦は、連合国(大英帝国、フランス、ロシア)と、
同盟国(オスマン帝国、ドイツ、オーストリア)とのものとなり。
日本は日露戦争のとき、大英帝国と結んだ日英同盟もあって、
第一次世界大戦では連合国側として、参加している。
そして、連合国に敗れたオスマン帝国は、
1918年、その広大な領土を分割されてしまう。
イスラムの聖地であるメッカがある地域(現在のサウジアラビア)も
オスマン帝国の領土だった。
この当時は、映画にもなった「アラビアのロレンス」の時代であり。
アラブ人による独立運動も起こる。
映画自体も、かなり以前のものなので、ほとんど覚えていないけど。
この領域の支配をめぐって、アラブ人と列強国とでは、
第一次世界大戦中から、政治的な思惑や画策が絡んでいく。
映画では偏った描写もあるけど、史実を基にした時代背景から、
思い返されるシーンもある。
しかし…。
ヨーロッパ諸国は、この地域にある石油の存在(利権)から、
アラブ人による独立国家の成立を認めなかった。
そして、第一次世界大戦は、ヨーロッパ(欧州)の価値観も転換させ、
社会を混乱させていくものとなり。
その影響もあって、
当時、帝政であったロシアは、革命家、レーニンらによって、
共産主義の国家、ソヴィエト連邦へとなっていく。
この“ソヴィエト”とは、労働者や兵士を代表して革命を指導する組織。
「評議会」という意味になる。
ロシア革命によって誕生した、社会主義国家、ソヴィエト連邦という存在は、
その後、世界を、西側諸国と、
東側諸国に分ける東西冷戦の時代へとつながっていく。



そして、2年前。
2022年2月、ロシア軍がウクライナへと軍事侵攻し、
首都キエフまでも攻撃する(2月25日)。
旧ソヴィエト連邦の主要国家であったロシアとウクライナとは、
この数年前から、不穏な気配こそあったもの。
世界中が動揺するものとなった。
日本では「国際連合」と扱われているUnitedNationsは、
国家を超えた「世界連邦」のような存在ではなく。
戦争による領土拡大を抑えることを、目的とした「連合国」を意味しており。
ロシアは、この国際連合に属しながら、
他国の領土内へと軍事侵攻したこととなる。
※日本とロシアとの北方領土問題も、
「戦争による領土拡大が、目的ではない“国際連合”」とが絡むものであり。
これは、世界中(国際社会)が見過ごせないものであった。
それから、今も、ウクライナは戦時下にあり。
そして、この戦争(ウクライナ危機)が、直接的な要因ではないもの、
パレスチナとイスラエルとの間でも、戦争状態となり。
すでに世界中が巻き込まれている。



蛇足:
第一次世界大戦は、開戦当初から電話と電報が活用され、
無線通信も飛躍的に進歩した。
それが1920年代のラジオ放送の開始につながっていく。
ちなみに、日本でのラジオ放送開始は、大正時代のこと(1925年)。
第一次世界大戦中、大英帝国(いわゆるイギリス)は、
西アジアで勢力を保っていたオスマン帝国との戦いを有利に進めるために
メッカを支配していたフサインと交渉して、反乱を起こさせる。
(メッカ太守:フサイン・イブン・アリー)
その条件は、
大戦後、アラブ人による国家(アラブ独立国家)の建設を支持するもの。
(1915年:フサイン、マクマホン協定)
フサインの軍は、ダマスカスを制圧する。
ところが、大戦後のパリ講和条約で、この約束は果たされなかった。
(1919年:パリ講和会議)
(1916年:サイクス・ピコ協定)
大英帝国は、事前にフランス、ロシアと、いわゆるサイクス・ピコ協定を交わし、
オスマン帝国領の分割の仕方を決めてしまっていた。
しかし、その後、実際に分割統治が行われる際、
フランスとの交渉で協定が引き直される。
そこに油田がある場所を重ねると、
大英帝国が油田を自らの勢力下に収めようとしたことが分かってくる。
さらには、資金面での戦争協力を得ていたユダヤ人とは、
民族的郷土の設定を約束していた。
この大英帝国の三枚舌外交が、その後、中東を混乱へと導いており。
さまざまな紛争を引き起こす原因ともなっている。



さて…。
現在のロシア(プーチン政権)が望んでいるのは、
社会主義大国であったソヴィエト連邦ではなく。
実は、正教大国としてのロシアだとも言われている。
その(キリスト教の)正教における聖人「ヴォロディミル」(ウクライナ語)は…、
ロシアとウクライナの建国の父、ヴォロデミル1世のことであり。
ロシア語では“ウラジミール”となる。
今、ウラジミールという名前の大統領は、2人。
1人は、ロシアの大統領、ウラジミール・プーチン大統領。
そして、ウクライナの大統領、ヴォロデミア・ゼレンスキー大統領になる。
ウクライナとロシアを、歴史から考えると、
ウクライナの前身となるキーウ大公国が、
ロシアの前身であるモスクワ大公国より、早くから記録されている。
かつてキーウ(キエフ)を、中心としたキーウ公国は、
東ヨーロッパで、最も栄えていた国家ではあったが、
13世紀半ばのモンゴル襲来によって滅んでしまう。
このウクライナ(キーウ公国)が、モンゴル帝国によって、
一度、滅ぼされたとき、その後の統治を任されたのが、モスクワ公国になる。
(モスクワ公国は、モンゴルの威光を借り、キーウを抑えていたのであり)
ロシアのウラジミール(プーチン)が言う、
かつての兄弟国という言葉は、歴史的にも状況的にも正しくないことになる。
その後、ウクライナの人々は、旧ロシアやソヴィエト連邦、ポーランドなど、
周辺の国々の支配を受ける苦難の歴史が続いていく。
ようやく、ウクライナが独立するのは、
ソヴィエト連邦が崩壊した、1991年となる。



そして、このウクライナ危機が終息する気配もないまま。
昨年(2023年)10月、ハマス(パレスチナ側)によるイスラエルへの、
3000発以上のロケット弾攻撃を発端として、激しい戦闘状態となっている。
当初は、パレスチナ側(ハマス)からの強襲という事実もあって、
イスラエル側の反撃を支持するものも少なくなかったもの。
いつの間にか、イスラエルの行動は反撃以上のものとなり。
もはやぺパレスチナへのジェノサイドとも言うべき状況となりつつある。
日本政府が、このイスラエル危機へと対応したのは、かなりニブく。
しかも、在外邦人の脱出時においては、3万円の徴収まで行なっている。
これは、単に金銭の問題ではなく。
戦争に巻き込まれて、
死ぬかもしれない人に「助かりたいなら、3万円出せ」と要求した、
日本政府の精神はおかしい…と、
ツイッター(現:えっくす)上に非難の投稿もあった。
現政府を任されている政権与党は「国民の命を守る」などと語りながら、
ミサイル増税や安保法制のことを、必要性を語ってきたもの。
その実態は、国民のことなど、まるで考えになく。
防衛利権で、私腹を肥やそうというものでしかなかったのだろう。

これらの状況は、
100年以上も前の戦争の“残火(のこりび)”が、
新たな戦争の火種となって、世界中に広まっていくようで、
イヤなものがある。
(2024年7月2日誤字脱字訂正)
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